「高等学校化学I/物質と原子」の版間の差分

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これら物質は、'''元素'''<small>( Element )</small>と呼ばれる'''基本要素'''が組み合わさることでできていることがわかっており、また、'''原子'''(atom)という'''基本構造'''が組み合わさることによって構成されていることもわかっている。それでは、元素について、基本的な事柄を知ろう。
 
; 元素 : '''元素'''は、物質の構成成分である。
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=== 単体と化合物 ===
物質は元素から構成されているが、ある物質が一様な元素のパターンで形作られているとき、それらの物質は単体と化合物に分けることができる。
; 単体 : 物質が一つの元素のみから構成されているとき、これを単体(simple substance)と呼ぶ。
鉄は鉄元素のみからなる単体であり、水素は水素元素のみからなる単体である。ダイヤモンドも、炭素元素が強固に結びついた単体である。こういった単体たちを、それらを形作る基本要素になっている元素の名称を用いて「炭素の単体」などと表現する。鉄や水素などからわかるように、代表的な単体が存在する元素については、その単体の名前(「鉄」や「水素」など)がそのまま日本語での元素名になっていることがある。他の例としては、銅や銀などの金属、酸素や窒素などの空気中に多い元素などが挙げられる。
 
「なぜ金属や空気中に多い元素には代表的な単体が存在するのか」という問題は化学IIの範囲になる。ここでは解説しない。興味があるのなら、元素の名前の由来や、単体が具体的にどのように物質を構成していっているのか、といったことを調べてみると良い。
 
; 化合物 : 単体に対して、物質が複数の元素の一様なパターンなどで構成されているとき、これを化合物(compound)と呼ぶ。
水(H<sub>2</sub>O)はH元素とO元素からなる分子から構成されている化合物である。他にも、酸化銅II(CuO)や、塩化アルミニウム(AlCl<sub>3</sub>)など、多くの種類がある。これらの言葉は、物質を、その要素となる元素の集まり方に着目して分類している。単体か化合物か、どちらかに属する物質を純物質というが、この言葉については後述する。
 
単体は、ひとつの元素によって構成されている物質を言うが、単体に属する物質の中には、'''同じ元素から成る単体であってもその組み合わさり方が異なる'''ような場合がある。イメージでとらえるのなら、同じ組木細工を使った工作品でも、組み合わせ方によって大きく形が変わることがある様に、元素の組み合わさり方によって物質全体の形が大きく変わることがある、ということである。こういった、同じ元素の単体ではあるもののその組み合わさり方によって性質に違いが出た物質同士を、互いに'''同素体'''であると言う。
; 同素体 : ある元素の単体同士で、元素の結びつき方が違うために性質が違うもののことを互いに'''同素体'''(allotrope)と呼ぶ。
この言葉は、「黒鉛はダイヤモンドの同素体である」といった具合に用いる。当然、組み合わさり方が一種類しかないような元素には、同素体は無い。
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=== 純物質と混合物 ===
; 純物質 : 物質が単体か化合物であるとき、その物質を'''純物質'''(pure substance)と呼ぶ。
純物質は、物理的操作(叩く、引っ張る、ろ過する、といった操作)によってそれよりも小さい構成パターンに分けることができないようなパターンの集まりだと考えられる。ここで言うパターンとは、元素の組み合わせのことである。単体や化合物は、物理的な操作だけではその構成を変えることができない。例えば、水は蒸発させても凍らせても叩いてもろ過しても、水のままである。しかし、電気分解を行うことで水素と酸素に分解できることは、中学校で学習した通りだ。具体的には、前者を物理的操作、後者を化学的操作と呼ぶ。
; 混合物 : 純物質に対して、物理的操作によって分類できる可能性がある物質を、'''混合物'''(mixture)と言う。
混合物は、単体や化合物が混ざり合っている物質である。液体や気体が容易に想像できるが、固体にも混合物は多く存在する。多くの岩石は混合物である。火成岩にさまざまな鉱石が含まれていることは中学校で学習したことであろう。鉱石ひとつひとつは、一部には不純物が含まれることはあるものの基本的には純物質であり、それらが集まってできている火成岩は混合物である。ほかにも、塩酸は塩化水素(HCl)と水(H<sub>2</sub>O)の混合物であるなど、化合物は非常に多い。
 
