「物理数学I 解析学」の版間の差分

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有理関数の積分が初等関数でできることを追加。
558 行
====有理関数の積分====
有理関数の積分
 
 
有理関数は必ず初等関数を用いて積分できる。
 
(
*TODO
初等関数の定義
)
 
*説明
 
有理関数の積分は
:<math>
\int dx \frac {P(x)}{Q(x)}
</math>
の形に書くことが出来る。
(P,Qはxの整式。)
ここで、次のような手順を実行する。
 
**上の式の次数が下の式の次数より高かったら、上の式を下の式で割る。
このことによって、被積分関数の分母の次数は、上の式の分子の次数より低くなる。
割ることであまった部分は必ず、分数でない形になるので(普通の数やx,
<math>x^2</math>などになる。)積分できる。
 
**次に、分母を因数分解する。代数式は必ず複素数の範囲で因数分解できることが
知られているので、(代数学の基本定理,証明はほとんどの物理屋にとって事実上
難しい。数学屋コミュニティの努力に期待。)
分母は必ず(x-a)の積の形に(aは何らかの複素数。)書ける。
ここで、元々の被積分関数が実数だったとすると、
(この場合はそのようにしている。複素数だった場合は物理数学IIの範囲となる。
)
因数分解された式は、必ず、<math>(x-a)(x-a^*</math>)の形になっているはずである。
(*は複素共役の意味。)これらの2因数を掛け合わせることにすると、結局これらの
式の分母は、1次式か2次式の積で書ける。
 
 
**次に、得られた分母を使って部分分数分解を行なう。
(これは、数学IIの範囲だったか...)
例えば、
:<math>
\frac 1 {(x^2-1) }
</math>
については、
:<math>
\begin{matrix}
=&\frac 1 {(x-1)(x+1) } \\
=&\frac {-1} 2 (\frac 1 {x-1 }- \frac 1 {x+1})
\end{matrix}
</math>
が得られる。
 
**これまでの手順を経た結果、得られた式の形は、
:<math>
\int \frac 1 {x-a}
</math>
か、
:<math>
\int \frac {x-b} {cx^2 + dx +e}
</math>
が得られることが分かる。これらは共に初等関数の範囲で
積分可能である。
実際、上の式は
:<math>
\int \frac 1 {x-a}
</math>
:<math>
= \ln |x-a|
</math>
を満たすことが分かる。
下の式については、
まず、分母を平方完成すると、
分母は、
:<math>
c(x-\alpha) ^2 + \beta
</math>
の形になるが、ここで
:<math>
y=x-\alpha
</math>
の置き換えをすると、
元々の積分は、
:<math>
\int \frac {y+f} {y^2 +g}
</math>
となる。
ここで、このうちの第1項は、
:<math>
\begin{matrix}
\int \frac y {y^2+g} dy\\
=& \int \frac 1 2 \frac 1 {y^2+g} dy^2\\
=& \frac 1 2 \ln (y^2 +g ) \\
\end{matrix}
</math>
が得られ、積分できることが分かる。
次に、第2項については
:<math>
z = \sqrt {g} y
</math>
の置き換えをすると、
定数因子を除いて、
(
*TODO
定数因子の計算
)
:<math>
\int \frac {1} {z^2 +1}
</math>
となるが、この積分の結果はこのページの上の方で見た通り、
:<math>
= \tan^{-1} z
</math>
となる。
 
よって、全ての有理関数は、初等関数の範囲で積分できることが分かった。
 
*TODO
計算例とmaximaを使った計算例
 
====無理数を含んだ積分====