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*[[中学校理科 第1分野/光と音]]
*[[中学校理科 第1分野/力と圧力]]
*[[中学校理科 第1分野/物質のすがた]]
*[[中学校理科 第1分野/熱と温度]]
*[[中学校理科 第1分野/電流と磁界]]
*[[中学校理科 第1分野/化学変化と原子・分子]]
*[[中学校理科 第1分野/化学変化とイオン]]
*[[中学校理科 第1分野/仕事とエネルギー]]
*[[中学校理科 第1分野/科学技術と人間]]
 
*練習問題の場所
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<!-- 地学は ... 。 -->
ここでは特に第1分野(物理と化学)について扱う。
 
*[[中学校理科 第1分野/光と音]]
*[[中学校理科 第1分野/力と圧力]]
*[[中学校理科 第1分野/物質のすがた]]
*[[中学校理科 第1分野/熱と温度]]
*[[中学校理科 第1分野/酸性とアルカリ性]]
*[[中学校理科 第1分野/電流と磁界]]
*[[中学校理科 第1分野/化学変化と原子・分子]]
*[[中学校理科 第1分野/化学変化とイオン]]
*[[中学校理科 第1分野/運動の規則性]]
*[[中学校理科 第1分野/仕事とエネルギー]]
 
 
== 酸性とアルカリ性 ==
=== 酸と酸性 ===
[[ファイル:1-Blue and red litmus paper.jpg|thumb|left|リトマス紙]]
 
塩酸(えんさん)や酢酸(さくさん)や硫酸(りゅうさん)などの薄い水溶液は、つぎのような性質を示す。
 
* 青色リトマス紙を赤色に変える。
* BTB液を加えると赤色になる。
 
このような性質を'''酸性'''(さんせい)という。また、酸性を示す物質を'''酸'''(さん、acid)という。
 
酸性の溶液には次のような性質が有る。
* 食用に用いられる酢酸やクエン酸などの薄い水溶液を舐めてみると、すっぱい味がするように、食用の酸はすっぱいことが多い。
:'''(※ 注意:誤って、塩酸や硫酸などの水溶液を舐めてはいけない。)'''
:'''(※ 注意:理科室の物は、学校の先生の許可無く、味見しないこと。理科実験では危険な物質も扱うことがあるので、けっして、許可無く口にいれてはならない。)'''
 
* 塩酸の水溶液は、鉄や亜鉛などの金属を溶かす。硫酸の水溶液は、金属と反応しやすい。
 
 
;主な酸
おもな酸には、塩酸、酢酸、炭酸、硫酸(りゅうさん)、硝酸(しょうさん)などがある。ミカンなどの柑橘類(かんきつるい)に含まれるクエン酸や、食用油などに含まれるオレイン酸も酸である。
 
* 塩酸
塩酸とは、'''塩化水素'''(えんかすいそ、hydrogen chloride)という気体が溶けた水溶液である。
無色透明の水溶液である。強い酸性を示す。
:においは、刺激臭が有る。この刺激臭は塩化水素の蒸気のにおいである。
 
(※ 注意:塩酸のにおいをかぐ時は、けっして直接はかいではいけない。塩酸の蒸気を手であおいだり鼻に風を送ったりして、間接的に、においをかぐ。)
 
:塩酸は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄を溶かす。これらの金属を溶かすときに水素が発生する。この水素は塩化水素中に含まれていた水素原子が化学反応によって水素分子として生じたものである。
 
* 酢酸
食用の酢酸水である食酢には、酢酸が3%〜5%ほど含まれている。
刺激臭が有る。
濃い酢酸は、寒くなると凍る。凍った酢酸を氷酢酸(ひょうさくさん)という。
 
* 炭酸
二酸化炭素の水溶液である。
 
 
塩酸や硫酸、硝酸などの強い酸は、危険であり、取り扱いには注意を要する。皮膚などにつかないように注意する。
もし、実験の失敗などで、これらの酸の濃い酸が体にかかったり、大量の酸がかかったら、実験を中断し、すぐに大量の純水で洗い、先生や大人に相談すること。
 
