「中学校理科 第1分野」の版間の差分

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元素名の由来は、ラテン語に由来する物が多いことを説明。
化学分野の初歩的な説明が、後ろのほうの節に後回しになってたので、中学1年などの中学低学年の学習には不適切である。そのため、節を移動し化学の初歩部分を前半に持ってきた。
392 行
:;浮力の大きさ(N) = 空気中で測定した値(N) - 水中で測定した値(N)
 
== 熱と温度 ==
=== 摂氏温度 ===
[[ファイル:Clinical thermometer 38.7.JPG|thumb|300px|セルシウス温度計]]
 
さて、「温かい、暖かい、暑い、熱い」とか「寒い、冷たい、冷える」とかを定量化したものを、温度(おんど)と呼ぶことにしよう。
温度の単位として実用上、多く用いられている℃単位の'''摂氏温度'''(せっしおんど)を用いる。摂氏温度は、'''セルシウス温度'''(degree Celsius)とも言う。
 
この摂氏温度では、温度の値の基準として、大気圧 1atm(=約101.3kPa。Paとは圧力の単位のひとつ。)のもとで、純水と氷の共存する温度を'''0℃'''と定め、また、同じ大気圧1atmのもとで純水が沸騰するときの温度を'''100℃'''と定めらている。
そして、0℃と100℃の間の温度を'''100等分'''している。
 
温度計の種類にアルコール温度計や水銀温度計などあるが、これらは物体の温度が上がることによる膨張を、温度の測定器として利用した器具である。
 
読者は、もしかしたら「温度の単位が摂氏温度なんて、当然じゃないのか?」と思うかもしれないが、日本以外の外国では、国によっては「ファーレンハイト温度」(いわゆる華氏温度)と言って、摂氏温度と異なる温度単位を用いる国もあるのである。
 
=== 熱量 ===
「熱量(ねつりょう)とは何か」を述べる前に、たとえ話をする。
1kgの物体と、べつの1kgの物体を合わせて、重量計に載せれば、測定値は2kgになる。
だが、容器に入った10℃の水に、等量の10℃の水を注いでも、20℃にはならない。
 
いっぽう、温度を上げるには、エネルギーが必要だが、エネルギーは足しあわせができる。
このような理由から、加熱された物体に蓄えられた熱エネルギーと温度とを区別する必要がある。
そこで、熱エネルギーのことを'''熱量'''(ねつりょう)といい、これは温度とは区別する。
 
熱量の単位は'''カロリー'''といい、単位の記号はcalと書く。1cal は、水 1g の温度を 1℃ 上昇させるのに必要な熱エネルギーのことである。ここでいう「水」とは、50℃のお湯だろうが、80℃のお湯だろうが、沸騰していない液体のH<sub>2</sub>Oのことであるとする。
 
ともかく水の熱量の式は、
 
:熱量(カロリー) = 水の質量(グラム単位g) × 温度差(℃単位)
 
である。
栄養学の分野ではカロリーが用いられることが多い。中学でも、熱量の計算にはカロリーを用いても良いだろう。
 
 
=== 熱の伝わり方 ===
熱は、外部から手を加えなければ、自然と温度の高い所から、温度の低いところへと移動していく。
その結果、温度の高かった場所は、熱を手放していき、だんだんと温度は低くなる。逆に、周囲と比べて温度の低かった場所は、しだいに温度が高くなる。そして、いつしか、ふたつの箇所の温度は同じになる。このような熱の移動が無い状態を'''熱平衡'''(ねつへいこう)という。
いっぽう、熱が、温度の低いところから、温度の高い所へと自然に移動することは、無い。
 
さて、静止した物体での熱の伝わり方には、大きく分ければ、'''熱伝導'''と'''対流'''と'''熱放射'''の三つに分けられる。
 
 
==== 対流 ====
[[File:ConvectionCells.svg|thumb|right|300px|上と下とで温度差のある場所での、対流の一例。下から入力された熱は、対流によって上部へと運ばれ、流体表面からの熱放出によって冷やされた後は下部へと潜る。]]
 
熱を持った物体そのものが静止していても、となりにある気体や液体などが運動すれば、その気体などが熱を運ぶ。これを対流という。
気体や液体などでは、温度差があると、温度が高いほど密度が軽く浮力がかかるので、自然に対流が起こりやすい。
 
