「中学校理科 第1分野」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
化学分野の初歩的な説明が、後ろのほうの節に後回しになってたので、中学1年などの中学低学年の学習には不適切である。そのため、節を移動し化学の初歩部分を前半に持ってきた。
→‎身の回りの物質: 色々と加筆。水上置換法やなどの気体補集や、蒸留と分留の違いなど。
441 行
状態変化をしても、物質そのものは変化せず、また質量は変化しない。
 
液体が気体になることを'''気化'''(きか)という。
水を熱して100℃に近づけると、容器の底の方の水が泡立つが、これは水に溶けていた空気が気化したものである。この現象を'''沸騰'''(ふっとう)という。
水が気体になったものを'''水蒸気'''(すいじょうき)という。
 
沸騰の実験を行うときは、急激に沸騰すると、湯が吹き飛んで危険なので、急激な沸騰を防ぐために'''沸騰石'''(ふっとうせき)を加える。なお、急激に沸騰することを突沸(とっぷつ)という。
450 行
 
 
 
* 気体の集め方
 
;水上置換法
科学実験で発生させた気体を集める場合、気体が'''空気よりも軽い'''物質の場合は、空気中を上昇していくので、補集用のフラスコなどは'''下'''向きにして集める必要がある。
水に溶けない気体の場合は、水を満たした水槽に、フラスコを開いた口を下向きにして入れ、フラスコの内部は水(みず)で満たしておき、このフラスコの中にガラス管などで気体を導く。この方法を'''水上置換法'''(すいじょうちかんほう)という。
 
酸素や水素は水に溶けにくいので、水上置換法で集められる。
 
水に溶ける物質でも、'''溶けにくい'''物質ならば、水上置換法で集める場合もある。
 
;上方置換法
空気よりも'''軽い'''気体を集める場合で、'''水に溶けやすい物体を集める場合'''や、水に溶けにくい気体でも水に溶かしたくない場合などは、水を使わない方法で集める必要がある。フラスコの開いた口を'''下'''向きにし、そのフラスコの内部にガラス管などで気体を導く。このとき気体を導くための管は、フラスコの奥の上の方まで入れる必要がある。このような集め方を'''上方置換法'''(じょうほうちかんほう)という。
 
;下方置換法
空気よりも軽い気体を集める場合は、補集用のフラスコなどは、開いた口を上向きにして集める必要がある。
この集め方を'''下方置換法'''(かほうちかんほう)という。
 
====物質の融点と沸点====
457 ⟶ 474行目:
純物質の状態変化の際に物質の温度変化を観察すると、特徴的な結果が観察できる。
 
===== 液体の沸点 =====
* 実験
水などの物質を状態変化させその温度変化を観察せよ。特に物質の状態変化が続いているときの温度に着目せよ。
462 ⟶ 480行目:
この実験では、熱を加え続けても、状態変化が続いているときには物質の温度は変化しないことが観察できる。これは、熱を加える働きと、物質が、融解(蒸発)の際に周囲から熱を吸収する働きとが、つりあっているためである。
 
一般に純物質の融点と沸点は、(同じ圧力では)物質ごとに決まった値を持つ。このことは、混合物を分離するために利用することができる。
また、混合物について同じ実験を行うと、状態変化の最中にも混合物全体の温度が変化することが観察できる。これはそれぞれの物体で融点や沸点が異なることによる。
「(同じ圧力では)」と書いたのは、沸点は気圧によって変わるからである。たとえば高い山の頂上付近では、沸点が下がる現象がある。
通常の標高の低い場所では水の沸点は100℃だが、たとえば日本の富士山の頂上付近では水の沸点は約88℃で沸騰が始まる。
 
;食塩水の加熱
 
食塩水などのように、かなりの高温にしないと融解しない固体の物質(食塩の主成分の塩化ナトリウムの融点は約800℃と、水の沸点を大きく上まわっている。)が溶けている水溶液を考える。
 
まず、食塩水は、沸点が100℃よりも少しだけ高くなる。この現象を沸点上昇(ふってんじょうしょう)という。
 
食塩水を加熱すると、沸点で水だけを含む純粋な水蒸気が得られる。水蒸気には、塩は含まれていない。
 
この蒸気を冷ませば、純粋な水が得られる。このように蒸発を利用して、溶液から液体を分離する方法を'''蒸留'''(じょうりゅう)という。
 
 
 
