「デコヒーレンスの本」の版間の差分

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デコヒーレンスに関する事を、特に深く考えずに書いていきます。量子デコヒーレンス(the Quantum Decoherence)はシュレーディンガーの猫をはじめとする、量子力学の奇妙な問題に対する解答としての有力な候補であり、また量子コンピューターの実現に向けて乗り越えなくてはならない事と言われています。ネット上でも少しずつ、一般向けの解説がされたページが見受けられるようになりました。この本には、デコヒーレンスに関係した物事を集約できれば良いなと思っています。
 
書きたいことは殆ど、wikipediaの方に書いてしまったので、そっちとの差別化を考えないといけないのですが。
 
正確な記述というよりは、書き手のそれぞれがどのように考えているか、という事がわかるように書ければ面白いと思います。
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==排反事象==
 お互いに排反である(矛盾している)事象A,Bの起こる確率に対して、単純な和の法則が成り立ちます。
:<math>P(A)+P( \cup B)=P(A \cup )+P(B)</math>
 
もしも事象AとBが排反でない(特に矛盾していない)ならば、次の和の法則が成り立ちます。
:<math>P(A \cup B)+=P(BA)-+P(A \cap B)=-P(A \cupcap B)</math>
 
量子力学では、波動関数の絶対値の2乗が、ある状態が実現する確率(確率密度)を表す事が知られています。
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符号はさておき、干渉は状態AとBが同時に起こる確率に相当します。つまり、量子力学においては、異なる量子状態の間に量子干渉が存在する限り、それらの状態を排反事象(矛盾する状態)であるとは言えなくなってしまう訳です。
 
(つづく)
例えば、有名なシュレーディンガーの猫の寓話においては、状態Aが生きている猫、状態Bが死んでいる猫であるとします。生きている、死んでいるというのはマクロの世界に生きている私達にとっては排反事象です。一方、原子が崩壊しているかしていないか、というミクロの世界の事象は、それらの状態間に量子干渉が存在する以上、排反事象とはいえなくなります。そこでミクロの世界の原子の2量子状態をマクロな世界の猫の2状態に一対一対応で投影した場合、猫の生きてる死んでるの状態も排反事象とは言えなくなるように思えます。
 
しかし量子力学は基本的に、ハミルトニアンが定義できる孤立系において発展してきた学問である事を思い起こして下さい。ミクロの原子は孤立系なのかも知れませんが、猫はどう考えても孤立系ではありません。デコヒーレンスの理論では、環境による熱的効果…ミクロに見るとそれは環境へのエネルギー散逸と環境からの揺動(ブラウン運動)に帰着する…が、量子状態間干渉を破壊する事が知られています。もしも猫を量子力学で記述できたとしても、私達が猫のためにこたつを用意してしまったり、それでなくとも猫の生体機能を維持するためには、箱の中の温度はそれなりに暖かくしておく必要があるでしょう…そのために、それらの熱的効果によってデコヒーレンスが生じ、猫の状態は生きているか死んでいるかどっちかに決まってしまう事が予想されます。
 
==数学的基礎==