密度変化による対流の場合は、循環運動をする場合が多い。なぜなら、暖められて密度が軽くることで浮力が発生し、そのため暖められた物体が上方に移動し、かわりに元から上部にあった冷たい物体が押しのけられ、押しのけられた冷たい物体は重力によって降りてくる。
 
{{clear}}
==== 熱伝導 ====
対流が起きなくても、個体などの物質どうしが接触していけば、熱は伝わっていく。これを熱伝導(ねつでんどう)という。
 
==== 熱放射 ====
[[Image:Hot metalwork.jpg|250px|thumb|right|可視光の熱放射が、このような熱された金具で見ることができる。赤外線領域での放射は、人間の目と画像で撮影されたカメラには見えないが、赤外線カメラでは撮影できる。]]
 
実は、どの物体も、人間の目には見えないが、'''電磁波'''という電気と磁気の波を出している。電磁波を出すことを'''放射'''(ほうしゃ)という。その放射する電磁波が、人間の眼に見えないのは、単に放射電磁波の周波数が、人間の目の可視領域で無いからという理由である。
 
この放射する電磁波は、常温では周波数が低く、赤外線の領域である。高音になるほど、物体の放射電磁波の周波数が高くなり、可視領域へと入っていく。溶鉱炉などで、高温で溶けた金属が光るのは、この放射光によるものである。このような高温物体から電磁波がでることを'''熱放射'''(ねつほうしゃ)、あるいは単に'''放射'''という。熱輻射(ねつふくしゃ)と言う場合もある。
この放射電磁波によっても、エネルギーが高温側の物体から低温側の物体に輸送される。低温側からも放射電磁波が出るが、高温側の物体のほうが放射電磁波のエネルギーが大きいので、差し引きして、結局は、高温側から低温側へとエネルギーが移る。
 
{{clear}}
==身の回りの物質==
我々の身の回りには様々な物がある。例えば、教科書やノートなどの本は紙でできており、机や椅子などの家具のうち多くは、木でできている。他にも物を作るための材質としてプラスチックや金属があるが、金属はどれも同じなのではなく、それぞれが異なった性質を持つ。例えば、[[w:鉄]](てつ)や[[w:銅]](どう)、[[w:アルミニウム]]ではそれぞれ色が異なっている。
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====物質の密度と電気的性質====
 
物質の性質として目につきやすいものとして、その物質の色があげられる。残念ながら物質の色について一般的に述べることは難しい。これは、物質に色がついて見えるのは、物質がある色([[w:波長]])の光を選択的に反射していることに対応するのだが、その仕組みが物質のミクロの構造によることが多いからである。例えば、[[w:ダイヤモンド]]と[[w:黒鉛]](こくえん)は同じ[[w:炭素|炭素]][[w:原子|原子]](たんそげんし)からできていることが知られているが、これらの色は全く異なる。
:[[画像:Brillanten.jpg|200px|ダイヤモンド]][[画像:GraphiteUSGOV.jpg|200px|黒鉛]]
 
これは、これら2つの物質では原子の並び方が異なっており、光に対する反応が違うからである。このように物質の色について調べるには光についての知識が必要となるため、ここでは細かく扱うことはしない。(詳しくは[[高等学校物理]]などを参照。)
 
<!--*注意(発展)
上の例では物質からの光は物質からの反射によるものと述べたが、物質自体もそれが持つ熱によってある波長の光を放射していることに注意が必要である。ただし、その波長は通常は[[w:赤外線]]に属するものであり、人間の目で見ることはできない。[[w:赤外線]]、[[w:黒体輻射]]を参照。-->
 
ここからは色以外に上で述べた性質についてまとめる。物質の'''密度'''とは、物質の単位体積あたりの質量を表す値である。例えば、同じ体積の紙と銅とで重さを比べた場合、銅の方が重い。このことは、銅の密度が紙の密度よりも大きいことを示している。
 
* 実験
同じ体積の紙と銅を用意し、その重さの違いを確かめよ。重さの違いを確かめるには[[w:天秤]](てんびん)などを利用することができる。
 
よく知られた物質の密度は、例えばwikipediaの対応する記事に記載されている。例えば、銅の密度については[[w:銅]]を参照。密度はあらゆる物質が持つ物理量であり、その値は物質によって非常に異なっている。水のような液体や、空気のような気体の密度は通常固体の密度よりも小さい。すぐ後で扱うが、多くの物質は温度(と圧力)によってその状態を"気体"、"液体"、"固体"に変化させる。このとき、物質の状態変化に伴って、物質の密度はこの順に大きくなることが普通である。ただし、水はこの変化の例外であり、"固体"(氷)の密度が"液体"(水)の密度よりも小さい。これは"氷が水に浮かぶ"性質につながっている。
 