注意するのは、酸の液体だけでなく、酸の液体から発する蒸気なども、注意すること。蒸気を、かぎすぎないようにすること。また、目に入らないようにすること。
 
=== アルカリ ===
水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カルシウム水溶液やアンモニア水溶液は、つぎのような性質を示す。
 
* 赤色リトマス紙を青色に変える。
* BTB液を加えると青色になる。
* 水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えると、赤色に変わる。
 
このような性質を'''アルカリ性'''または塩基性(えんきせい)とよぶ。また、水溶液がアルカリ性を示す物質のことを'''アルカリ'''(alkali、アルカライ)という。
 
アルカリの中にはタンパク質や脂肪などを溶かすものもあり、皮膚などを溶かし、強いアルカリや濃いアルカリの中には危険な物もある。取り扱いには注意すること。皮膚などにアルカリをつけないようにする。もしアルカリが目に入った場合は、即座に大量の純水で洗い流し、先生や大人に相談および連絡をして、必要に応じて保険医などに診察してもらうこと。
 
注意するのは、アルカリの液体だけでなく、アルカリの液体から発する蒸気なども、注意すること。蒸気を、かぎすぎないようにすること。また、目に入らないようにすること。
 
;主なアルカリ
* 水酸化ナトリウム
水酸化ナトリウム(すいさんかナトリウム、sodium hydroxide、ソウディアム・ハイドロオキサイド)は、強いアルカリ性を示す。なので取り扱いには気をつけること。
:白色で半透明の固体である。
:空気中に放置しておくと、空気中の水分を吸収し溶ける。この現象を'''潮解'''(ちょうかい,deliquescence,デリクエーセンス)という。
:アルミニウムを溶かす性質が有る。
:強いアルカリ性のため、タンパク質や脂肪などを溶かす。
 
* 水酸化カルシウム
消石灰のことである。
:白色の固体である。
:水には溶けにくいものの、溶ける。水酸化カルシウムの水溶液を'''石灰水'''(せっかいすい、limewater、ライムウォータ)という。
:石灰水に二酸化炭素を吹き込むと、白い沈殿物が生じる。この現象はよく、気体の種類が二酸化炭素であるかどうかを調べる手法に利用される。
 
* アンモニア
アンモニアの水溶液を'''アンモニア水'''(アンモニアすい)という。
:刺激臭が有る。
 
=== 中性 ===
酸性でもなく、アルカリ性でもない性質を中性という。純水は中性である。
水溶液が中性をしめす物質は多くあるが、例を上げると、食塩水や砂糖水は中性である。リトマス紙に中性の水溶液をつけても、色は変わらない。
 
===中和===
 
ある物質の水溶液を作ったとき、その水溶液が[[w:酸性]]、[[w:アルカリ性]]などの性質を持つことがある。これは各々の[[w:溶質]]の性質である。例えば、二酸化炭素の水溶液は酸性であり、アンモニアの水溶液はアルカリ性である。一方酸性でもアルカリ性でも無い水溶液を[[w:中性]]の水溶液と呼ぶ。
 
酸性とアルカリ性は互いに反対の性質であり、両者を混ぜた水溶液を作ると、その水溶液は中性に近づく。この反応を[[w:中和]]と呼ぶ。酸とアルカリが中和した際には水が生じる。これは、酸の中の水素原子Hと、アルカリの中のOH(ここでは仮に水酸化物と呼ぶ)が結合し、水<math>H_2O</math>が生じたことによる。なお、同時に塩(えん)もできる(下部参照)
 
* 発展
厳密には、中和に際して水を作るのは酸の中の[[w:水素イオン]]<math>H^+</math>と、アルカリの中の[[w:水酸化物イオン]]<math>OH^-</math>である。現在の指導要領では[[w:イオン]]については詳しく述べない。[[高等学校化学]]などを参照。後の議論でも同様で、[[w:塩]]を作るのは、酸の陰イオンと、アルカリの陽イオンである。
 
