「倒産処理法」の版間の差分

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===倒産処理法概観・倒産処理法の体系===
====倒産処理の意義と概観====
倒産・経営破綻にいたると、倒産者の債権者は自己の債権を回収にかかる。一般的に、契約などで、その債務は「[[w:期限の利益|期限の利益]]」を失っているため、倒産者は、これに抗すべき法的根拠を持っていない。しかし、こうした債権回収(これを「個別執行」という)を無制限に認めると、以下の事態が予想され、法秩序の観点から望ましくない状況が現出するおそれが生ずる。
#経営破綻状況は一時的なもので、業務を継続することにより収益状況が回復し、将来的には債権が回収できる又は大幅に高い割合での回収が望める可能性があるにもかかわらず、個別執行により経営資源等を毀損し、その可能性を失う。
#債権回収は早い者勝ちとなるため、債権者において法を逸脱する行為(例 恐喝まがいの行為、混乱に乗じての過剰な債権回収)が行われる。
#倒産者の資産等について換価を急ぐ余り、本来の価値より低廉に処分され他の債権者及び倒産者にとって不利益を生ずる。
#「労働債権」など社会的に保護されるべき債権が確保されない。
 
このような事態を避けるべく、個別執行を停止して、倒産者にかかる全ての債権を「'''整理'''(しばしば、倒産処理の別称となる)」し、全ての債権者の満足度をあげる手続きが倒産処理である。執行の局面から、個別執行に対して、これは「包括的執行」と捉えられる。
====私的手続====
 
倒産処理のタイプは、大きく、「私的手続か法的手続か」「再建型手続か清算型手続か」の二つの観点から分類される。
#私的手続か法的手続か―倒産処理を進めるための法的根拠
#:倒産処理を進めるにあたって、その包括的執行手続きを定めた(狭義の)倒産処理法([[民事再生法]]、[[会社更生法]]、[[破産法]] など)によるか(「法的手続」)、それらによらない(「私的手続」、これをしばしば「'''私整理'''」という)かの分類である。「(狭義の)倒産処理法」としたのは、「私的手続」とはいっても、個々の局面においては民法や会社法の法律によっており、また、多くは慣習的な手続が確立しているので、「私的手続」も広義には倒産処理法に含まれうるためである。
#:歴史的には、私的手続きがあり、それでは不十分な点を法的に可能にしたり、公平の観点から手続きを厳格にしたものが倒産処理法で、私的手続に比べ、債権者の公平が図られ、また、個別執行を法的に停止できるなど強力であることは確かである。しかしながら、実際の倒産処理は、私的整理がその多くを占める。これは、①法的手続は、裁判所が介入するため、公平の観点などから、手続の柔軟性や迅速性を欠く。これは事業を継続し債権を回収するという観点からはかえって、再建に支障を生ずる、②結果的に清算する場合にあっては、清算手続きに要する費用を抑制したい、などの理由による。
#再建型手続か清算型手続か―倒産処理の着地点
#:包括的執行の結果、事業を継続して債権者に将来的に回収を望めるようにするのか(再建型手続)、倒産者の有する資産を換価して債権者にその時点で公平に(「平等に」ではない)分配するのか(清算型手続)という分類がなされる。
 
その結果、倒産処理は大きく「私的再建型手続」「私的清算型手続」「法的再建型手続」「法的清算型手続」に分類しうるが、私的手続の場合、「再建型」「清算型」を厳格に分類する意味が乏しい(手続の経過に応じて柔軟に移行しうるし、スポンサー企業により合併や子会社化といった処理は「再建型」とも「清算型」ともいえる)ので、「私的手続」としてまとめ、法的手続を「再建型」と「清算型」に分類して論ずるのが一般的である。
 
====私的手続====
 
====法的手続====
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=====会社更生法=====
[[会社更生法]]
=====その他の再建型手続=====
====清算型手続====
=====破産=====
[[破産法]]
=====その他の清算型手続=====
 
===日本における倒産処理法の沿革===
===国際倒産処理===