密度の単位は kg/m<sup>3</sup> (キログラム毎立方メートル) で与えられる。
 
次に電気伝導度について説明する。後に扱うが、物質に流れる電気とは、[[w:電子]](でんし)の流れのことであり、物質に電気が通りやすいかどうかは、物質の性質によって決まる。電気伝導度は、物質が電気を通しやすいかどうかを表す値であり、物質ごとに決まる定数である。この値は、物質が持つ電子の状態によっており、密度と同様微視的に決まる値である。
 
例えば、流れて来た電子が入り込む部分が、既に他の電子によって埋まっている場合には、その物質は電気を通しにくくなる。一方、電子が非常に動きやすい状態になっている物質では、流れてきた電子が他の電子を押し出して電子の流れを伝えるため、電気が流れやすくなる。これらは物質ごとの結合の性質によって変化することが知られているが、ここでは詳しくは扱わない。(詳しくは[[高等学校化学]]などを参照。)
 
さいわいにも電気の通りやすさには物質の種類ごとにある程度の共通性がある。ここではその性質についてまとめる。
 
* 実験
物質に対して電気を流す実験を行う。特に、いくつかの金属について電気が通りやすいことを確認する。水溶液について実験を行うときには十分に安全上の注意を払うこと。
 
実験の結果から金属については電気が通りやすいことがわかる。(これは、金属原子間の結合方法によっているが、これについては[[高等学校化学]]、[[w:金属結合]]などを参照。)。
一般に電気を流すためには[[w:導線]]が用いられるが、導線の材質には通常何らかの金属が用いられる。これは金属の電気伝導度が高いことに加え、丈夫であることや加工が可能であることによるものである。
 
*発展 雷と金属
電気が関わる現象として[[w:雷]]がある。
:[[画像:Thunder.jpg|200px|雷]]
雷は、雲の中の水滴と地面との間に非常に高い電圧が生じた結果、本来なら電気を通しにくい大気中を電気が通過していく現象である。電気は基本的に電気を通しやすい物質に向かっていく傾向があるため、電気伝導度の高い金属製の物体は雷を呼びやすく、注意が必要である。一方、この性質を利用して雷を誘導する器具として[[w:避雷針]]がある。
 
また、物質によっては固体の時に電気を通さなかった物質で、水溶液にすることで電気を通すようになる物質もある([[w:食塩]]など)。これらの物質は大抵[[w:イオン結合]]によって結合する物質である。(詳しくは[[高等学校化学]]を参照。)
 
====物質の融点と沸点====
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最後に、物質が状態変化を起こすとき物質の体積は変化するが物質の質量は変化しないことを説明する。このことは例えば、"氷をコップに入れて重さを測り、氷が融けた状態での重さと比較する"などの実験を行うことで確認できる。
状態変化は分子と分子と間の相互作用を変化させるが、分子自体は変化させない(物質が分子と呼ばれる小さい粒でできていることは後に説明する)。例えば、固体では個々の分子間の距離は近く分子が自由に動くことができない一方、気体では分子が自由に動くことができる。このときにも分子自身の数や重さが変化するわけではないため、状態変化によって物質の質量は変化しない。
 
 
 
====気体の性質====
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[[w:アンモニア]]は窒素と水素からなる分子であり、性質は匂いの強い気体であり、また水に溶けやすい。アンモニアの水溶液はアルカリ性を示す。アンモニアは空気よりも軽く、補集するときには器具を上に置いて捕集する。
 
====プラスチック====
 
====物質の密度と電気的性質====
[[File:Plastic bottle.jpg|thumb|150px|ペットボトル容器(画像の左側)の例。右上の試験官のような形のものを金型で圧延して、ボトルの形にしている。]]
プラスチックは,天然には産出せず、石油などを原料として人工的につくられた物質で'''合成樹脂'''(ごうせいじゅし)ともよばれる。
 
