「集合論」の版間の差分

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=== 部分集合 ===
集合Sのすべての元が集合Tに属しているとき、SはTの'''部分集合'''であるといい、<math>S \subset T</math>と表す。空集合は任意の集合の部分集合である。また、S自身もSの部分集合である。また、空S自身以外の部分集合は任意をS'''真部分集合'''といい、TがS部分集合であることを<math>T \subsetneq S</math>とあらわす
 
また、元が集合に属しているという関係と、元がひとつだけの集合が別の集合の部分集合であるという関係とは似て非なるものである。すなわち、<math>1 \in \{1,2,3\}</math>と<math>\{1\} \subset \{1,2,3\}</math>の違いにはよく注意すべきである。
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これまで「有限」という言葉をナイーブに未定義のままで使ってきたが、ここできちんと定義しておく。
 
'''定義''' <math>[n]=\{1,2,...,n\}</math>とする。特に<math>[0]=\phi</math>とする。集合Aが有限集合であるとは、ある自然数nが存在に対してAから<math>\{ 1,2,...,[n \}]</math>への単射存在す対等であることである。
 
これまでナイーブに想像していた概念と一致することを確認してほしい。形式的な話だが、特に空集合が有限集合であることも明言しておく。有限集合でない集合のことを無限集合という。
 
有限集合であるための同値な条件はこのほかにもあるが、ここではひとつ挙げておく。
無限集合の中でも、特に<math>\mathbb{N}</math>と対等な集合は特別視して、可算集合という(可算無限集合ということもあるが、重言である)。先ほどの議論から、<math>\mathbb{Q}</math>は可算集合である。有限集合と可算集合を合わせて高々可算集合といい、高々可算でない集合のことを非可算集合という。
 
'''命題<sup>*</sup><ref name="AC">この節の中で「<sup>*</sup>」を付した命題は、選択公理のもとで成り立つ命題である。このページでは[[公理的集合論]]には深く立ち入らないが、気になる読者のために軽く述べておくと、現代的な集合論は集合を「ものの集まり」といった漠然とした形で定義せず、いくつかの公理を満たすものとして定義している。これを公理的集合論という。この公理は当然直感的に「成り立ちそう」な公理を集めているのだが、その中にある選択公理という公理は「怪しい」公理であるとされており、認める立場と認めない立場がある。そのため、選択公理を含まない公理系でも成り立つ命題なのか、選択公理を含む公理系でしか成り立たない命題なのかは、このように区別することがしばしばある。</ref>''' 集合Aが有限集合であることは、Aと対等なAの真部分集合が存在しないことと同値。
 
たとえば、偶数の集合は整数の集合の真部分集合だが、これらは対等である。有限集合ではこのようなことは起きない。
 
無限集合の中でも、特に<math>\mathbb{N}</math>と対等な集合は特別視して、可算集合という(可算無限集合ということもあるが、重言である)。先ほどの議論から、<math>\mathbb{Q}</math>は可算集合である。有限集合と可算集合を合わせて高々可算集合といい、高々可算でない集合のことを非可算集合という。
 
なぜ無限集合の中で可算集合を特別視するかというと、可算集合は「最も小さい」無限集合だからである。すなわち、
 
'''命題<sup>*</sup><ref name="AC" />''' Aを任意の無限集合とすると、全射<math>A \to \mathbb{N}</math>が存在するは、可算な部分集合を持つ
 
つまり、非可算集合とは、自然数の集合よりも大きい集合のことである。
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この有名な議論を、Cantorの対角線論法という。
 
 
<references/>