「解析学基礎/常微分方程式」の版間の差分

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微分方程式は、大きく分けて常微分方程式と偏微分方程式に分かれる。常微分方程式とは、一変数関数とその導関数との方程式のことである。偏微分方程式とは、多変数関数とその偏導関数との方程式のことである。ここでは、常微分方程式の解き方について記述する。
 
==一階線型微分方程式==
 
常微分方程式はさらに、方程式が含む導関数が最大で何階なのかということによって分類される。
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一階微分方程式が線型であるとは、
:<math>y' + f(x)y = g(x) </math>
と書けることである。このように書けないものは一階"非"線微分方程式という。
 
=== 斉次一階線微分方程式 ===
 
=== 一階線形微分方程式 ===
 
斉次一階線型微分方程式とは、一階線型微分方程式であって、特にg(x)=0であるもののことを言う。
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次に
 
:<math>f'(x)+f(x)g(x)=h(x)</math>    (1.1)
 
き方を考えてみよう。しかし今、我々に出来できる事は二つしかない。それは、斉次微分方程式を解くことと、各種式変形を行うことである。これを最大限駆使して解くしかない。具体的には、方法しては、(1.1)を斉次微分方程式
 
:<math>y'=\nu(x)</math>     ★
 
の形に式変形して、これを解くことである。どうする?と思われる読者は、この方法を見て驚愕するであろうが、(1.3)にある関数i(x)をかけることである。すると、
 
天下り式であるが、(1.3)にある関数i(x)をかけて
<math>f'(x)i(x)+f(x)g(x)i(x)=h(x)i(x)</math>    (1.2)
 
:<math>f'(x)i(x)+f(x)g(x)i(x)=h(x)i(x)</math>    (1.2)
となるであろう。その関数i(x)とは、
 
とする。ここでi(x)が
{<math>f(x)i(x)</math>}<math>'=f'(x)i(x)+f(x)g(x)i(x)</math>    (1.3)
 
{:<math>\{f(x)i(x)</math>\}<math>'=f'(x)i(x)+f(x)g(x)i(x)</math>    (1.3)
をみたすi(x)でそれは実際に求める事が可能である。y=f(x)i(x),ν(x)=h(x)i(x)とすれば★の形に出来ることにちゅういせよ。(1.3)左辺を次のように変形する。
 
をみたすような関数であるとすると、<math>y=f(x)i(x),\nu(x)=h(x)i(x)</math>とすれば★の形に変形できる。
{<math>f(x)i(x)</math>}<math>'=f'(x)i(x)+f(x)i'(x)=f'(x)i(x)+f(x)g(x)i(x)</math>
 
ではそのようなi(x)は存在するのだろうか。具体的に求めてみる。
⇔<math>i'(x)=g(x)i(x)</math>
 
<math>\{f(x)i(x)\}'=f'(x)i(x)+f(x)i'(x)</math>であるから、これを(1.3)に代入すると
積分定数を1としてもなんら問題は無いので、
 
:<math>f'(x)i(x)+f(x)i'(x)=e^{\int f'(x)i(x)+f(x)g(x) dx}i(x)</math>     (1.4)
:<math>i'(x)=g(x)i(x)</math>
 
を得る。この微分方程式を解けばよい。定数倍は関係ないので、
さて、(1.2)と(1.3)より、
 
{:<math>f(x)i(x)</math>}<math>'=h(x)ie^{\int g(x) dx}</math>     (1.54)
 
とすればよい。
を式変形し、
 
さて、(1.2)と(1.3)より、
<math>f(x)i(x)=\int h(x)i(x)dx+C</math>
 
:<math>\{f(x)={1 \over {i(x)\}}(\int '=h(x)i(x)dx+C)</math>     (1.5)
 
を得る。これを変形すると
あとはこれに(1.4)を代入すればいいだけのことである。
 
:<math>f(x)i(x)=\int h(x)i(x)dx+C</math>
:<math>f(x)={1 \over {i(x)}}(\int h(x)i(x)dx+C)</math>
 
あとはこれに(1.4)を代入すればいいだけのことであ解f(x)が得られる。
初期値問題<math>f'(x)+f(x)g(x)=h(x)</math>, <math>f(x_0)=y_0</math>の解法は、
 
初期値問題<math>f'(x)+f(x)g(x)=h(x)</math>, <math>f(x_0)=y_0</math>を解くには、(1.5)の両辺を積分する際に定積分とすれば
 
:<math>\int_{x_0}^x </math>\{<math>f(x)i(x)</math>\}<math>' dx=\int_{x_0}^x h(x)i(x) dx</math>
:<math>[f(x)i(x)]_{x_0}^x=f(x)i(x)-i({x_0})y_0</math>として、f(x)について解けばよい。
 
を得る。あとはこれをf(x)について解けばよい。
左辺をさらに、
 
以上、非斉次微分方程式の解法を述べた。手順をまとめると、
<math>[f(x)i(x)]_{x_0}^x=f(x)i(x)-i({x_0})y_0</math>として、f(x)について解けばよい。
 
 
いずれにしろ、非線形微分方程式の解法の手順としては、
 
i(x)=e<sup>∫g(x)dx</sup>('''積分因子''')を求める→h(x)にそれを掛け積分する→それをh(x)で割ってy=とする。
 
となる。
 
 
'''例'''
 
:f'(x)-2xf(x)=x
 
を解いてみよう。g(x)=-2xより、積分因子i(x)は、
 
:i(x)=e<sup>∫-2xdx</sup>=e<sup>-x<sup>2</sup></sup>
 
これを与式の両辺に掛けて
 
:<math>e^{-x^2}f'(x)-2xe^{-x^2}f(x)=xe^{-x^2}</math>
e<sup>-x<sup>2</sup>f(x)-
:<math>\{e^{-x^2}f(x)\}'=xe^{-x^2}</math>
:<math>e^{-x^2}f(x)=-\frac{e^{-x^2}}{2}</math>
:<math>f(x)=\frac{1}{2}</math>