また、酸の中のHやアルカリの中のOHが取り去られた後、残った物質(イオン)が結合して新たな物質を作ることがある。ここでできる物質を[[w:塩]]("えん"と読む)と呼ぶ。反応に用いた酸とアルカリによって生じる塩が決まる。例えば、塩酸とアンモニア水が反応した時には水と[[w:塩化アンモニウム]](えんかアンモニウム、ammonium chloride)が生じる。この反応は次の化学反応式で書かれる。
:<math>
\mathrm{HCl + NH_3 + H_2 O \rightarrow H_2O + NH_4 Cl}
</math>
 
また、水溶液中での酸性やアルカリ性には強さがある。酸性やアルカリ性の強さは、物質の種類と水の中に溶けている物質の量で決まる。<!--中和は、酸やアルカリが残ることなく反応して塩となった状態を言うので、必ずしもpH7のことではない。-->
 
* 発展
より正確には、溶液中の水素イオンH<sup>+</sup>の濃度で決まる。
 
=== PH ===
水溶液の酸性やアルカリ性の強さを表す値をpH(ピーエイチ、もしくはペーハー)と呼ぶ。pHがpH=7のとき溶液は中性であり、pHが小さくなるほど溶液は酸性に近づく。一般に、pH=0で最も強い酸性である。またpHが大きくなるほど、溶液はアルカリ性に近づく。一般に、pH=14が最も強いアルカリ性である。pHは普通、0から14の範囲内である。
<!--ただし、pHが0や14になることはない。<!--厳密には誤りであり、またこの範囲の外にある強酸や強塩基のpHを厳密に論じる意味も不明確-->-->
 
==== pH指示薬 ====
物質の中には、水溶液に接触させた時に、水溶液のpHの値によって色が変化するものがある。このような物質はpHを調べるのに用いることができるので、これらの物質のうちpHを調べる物質として実用化されている物質を'''pH指示薬'''(pH indicator、ピーエイチ・インディケイター)という。いわゆるリトマス試験紙もpH指示薬に含まれる。またリトマス試験紙のように、pH指示薬を試験用の紙に染み込ませて用いる事が多い。このようなpH指示薬を染み込ませてある紙を'''pH試験紙'''(pH indicator paper)という。
 
リトマス紙やBTB溶液やフェノールフタレイン溶液は、pH指示薬である。pH指示薬には、他にもメチルオレンジなどがある。
 
pH指示薬は、その物質によって、色を変えるpHの範囲が限られている。たとえば、メチルオレンジはpH=3.1以下では赤色で、そこからpHが高くなると黄色味を増していき、pH=4.4では橙黄色である。pH=4.4より高いpHでは橙黄色のまま、ほとんど色が同じなので、このpHの範囲では指示薬として用いられない。
なお、このように指示薬の色が変わるpHの範囲を'''変色域'''(へんしょくいき、indicator range など)という。
 
==電流とその利用==
 
電流とは単純には電気の流れのことである。電気の流れで実際に動いているのは[[w:電子]]であり、電子が動くことが出来ることは、電流を流すために用いられる[[w:金属]]の性質によっている。ここでは、電流の微視的な性質には踏みこまず、電流の性質について扱う。
 
===電流===
 
ここでは、電流の性質についてまとめる。しかし、電流について述べる前に、電流がどのようなものから出来ているかについて簡単にまとめる。
 
====静電気====
 
電気を通さない物質を'''絶縁体'''(ぜつえんたい、insulator、インサレイター)という。絶縁体どうしをこすり合わせることで、物質に[[w:静電気]](せいでんき、static electricity)を貯めることが出来る。静電気が溜まった状態のことを'''帯電'''(たいでん、electrostatic charge)しているという。
静電気は、(磁石と同じように、)触れることなくお互いの間に力を働かせることが知られる。例えば、下敷きをこすった後に髪の毛に近づけると髪の毛が逆立つが、これは静電気によって、髪の毛が下敷きに引っ張られているということである。また、静電気にはプラスとマイナスがあり、磁石のSとNのようにプラス同士、マイナス同士を近づけると反発し、プラスとマイナスを近づけると引き合う性質がある。こすった時にプラスとマイナスのどちらに帯電しやすいかは、絶縁体の性質による。
 
