==文節、および、文節相互の関係==
上の文の確定方法に従うと
文は文節が集まって出来上がっている。たとえば
:;お金持ちで、ひとに親切な男が近づいてきたよ。
は次日本語の文だと判定することができます。このような文は「/文節」と呼ばれる要素が集まって作られています。文節は、次の||で区切るところ(学校では「ね」が入る、と教える)で文節に分けられるます。
:;お金持ちで/||ひとに/||親切な/||男が/||近づいて/||きたよ
このような文節の境界部分は、他に「ほら」や「あのー」などの要素(独立部の一種)を差し挟むことができる位置で、ある意味のまとまりと別のまとまりの切れ目になっています。
:;(ほら/あのー)お金持ちで(ほら/あのー)ひとに(ほら/あのー)親切な(ほら/あのー)男が(ほら/あのー)近づいて(ほら/あのー)きたよ
このようにわけられる文節は、独立部を除いて、他の文節と一定の関係を結んでいるます。これらの関係は、修飾の関係、並立の関係、補助の関係に分けられるます(修飾部を非修飾部分に要求される「補充成分」とそうでない「修飾成分」に分ける考え方もある)。
;修飾の関係
;;親切な男
;;近づいて来た
;;---------< <-----
これらのうち、修飾の関係と補充の関係は、かかる文節とうける文節との関係で、修飾の関係ではかかる文節が前に来て、補充の関係ではかかる文節が後にくる来ます。
このような関係によって文節はより大きな連文節を構成し、連文節は単独の文節と同じように他の文節と一定の関係を結ぶ。
;;お金持ちでひとに親切な男が近づいてきたよ...(1)
;;-----------・-------------------
;;--------------------------------> >--- ---------< <--------
;;--------------------------------------> >--------------------
この文の一部である「お金持ちで」を「お金持ちな」に置き換えると係り受けの関係は次のように変わる。
;;お金持ちなひとに親切な男が近づいてきたよ...(2)
;;-------------->>--------
;;------------------------>>-----
;;--------------------------------> >--- ---------< <--------
;;--------------------------------------> >--------------------
なお、上記二つの文は、時枝誠記の提案した「入れ子構造」では次のように表現しわけられる。
;;[[[[お金持ち]で> [[ひと]に> 親切]な> 男]が> 近づい]て> きた]よ>…(1)
;;[[[[[[お金持ち]な>ひと]に>親切]な>男]が>近づい]て>きた]よ>…(2)
学校文法のかかりうけの構造でも、入れ子構造でも、次のような(1)と(2)の解釈に関して多義的な次のような文を表現し分ける。そのような表現は構造と呼ばれる。
;;お金持ちのひとに親切な男が近づいてきたよ
つまり多義的な文とは、表面的には同じかたちをしているものの、複数の構造を持つ文のことである。
参考文献:時枝誠記『日本文法口語篇』
==文の成分==
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