物質の性質として目につきやすいものとして、その物質の色があげられる。残念ながら物質の色について一般的に述べることは難しい。これは、物質に色がついて見えるのは、物質がある色([[w:波長]])の光を選択的に反射していることに対応するのだが、その仕組みが物質のミクロの構造によることが多いからである。例えば、[[w:ダイヤモンド]]と[[w:黒鉛]](こくえん)は同じ[[w:炭素|炭素]][[w:原子|原子]](たんそげんし)からできていることが知られているが、これらの色は全く異なる。
プラスチックは,炭素をふくむ物質であり、有機物のなかまである。そのため共通して加熱するととけてやわらかくなったり、燃え出したりする性質がある。また、熱や電気を通しにくい性質をもっている。しかし、近年は電気を通すものが開発されている。
:[[画像:Brillanten.jpg|200px|ダイヤモンド]][[画像:GraphiteUSGOV.jpg|200px|黒鉛]]
 
これは、これら2つの物質では原子の並び方が異なっており、光に対する反応が違うからである。このように物質の色について調べるには光についての知識が必要となるため、ここでは細かく扱うことはしない。(詳しくは[[高等学校物理]]などを参照。)
プラスチックにはいろいろな種類がある。例えば、ペットボトルに使われている栓はポリエチレン(PE)でできており、本体はポリエチレンテレフタラート(PET)とよばれるプラスチックである。
 
<!--*注意(発展)
* ポリエチレン(PE)
上の例では物質からの光は物質からの反射によるものと述べたが、物質自体もそれが持つ熱によってある波長の光を放射していることに注意が必要である。ただし、その波長は通常は[[w:赤外線]]に属するものであり、人間の目で見ることはできない。[[w:赤外線]]、[[w:黒体輻射]]を参照。-->
水に浮く。加熱するととけながらよく燃え,けむりはほとんど出ない。
 
ここからは色以外に上で述べた性質についてまとめる。物質の'''密度'''とは、物質の単位体積あたりの質量を表す値である。例えば、同じ体積の紙と銅とで重さを比べた場合、銅の方が重い。このことは、銅の密度が紙の密度よりも大きいことを示している。
<gallery>
File:LDPE_bottle.jpg|ポリエチレンの容器
</gallery>
 
* 実験
* ポリエチレンテレフタラート(PET)
同じ体積の紙と銅を用意し、その重さの違いを確かめよ。重さの違いを確かめるには[[w:天秤]](てんびん)などを利用することができる。
水に沈む。加熱するととけながら燃え,黒いけむりを出す。
 
;密度について
よく知られた物質の密度は、例えばwikipediaの対応する記事に記載されている。例えば、銅の密度については[[w:銅]]を参照。密度はあらゆる物質が持つ物理量であり、その値は物質によって非常に異なっている。水のような液体や、空気のような気体の密度は通常固体の密度よりも小さい。すぐ後で扱うが、多くの物質は温度(と圧力)によってその状態を"気体"、"液体"、"固体"に変化させる。このとき、物質の状態変化に伴って、物質の密度はこの順に大きくなることが普通である。ただし、水はこの変化の例外であり、"固体"(氷)の密度が"液体"(水)の密度よりも小さい。これは"氷が水に浮かぶ"性質につながっている。
 
密度の単位は kg/m<sup>3</sup> (キログラム毎立方メートル) で与えられる。
 
;電気的な性質について
次に電気伝導度について説明する。後に扱うが、物質に流れる電気とは、[[w:電子]](でんし)の流れのことであり、物質に電気が通りやすいかどうかは、物質の性質によって決まる。電気伝導度は、物質が電気を通しやすいかどうかを表す値であり、物質ごとに決まる定数である。この値は、物質が持つ電子の状態によっており、密度と同様微視的に決まる値である。
 
例えば、流れて来た電子が入り込む部分が、既に他の電子によって埋まっている場合には、その物質は電気を通しにくくなる。一方、電子が非常に動きやすい状態になっている物質では、流れてきた電子が他の電子を押し出して電子の流れを伝えるため、電気が流れやすくなる。これらは物質ごとの結合の性質によって変化することが知られているが、ここでは詳しくは扱わない。(詳しくは[[高等学校化学]]などを参照。)
 
さいわいにも電気の通りやすさには物質の種類ごとにある程度の共通性がある。ここではその性質についてまとめる。
 
* 実験
物質に対して電気を流す実験を行う。特に、いくつかの金属について電気が通りやすいことを確認する。水溶液について実験を行うときには十分に安全上の注意を払うこと。
 