静電気は電流と関係があり、帯電したものを金属に近づけると瞬間的に電気が流れ、'''放電'''(ほうでん、electrostatic discharge)が起こることが知られている。冬に金属で出来た物に触れようとするとパチッと痛みを感じるのは、皮膚表面が帯電していて、金属に触れた瞬間に放電が起こるからである。実際には静電気として蓄積されているものと電流として流れているとされているものは、どちらも[[w:電子]](でんし)と呼ばれる[[w:粒子]]であることが知られている。電子は容易に観察することは出来ないため、ここではその性質については詳しく述べない。(詳しくは[[高等学校理科 物理I]]などを参照。)
 
<!--
静電気の発生については
http://www.sensor.co.jp/seidenki/kagaku/02.html
を参照。
-->
 
====電気回路====
 
金属は空気などの気体と比べて電流を運ぶ性質がとても強いため、適切な方法で金属の導線をを繋ぎ合わせることで、電流の流れる「道」を作ることが出来る。この「道」で電気的な機器(例えば、電池や電球)を繋いだ一セットを[[w:回路]](かいろ、circuit、サーキット)と呼び、回路の要素を記号を使って表した設計図を''回路図''と呼ぶ。回路図は形式が標準化されているので、回路図を見て回路を組み立てたり、逆に作った回路を回路図に表したりということが誰にでも出来る。例えば、[[w:電池]](直流電源)は
:[[画像:直流電源.png]]
と表され、[[w:抵抗]](電流を流れにくくする物体のこと)は
:[[画像:jun_high_sci_electrical_resistance.svg|100px]]
と表される。また、導線は直線で表される。電池には陽極(+極)と陰極(-極)があるが、回路記号では線が長い方が陽極に対応する。実際の電池では突起のある方が陽極である。
 
電池と抵抗だけをつないだ簡単な回路図は
:[[画像:jun_high_sci_simple_circuit.svg]]
で与えられる。回路の中では各点でその点を流れる'''電流'''と'''電圧'''が決まる。
導線などの導体内の電気の流れおよび、その流れている電気の量を'''電流'''(でんりゅう、electric current、エレクトリック・カレント)という。電流の強さの単位は、'''アンペア'''という単位で表す。アンペアの記号は A で表す。
:<math>\frac{1}{1000}</math>Aのことを1ミリアンペアといい、ミリアンペアの単位は[mA]で表す。
 
 
回路に電流を流す、働きの大きさのことを電圧(でんあつ、voltage、ボウルテイヂ)という。一般に[[w:電池]]の電圧は、その電池の中の物質によって定まる。電圧の単位は'''ボルト'''といい、記号はVで表す。(詳しくは[[高等学校化学]]を参照。)
:<math>\frac{1}{1000}</math>Vのことを1ミリボルトといい、ミリボルトの単位は[mV]で表す。
 
:参考
このような電池の電圧を'''起電力'''(きでんりょく、electromotive force, EMF)という。起電力は、電池内の物質の種類によって、一定に定まる。電池内の物質の量には影響されない。物質の種類によって、起電力が定まる。
たとえば、家庭用のマンガン乾電池1個の電圧は1.5Vである。
歴史的には、乾電池の発見と発明によって、一定の電圧で回路に電気を送り続ける定電圧源が人類の手に入るようになり、電圧と電流とを明確に区別することができるようになった。
 
では、'''電池'''や'''電圧'''というのは、そもそも何であろうか?
電池(電源)を省いて回路を作ったとしても何も起こらない。例えば輪っかのようにため池を作っても、エッシャーの滝のように水が急に流れだすことはなく、止まったままである。だが、池に高低差を作って、低い方から高い方へポンプで水を送ってやれば、水は自然と流れだすことになる。このポンプの役割をするのが電池であり、水の高低に対応するのが'''電位'''(でんい)である。また、高低の傾斜をきつくすれば水の流れる勢いも速くなるが、同じように電位の高低差こそが'''電圧'''(でんあつ)の正体である。
 