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=== 原子の基本構造 ===
[[Image:Atom.svg|frame|right|He原子のボーアモデル]]
原子は、中心にある'''原子核'''(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの'''電子'''(electron,図では黄色)の構造である。原子の構造は簡単には説明できないが、高等学校の化学においては一般的に、ボーアの原子模型と呼ばれるモデルを使って理解する。右に示した図は、ヘリウム原子(He)のボーアモデルである。ボーアモデルでは、原子の化学的な性質を全て説明することはできない。その意味でこのモデルは不十分ではあるが、高等学校の化学の範囲ではこのモデルでも十分にイメージをつかめる内容を扱っているため、紹介した。原子の構造について記述するときは、基本的にこのモデルを用いて行う。
 
まず、原子の構造の要素である原子核と、陽子・中性子・電子について知ろう。これらは高等学校化学で扱う最も小さな粒である。
 
; 原子核(atomic nucleus) : 陽子と中性子の巨大な塊である。正の電荷を持っている。基本的に壊れない。
; 陽子(proton) : 原子核を構成する素粒子の一つ。陽子一粒が、+eの電荷を持っている。
; 中性子(neutron) : 原子核を構成する素粒子の一つ。ただし、中性子だけでは原子核にはならない。電荷は0である。
; 電子(electron) : 原子核の周りを回る軽い粒子。-eの電荷を持っている。軽いので、簡単に移動する。
右に示した図で言えば、真ん中の赤い粒が陽子、おなじく真ん中の黄緑色の粒が中性子。それから、周りにある黄色い粒が電子である。全ての原子は、このような「原子核の周りに電子」という構造をしていると考えられている。
 
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原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。
; 電子殻(electron shell) : 電子が飛び回っている部分全体を指す。'''階層構造'''になっている。
この電子殻は何重かにわかれており、内側から'''K殻'''(K shell)、'''L殻'''(L shell)、'''M殻'''(M shell)、……と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わない。興味のある人は、[[w:電子殻]]などを参考にしてほしい。<!--電子殻それぞれを電子軌道と呼ぶ。<!--誤り。意図した事実が不明確のため保留-->-->内側から数えてn番目の電子殻に入ることのできる電子の数は、2n<sup>2</sup>と表される。
 
また、いちばん外側の電子殻にある電子を'''最外殻電子'''と呼ぶ。最外殻電子は原子の性質に大きな影響を与える。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。原子の性質を決める最外殻電子を特別に'''価電子'''(valence electron)と呼ぶ。
最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。
 
[[File:Electron shell 002 Helium - no label.svg|thumb|left|200px| ヘリウム原子Heの電子は、K殻に2個の電子を持つ。ヘリウムは閉殻構造である。閉殻なのでヘリウムの価電子は0と数える。]]
 
各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を'''電子配置''' (electron configuration)という。K殻に2個の電子が全て収められた場合の電子配置は、希ガスであるヘリウムHeの電子配置と同じである。L殻まで電子が全て収められ、L殻に8個の電子とK殻に2個の電子の合計10個の電子が全て収められた場合の電子配置は、希ガスであるネオンNeの電子配置と同じである。
同様に、M殻の終わりまで全て電子が収められた状態は、希ガスであるアルゴンArの電子配置と同じである。
 
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原子の構造を理解する助けとして、これから先になって必要になってくる概念である'''電荷'''という言葉については、ここで簡単な説明を加えておく。
; 電荷(electric charge) : 粒子にある電気的な性質のこと。プラスの量とマイナスの量があり、当然ながら0も存在する。
この電荷という概念は、[[高等学校物理]]などでも扱う。電荷を持った粒子がどのような振る舞いをするかについて興味を持ったなら、そちらを参考にすると良い。
 
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実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。
 
このように、ある原子の原子核に含まれる陽子の数がわかれば、その原子がどの元素に属するかも分かる。逆に、ある原子がどの元素に属するのかがわかれば、その原子の原子核に含まれる陽子の数がわかる。よって、ひとつひとつの元素に分類される原子について、そこに属する原子の陽子の数を元に番号を付けることができる。こうしてつけられた番号を、'''原子番号'''(atomic number)あるいは'''元素の番号'''と呼ぶ。原子番号は <sub>6</sub>C のように、原子の左下に小さく書いて示す。原子番号は多くの場合において省略される。
 
