「高等学校古文/歴史書」の版間の差分

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====正史====
上記の理由により、各王朝は自己の王朝を正当化するために国家事業として歴史書を編纂しており、それを正史と呼ぶ。清代において、特に正統とされる24の史書を取り上げ「'''二十四史'''」と呼ぶ。但し、そのうち、[[w:司馬遷|司馬遷]]『[[/史記|史記]]』、[[w:班固|班固]]『[[w:漢書|漢書]]』、[[w:陳寿]]『[[w:三国志|三国志]]』、[[w:范曄|范曄]]『[[w:後漢書|後漢書]]』、[[w:沈約|沈約]]『[[w:宋書|宋書]]』は王朝の事業ではなく、私撰の体裁を取っている。ただし、これらについても司馬遷が[[w:太史公]]という地位にあり、王宮内の歴史文書に容易に触れうる地位にいたこと等から、在野の歴史家の著したものと言うよりは、時の皇帝の承認を得て撰じたものであると理解する方が自然であろう。
 
正史は、史記以来の伝統により、統治者である皇帝(又は王)の伝記である[[w:本紀|本紀]]とそれに仕える人々などの伝記である伝・[[w:列伝|列伝]]により構成する[[w:紀伝体|紀伝体]]という書式によっている。
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*[[w:司馬光|司馬光]]『[[w:資治通鑑|資治通鑑]]』
*:[[w:北宋|北宋]]の政治家であり学者・文学者(詩人)でもある司馬光が、皇帝英宗の命により編纂した通史。正史と異なり、年ごとの出来事を追う[[w:編年体|編年体]]によっている。名文の誉れが高く通史の傑作であり、中国において長く通史のスタンダードの地位を得ていた。
*[[w:曾先之|曾先之]]『[[/十八史略|十八史略]]』
*:[[w:元|元]]代の曾先之によりまとめられた入門書。曾先之は、この著者である他の経歴は伝えられていない。史的価値はほとんど無いとされるが、入門書として日本につたわり、広く読まれることとなった。
 
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高校においては、限られた時間の中で、主立った作品群すら読むことは難しいであろうし、試験や受験を前提とした学習において、それは不必要ですらある。
 
とりあえず、作品として意識すべき作品は『'''[[/史記|史記]]'''』と『'''[[/十八史略|十八史略]]'''』のみであり、その他は、作品として知識を得ておく必要はない。この2作品ですら、全てを読むことは、高校学習のレベルとしては超えている。最初のうちは「故事成語」の出典となる部分から取りかかることを勧める。
 
しかしながら、漢文学、ことに史書はその楽しみを覚えると、一生の趣味としても良い位の深い広がりを持った領域である。試験や受験だけのつきあいにとどまらず、一生の楽しみとして身につけることとなれば、あなたの読書人生を深くすることに違いないと信ずる。また、これを楽しみにすることにより、漢文(だけでなく国語一般)の成績が上がっているという思わぬ副産物を生むこともあるだろう。小手先の受験技術だけではなく、その本質に近づくことが、結局、受験などにも役に立つことになることは銘記しておいた方がよいだろう(これは、漢文・国語に限らず、英語や数学など全ての狂歌に言えることだが)。