したがって、電池の両端には、かならず電位差がある。更に、一般に、電池については陽極がより電位の高い方とする。さて、このとき回路図中の2点についてその2点が異なった電位を持っていることが分かる。上の回路中でも電位差があるので電位が高い点から低い点へと電流が流れるが、この際に''電気抵抗''(でんきていこう、resistance、'''レジスタンス''')を通過するため、ここで電圧降下をおこす。電気抵抗は導線と比べて「電気の流れにくい場所」と理解することが出来る。その場所を電流が通ることで熱が発生し、また電流が勢い(=電圧)を失う。このことによって回路中に異なった電位があることと整合的になるのである。ここまでの話では、電圧降下の量が電気抵抗の性質によって変化し、電位の差を埋めるのに十分でなくなるように思えるかも知れない。しかし、このような場合には常に、抵抗の値と合わさってちょうど電位差を埋めるように対応する電流が流れるのである。回路中の電位についてより(詳しくは[[高等学校理科 物理I]]を参照。)
 
電池を2つ縦に並べるようなつなぎ方を、[[w:直列]]接続(ちょくれつせつぞく)と呼ぶ。
:[[画像:直列接続.png]]
 
また、直列に対して電池を横に平行に並べるようなつなぎ方を、[[w:並列]]接続(へいれつせつぞく)と呼ぶ。
:[[画像:並列接続.png]]
 
直列接続を用いると、電池全体の両端に対する電位差は、各々の電池の両端に対する電位差の和になる。一方並列接続では両端の電位差は1つの電池を用いたときの電位差と比べて変化しない。ただし、電池の寿命は、1本だけを用いたときと比べて、並列つなぎに用いた電池の数だけ長くなる。
 
同様にして抵抗の接続の仕方にも直列接続と並列接続がある。このときの全体としての抵抗値を計算することが出来るが、これは[[高等学校物理]]の範囲である。
 
====オームの法則====
 
電流の流れにくさのこと、および、電流をながれにくくする物体のことを抵抗(ていこう、resistance、'''レジスタンス''')という。
流れにくさと、その物体とを区別したい場合には、電流を流れにくくする物体のことを抵抗器(ていこうき)とか抵抗体(ていこうたい)とかと呼んで区別する場合も有る。
本節でも、混同を避けるため、流れにくさのことは抵抗と呼び、物体側は抵抗器あるいは抵抗体と呼ぶことにしよう。
抵抗(電気の流れにくさのほう)の単位は、'''オーム'''(英:ohm、オウム)といい、記号は<math>\Omega</math>で表す。
 
一般に抵抗器の両端で、ある電位差があるときに、抵抗器に流れる電流は
:<math>
E = IR
</math>
で与えられることが知られている。ここで、E[V]は抵抗の両端の電位差で単位[V]は[[w:ボルト]]と読まれる。
 
また、I[A]は抵抗を流れる電流値で、電流の単位[A]は[[w:アンペア]]で与えられる。
 
更に、R[<math>\Omega</math>]は、抵抗の大きさを表わす値であり単位[<math>\Omega</math>]は、[[w:オーム]]と読まれる。
上の式は電圧と電流の関係を表わす式であり発見者の名前にちなんで[[w:オームの法則]]と呼ばれる。オームの法則は実際には一種の近似式であるが、
特に通常の温度では多くの材質に対してオームの法則が成り立つため、よく用いられる。
 
* 問題例
** 問題
抵抗300[<math>\Omega</math>]を持つ電気抵抗に9[V]の電位差を与えたとき、抵抗中を流れる電流は何[A]か。
 
** 解答
オームの法則を用いればよい。E = 9, R = 300を用いると、
:<math>
I = 9 / 300 = 0.03
</math>
を得る。よって流れる電流は0.03[A]である。
 
一般に抵抗の大きさは使われている物質が同じ材質なら用いられている材質が長いと抵抗も大きくなり、材質が細いと大きくなる。また、同じ長さでの抵抗値は
物質によって異なっている。
 
