「分子生物学」の版間の差分

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 このようにして、細胞は自分の遺伝子を複製して子孫に伝えることができる。しかし実のところ、この作業は極めて困難である。複製は迅速に、正確に行なわれねばならない。ヒトの細胞では、1分間に1000のヌクレオチドがコピーされる:これは、1分につき『Essential細胞生物学』(A4変形版、本文のみで831頁)2冊分の情報がコピーされるのに匹敵する。さらに、より単純なバクテリアでは、その速度は10倍に達する。この離れ業を可能にするのは、多数のタンパク質による複合体である。
 DNAの複製は、大まかに言って以下のようなプロセスによる:
 
1. [[w:ヘリカーゼ|ヘリカーゼ]]によるDNA二本鎖の開裂
 
2. [[w:一本鎖DNA結合タンパク質|一本鎖DNA結合タンパク質]]による一本鎖DNAの安定化
 
※ここまでで複製フォークが形成される
 
3. リーディング鎖では、RNAプライマーゼによるプライマーRNA合成に続いてDNAポリメラーゼⅢが結合、“滑る留め金”タンパク質によって鋳型DNA鎖に保持されつつ連続的にDNA合成
 
4. ラギング鎖では、“返し縫”による断続的なプライマーRNA、DNA断片(岡崎フラグメント)の合成
 
5. リボヌクレアーゼHおよびDNAポリメラーゼⅠによるプライマーRNAのDNAへの置換
 
6. DNAリガーゼによる岡崎フラグメントの連結