「政治学概論」の版間の差分

リージョナリゼーションについて加筆
(グローバリゼーションについて加筆)
(リージョナリゼーションについて加筆)
 
==== リージョナリゼーション ====
[[ファイル:monnet1Jean Monnet bust in the Peace Palace.jpgpng|thumb|right|150px|ジャン・モネ(1888年-1979年)はフランスの実業家であり行政官。大学には入学せずロンドンのシティへ移り、第一次世界大戦から第二次世界大戦後にかけて国際機関の要職を経験し、戦後には欧州石炭鉄鋼共同体の実現に政治手腕を発揮し、同機関の初代委員長に就任した。著作には『回顧録』、『相互依存の初代政治家』がある。]]
既に説明したグローバリゼーションの見解に対して異なる見解としてリージョナリゼーション(Regionalization)として提起されている。国際政治学においてリージョナリゼーションの立場を選択する人々は、従来の特定の地域を領有する国民国家が安全保障や経済的安定性を達成することが困難になるにつれて、地域的に接近している特定の近隣諸国と連繋するようになると考える。グローバリゼーションとリージョナリゼーションの関係を明確に述べることは難しいが、一般にリージョナリゼーションはグローバリゼーションへと向かう途中経過と位置づけることが可能であり、国民国家の安全保障や経済の機能は次第に国家の範囲を超えた地域協力や地域連合を通じて総合されていく。一方でグローバリゼーションとは全く異なる動向であると位置づける見方もあり、リージョナリゼーションはグローバリゼーションの傾向に対する反発、抵抗として考えることもできる。その最も典型的な事例としては19世紀から20世紀にかけて見られ、第一次世界大戦の一因ともなった経済的ナショナリズムの発生とそれに基づいた各国の保護主義(protectionism)の政策を挙げることができる。リージョナリズムの立場に立つ研究としてはハンチントンの文明の衝突の研究がある。彼は資本主義と共産主義というイデオロギー的な対立を背景とした冷戦の終結によって、21世紀の世界秩序では新たに文明のあいだの対立を背景とした国際関係が形成されることを論じている。ハンチントンの理論によれば、現代の世界には西欧文明、中華文明、日本文明、ヒンドゥー文明、イスラム文明、ラテンアメリカ文明、東方正教会文明、そしてアフリカ文明という文化的基盤を確立している主要な文明が存在しており、文明圏は中核国が中心となりながら複数の国家から構成されている。しかし、同時に文明の間には互いに異質な文化を排除しようとすることから断絶と政治的緊張が生じる。このような世界政治の構図は広く批判されたものの、2001年9月11日にイスラム原理主義勢力により実行されたアメリカ同時多発テロを説明する学説として評価もされた。一方で、リージョナリズムは文化的な視点だけでなく地域的な経済統合の過程としての側面も持っている。第二次世界大戦が終結してからヨーロッパでは各国の経済復興と国際協力の促進のために伝統的な国家の枠組みを越えた地域的な統合運動が成長を見せた。その運動は1952年にジャン・モネが初代委員長となる欧州石炭鉄鋼共同体(European Coal and Steel Community, ECSC)の創設として結実した。この共同体はフランスとドイツにおける石炭と鉄鋼の生産を共通に管理する着想から生まれた国際機関であり、後の欧州連合(European Union, EU)の発展の基礎となった。このようなリージョナリズムの過程は人間の経済的な必要や社会的な交流に往事ながら統治機構は漸進的に形成されていくという機能主義(functionalism)の理論によって説明することが可能であり、他の事例としては北米自由貿易協定(NAFTA)、東南アジア諸国連合(ASEAN)などを列挙することができる。
 
== 国内政治 ==
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