<!--
(
* 注意
物質の電気抵抗は初等的には、電気を運ぶもの(実際には[[w:電子]]だが)が物質の[[w:原子]]に衝突し、運ぶスピードが遅くなることで理解することが
できる。しかし、より複雑な物質では、より詳しい解析が必要になることも多い。
電子、原子については、[[高等学校理科 物理I]]を参照。
)
-->
 
==== 導線の長さと、抵抗の大きさについて ====
導線の太さや長さによって抵抗の大きさは変わる。直感的に、導線が太いほうが電流が流れやすいのは分かるだろう。
実際に電気抵抗は、導線の太さに反比例して、抵抗が小さくなることが、実験的に確認されている。
 
さらに、導線は材質や太さが同じならば、導線が長いほど抵抗が大きくなり、長さに比例して抵抗が大きくなることが、実験的に確認されている。
 
 
 
=== 回路図の図記号 ===
記号はすべてを覚える必要はないが、最低限、固定抵抗器と乾電池、豆電球、スイッチ、電圧計および電流計、接続している交点と接続していない交点との区別、などは覚えてもらいたい。
 
<gallery>
ファイル:固定抵抗器.svg|固定抵抗器
File:Variable resistor as rheostat symbol GOST.svg|可変抵抗器
 
ファイル:電池.svg|電池、直流電源(長い方が正極)
File:Voltage Source (AC).svg|交流電源
 
ファイル:SPST-Switch.svg|スイッチ
 
ファイル:コンデンサ.svg|コンデンサ
File:Inductor h wikisch.svg|コイル
 
File:Symbole amperemetre.png|電流計
File:Symbole voltmetre.png|電圧計
File:Earth Ground.svg|接地
 
File:3wayswitch.svg|3極スイッチ
File:Symbole moteur.png|モータ
 
File:Wire Junction.svg|接続している交点
File:Wire Cross.svg|配線が接続せず、十字状に重なっているだけの場合。
 
File:Symbol Visual indicator1.svg|電球
ファイル:Fuse.svg|ヒューズ
</gallery>
 
 
;電流計や電圧計
電流を測る計器を電流計(でんりゅうけい)という。形状や使い方は、学校教科書などを参考にしてください。
 
電圧を測る計器を電圧計(でんりゅうけい)という。形状や使い方は、学校教科書などを参考にしてください。
 
電流計や電圧計は、つなぎ方を間違えると、故障する場合があります。
 
;陰極線
[[Image:Crookes tube two views.jpg|thumb|300px|陰極線管(上)と、放電のようす]]
放電管に、高い電圧をかけると、回路が導線でつながってなくても電気が流れることがある。このような現象を放電(ほうでん)という。
歴史的には、真空放電管の実験で、マイナス側の陰極から、なにか(これは電子の線である。)が放射されるのが発見された。
なので、陰極から出る電子の線は、'''陰極線'''(いんきょくせん、cathode ray、カソード・レイ)と呼ばれる。
また、この実験から、電子は負の電荷をおびていることが、人類に分かった。
 
(※注意
:陰極線の実験は、高い電圧を用いるので、危険な実験です。なので、学生のかたは、実験をしないほうが良いと思います。)
 
====電流による発熱====
 
ここでは、電流を電熱線に流す実験と、電球に流す実験を行なう。ここでは、電流を流すことで電熱線では発熱が得られ、電球に流すことで光が得られることがわかる。得られる光や発熱の強さは、それらにかける電圧を大きくすることで強くなる。
 
ここで、得られる光や発熱の強さは、電熱線や電球が消費する'''電力'''(でんりょく、electric power)によって定まる。電力は、ある時間当たりに抵抗が消費するエネルギーのことである。電力は
: 電力 = 電圧 * 電流
で与えられ、電力の単位は[W](ワット)である。(詳しくは、[[高等学校理科 物理I]]を参照。)
電力P[W]を式で書けば、
: P[W] = V[V] × I[A]
である。
1000Wのことをキロワットと言い、1kWと表す。
 
:(*参考
オームの法則が成り立つ回路の場合、電流Iについて
:V = RI
が成立ち、電力の式 P=VI に、この V=RI を代入すれば、
: 電力P = VI = <math>I^2 R</math>
が成り立つ。そのため、発する光や発熱は、かける電圧の2乗に比例するはずである。
 
