「高等学校数学I/図形と計量」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Yamamoto akinori (トーク) による版 72026 を取り消し
用語に読みを併記。
4 行
 
===三角比===
ここで扱うは、[[w:三角比|三角比]](さんかくひ)それを用いた定理を扱うである
 
ある三角形についてその三角形の3つの角を定めたとき、その三角形は完全には定まらない。このとき、その三角形の角の大きさを変えること無く、辺の長さの縮尺だけを変えることができるからである。しかし、そうであっても、角の大きさは三角形の情報の一種であり、なんらかの標準的な取り扱いをできるようにすることが望ましい。
 
ここでは、特に直角三角形に注目して、角の大きさを各々の辺の長さの比によって特徴づける方法を学ぶ。直角三角形では、辺の長さの比が対応する角によって一意に定まる。このような直角三角形の辺の長さの比を、三角比(さんかくひ)と呼ぶ。
 
三角比には
三角比には正弦(sine)・余弦(cosine)・正接(tangent)・正割(secant)・余割(cosecant)・余接(cotangent)の6つがあるが、高等学校の課程ではそのうちの3つを学習する。
:正弦(せいげん、sine サイン)
:余弦(よげん、cosine コサイン)
:正接(せいせつ、tangent タンジェント)
:正割(secant)
:余割(cosecant)
:余接(cotangent)
の6つがあるが、高等学校の課程ではそのうち3つの正弦(sine)・余弦(cosine)・正接(tangent)を学習する。
 
====正弦、余弦、正接====
 
ある直角三角形を取りその角のうちの、直角でない角の1つの大きさを、<math>r</math> として、相対する辺の長さを<math>a</math>とする。更に、最も長い辺、つまり直角三角形の斜辺をの長さを<math>c</math>とし、それ以外の辺の長さを<math>b</math>とよぶする
 
このとき、ピタゴラスの定理(「三平方の定理」とも言う)から、<math>a^2 +b^2 = c^2</math>が成り立つことに注意せよ。
 
[[画像:Right triangle to define sine or cosine.png|thumb|r,a,b,cの定義]]
68 ⟶ 76行目:
 
この定義から、<math>\sin </math>,<math>\cos </math>, <math>\tan </math>について次の性質が成り立つ。
:<math>\sin (90^\circ -x ) = \cos x</math>
:<math>
\sin (90^\circ -x ) = \cos x, :<math>\cos (90^\circ -x ) = \sin x, \tan (90^\circ -x ) = \frac 1 {\tan x}</math>
:<math>\tan (90^\circ -x ) = \frac 1 {\tan x}</math>
</math>
 
*証明
90<math>{}^\circ</math> -x は、xという大きさの角を持った直角三角形があるとき、直角でもxでもない大きさの角である。(三角形の内角の和が180<math>{}^\circ</math>であるため。)このため、90<math>{}^\circ</math> -xに対する三角比は、xに対する三角比を定義するのに使った三角形を用いて表わすことが出来る。実際にこの定義を導入すると、確かにこの結果が成り立つ。
78 ⟶ 87行目:
<!-- まだ座標幾何をやっていないから、単位円を使う定義は導入できないのではなかろうか ... .。-->
まず、半径1で原点を中心とした円を描く。ここで、円上の1点(ただし、第1、第2象限に属するものとする。)をA(a,b)とし、Aからx軸に向かって垂直に下ろした点をBとする。この時三角形OABは、∠OBAを直角とする直角三角形である。更に、∠BOAをxとおく。ここで、<math>\sin</math> ,<math>\cos </math>, <math>\tan</math> の定義を、
:<math>\sin x = b</math>
\sin x = b, :<math>\cos x = a, \tan x = b</amath>
:<math>\tan x = b/a</math>
とする。第1象限のAを用いるときにはa>0,b>0であり、以前の直角三角形を用いた正弦などの定義とここで用いた定義は一致する。(実際ためしに、三角形OABを用いて以前の定義を計算するとれば、<math>\sin x , \cos x , \tan x</math>のそれぞれに上記の値が得られるはずである。)次に、第2象限では、a<0,b>0が成り立つのでこれは直角三角形を用いた定義では対応するものが存在しない。そのため、この定義は直角三角形を用いた定義の拡張になっている。
 
*注意
実際には、この定義は任意の角0<math>{}^\circ</math><r<360<math>{}^\circ</math>に対して適用できる。しかし、このことは[[高等学校数学II]]の範囲である。
308 ⟶ 318行目:
===三角比と図形===
====正弦定理、余弦定理====
ここでは、[[w:正弦定理|正弦定理]](せいげんていり)と[[w:余弦定理|余弦定理]](よげんていり)という2つの定理を扱う。これらは三角比を用いた定理であり、任意の三角形について成立する定理である。
 
=====正弦定理=====
最初に正弦定理を使う。三角形の辺の長さがa,b,cと与えられ、相対する角の大きさがA,B,Cと与えられるとき
397 ⟶ 408行目:
の直角三角形については
正弦定理は、辺の長さを短い順に
<math>b _1</math> , <math>b _2</math>とすると、
:<math>
\frac a {\sin 90 ^ \circ} = \frac {b _1} {\sin 30 ^ \circ}
419 ⟶ 430行目:
=====余弦定理=====
 
ある三角形の3辺の長さが分っているときその3角形は一意的に決まる。そのため、3つの辺の長さを用いて、おのおのの角の大きさを表わすことが出来る。
一意的に決まる。そのため、3つの辺の長さを用いて、
おのおのの角の大きさを表わすことが出来る。
 
[[画像:Right triangle for cosine theorem.png|thumb|A,B,C,a,b,cの定義]]
438 ⟶ 447行目:
\cos C = \frac{b^2 + a^2 - c^2 }{2ab}
</math>
が成り立つ。これを余弦定理(よげんていり)と呼ぶ。
 
逆に、2つの辺の長さとあいだの角の大きさから、のこりの辺の長さを求めることが出来る。
のこりの辺の長さを求めることが出来る。
:<math>
a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A
455 ⟶ 463行目:
これらの式は、それぞれ対応する式を、a,b,cについて解いたものになっていることに注意。
 
* 導出
 
上の絵で、点Bから線分ACに対して垂線を下ろし、垂線と線分ACがぶつかった点をHと呼ぶとしよう
*:
このとき、CHの長さはa cos C と表わせ、BHの長さはa sin C と表わせる。三角形ABHについて三平方の定理を用いると、
:<math>
671 ⟶ 679行目:
 
=====球の表面積、体積=====
球の表面積を''S''として、体積を''V''とするとき
:<math>S=4 \pi r^2</math>
:<math>V = \frac{4}{3} \pi r^3</math>