「デコヒーレンスの本」の版間の差分

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デコヒーレンスに関する事を、特に深く考えずに書いていきます。量子デコヒーレンス(the Quantum Decoherence)はシュレーディンガーの猫をはじめとする、量子力学の奇妙な問題に対する解答としての有力な候補であり、また量子コンピューターの実現に向けて乗り越えなくてはならない事と言われています。ネット上でも少しずつ、一般向けの解説がされたページが見受けられるようになりました。この本には、デコヒーレンスに関係した物事を集約できれば良いなと思っています。
[[画像:XN Autumn leaves 351.jpg|right|250px|thumb|'''AutunmAutumn leaves''']]
 
とりあえず本のタイトルは「デコヒーレンスの本」。「デコヒーレンスの教科書」というレベルまで行けるか判らないので。
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 摩擦みたいな不可逆な力、ではない力を「保存力」と言います。つまり、摩擦とかは「非保存力」です。保存力は、位置エネルギー(ポテンシャル)で記述されます。摩擦はミクロに見ると分子間の衝突などの保存力で表されるはず、という考え方があります。最小作用原理から導出される、オイラー・ラグランジュ方程式やハミルトンの正準方程式、ニュートン方程式は、保存力のみ含む場合、リュ-ビルの定理を満たします。リュ-ビルの定理とは、位相空間(縦軸が運動量p、横軸が位置q)における確率の保存を意味してます。原理的には全ての非保存力も微細に見れば保存力で記述されるべきならば、古典力学の基礎方程式は確率の保存を要請していると期待されます。
 
一方、量子力学も確率の保存を満たしています。その意味では、古典力学も量子力学もあまり変わらないといえます。量子力学の世界は普通、私達が暮らす古典力学の世界との違いが強調されますが、よく見ると色々な共通点も存在していることをに注意して下さい。(つづく)
 
 
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と、見慣れた形の最小作用原理になります。
 
 
'''この項は書きかけです。'''
 
==カオスについての雑記==
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デコヒーレンスとか、不可逆性と言うと、カオスなどが重要なのではないかとは言われそうですが、個人的にはあまり本質では無いと思います、なぜかと言うと、カオス性が強ければ比例して量子性の減衰が大きくなる、というほど単純ではない様ですし、そもそもカオス性が無くともデコヒーレンスは起こっていると思われるからです。
 
カオスは安定多様体と不安定多様体の横断的交差で起こります。だそうです…。昔、集中講義で習いました。興味のある方は、奈良女の戸田先生の文献を頑張って探して下さい。
 
まあ、もったいぶった言い方するのもあれなので、はっきり書いてしまうと、個人的にはこのような横断的交差がデコヒーレンスあるいは不可逆性の出現における本質であると考えています。本当は自分がやりたかったんですけど、能力的にも経済的にも精神的にも限界なので、これからの若い人達におまかせする事にしましょうか。そんなことしても、社会は君達になにも与えてはくれないよ、とは言っておきますが(笑)。(註:ここでの「社会」というのは、国家体制の事では無く、人間の共同体としての社会を指します。)
 
==「対称性」とデコヒーレンス==
 
量子力学において「観測行為」は物体の波動関数を収縮させました。単純に考えると、観測行為はデコヒーレンスを引き起こすと思います。多分。「観測行為」は「観測データの固定」というような不可逆変化を伴わなくてはならず、そこにはごく僅かであっても(デコヒーレンスの原因となる)エネルギー的な揺動・散逸、言い換えると「環境効果」が存在するはずです。「観測装置」という「外部環境」とつながっているのですから、そう考えるのが自然。
 
デコヒーレンスは、一種の「対称性の破れ」と考える事も出来るでしょう。嘘が入ってしまいますが、シュレーディンガーの猫の例で考えてみましょう。箱の中の猫の状態は観測されるまで、「生」と「死」の重ね合わせを取っています(嘘ですが)。猫の可能な量子状態はそれら2つです。ところが一旦、観測されてしまえば、猫は「生」か「死」かのどちらか1つの状態しか取っていません。観測された時刻を基準として、過去には可能な状態が2本、未来には可能な状態が1本であり、過去と未来の対称性が破れています。時間に対する対称性が破れている訳です。
 
「環境効果」は対称性を崩す。
 
Caldeira-Leggettは、熱浴環境におけるデコヒーレンスを示した訳ですが、これは環境効果が対称性を崩した事を示したとも言えます。この環境効果による対称性の破れ、というのは日常生活でも経験していると思います。「こぼしたミルクは元には戻らない」とか言っても、その原因は地球があるからだろ、と。もし無重力空間ならば、コップからこぼしたミルクをまた元に戻すのは容易。
 
環境効果による対称性の破れは、色々と考えられると思います。それでも、対称性が破れている場合、それの原因が全て環境効果かどうかはわかりません。
 
小林さんと益川さんがノーベル賞を受賞されたので、「この私達の世界はなぜ物質でできているか」が話題になってたりしますね。あのあたりの話は不勉強で判らないのですが、CP対称性というのが重要だそうです。KEKの加速器実験でも示されたそうです。その対称性が崩れているのは、素粒子そのものの性質なのか、何か隠された自由度との結合があるのかは僕にはわかりません。勉強したい。
 
それでも、そのCP対称性の破れがそのまま、「この世界が物質で出来ている理由」なのかどうかは疑問です。
本当にビッグバンがあって、そこではエネルギー的に高温・高密度であったなら、加速器実験で可能な「希薄な状況」とは異なるはずです。環境効果(溶媒効果)としての粒子間相互作用が強ければ、素人考えでは、素粒子理論の人達が大切にしている「ユニタリ性」は成り立つのは難しいと思えます。熱的効果がCP対称性を破った可能性があると個人的には考えてます。まあ、研究しないけど(笑)
 
 
==参考文献==