同様に、電力の式 P=VI に、 I=V/R を代入すれば、
: 電力P = VI = <math>\frac{V^2}{R}</math>
となる。なお。以上の式は、あくまでもオームの法則が成り立つ場合での式である。
抵抗に流れる電流による抵抗熱を利用した機器なら、たいていの機器ではオームの法則がなりたつ。
中学の学習で扱う機器なら、ほとんどの電気回路でオームの法則が成り立つので、この結果が成り立つと思って良い。
 
;熱量
電熱を利用して水を熱することを考えよう。1Wの電力を1秒間、加えた時の熱量を1ジュールという。ジュールの単位記号はJなので、1ジュールは式では 1J とあらわす。
電気の発熱量を表す場合は、カロリーではなく、なるべくジュール単位で表すのが一般的である。
 
なお、カロリーとは、水1グラムを1℃上昇させるのに必要な熱量である。
 
ジュールとカロリーとの関係は、およそ
:1cal = 4.18J
である。
 
読者は「カロリーという単位があるのに、なぜ、わざわざジュールという単位をつくったのだろうか?」と疑問を持つかもしれない。その質問に、お答えしよう。
 
ジュールという単位は、力学という物体の運動法則を調べる学問での「仕事」という物理量が元になっているのである。力学で「仕事」という物理量があり、その「仕事」の単位がジュールなのである。
 
:仕事の大きさ(J)=力の大きさ(N) × 力の向きに動いた距離(m)
 
上の式で、Jはジュール。Nはニュートン。mはメートル。
 
詳しくは後のエネルギーに関する節で習う。
 
ここでは、ともかく、電気の発熱量はジュールという単位で表すのが一般的だと知っていただければ良い。
 
;電力量
ジュールという単位は、ワットを基準に考えれば、1Wの電力を1秒間、発熱させた時の熱量だった。
実生活では、30Wの蛍光灯を3時間ほど使用したりと、1Wよりも、もっと大きな電力を、1秒よりも、はるかに長い時間、用いることが多い。
 
電力のワットに、時間(=60分のこと)を掛けた量を'''電力量'''(でんりょくりょう)という。単位はワット時[Wh]とかキロワット時[kWh]である。
 
計算例として、たとえば使用電力が30Wの蛍光灯を3時間ほど用いたら、使用電力量は 30[W]×3[h]=90[Wh] である。
 
 
なお、電力量の単位 Wh の末尾のhは英語のhour(「アワー」、1時間、2時間と言った「時間」の意味。)の略である。
 
===電流の利用===
 
====磁界====
 
磁石に鉄などを近づけると鉄は磁石に引きよせられることが知られている。このような磁石の性質を見るために、[[w:磁界]](じかい)という考え方を用いる。磁界とは磁石の
回りの各々の点にある矢印が張りつき、その矢印によって、その点の近くに鉄などが現われたときにそれらが引きよせられる方向を記述する方法である。
このとき、鉄などが引きよせられる強さは矢印の長さで表わす。
 
 
一般に、ある磁石にはN極とS極があるが、磁界は通常N極からS極に向けて伝っていくように書かれる。磁界は途中で途切れることが無い。
: [[画像:Magnet0873.png|200px|磁界]]
 
;磁力線
磁場の向きが分かるように図示しよう。磁石の作る磁場の方向は、砂に含まれる砂鉄の粉末を磁石に、ちりばめて、ふりかけることで観察できる。
 
{{clear}}
これを図示すると、下図のようになる。(画像素材の確保の都合上、写真と図示とでは、N極とS極が逆になっています。ご容赦ください。学校教科書などで、磁力線(じりょくせん)の図示を確認してください。)
 
[[File:VFPt cylindrical magnet.svg|thumb|left|300px|磁力線の図示]]
 
このような磁界の図を'''磁力線'''(じりょくせん)という。磁力線の向きは、磁石のN極から磁力線が出て、S極に磁力線が吸収されると定義される。棒磁石では、磁力の発生源となる場所が、棒磁石の両端の先端付近に集中する。そこで、棒磁石の両端の先端付近を'''磁極'''(じきょく、magnetic pole)という。
 
