「高校化学 天然高分子化合物」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
タンパク質の記述。アミノ酸の一覧表の引用元はウィキペデイアw:アミノ酸2013年8月4日 (日) 08:27‎ 版より。
画像を貼付。
3 行
グルコースのような炭水化物を構成する最小の糖類を'''単糖類'''(たんとうるい)という。
単糖類にはグルコース、フルクトース、ガラクトースがある。
グルコース、フルクトース、ガラクトースの分子式はC6H12O6C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>である。
 
加水分解されると、2個の単糖類を生じるものを'''ニ糖類'''(にとうるい)という。デンプンやセルロースのように加水分解されて多数の単糖類を生じるものを'''多糖類'''(たとうるい)という。
10 行
 
=== グルコース ===
 
* グルコース(ブドウ糖)C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>
 
20 ⟶ 21行目:
グルコースのようなアルデヒド基をもつ糖を'''アルドース'''という。
 
[[File:Alpha-D-Glucopyranose.svg|thumb|150px|left|αグルコース]]
[[File:Beta-D-Glucopyranose.svg|thumb|150px|center|βグルコース]]
 
{{clear}}
=== フルクトース ===
フルクトース(果糖)C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>
32 ⟶ 36行目:
 
なお、フルクトースを含む作物は、果実などに含まれることが多い。
 
[[ファイル:Beta-D-Fructopyranose.svg|thumb|150px|left|六員環のβフルクトース]]
[[ファイル:Beta-D-Fructofuranose.svg|thumb|150px|center|五員環のβフルクトース]]
{{clear}}
 
=== アルコール発酵 ===
40 ⟶ 48行目:
 
=== ニ糖類 ===
[[ファイル:Sucrose-inkscape.svg|thumb|200px|二糖類]]
二糖類の互いの構成成分の単糖類が、単独では持っていたヒドロキシル基は、二糖類中では縮合していてエーテル結合 -O- になっている。この二糖類を構成する単糖類の縮合したエーテル結合を'''グリコシド結合'''という。
二糖類の種類には、スクロース、マルトース、セルビオース、ラクトースがある。
56 ⟶ 65行目:
 
==== スクロース ====
[[ファイル:Sucrose-inkscape.svg|thumb|250px|スクロース]]
* 構造
αグルコースとβフルクトースが縮合した構造。
71 ⟶ 81行目:
 
==== マルトース ====
[[File:Maltose Gleichgewicht.svg|thumb|400px|マルトース(左)と、水溶液中でのアルデヒド基の出現(右)]]
(麦芽糖)
* 構造
84 ⟶ 95行目:
 
==== ラクトース ====
[[File:Lactose(lac).png|thumb|300px|ラクトース]]
(乳糖)
* 構造
124 ⟶ 136行目:
 
===== アミロースとアミロペクチン =====
[[File:Amylose2.svg|thumb|right|270px|アミロースの分子構造]]
[[File:Amylopektin Sessel.svg|thumb|right|アミロペクチンの分子構造]]
 
デンプンの種類のうち、αグルコースが直鎖状に結合したものを'''アミロース'''と言う。αグルコースが、ところどころ枝分かれした構造のデンプンを'''アミロペクチン'''という。枝分かれの割合はαグルコース数十個につき、一個の枝分かれの程度である。
 
142 ⟶ 157行目:
 
==== グリコーゲン ====
[[File:Glycogen structure.svg|thumb|260px|グリコーゲンの断面図]]
 
グルコースが縮合重合したもののうち、アミロペクチンよりも枝分かれが多いものが'''グリコーゲン'''である。分岐の頻度は、おおむね8~12基に一回の程度の分岐である。枝分かれが多いため放射したような網目構造をとり、らせん構造をとらない。このため、極性をもった部分が外側に出やすく、水溶性が高い。
ヨウ素デンプン反応では、赤褐色を示す。
 
 
* グリコーゲンを含む生体には、動物の体内で栄養素として多いことから、'''動物デンプン'''ともよばれる。
* グリコーゲンは肝臓や筋肉に多く含まれる。
 
 
 
==== セルロース ====
[[Image:Cellulose-2D-skeletal.svg|thumb|240px|セルロースの構造式]]
[[File:Alg-frut-6.jpg|left|thumb|200px|綿花から取れる綿は天然のセルロースである。]]
 
'''セルロース'''の構造は、多数のβグルコースが、グリコシド結合によって、縮合した構造である。
 
170 ⟶ 188行目:
工業上は硝酸とのセルロースのエステルである「ニトロセルロース」(後述する。)が、特に重要である。
 
{{clear}}
 
==== セルロースの誘導体 ====
===== ニトロセルロース =====
セルロース[C6[C<sub>6</sub>H7H<sub>7</sub>O2O<sub>2</sub>(OH)<sub>3</sub>]n]<sub>n</sub>に、濃硝酸および濃硫酸の混合溶液を作用させると、セルロースのOH基の一部または全部がエステル化される。セルロース中のグルコース1単位あたり、3個のOH基の一部または3個全部が硝酸エステル化されたものをニトロセルロースという。特にセルロース中のグルコース1単位のうち、3個のOH基すべてが硝酸エステル化されたもの [C6H7O2[C<sub>6</sub>H<sub>7</sub>O<sub>2</sub>(ONO2ONO<sub>2</sub>)3]n<sub>3</sub>]<sub>n</sub> を'''トリニトロセルロース'''という。
 