;水とエタノールの混合液体の加熱
また、水とエタノールの混合液体のような液体どうしの混合物について、加熱をした時の温度変化を観察する同じ実験を行うと、状態変化の最中にも混合物全体の温度が変化することが観察できる。これはそれぞれの物体で融点や沸点が異なることによる。
たとえば、純粋なエタノールの沸点は、約78℃だが、混合液体だと、78℃くらいで沸騰が始まってからも、温度の上昇は緩やかになるが、それでも温度はなだらかに上昇していく。これが純物質の蒸発とは違う性質である。78℃くらいで蒸発が始まった時の蒸気にはエタノールの成分が多く含まれているが、少しだけ水蒸気も含まれている。このように、純物質の蒸発とは、少しちがう現象がおきる。
 
水とエタノールの混合液体の加熱をつづけて、80℃から82℃、85℃、88℃、92℃、93℃、95℃・・・・・・と加熱を続けていくと、100℃の手前で、温度上昇がゆるやかになり、100℃以上は上がらない。
この100℃あたりの蒸気を調べると、水を多く含むが、エタノールもすこしだけ含む。
 
このように、温度によって、蒸気に多く含む物質が異なるので、異なる今度での蒸気を分けて集めることで、物質の純度を高めることができ、この方法で純度を高めることを'''分留'''(ぶんりゅう)という。
 
;水とエタノールの分留
例えば沸点がより低い物質の沸点近くに温度を保ったとき、蒸発した気体には沸点が低いほうの物質が多く含まれると考えられる。
蒸気を集めて、それを冷やして液体に戻すと、沸点の低いほうの物質を多く含む液体が得られる。
 
この手法で物質を分離することを'''蒸留'''(じょうりゅう)と呼ぶ。蒸留は[[w:原油]](げんゆ)を精製する際に用いられるなど多くの応用がある。(詳しくは[[w:蒸留]]を参照。)
 
水の蒸気にも少しだけエタノールが含まれるように、分留では完全に分離することは不可能である。純度を上げるためには、分留で分離した異なる温度での蒸気を、冷まして液化させた後に、また蒸発させて分留をして、さらにその異なる温度での蒸気を冷まして液化させたものを再び分流して・・・・というふうに、何回も分留を繰り返すことによって、純度をあげている。
一般に融点と沸点は(同じ圧力では)物質ごとに決まった値を持つ。このことは、混合物を分離するために利用することができる。例えば沸点がより低い物質の沸点近くに温度を保ったとき、蒸発した気体には沸点が低いほうの物質が多く含まれると考えられる。この手法で物質を分離することを[[w:蒸留]](じょうりゅう)と呼ぶが、この方法は[[w:原油]](げんゆ)を精製する際に用いられるなど多くの応用がある。(詳しくは[[w:蒸留]]を参照。)
 
;気圧と沸点
融点と沸点は物質にかかる、大気の圧力によって変化することが知られている。例えば、高山で水を沸騰させるには100度より低い温度で十分なことが知られている。これは高山では[[w:大気圧]]がより低いため、水を蒸発させるのに必要なエネルギーが減るからである。
 
<!--(圧力の変化に対する沸点、融点の変化については[[w:クラウジウス-クラペイロンの式]]などが知られているが、この式は大学レベルなので、これについては、詳しくは述べない。)-->
 
;質量との関係
最後に、物質が状態変化を起こすとき物質の体積は変化するが物質の質量は変化しないことを説明する。このことは例えば、"氷をコップに入れて重さを測り、氷が融けた状態での重さと比較する"などの実験を行うことで確認できる。
状態変化は分子と分子と間の相互作用を変化させるが、分子自体は変化させない(物質が分子と呼ばれる小さい粒でできていることは後に説明する)。例えば、固体では個々の分子間の距離は近く分子が自由に動くことができない一方、気体では分子が自由に動くことができる。このときにも分子自身の数や重さが変化するわけではないため、状態変化によって物質の質量は変化しない。
 
===== 融解と凝固 =====
;凝固
水(みず)を冷やすていくと摂氏0℃で氷(こおり)になる。このように、ほとんどの液体は、冷やしていくと固体になる。液体が固体になることを'''凝固'''(ぎょうこ)と言い、そのときの温度を'''凝固点'''(ぎょうこてん)と言う。
凝固が終わりきるまでの、水(みず)と氷(こおり)が混じっている混合物のときの温度は0℃のままである。
 
