「ニホンイシガメの飼育法」の版間の差分

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==冬眠と繁殖==
ニホンイシガメは、日本の固有種です。そのため野外下において冬眠を行います。<br />
野生下では池沼の底や河川のよどみや横穴で越冬していることが観察されています。また、河川の横穴で集団越冬を行っている場合もあり、そのような環境で交尾をおこなっているとも考えられています。<br />
一方で、ニホンイシガメは特にオスで通常の爬虫類では考えられない低温下でも活動してることが知られています。これは、大きさの違うメスの不活発な時期に交尾を行うために動いていると考えられています。そのため、ニホンイシガメにおいて、冬眠とは他の爬虫類の生理とは異なることに留意しましょう。<br />
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飼育下で冬眠を行う意義して以下の2つの要因が考えられます。<br />
1. 野外の生態を再現し、繁殖を促すため<br />
2. 冬季の飼育管理等のコストを最小化するため<br />
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どちらかまたは両方の目的であれ、飼育下で冬眠を行う場合、準備を晩夏の肥育より行うと考えておきましょう。<br />
冬眠の流れは以下のようになります。<br />
1. 晩夏: 肥育期; 食べるだけ給餌を行います。特に成熟したメスは冬眠明け後、一定期間を経て産卵期に入ります。体内で卵が発達してくると、内臓が圧迫されるため絶食気味になります。未成熟のメスは成長期にあたるため、やはり肥満を気にせず食べるだけ与えます。成熟したオスはもともとメスに比べ食べません。しかし、やはり食欲の一番ある時期なので、食べるだけ与えます。気温が高いため、直射日光浴は行いません。よく太ったメスは鼠蹊部より皮膚がはみ出てきます。<br />
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2. 晩秋: 食欲が落ち始めます。食欲に応じて給餌量を落として行きますが、基本的に食べるだけ与えていきます。気温の低下に応じて直射日光浴をする時間が増えていきますが、個体自身が選べるよう、逃げ場をきちんと作っておいてください。体重は1.のピーク期にくらべ10-15%ほど落ちます。交尾を確認することがあります。<br />
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3. 初冬~初春: 無給餌・無日光浴で、水槽内で沈んでいます。できるだけ水温変化が少ないことが重要ですから、日陰やできるだけ水量を多くすることが重要です。汚泥やわずかながら排泄物が観察されます。神経質にならない程度に換水をすることが薦められます。代謝がきわめて下がるため、体重は2.に比べてほぼ変化がありません。場合によってはわずかに増加することもあります。<br />
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4. 初春: ソメイヨシノが咲くころに、動き始めます。食欲はそれほど多くありませんが、食べるようなら少しずつ与えていきます。八重桜が咲くころには食欲も戻っているでしょう。このころには通常の飼育に移行できます。直射日光浴を行うことができますが、急激な温度上昇が起こるころでもあり、逃げ場をきちんと作っておいてください。5月に入ると、成熟したメスの場合、卵の発達により、食欲の減退が見られます。
 
==水草との相性==