「高等学校数学III/極限」の版間の差分

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前者の答えを選んだ学問は超準解析と呼ばれるが、これは易しい学問ではなく、高校で教えるのには向かない。
 
==== 無限大と無限小の実在について ====
=== 「∞」 ===
少し話をかえて、「無限大」「無限小」というモノ自体の実在について考えてみる。
 
上の説明では「無限大」というモノが、実数でないので何だかわからないのだが、とにかくある、という前提で話を進めてきた。ここに疑問を感じた生徒もいるかもしれない。そのような生徒に向けて、さらに補足説明する。
 
上でも述べたが、「超準解析」という学問においては、無限大・無限小は実体のあるものであり、数学的に厳密に取り扱われる。しかし、それ無限大・無限小を数学的に厳密に取り扱う事非常に難しく、歴史的にも20世紀後半にようやく確立されたほどであった。つまり普通、数学と言う学問は無限大・無限小といったものを表に出して扱わないのである。この教科書の本文をもう一度見直してほしい。このコラムにおいて用いている「無限大に近づける(近づく)」といった表現はなく「限りなく大きくする」とう表現を用いているはずである。荒っぽく言えば、「∞」は単体では意味を持たない記号であり、「<math>\lim_{x \to \infty}</math>」のような特定の文脈を与えられて初めて意味を持つ「状態を表す記号なのである。なんらかの数を表すものではない、という事に注意して欲しい。この「<math>\lim_{x \to \infty}</math>」においてはひと固まりで初めて意味を持つ記号であり、「xを」「∞に」「近づける」と分解するようなことはナンセンスだ、とい換てもよい
 
では、このコラムにおける説明はなんだったのか。実はこれは説明の方便であると言える。はじめに述べたように、厳密な記述は難しいのであえて厳密でない書き方をしている。近代的で且つ非超準解析的な立場の極限の取り扱い方は、実質的にはこのコラムの内容と同じことを、∞を表に出さず巧妙に表現したものである。その「巧妙さ」の部分が現代の大学1年生をしばしば苦しめているが、そのおかげで数学的にまとまった形式を実現できているのである。
 
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