「簿記/複式簿記の組織/複式簿記の基礎」の版間の差分

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=== 貸借の意義 ===
勘定口座の左方と右方とを表すために、簿記では借方・貸方なる語を用いる。この用語は簿記が発達せる当初、人名勘定即ち事業が他人との間に貸借関係を生じたとき、これら債権債務を記帳するため相手の人名を科目とした勘定に、この両語を用いたことに由来する。この際貸借は事業を主としないで、相手方即ち口座を主とするもので、借方は口座主が借主または債務者たることを意味し、彼が事業に債務を負った時に記入せられる側であり、貸方は口座主が貸主または債権者であるとの意味で、彼が事業に対して債権を得たときに記入せられる側である。このように人名勘定では、この両語は文字通りに解釈せられる。しかるに複式簿記が進展し、しかもこれら両語をそのまま受け継いでからは、その適用範囲は拡大されて、人名勘定以外の各種財産および資本構成部分の諸勘定に対しても用いられるようになったのであるが、ここに至ると、人名勘定では文字通りの意味を有したこれら両語も、他の勘定については本来の辞義通り解釈することがもはや不可能となり、単に口座の左右両側を示す符牒にすぎないものと解せられるに至った。されば、単なる符牒という点よりするならば、それは貸借の代わりに+-・増減・出入等とするも差し支えないわけである。
 
=== 勘定記入法則 ===
=== 取引の二重性 ===