<small>炭素に属する原子を炭素原子、あるいは単に炭素などと呼ぶ。よって、「炭素」という言葉が元素としての炭素を指し示す場合もあれば、原子一粒としての炭素を指し示す場合もある。一般的には、炭素と言えば原子の方を指す。これは、元素と原子が同一視されやすい原因の一つである。さらにいえば、元素の項目で解説した番号とは、この原子番号を指す。元素の番号は、その元素に属する原子の原子核に含まれる陽子の数と一致する。元素記号も、多くの場合では、原子の分類を示す時に用いられる。</small>
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=== 原子の質量 ===
原子は陽子、中性子、電子から構成されているため、これらの粒子の質量の総和が、原子全体の質量になる。電子の質量はとても小さい<small>(陽子の1/1836。9.1093826&times;10<sup>−31</sup>kg)</small>が、陽子の質量は1.67262&times;10<sup>-27</sup>gで、中性子も大体同じくらいの質量を持っている。しかし、このような桁の多い数字をいちいち用いて計算するのは無駄手間である。幸い、陽子と中性子はほぼ同じ質量であり、また電子の質量はそれと比べて無視できるほど小さいので、原子全体の質量は、おおざっぱには陽子と中性子の数の和で表す事ができる。これを'''質量数''' (mass number) と呼ぶ。陽子や中性子の質量を1として、その何倍であるかという比を用いて計算しているのである。質量数は <sup>12</sup>C のように、原子の左上に小さく書いて示す。
; 質量数 (mass number) : ある原子の原子核に含まれる陽子の数と中性子の数の和。
: 質量数をM、元素記号をXとすると、<sup>M</sup>X のように書き表す。
質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。また、ある質量数の原子の個数と実際の質量との関係については、[[高等学校化学I/物質量と化学反応式|物質量と化学反応式]]のページで解説していくことになる。
 
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;同位体
ある二つの原子について、原子番号が同じでも質量数が異なることがある。言い換えると、原子番号は陽子の数であるため、陽子の数が同じ二つの原子であっても、その原子核に含まれる中性子の数が違うことがある。
このような、同じ元素でも質量数のことなる原子を互いに'''同位体'''(isotope)と呼ぶ。あるいは'''アイソトープ'''(isotope)と呼ぶ。
なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので混同しないように読者は注意のこと。
 
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炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。
<sup>14</sup>Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を'''放射性同位体'''(ラジオアイソトープ,radioisotope)という。
これに対して安定して存在できる同位体を'''安定同位体'''(stable Isotope)という。
 
同位体であっても、安定な同位体の化学的な性質は、ほとんど等しい。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。
 
他の多くの元素にも同位体は存在する。
たとえば水素Hには、自然界には<sup>1</sup>H と<sup>2</sup>Hがある。<sup>1</sup>Hの存在比率は、およそ99.98%である。<sup>2</sup>Hの存在比率は、およそ0.02%である。質量数2の水素<sup>2</sup>Hのことを重水素(じゅうすい)あるいはジュウテリウム(deuterium)という。
原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''トリチウム'''(tritium)という。<sup>3</sup>Hは放射性同位体である。
 
なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。
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[[Image:Periodic table (polyatomic).svg|center|700px|周期表]]
 
元素を原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が周期的に現れることがある(例:1価の陽イオン<small>(→[[高等学校化学Ⅱ/化学結合]])</small>になりやすい物質……<sub>3</sub>Li、<sub>11</sub>Na、<sub>19</sub>K、など。ここまでは8個間隔で現れている)。このことを元素の'''周期律'''(periodic law)という。また、図のような表を、周期表(periodic table)という。
 
元素を原子番号の順に並べて、かつ周期律に併せて配列した表を'''[[元素記号|周期表]]'''という。周期表の縦の列を'''族'''(group)といい、同族内では性質のよく似た元素が並ぶ。周期表の横の列を'''周期'''(period)と呼び、周期の番号は電子殻の数と一致する。
 
「族」は、1族から18族までの、合計18個がある。「周期」は、1族から7族までが、現在(2013年に本文を執筆。)では確認されている。
293 行
 
;アルカリ金属
1族の同族元素のうち、水素Hを除いた残りの元素の、LiとNaとKとルビジウムRbとセシウムCsとフランシウムFrを、'''アルカリ金属'''(alkali metals)という。Hはアルカリ金属には含めない。
;アルカリ土類金属
2族元素のうち、ベリリウムBeとマグネシウムMgを除いた残りの元素の、カルシウムCa,ストロンチウムSr,バリウムBa,ラジウムRaを'''アルカリ土類金属'''(alkaline earth metal)という。ベリリウムBeとマグネシウムMgはアルカリ土類金属には含めない。
;ハロゲン元素
17族の元素のフッ素F,塩素Cl,臭素Br,ヨウ素I,アスタチンAtを'''ハロゲン元素'''(halogen)という。
;希ガス元素
18族のヘリウムHe,ネオンNe,アルゴンAr,クリプトンKr,キセノンXe,ラドンRnを'''希ガス元素'''(rare gas)という。
 