 
[C<sub>6</sub>H<sub>7</sub>O<sub>2</sub>(OH)<sub>3</sub>]n]<sub>n</sub> + 3n HONO<sub>2</sub> → [C<sub>6</sub>H<sub>7</sub>O<sub>2</sub>(ONO<sub>2</sub>)<sub>3</sub>]n]<sub>n</sub> + 3n H<sub>2</sub>O
 
 
194 ⟶ 212行目:
 
[C<sub>6</sub>H<sub>7</sub>O<sub>2</sub>(OH)<sub>3</sub>]<sub>n</sub> + 3n (CH<sub>2</sub>CO)<sub>2</sub> O → [C<sub>6</sub>H<sub>7</sub>O<sub>2</sub>(OCOCH<sub>3</sub>)<sub>3</sub>]<sub>n</sub> + 3n CH<sub>3</sub>COOH
 
 
 
 
201 ⟶ 217行目:
== タンパク質 ==
=== アミノ酸 ===
[[File:Glycine2.png|thumb|200px|グリシン]]
[[画像:Glycine-skeletal.png|thumb|グリシンの構造式。最も構造が単純なアミノ酸]]
[[Image:Amino Acid Zwitterion Structural Formulae V.1.svg|thumb||280px|アミノ酸の2つの異性体。右側が双性イオン。]]
アミノ基( -NH2NH<sub>2</sub> )とカルボキシル基( -COOH )を1つの分子中にもつ化合物を'''アミノ酸'''という。この2種の官能基が同一の炭素C原子に結合しているアミノ酸を'''αアミノ酸'''という。
 
アミノ酸の一般式は
 
R-CH2CH<sub>2</sub>(NH2NH<sub>2</sub>)-COOH
 
で表される。(Rは炭化水素基あるいは水素など。)
なお、R-の部分をアミノ酸の'''側鎖'''(そくさ)という。
 
アミノ酸のアミノ基( -NH3NH<sub>3</sub> )は塩基性を示し、カルボキシル基( -COOH )は酸性を示すので、アミノ酸は両性化合物である。結晶中のアミノ酸分子中では、分子内で( -COOH )が水素Hを( -NH2NH<sub>2</sub> )に渡して、アミノ酸内にイオンの( -COO<sup>-</sup> )と( -NH3NH<sub>3</sub><sup>+</sup> )を生じる。その結果、アミノ酸の構造は、
 
R-CH2CH<sub>2</sub>(NH3NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COO<sup>-</sup>
 
の構造になる。このように分子内に酸性と塩基性の両方のイオンを生じるので、'''双性イオン'''(そうついイオン)とよばれる。
223 ⟶ 240行目:
 
 
R-CH2CH<sub>2</sub>(NH3NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COOH 陽イオン←→ <math>\rightleftarrows </math> R-CH2CH<sub>2</sub>(NH3NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COO<sup>-</sup> 双対イオン ←→<math>\rightleftarrows </math> R-CH2CH<sub>2</sub>(NH2NH<sub>2</sub>)-COO<sup>-</sup> 陰イオン
 
 
231 ⟶ 248行目:
アミノ酸分子中の正負の電荷が等しくなっているときのpHを'''等電点'''(とうでんてん)という。側鎖がイオン化する場合は、その電荷も含む。
 
等電点は、たとえばグリシンでは pH=6.0 であり、グルタミン酸ではpH=3.2というように、アミノ酸の種類ごとに等電点は異なる。
 
水溶液が中性付近では、ふつうは双対イオン状態のアミノ酸が最も多く、陰イオン状態のアミノ酸や陽イオン状態のアミノ酸は少ししか存在しない。
375 ⟶ 392行目:
四次構造の生体組織の例として、'''ヘモグロビン'''がある。
 
{{clear}}
 
==== タンパク質の特徴 ====
* タンパク質の変性
388 ⟶ 405行目:
==== 検出反応 ====
* ビウレット反応
[[File:Biuret Test 2.jpg|thumb|100px|ビウレット反応]]
タンパク質水溶液に水酸化ナトリウム溶液NaOHを加え、硫酸銅水溶液CuSO4CuSO<sub>4</sub>を加えると、赤紫になる。これはCuとペプチド結合とが錯イオンを形成することに基づく。この反応を'''ビウレット反応'''という。
このビウレット反応ははトリペプチドやポリペプチドなどのようにペプチド結合を二個以上もつ場合に起こる。ペプチド結合が1個だけであるアミノ酸では、ビウレット反応は起こらない。