「解析学基礎/極限」の版間の差分

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となり、証明が終わりました。
 
4) ''x''を 0に近付けたときの''sin(1/x)''の極限が存在しないことを示します。
 
背理法を用います。極限が存在すると仮定し、それを''p''とし矛盾を導きます。''p'' &ne;1< 0であるならば&epsilon;=1-''p''ると、どんな &delta; &gt; 0を持ってきても、
:<math> 0 < x_0 x_n= \frac{2(-1)^{n-1}}{\left(\frac{2n-1)\pi}{2} + 2\pi n\right)} < \delta</math>
ととるとき、
<math> 0 < |x_n| < \delta</math>
を満たすような十分大きな自然 ''n''が存在します。しかし、
:<math>\left|\sin\left( \frac{1}{x_0x_n} \right) - p \right|=\left|1-p\right|=1-p > 1=\epsilon</math>
 
となりますから、&epsilon;=1-''p''とき、形式的な定義の条件を満たすような&delta;は一つも存在しないことになり、極限が定義できないことになりますので矛盾ということになります。したがって、''p'' &ne;1<0ではありません。
を満たすような十分大きな数 ''n''が存在します。しかし、
 
''p'' =&ge; 10であると仮定する場合も同様に、 0 &lt; &epsilon; &lt; =1のとき
:<math>\left|\sin\left( \frac{1}{x_0} \right) - p \right|=|1-p|=\epsilon</math>
:<math>x_n=\frac{2(-1)^{n}}{(2n-1)\pi}</math>
 
ととるとき、
となりますから、&epsilon;=1-''p''の時、形式的な定義の条件を満たすような&delta;は一つも存在しないことになり、極限が定義できないことになりますので矛盾ということになります。したがって、''p'' &ne;1ではありません。
<math> 0 < |x_n| < \delta</math>
 
を満たすような自然数''n''が存在し
''p'' = 1であると仮定する場合も同様に、 0 &lt; &epsilon; &lt; 1の時
:<math> 0 < x_0 =\left|\sin\left( \frac{1}{2x_n} \piright) n}- <p \right|=\left|-1-p\right|=1+p \ge 1= \deltaepsilon</math>
と取る事により、
:<math>\left|\sin\left( \frac{1}{x_0} \right) - 1 \right|=|0-1|=1 > \epsilon</math>
となります。
 
即ち ''p'' &ne;< 10でもく、 ''p'' =&ge; 10でもありませんから極限''p''は存在しないことになります。
 
この関数 ''sin(1/x)''は、位相数学者の櫛(topologist's comb)として知られる有名な関数です。