「政治学概論」の版間の差分

市場社会主義、第三の道加筆
(市場社会主義の加筆)
(市場社会主義、第三の道加筆)
==== 市場社会主義 ====
[[ファイル:Gorbatschow DR-Forum 129 b2.jpg|thumb|right|150px|ミハイル・ゴルバチョフ(1931年生まれ)はソヴィエトの政治指導者。モスクワ大学卒業後にソ連共産党に入党し、書記長としてペレストロイカを推進したソ連時代最後の政治指導者であった。従来の計画経済の路線を修正して市場の規制緩和を進め、ソ連の社会主義経済の改革に努めた。著作には『ペレストロイカ』、『ゴルバチョフ回顧録』などがある。]]
市場社会主義(market socialism)とは国家社会主義と比べれば社会主義に市場の競争原理を導入した経済体制として特徴付けられる。このような経済体制の歴史的事例としては1940年代におけるスターリンからチトー政権の間のユーゴスラヴィアや1956年以後のハンガリーなどが挙げられる。同じような考え方はソビエトでもゴルバチョフによって1985年から1990年にかけて実施され、その計画は経済再建を意味するペレストロイカと呼ばれた。ペレストロイカでゴルバチョフ個人営業や協同組合を容認することを通じて、中央計画組織のが存続に基づく経済体制を修正することを提唱ていたものの企業による経済的己経営の範囲拡張された。経済学者のオスカル・ランゲはオペレーションズ・リサーチに基づきながら新古典派の経済理論の研究と市場社会主義の理論を結びつけている。ランゲの学説によれば、市場による価格調整と同じように国家運営によって経済体制を効率化することが可能であり、そのためには市場競争に対して自己管理を調整させ部分的に社会主義に導入することが必要であると論じる。つまりこのような市場社会主義が資本主義体制と決定的に異なる点特定の市場での取引が規制されていることである。例えばソビエトおいては市場原理が部分的に導入されてからも、労働者の雇用を保障するために労働市場が存在しないことである。労働力はもともと自由な取引ではなく計画の範囲に含まれているために、特定の企業にあらかじめされている。そのために、正規の労働市場が存在せず、企業は事業規模を拡大するために労働力を補填することができない。市場社会主義では各企業がある程度の自主的な経営を可能とすることで、市場で自己利益を追求するための競争を部分的に導入している
 
==== 第三の道 ====
[[ファイル:SchumacherSiB200.jpg|thumb|right|150px|エルンスト・フリードリヒ・シューマッハ(1911年-1977年)はドイツ出身の経済学者。ボン大学、オックスフォード大学などで経済学を修め、イギリスを拠点に経済学者としての研究と著述活動を行った。経済学の研究を通じて仏教的な経済哲学を詠唱し、道徳の重要性を強調したことで知られる。著作には『スモールイズビューティフル』、『混迷の時代を超えて』など。]]
資本主義と社会主義という二つの相反する機能をそれぞれ重視する経済体制についてはさまざまな見解が示されてきた。その議論では二つのどちらにも属さない立場として第三の道(third way)を選択する立場も出現した。歴史的には第三の道を主張し始めた初期の論者には協調主義(corporatism)を重視するムッソリーニがおり、経営と労働を一個の有機体として構成していると考える。しかし1945年以後にスウェーデンで発展したケインズ的な社会民主主義が全く異なる形の第三の道を示し、福祉システムと高い課税によって社会的平等を確保する経済体制が提唱された。しかし、この第三の道も1980年代から1990年代にかけてのグローバル経済の発展によって、スウェーデンも激しい国際競争に対抗するために福祉政策を後退せざるをえなくなった。第三の道として示された立場のもう一つに環境主義的な立場がある。この立場からは資本主義も社会主義も広い意味においては産業主義(industrialism)という理論的基礎を共有しており、どちらも人間の物質的な利益を充足させることを主要な目標として経済体制を構想していることを指摘する。環境主義の議論では単純に経済成長を追求するだけでなく、自然環境をも考慮に入れた経済体制が求められていると主張し、持続可能性に基づいた経済成長を追及しようとする。このような立場から経済体制の理論を展開した論者にシューマッハがいる。シューマッハは人間の存続と自然環境との関係をどのように結びつけるかが重要な経済問題であると認識し、道徳性の経済的重要性を指摘することによって、仏教哲学と呼ばれる経済哲学を確立しようとした。
 
== 市民社会論 ==
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