「高校化学 合成高分子化合物」の版間の差分

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== 高分子とは ==
分子量が10000程度以上の化合物や分子を'''高分子化合物'''あるいは'''高分子'''という。
常温では固体で、成形が容易な合成高分子を'''合成樹脂'''(synthetic resin)あるいは'''プラスチック'''(plastic)という。
高分子化合物を作る際、たとえばポリエチレンはエチレンを合成させて作られるが、
このエチレンのように合成の単位になった分子1個のことを単量体(monomer)といい、いっぽうポリエチレンなどのように単量体のエチレンが連結したものを多量体(polymer)という。
単量体を「モノマー」と英語読みで呼ぶ場合も多い。多量体も「ポリマー」と英語読みで読む場合も多い。
 
単量体どうしが、結合することを'''重合'''(polymerization)という。
重合の際、たとえば二重結合のあるエチレンから、二重結合が単結合となることで重合するポリエチレンのように、二重結合が単結合となることで重合する結合を'''付加重合'''(付加重合)という。
 
重合の際に、化合物によっては、たとえば単量体に結合していた水素などが欠落し、副生成物として水分子が出来る場合がある。副生成物を生じて重合することを'''縮合'''という。特に、重合で水分子が、単量体由来の分子を原料として、水が副生成物として生じる場合の重合反応を'''脱水縮合'''という。
 
なお、単量体が2個、結合して重合したものを2量体(dimer)といい、単量体が3個結合したものは3量体という。
2量体の数値の「2」や、3量体の「3」など、分子中の単量体の個数を'''重合度'''という。
いっぱんに多量体といった場合、特に重合度に決まりはないが、重合度が数百程度以上の物を指すことが多い。
 
 
== 熱可塑性樹脂 ==
高温に熱すると柔らかくなり、冷やすと固くなる樹脂を'''熱可塑性樹脂'''(thermoplastic)という。付加重合によって合成される樹脂のほとんどが熱可塑性樹脂である。
構造は直鎖状の構造を持つものが多い。
 
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[[ファイル:Polyethylene-repeat-2D-flat.png|thumb|150px|ポリエチレンは最も簡単な構造をした高分子である。]]
[[ファイル:LDPE03.png|thumb|製造法によっては、ポリエチレンは分岐構造をもつ。]]
:略称はPS 。
 
エチレンを付加重合すると'''ポリエチレン'''(polyetylene)ができる。
ポリエチレンは'''熱可塑性樹脂'''である。
 
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=== ポリプロピレン ===
[[ファイル:Propylene.PNG|thumb|200px|プロピレン]]
:(polypropilene)略称はPP 。
 
製法には、高圧法と低圧法がある。
熱可塑性樹脂である。ポリエチレンより硬い。耐薬品性は高い。
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=== ポリスチレン ===
[[ファイル:Polystyrene linear.svg|thumb|ポリスチレンの化学構造]]
:(polystylene)略称はPS 。
スチレンの付加重合。
 
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塩化ビニルの付加重合により得られる。
[[Image:PVC-polymerisation-2D.png|left|250px|ポリ塩化ビニル合成の化学反応式]]
:(polyvinyl chloride)略称はPVC 。
 
他の樹脂と比べて、非常に硬い。この硬さの理由は、塩素の極性の強さによるものである。燃やすと有害な塩化水素ガスが発生するので注意が必要である。耐薬品性が高い。
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=== ポリ酢酸ビニル ===
酢酸ビニルの付加重合。略称はPVAc 。(polyvinyl acetate)
[[ファイル:PVA.svg|thumb|150px|ポリ酢酸ビニル]]
 
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=== フッ素樹脂 ===
[[Image:Teflon structure.PNG|thumb|200px|ポリテトラフルオロエチレン]]
テトラフルオロエチレンCF2=CF2 の付加重合。
フッ素樹脂をポリテトラフロロエチレン(polytetrafluoetylene)ともいう。略称はPTFE
 
耐薬品性が極めて高い。耐熱性が高く、融点は327℃である。
摩擦係数が低い。
 
=== ポリメタクリル酸メチル ===
メタクリル酸メチルの付加重合。ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)ともいう。略称は PMMA である
透明度が高い。光学レンズに用いられる。
溶媒に溶ける。耐薬品性は良くない。
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== 熱硬化性樹脂 ==
加熱しても軟化せず、加熱によって固くなり、また、冷やしても軟化しない樹脂を'''熱硬化性樹脂'''(thermosetting plastic)という。
構造は立体網目状の構造を持つものが多い。
 
=== フェノール樹脂 ===
[[ファイル:Bakelit_Struktur.png|thumb|300px|フェノール樹脂 3次元網目構造]]
:略称はPFR。(phenol formaldehyde resin)
==== ノボラック ====
フェノールにホルムアルデヒドを反応させる。触媒に酸を用いると、'''ノボラック'''という鎖式構造の重合分子が得られる。ノボラックは軟らかい固体物質である。このノボラックから重合によってフェノール樹脂ができる。
重合の際、ノボラックに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>N<sub>4</sub>を加える。
 
[[ファイル:novolak.png|thumb|left|300px|ノボラックの構造モデル]]
 
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重合の際、ノボラックに硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>N<sub>4</sub>を加える。
 
==== レゾール ====
触媒を変えて、塩基を触媒としてフェノールにホルムアルデヒドを反応させると'''レゾール'''という、鎖式構造の重合分子が得られる。レゾールは液体であり、また、ノボラックとは別の分子構造である。
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=== 尿素樹脂 ===
[[画像:UreaFormaldehydeResin01.png|thumb|尿素樹脂]]
:ユリア樹脂ともいう。略称はUFRである。(urea formaldehyde resin)
 
尿素とホルムアルデヒドを縮合重合。
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酸およびアルカリに弱い。
ユリア樹脂ともいう。
用途は装飾品や電気器具、食器などに用いられる。
 
=== メラミン樹脂 ===
[[Image:Melamine formaldehyde polymer.png|thumb|メラミン樹脂の理想化された構造]]
:略称はMFR 。(melamimine formaldehyde resin)
 
メラミンとホルムアルデヒドを縮合重合。
硬い。無色透明。
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[[File:PDMS.svg|thumb|left|シリコーン樹脂]]
[[Image:Silicone resin.png|thumb|right|シリコーン樹脂の立体構造]]
:シリコーン樹脂(silicone)はケイ素樹脂ともいう。
 
これシリコーン樹脂'''無機高分子'''の樹脂である。ケイ素樹脂ともいう
塩化メチルとケイ素の反応によって、クロロトリメチルシランまたはジクロロトリメチルシラン、またはトリクロロメチルシランなどのメチルクロロシランのアルキルシラン類が作られる。このアルキルシラン類の付加重合によってシリコーン樹脂が作られる。