凝固が終わり、水(みず)がすべて氷(こおり)になった氷(こおり)を冷やしていくと、さらに温度を下げることが可能である。
 
いっぽう、氷を加熱していくと、摂氏0℃で溶け始め水になっていく。溶け終わるまでの間は、氷と水の混合物の温度は0℃のままである。
 
;融解
このように、固体は加熱していくと、たいていの物質では液体になる。加熱された固体が液体になることを'''融解'''(ゆうかい)という。
そして、加熱された物質が融解するときの温度を'''融点'''(ゆうてん)と言う。
 
一般に、ほとんどの物質で、凝固点と融点とは同じ温度である。
 
 
;過冷却
凝固点まで冷やしても、凝固が開始しない場合がある。この場合、ほんの少しの振動などを液体に加えたりすると、凝固が開始するのが一般である。
 
凝固点で凝固が開始しない場合に、凝固を開始させないように静かに冷却を続けていくと、凝固点より低い温度でも、液体でいられる。この現象を'''過冷却'''(かれいきゃく)という。
 
 
484 ⟶ 553行目:
 
[[File:Manganese-dioxide-sample.jpg|thumb|二酸化マンガン]]
実験室では、[[w:薄い'''過酸化水素水]]'''(かさんかすいそすい)を用いて酸素を発生させることが多い。[[w:過酸化水素水]]は平時でも酸素と水とに分解するが、[[w:'''二酸化マンガン]]'''(にさんかマンガン)を加えることでその反応を促進することができる。ただし、このとき反応を行うのはあくまで過酸化水素水のみであり、[[w:二酸化マンガン]]は反応の際変化することが無しない。このように反応の際に自身は変化せずに他の反応を促進する働きがある物質を、[[w:'''触媒]]'''(しょくばい)と呼ぶ。([[w:触媒]]について詳しくは[[高等学校化学]]などを参照。)
 
;オキシドール
なお、消毒薬で「オキシドール」というものがあるが、これは過酸化水素水の水溶液である。
 
過酸化水素水は血液に混ざると、血液中に含まれる'''カタラーゼ'''という物質が触媒の作用をし、過酸化水素水を分解して、酸素と水に分解する。
消毒薬のオキシドールを傷口につけると発泡するのは、酸素が発生したためである。
 
 
* 水素
496 ⟶ 572行目:
二酸化炭素は炭素と酸素が結合する(炭素が燃える)ことで生じる。我々の身の回りにある物の多くも炭素を含んでいる。例えば[[w:綿]]などの[[w:天然繊維]](てんねんせんい)でできた衣類は炭素を含んでおり、それらが燃えるときには二酸化炭素が発生する。また、[[w:石油]]やガソリンも炭素を含んでおり、燃えるときには二酸化炭素を発する。
 
二酸化炭素は空気よりも重い気体であるので、二酸化炭素を集める時には捕集器具を下方に置く('''下方置換法''' [[w:下方置換]])。二酸化炭素を水に溶かした溶液は、[[w:炭酸]](たんさん)と呼ばれ、弱い酸性の水溶液になる。
 
二酸化炭素を石灰水に通すと、石灰水が白く濁るので、化学実験で発生した気体が二酸化炭素かどうかの確認方法に、この石灰水との反応が用いられる。
 
 
* 窒素
502 ⟶ 581行目:
 
* アンモニア
[[w:アンモニア]]は窒素と水素からなる分子であり、性質は匂いの強い気体であり、また水に溶けやすい。アンモニアの水溶液はアルカリ性を示す。アンモニアは空気よりも軽く、補集するときには器具を上に置いて捕集する。(アンモニアは水に溶けるので、水上置換法では集められず、'''上方置換法'''でアンモニアを集める必要がある。)
 
なお、アンモニアのにおいを確認するときは、手であおぐなどして、アンモニアから鼻のほうへ風を送って、においを確認する。
 
けっして、直接、鼻を近づけて確認してはいけない。鼻を近づけて確認すると危険である。
 
 
592 ⟶ 675行目:
 
プラスチックは軽くて、割れにくく、加工しやすいので、いろいろな形のものをつくることができ、我々の生活を快適にしている物質といえる。
 
 
== 熱と温度 ==