「日本語/構文」の版間の差分

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「文とは何か、構文論の述べ方の姿勢」の追加
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==文節、および、文節相互の関係==
上の文の確定方法に従うと
文は文節が集まって出来上がっている。たとえば
:;お金持ちでひとに親切な男が近づいてきたよ
日本語文だと判定することができます。このような文は/文節と呼ばれる要素が集まって作られています。文節は、次の||で区切るところ(学校では「ね」が入る、と教える)で文節に分けられます
:;お金持ちで/||ひとに/||親切な/||男が/||近づいて/||きたよ
このような文節の境界部分は、他に「ほら」や「あのー」などの要素(独立部の一種)を差し挟むことができる位置である意味のまとまりと別のまとまりの切れ目になっています
:;(ほら/あのー)お金持ちで(ほら/あのー)ひとに(ほら/あのー)親切な(ほら/あのー)男が(ほら/あのー)近づいて(ほら/あのー)きたよ
このようにわけられる文節は、独立部を除いて、他の文節と一定の関係を結んでいます。これらの関係は、修飾の関係、並立の関係、補助の関係に分けられます(修飾部を非修飾部分に要求される「補充成分」とそうでない「修飾成分」に分ける考え方もある)。
;修飾の関係
;;親切な男
27 行
;;近づいて来た
;;---------< <-----
これらのうち、修飾の関係と補充の関係は、かかる文節とうける文節との関係で、修飾の関係ではかかる文節が前に来て、補充の関係ではかかる文節が後にくる来ます
このような関係によって文節はより大きな連文節を構成し、連文節は単独の文節と同じように他の文節と一定の関係を結ぶ。
;;お金持ちでひとに親切な男が近づいてきたよ...(1)
;;-----------・-------------------
;;--------------------------------> >---  ---------< <--------
;;--------------------------------------> >--------------------
この文の一部である「お金持ちで」を「お金持ちな」に置き換えると係り受けの関係は次のように変わる。
;;お金持ちなひとに親切な男が近づいてきたよ...(2)
;;-------------->>--------
;;------------------------>>-----
;;--------------------------------> >---  ---------< <--------
;;--------------------------------------> >--------------------
なお、上記二つの文は、時枝誠記の提案した「入れ子構造」では次のように表現しわけられる。
;;[[[[お金持ち]で> [[ひと]に> 親切]な> 男]が> 近づい]て> きた]よ>…(1)
;;[[[[[[お金持ち]な>ひと]に>親切]な>男]が>近づい]て>きた]よ>…(2)
 学校文法のかかりうけの構造でも、入れ子構造でも、次のような(1)と(2)の解釈に関して多義的な次のような文を表現し分ける。そのような表現は構造と呼ばれる。
;;お金持ちのひとに親切な男が近づいてきたよ
 つまり多義的な文とは、表面的には同じかたちをしているものの、複数の構造を持つ文のことである。
参考文献:時枝誠記『日本文法口語篇』
 
==文の成分==