実験の結果から金属については電気が通りやすいことがわかる。(これは、金属原子間の結合方法によっているが、これについては[[高等学校化学]]、[[w:金属結合]]などを参照。)。
一般に電気を流すためには[[w:導線]]が用いられるが、導線の材質には通常何らかの金属が用いられる。これは金属の電気伝導度が高いことに加え、丈夫であることや加工が可能であることによるものである。
 
*発展 雷と金属
電気が関わる現象として[[w:雷]]がある。
:[[画像:Thunder.jpg|200px|雷]]
雷は、雲の中の水滴と地面との間に非常に高い電圧が生じた結果、本来なら電気を通しにくい大気中を電気が通過していく現象である。電気は基本的に電気を通しやすい物質に向かっていく傾向があるため、電気伝導度の高い金属製の物体は雷を呼びやすく、注意が必要である。一方、この性質を利用して雷を誘導する器具として[[w:避雷針]]がある。
 
また、物質によっては固体の時に電気を通さなかった物質で、水溶液にすることで電気を通すようになる物質もある([[w:食塩]]など)。これらの物質は大抵[[w:イオン結合]]によって結合する物質である。(詳しくは[[高等学校化学]]を参照。)
 
プラスチックは軽くて、割れにくく、加工しやすいので、いろいろな形のものをつくることができ、我々の生活を快適にしている物質といえる。
 
===水溶液===
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である。
 
===プラスチック===
 
[[File:Plastic bottle.jpg|thumb|150px|ペットボトル容器(画像の左側)の例。右上の試験官のような形のものを金型で圧延して、ボトルの形にしている。]]
プラスチックは,天然には産出せず、石油などを原料として人工的につくられた物質で'''合成樹脂'''(ごうせいじゅし)ともよばれる。
 
プラスチックは,炭素をふくむ物質であり、有機物のなかまである。そのため共通して加熱するととけてやわらかくなったり、燃え出したりする性質がある。また、熱や電気を通しにくい性質をもっている。しかし、近年は電気を通すものが開発されている。
 
プラスチックにはいろいろな種類がある。例えば、ペットボトルに使われている栓はポリエチレン(PE)でできており、本体はポリエチレンテレフタラート(PET)とよばれるプラスチックである。
 
* ポリエチレン(PE)
水に浮く。加熱するととけながらよく燃え,けむりはほとんど出ない。
 
<gallery>
File:LDPE_bottle.jpg|ポリエチレンの容器
</gallery>
 
* ポリエチレンテレフタラート(PET)
水に沈む。加熱するととけながら燃え,黒いけむりを出す。
 
プラスチックは軽くて、割れにくく、加工しやすいので、いろいろな形のものをつくることができ、我々の生活を快適にしている物質といえる。
 
 
== 熱と温度 ==
=== 摂氏温度 ===
[[ファイル:Clinical thermometer 38.7.JPG|thumb|300px|セルシウス温度計]]
 
さて、「温かい、暖かい、暑い、熱い」とか「寒い、冷たい、冷える」とかを定量化したものを、温度(おんど)と呼ぶことにしよう。
温度の単位として実用上、多く用いられている℃単位の'''摂氏温度'''(せっしおんど)を用いる。摂氏温度は、'''セルシウス温度'''(degree Celsius)とも言う。
 
この摂氏温度では、温度の値の基準として、大気圧 1atm(=約101.3kPa。Paとは圧力の単位のひとつ。)のもとで、純水と氷の共存する温度を'''0℃'''と定め、また、同じ大気圧1atmのもとで純水が沸騰するときの温度を'''100℃'''と定めらている。
そして、0℃と100℃の間の温度を'''100等分'''している。
 
温度計の種類にアルコール温度計や水銀温度計などあるが、これらは物体の温度が上がることによる膨張を、温度の測定器として利用した器具である。
 
読者は、もしかしたら「温度の単位が摂氏温度なんて、当然じゃないのか?」と思うかもしれないが、日本以外の外国では、国によっては「ファーレンハイト温度」(いわゆる華氏温度)と言って、摂氏温度と異なる温度単位を用いる国もあるのである。
=== 熱量 ===
「熱量(ねつりょう)とは何か」を述べる前に、たとえ話をする。
1kgの物体と、べつの1kgの物体を合わせて、重量計に載せれば、測定値は2kgになる。
だが、容器に入った10℃の水に、等量の10℃の水を注いでも、20℃にはならない。
 
