「高等学校数学III/極限」の版間の差分

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== 数列の極限 ==
ある数列<math>\{a_n\}</math> が有限個の項しかもたないとき、'''有限数列'''(ゆうげん すうれつ)といい、項が限りなく続くとき'''無限数列'''(むげん すうれつ)という。ここでは無限数列を考えるから断りがない場合、無限数列を単に数列と書くことにする。
 
=== 数列の極限 ===
数列 <math>\{a_n\}</math> において、項の番号 <math>n</math> が限りなく大きくなっていくとき、<math>a_n</math> がある一定の値 <math>\alpha</math> に限りなく近づいていくならば、数列 <math>\{a_n\}</math> は <math>\alpha</math> に'''収束'''(しゅうそく)するといい、
:<math>\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha</math>
または簡単に
:<math>a_n\to\alpha \ (n\to\infty)</math>
とかく。また、<math>\alpha</math> をこの数列の'''極限値'''(きょくげんち)という。
 
収束する数列には次のような性質がある。
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:<math>1,2,3,\ldots,n,\ldots,</math>
:<math>3,-1,\ldots,7-4n,\ldots</math>
は収束しない。収束しない数列は'''発散'''(はっさん) するという。発散する数列 <math>\{a_n\}</math> で <math>n\to\infty</math> のとき項 <math>a_n</math> の値が限りなく大きくなるときこの数列は'''正の無限大'''(せい の むげんだい) に発散するといい、その極限は正の無限大である」のようにいう。このことを次のように表す。
:<math>\lim_{n\to\infty}a_n=\infty</math>
逆に <math>n\to\infty</math> のとき、項 <math>a_n</math> が負の値でその絶対値が限りなく大きくなるときこの数列は'''負の無限大''' に発散するといい、その極限は負の無限大であるという。このことを次のように表す。
51 行
:<math>-1,2,-3,\ldots,(-1)^n n,\ldots</math>
:<math>1,-1,1,\ldots,-(-1)^n,\ldots</math>
いずれの数列も正の無限大にも負の無限大にも発散しない。このような数列を'''振動'''(しんどう) するという。このときもこの数列には極限値が存在しない。
 
;定理
181 行
:<math>S_n=a_1+a_2+\cdots+a_n=\sum_{k=1}^{n}a_k</math>。
 
このとき、<math>\{S_n\}</math> は数列の一種とみなすことができ、このようにある数列の初項から第 <math>n</math> 項までを順番に足してできる数列を'''級数'''(きゅうすう) という。もとの数列 <math>\{a_n\}</math> が無限数列である場合、級数 <math>\left\{\sum_{k=1}^n a_k\right\}</math> も無限に項を持つことになる。このような級数を'''無限級数'''(むげんきゅうすう) という。以下、単に級数というときは無限級数であるとする。
 
数列 <math>\{a_n\}</math> において、初項から第 <math>n</math> 項までの和を第 <math>n</math> '''部分和'''(ぶぶんわ)という。<math>\{a_n\}</math> から作られる級数の第 <math>n</math> 部分和 (つまり、<math>\{a_n\}</math>の初項から第n項までの和)を <math>S_n</math> と表すことにし、この級数<math>\{S_n\}</math> の極限値が <math>S</math> であるとき、<math>S_n</math> は <math>S</math> に収束するといい、<math>S</math> を級数の'''和'''という。このことを次のように表す。
:<math>S=\lim_{n\to\infty}S_n =
\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}a_n
239 行
 
==== 無限等比級数の和 ====
初項が <math>a</math> で公比が <math>r</math> の数列から作られる級数を'''無限等比級数''' または単に'''等比級数'''(とうひ きゅうすう) という。
 
等比級数の収束・発散について考えてみよう。この等比級数の第 <math>n</math> 部分和は、
281 行
<math>y= \frac{1}{x}\ ,\ y= \frac{2x-1}{x-1}</math>のように、xの分数式で表される関数をxの'''分数関数'''という。
 
<math>y= \frac{k}{x}</math>のグラフは'''双曲線'''(そうきょくせん)で、原点に関して対称である。双曲線<math>y= \frac{k}{x}</math>の漸近線は、x軸とy軸である。
 
関数<math>y= \frac{k}{x-p} +q</math>のグラフは、関数<math>y= \frac{k}{x}</math>のグラフをx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動したもので、漸近線は2直線<math>x=p\ ,\ y=q</math>である。
296 行
 
==== 無理関数 ====
<math>\sqrt{x}\ ,\ \sqrt[3]{3x-8}</math>のように、根号の中に文字を含む式を'''無理式'''(むりしき)といい、変数xの無理式で表される関数をxの'''無理関数'''(むりかんすう)という。
 
<math>y= \sqrt{x}</math>のグラフについて考える。
330 行
:<math>f(g(x))=\{g(x)\}^2+g(x)+2=x^2+3x+4</math>
 
一般に二つの関数 <math>f(x)</math>, <math>g(x)</math> が与えられたとき、関数 <math>f(g(x))</math> や <math>g(f(x))</math> を <math>f(x)</math> と <math>g(x)</math> の'''合成関数'''(ごうせい かんすう)という。合成関数 <math>f(g(x))</math> を <math>(f\circ g)(x)</math> とかくことがある。
 
;例題
344 行
:<math>(f\circ g)(x)=x</math>
:<math>(g\circ f)(x)=x</math>
をすべての定義域内の <math>x</math> で満たすとき、<math>g(x)</math> を <math>f(x)</math> の逆関数(ぎゃくかんすう)といい、
:<math>g(x)=f^{-1}(x)</math>
と表す。
357 行
この例題のように、ある関数 <math>f(x)</math> の逆関数 <math>f^{-1}(x)</math> を求めるには <math>x</math> について解いて <math>x</math> と <math>y</math> を入れ替えればよい。
 
次に逆関数が存在する条件について考えてみよう。逆関数も関数であるから(逆関数の)定義域に含まれるすべての <math>x</math> で <math>f^{-1}(x)</math> が一意に定まらなくてはならない。すなわち、 <math>y=f(x)</math> において、定義域の <math>x</math> と値域の <math>y</math> のどちらかを定めるともう片方が一意に定まるような関数でなくてはならない。このことを関数 <math>f(x)</math> が'''全単射'''(ぜんたんしゃ)である、または'''一対一 対応'''(いったいいち たいおう)であるという。関数 <math>f(x)</math> が全単射であることは <math>f(x)</math> に逆関数が存在することの必要十分条件である。
 
=== 関数値の極限 ===
385 行
 
==== 関数の連続性 ====
ある関数 <math>f(x)</math> が定義域内の点 <math>a</math> で連続(れんぞく)であるとは、
その関数<math>f(x)</math>のグラフが<math>x=a</math>の近傍で途切れることなく続いていることを意味する。数式で表すと次のようになる。
:<math>\lim_{x\to a}f(x)=f(a)</math>