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連邦制について加筆
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===地方自治===
現代においては国民国家が統一された政治的単位として扱われているにもかかわらず、国内政治における諸々の行為主体とそれらが織りなす権力関係は検討されなければならない。地方自治は国内政治を規定する基本的な中央政府と地方政府の関係を反映する政治学的な研究領域であり、これは連邦制と集権制の二つに大別して描き出すことができる。それぞれの政治制度は中央政府に対する地方政府の自律性の度合いによって区別することが可能である。集権制は政治統合、地域的均一性、社会的平等性、経済発展により特徴付けられ、連邦制は政治参加、責任の分割、地域的な正統性、そして自由により特徴付けられる。連邦制と集権制の均衡はその国家の地理的、歴史的背景、さらに政治的、経済的、社会的要因によって左右される。
====連邦制度====
[[ファイル:Portrait of Pierre Joseph Proudhon 1865.jpg|thumb|right|150px|ピエール・ジョゼフ・プルードン(1809年-1865年)はフランスの社会思想家。酒造職人の家庭に生まれ、生活苦から学業もままならず、印刷所に勤務しつつ著述活動を行い、二月革命では議員となっているが後に投獄された。国家に対して批判的な古典的な無政府主義の思想家として知られ、後世の社会主義にも影響を与えた。著作には『経済的矛盾の体系』、『連合主義原理』など。]]
 
====集権連邦====
[[ファイル:Portrait of Pierre Joseph Proudhon 1865.jpg|thumb|right|150px|ピエール・ジョゼフ・プルードン(1809年-1865年)はフランスの社会思想家。酒造職人の家庭に生まれ、生活苦から学業もままて働きず、印刷所に勤務しつつ著述活動を行い、二月革命では議員となに加わている政争敗れて投獄され国家に対して批判的な古典的な無政府主義の思想家として知られ、後世の社会主義にも影響を与えた。著作には『経済的矛盾の体系』、『連合主義原理』など。]]
連邦制は(federal systems)とは国家の統治機構を地域によって区分する政治制度であり、これを採用している国家としてはアメリカ、ブラジル、パキスタン、オーストラリアなどを列挙することができる。少なくとも理論的には、連邦制は中央政府と地方政府が相互に権力を監視し、均衡させている。連邦制は政治的統一性と地域的多様性の妥協の上に成り立っており、また強力になりがちな中央政府の政治権力の効果を多数の地方政府によって抑制する必要に基づいている。連邦制の理論が成立した契機一つとして1787年のアメリカにおけるフィラデルフィア憲法制定会議があった。この会議の成果はアメリカ合衆国憲法としてまとめられ、アメリカは中央政府である連邦政府と地方政府である州政府の設置が定めて連邦制を導入した。憲法制定に携わったハミルトン、マディソン、ジェイの三人の中心的人物は強力な連邦政府を整備すると同時に、これを政治的に監視と抑制を働かせることができるよう現在では50の州政府に政治的な自由を保障している。この連邦制の原理は個人に認められていた政治的自由を地方自治においても拡大するものであった。無政府主義の哲学者であったプルードンは連邦制の原理として無政府主義の理論を応用している。彼は連邦制を基礎的な自治体の関係を集約したものと定義し、可能な限り国家権力を最小限にとどめる最小国家の必要を主張した。この考え方は厳密には連邦(federal)というよりも、より個々の地方政府の自律性を強めた連合(confederation)と見なすこともできる。連邦制の特徴の一つとして中央政府と地方政府が持つ権力の及ぶ範囲が区別されていることがある。具体的には行政機関や立法機関がある程度の自主的な権限を行使することが可能であり、例えばドイツやオーストリアでは連邦政府の行政機関は政策決定を行い、地方政府は詳細な政策実施が行われている。また異なる特徴としては中央政府と地方政府の協力のために、地方政府は中央政府の政策決定の過程に介入しなければならないことがある。このような干渉の可能性はしばしば議会を通じながら確保されており、オーストラリアの事例を挙げると6つの州政府ごとに連邦政府の議会で議席が分配されているのはその一例である。
 
====連邦集権====
[[ファイル:Alexander Hamilton portrait by John Trumbull 1806.jpg|thumb|right|150px|アレクサンダー・ハミルトン(1755年-1804年)アメリカの政治家である。アメリカ独立戦争に従軍した後に法学を学び、外交や国政に携わっている。民主主義への警戒から中央政府の役割を重視する立場をとっており、アメリカにおける伝統的な保守主義者として位置づけられている。『ザ・フェデラリスト』の主要執筆者であり、他には『製造業に関する報告書』など。]]