;遷移金属
3族から11族の元素を'''遷移金属'''(せんいきんぞく,transition metals)という。
遷移金属は、価電子の数が1個または2個であることが多く、族と価電子数が一致しない。
 
;典型元素
遷移金属以外の元素である元素はどうだろうか。1族と2族と12族~18族の元素を典型元素(main group element)という。典型元素では、族の番号の1の位の数が、最外殻電子の数と一致する。
 
 
340 行
分子は電気的に中性であるため、これらが物理的に運動する限りにおいては、電磁気の問題は基本的に発生しない。一粒が独立しているので、エネルギーの大きい分子同士は反発する。しかし、エネルギーの小さい分子同士はお互いに引き合う。これによって、たとえば水は気体・液体・固体の三態を持つことになる。
一般に分子は原子が複数個集まってできていることが多いが、ただ一つの原子だけで独立して分子となるものもいる。希ガスと呼ばれる種類の原子は、他の原子と結びつかず、独立で分子を構成する。
; 単原子分子(monoatomic molecule) : 一個の原子から構成されている分子。具体的にはヘリウムHeやネオンNeなど。
; 多原子分子(polyatomic molecule) : 二個以上の原子から構成されている分子。たとえば水H<sub>2</sub>Oや酸素O<sub>2</sub>など。
ある分子が、どのように原子が結びついて出来ているのかということを表記するとき、一般的には分子式を用いる。
 
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最外殻電子に含まれる電子の数が8個(K殻のみ2個)である状態を'''閉殻構造'''と呼ぶ。原子は、電子を受け取ったり、他の原子に電子を渡したりして、閉殻構造を作ろうとする。これは、閉殻構造が非常に安定した形であるためだと考えられている。原子は通常の状態であれば電荷的に中性だが、このように電子を渡したり受け取ったりして粒子全体として電荷をもつことがある。このように、電荷を持った粒子のことを'''イオン'''(ion)という。特に正の電荷を持つ粒子を'''陽イオン'''(positive ion)と言い、負の電荷を持つ粒子を'''陰イオン'''(negative ion)う。
; 陽イオン(positive ion) : 正の電荷を持ったイオン。
; 陰イオン(negative ion) : 負の電荷を持ったイオン。
価電子の少ない原子は、電子を失って陽イオンになりやすい。逆に価電子の多い原子は、電子を受け取って陰イオンになりやすい。このように失ったり受け取ったりした電子の数を、そのイオンの'''価数'''(valence)という。価数が1のときそのイオンは'''1価'''であるといい、以下2価、3価と数える。電子の電荷は-eであるが、ここでは、電子一つを基準にしていることに注意。
 
[[Image:Electron shell 011 Sodium.svg|180px]]
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=== 分子からなる物質 ===
[[Image:Carbon-dioxide-crystal-3D-vdW.png|thumb|120px|ドライアイスのモデル]]
分子は基本的に独立した一粒である。身近な例を挙げるなら、水や多くの気体などの構成単位は、分子である。分子が構成単位になっている結晶<small>( 固体 )</small>を'''分子結晶'''(molecular crystal)という。分子結晶は融点・沸点が低く、やわらかい。また電気を通さない。ずっと拡大すると、分子が規則正しく並んでいるのも、分子結晶の特徴である。
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=== イオンからなる物質 ===
NaCl(塩化ナトリウム)という化合物は、ナトリウムイオンNa<sup>+</sup>と塩化物イオンCl<sup>-</sup>がお互いに偏った電荷を補い合おうとして結合する。このようにイオン同士がひきつけあってできた結合を'''イオン結合'''(ionic bond)という。また、イオン結合によってできた固体を'''イオン結晶'''(ionic crystal)という。イオン結晶は融点・沸点が高く、硬いがもろい。これらは基本的にイオンが並んで出来ており、水に解ければ簡単にそれぞれのイオンに分かれる。そのため、固体のときは電気を通さないが、液体あるいは水に溶解した状態では電気をよく通すという性質を持っている。
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