「解析学基礎/常微分方程式」の版間の差分

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==原子核の崩壊速度==
線型微分方程式のひとつの応用例として、原子核の崩壊に関するものを見てみよう。
 
物理学者ラザフォードは、放射性元素の原子核は不安定で、一定の割合で崩壊する事を示した。放射能は、同じ原子核同じ数ならその出す量は一定なので量に応じて放射能の量つまり崩壊する原子核の数は比例する。なので、原子核の数をyという関数で表すことにすれば
線型微分方程式の応用は殆ど無いが、唯一核物理に於いては、重要な位置を占めている。この章ではその数少ない応用例を見ていこう。
 
:y'=-λy                   (5.1)
物理学者ラザフォードは、放射性元素の原子核は不安定で、一定の割合で崩壊する事を示した。放射能は、同じ原子核同じ数ならその出す量は一定なので量に応じて放射能の量つまり崩壊する原子核の数は比例する。なので、原子核の数をyとすれば、
 
y'=-λy                   (5.1)
 
ここで、λは崩壊定数と呼ばれ、原子核数に対する崩壊速度の比例関係における比例定数であり正数である。
 
という関係式が成り立つ。ここで比例定数λは崩壊定数と呼ばれる正数である。
この関係式は、まさに一階線形常微分方程式となっているので、これまでに述べた方法で解くことができる。
y(x<sub>0</sub>)=y<sub>0</sub>とすれば、(5.1)は
 
:<math>y=y_0e^{-\lambda(x-x_0)}</math>                   (5.2)
 
と解ける。yをN,y<sub>0</sub>をN<sub>0</sub>,xをt,x<sub>0</sub>をt<sub>0</sub>に書き換えれば、[[高等学校理科 物理II 原子と原子核]]の1.2.3でのべた式を導ける。
 
(5.2)を変形すると、
 
<math>\lambda={{-\ln {y\over y_0}}\over{x-x_0}}</math>
 
さてここで崩壊定数λまる。物質の崩壊速度の尺度として半減期と言うのがある。これは、原子核の数が初期値に対して半分になる時間である。例えばウラン238なら、半減期は45億年なので、y/y<sub>0</sub>=1/2として、
 
と解ける。y適当に文字N,y<sub>0</sub>をN<sub>0</sub>,xをt,x<sub>0</sub>をt<sub>0</sub>に書き換えればると、[[高等学校理科 物理II 原子と原子核]]の1.2.3でべた式かれたことになる。
<math>\lambda={{\ln 2}\over {45\times 10^8}}</math>である。