「線型代数学/行列概論」の版間の差分

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[[ベクトル]]の概念は既知の物とした。また、この項は[[ベクトル]]の項の続きと言う位置づけだが、これを読まなくても理解できるようにはなっている。
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==行列の演算==
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| style="text-align:center; font-size:90%;" |[[線型代数学]]
ベクトルの項でのべた、行列の概念を一般的なものに置き換えよう。即ちベクトルの項では、2×2、または3×3の行列のみを扱ったが、n×mの数の表も行列と言う事にしよう、と言うものである。議論の為に、しばらく定義が続くが、ベクトルの項を理解した読者なら、直ぐに理解できるだろう。
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定義(1.1):行列
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: mn個の複素数をm×nの表に並べた構造
== 定義 ==
 
<math>m,n \in \N</math> とする。mn個の'''K'''の元 <math>a_{i,j}\in\bold K(i=1,2,\cdots,m,~j=1,2,\cdots,n)</math>を、丸括弧で囲んだ中に次のように縦にm個、横にn個、表のように並べて書いたものを、m行n列の'''行列'''(matrix)と言う。(m&times;n)-行列とも言う。
:<math>A=\begin{pmatrix}
a_{1,1} & a_{1,2} & a_{1,3} & \dots & a_{1,m}\\
a_{21,1} & a_{21,2} & a_{21,3} & \dots & a_{21,mn}\\
a_{32,1} & a_{32,2} & a_{32,3} & \dots & a_{32,mn}\\
\dotsa_{3,1} & \dotsa_{3,2} & \dotsa_{3,3} & \dots & \dotsa_{3,n}\\
a_{n,1}\vdots & a_{n,2}\vdots & a_{n,3}\vdots & \dots ddots& a_{n,m}\vdots\\
a_{1m,1} & a_{1m,2} & a_{1m,3} & \dots & a_{1m,mn}\\
\end{pmatrix}</math>
行列を表す時に、( )ではなく [ ] で囲むこともしばしばある。本書ではすべて( )で統一することにする。
 
:を(n,m)型''行列''(matrix)と言う。行列を構成する数のこと<math>a_{i,j}\in \bold K</math>行列の'''成分'''(element)と言う。行(row)とは、横に並んだ一列、列を'''行'''(columnrow)縦に並んだ一列のこと'''列'''(column)と言う。上からi番目の行、列を第i行といい左からj番目の列を第j列と言う。行列Aの第i行、j列に位置する成分を、この行列Aの(i,j)-成分と言う。しばしば行列AをA=(a<sub>i,j</sub>)と書くことがあるがこれは、Aの略記で(i,j)-成分がa<sub>i,j</sub>であるような行列を示す。成分が全て実数の行列を実行列と言い、成分が全て複素数の行列を複素行列とい。また、m=nの場合、(n&times;n)-行列を特に'''n次正方行列'''あるいは'''n次行列'''と呼ぶ
 
:(m,n∈'''N''',i=1,2,...,n,j=1,2,...,m)
 
成分が全て'''K'''の元であるような(m&times;n)-行列全体の集合を ''M'' (m,n;'''K''')で表す。特に成分が全て'''K'''の元であるn次行列全体の集合を ''M'' (n;'''K''')で表す。
:Oは成分が全て0の行列である。
 
また、成分が全て0の行列を'''零行列'''といい、Oと書く。特に(m&times;n)-行列であることを明示する場合には、O{{sub|m,n}}と書き、n次行列であることを明示する場合にはO{{sub|n}}と書く。
定義(1.2):行列の相等関係
 
== 相等関係 ==
:2つの(m&times;n)-行列A,Bに関しA=Bが等しいとは、A,B2つ型が同じで、そ行列の対応する成分が全て等しいことを言う。すなわち、
:<math>A,B \in M(m,n;\bold K), A=(a_{i,j}), B=(b_{i,j}) (i=1,\cdots,m,~j=1,\cdots,n)</math>のとき、
:<math>A = B \iff \forall i,j,~a_{i,j} = b_{i,j}</math>
 
==行列の 演算 ==
定義(1.3):ベクトル同士の和ベクトルの定数倍