いっぽう、温度を上げるには、エネルギーが必要だが、エネルギーは足しあわせができる。
このような理由から、加熱された物体に蓄えられた熱エネルギーと温度とを区別する必要がある。
そこで、熱エネルギーのことを'''熱量'''(ねつりょう)といい、これは温度とは区別する。
 
熱量の単位は'''カロリー'''といい、単位の記号はcalと書く。1cal は、水 1g の温度を 1℃ 上昇させるのに必要な熱エネルギーのことである。ここでいう「水」とは、50℃のお湯だろうが、80℃のお湯だろうが、沸騰していない液体のH<sub>2</sub>Oのことであるとする。
 
ともかく水の熱量の式は、
 
:熱量(カロリー) = 水の質量(グラム単位g) × 温度差(℃単位)
 
である。
栄養学の分野ではカロリーが用いられることが多い。中学でも、熱量の計算にはカロリーを用いても良いだろう。
 
 
=== 熱の伝わり方 ===
熱は、外部から手を加えなければ、自然と温度の高い所から、温度の低いところへと移動していく。
その結果、温度の高かった場所は、熱を手放していき、だんだんと温度は低くなる。逆に、周囲と比べて温度の低かった場所は、しだいに温度が高くなる。そして、いつしか、ふたつの箇所の温度は同じになる。このような熱の移動が無い状態を'''熱平衡'''(ねつへいこう)という。
いっぽう、熱が、温度の低いところから、温度の高い所へと自然に移動することは、無い。
 
さて、静止した物体での熱の伝わり方には、大きく分ければ、'''熱伝導'''と'''対流'''と'''熱放射'''の三つに分けられる。
 
 
==== 対流 ====
[[File:ConvectionCells.svg|thumb|right|300px|上と下とで温度差のある場所での、対流の一例。下から入力された熱は、対流によって上部へと運ばれ、流体表面からの熱放出によって冷やされた後は下部へと潜る。]]
 
熱を持った物体そのものが静止していても、となりにある気体や液体などが運動すれば、その気体などが熱を運ぶ。これを対流という。
気体や液体などでは、温度差があると、温度が高いほど密度が軽く浮力がかかるので、自然に対流が起こりやすい。
 
密度変化による対流の場合は、循環運動をする場合が多い。なぜなら、暖められて密度が軽くることで浮力が発生し、そのため暖められた物体が上方に移動し、かわりに元から上部にあった冷たい物体が押しのけられ、押しのけられた冷たい物体は重力によって降りてくる。
 
{{clear}}
==== 熱伝導 ====
対流が起きなくても、個体などの物質どうしが接触していけば、熱は伝わっていく。これを熱伝導(ねつでんどう)という。
 
==== 熱放射 ====
[[Image:Hot metalwork.jpg|250px|thumb|right|可視光の熱放射が、このような熱された金具で見ることができる。赤外線領域での放射は、人間の目と画像で撮影されたカメラには見えないが、赤外線カメラでは撮影できる。]]
 
実は、どの物体も、人間の目には見えないが、'''電磁波'''という電気と磁気の波を出している。電磁波を出すことを'''放射'''(ほうしゃ)という。その放射する電磁波が、人間の眼に見えないのは、単に放射電磁波の周波数が、人間の目の可視領域で無いからという理由である。
 
この放射する電磁波は、常温では周波数が低く、赤外線の領域である。高音になるほど、物体の放射電磁波の周波数が高くなり、可視領域へと入っていく。溶鉱炉などで、高温で溶けた金属が光るのは、この放射光によるものである。このような高温物体から電磁波がでることを'''熱放射'''(ねつほうしゃ)、あるいは単に'''放射'''という。熱輻射(ねつふくしゃ)と言う場合もある。
この放射電磁波によっても、エネルギーが高温側の物体から低温側の物体に輸送される。低温側からも放射電磁波が出るが、高温側の物体のほうが放射電磁波のエネルギーが大きいので、差し引きして、結局は、高温側から低温側へとエネルギーが移る。
 
 
{{clear}}
== 酸性とアルカリ性 ==
=== 酸と酸性 ===