磁力線の向きを、どうやって確認するかというと、方位磁針(ほういじしん、compass)を用いればいい。その場所の方位磁針の向きが、その場所での磁力線の向きである。
 
永久磁石が作る磁力線を図示する場合は、N極から力線が出て、S極で磁力線が吸収されるように書く。磁力線は、磁界を図示したものなので、磁極以外の場所では、磁力線が分岐することはない。N極以外の場所では磁力線が生成することもなく、S極以外の場所で磁力線が消滅することもない。
 
また、磁力線が交わったりしてはいけないし、枝分かれもしてはいけない。もし、交わらして磁力線を書くと、その場所での方位磁針の向きが2通りあることになり、不合理な図となる。
 
{{clear}}
 
==== 磁化 ====
鉄やコバルトやニッケルに磁石を近づけると、磁石に吸い付けられる。また、鉄やコバルトやニッケルに永久磁石などで強い磁力を与えると、鉄などから磁石を遠ざけても、鉄やコバルトやニッケルそのものが磁場を周囲に及ぼすようになる。 このような、もともとは磁場を持たなかった物体が、強い磁場を受けたことによって磁場を及ぼすようになる現象を'''磁化'''(じか、magnetization)という。
 
また、'''鉄'''(英:iron)と'''コバルト'''(英:cobalt)と'''ニッケル'''(英:nickel)は、磁化されることのできる金属であり、このような磁化される物質を'''磁性体'''(じせいたい)という。
 
必ずしも、すべての金属が磁性体とは限らない。たとえば、銅は磁化されないので磁性体ではない。
また、金属以外の物質は、一般に磁化はされず、したがって金属以外の物質は磁性体ではないのが一般である。
 
<!--
銅は、正確に言うと、反磁性体であって非磁性体とは違うが、初めて磁化を習うかもしれない中学生に、そこまで教えるのは困難だと思うので、銅を非磁性体として扱いました。
-->
 
磁化された鉄などは、べつに永久磁石ではないので、反対方向から磁化すれば磁気が打ち消されて磁化が消える。また、外界との磁界との相互作用などで、磁化された鉄などの磁力は、自然に磁化が消失していく。
 
 
===== 電流の作る磁界 =====
: [[File:junior_high_sci_magnetic_field.png|left]]
電流は、その周囲に磁界を作る。これは方位磁針を電気回路の近くに置くことで確認できる。
 
;右ねじの法則
直線電流がつくる磁界の向きは、電流の向きに右ねじを進めるときに、右ねじを回す向きである。この電流と磁界の向きとの関係を'''右ねじの法則'''とか、あるいは'''アンペールの法則'''(Ampère's circuital law)と言う。
 
コイルのような曲線部を持つ回路が作る磁界の向きも、回路の各部分の電流が右ねじの法則に従って、磁界を作っている。
 
電流の周りに生じる磁界の強さは電流の強さと導線からの距離だけで決まることが知られている。(しかし、ここでは具体的にその強さを求めることはしない。詳しくは[[高等学校理科 物理I]]などを参照。)
 
;ソレノイドコイルの磁界
導線を棒状のものにまきつけて、ある一定の長さにしたものを、[[w:コイル]]と呼ぶ。電気回路用のコイルについてはソレノイド(Solenoid)またはソレノイドコイルと呼ぶ場合が多い。コイルに電流を流したときにも磁石のときに見たような磁界が流れることが知られている。
: [[画像:Basic Inductor with B-field.svg|200px|コイル内の磁界]]
 
磁界の向きは、方位磁針で確認できる。
 
 
<!--
*発展
磁界は目に見えず、手に触れることも出来ないため、どのような性質のものなのか理解しづらい。実際には磁界は[[w:光]]が磁石の間を飛び回るような理由で磁石の間に力を働かせている。ここではそれらの詳細については述べない。[[電磁気学]]などを参照。
 
(
*注意
磁石から生じる磁界と電流を流した導線の回りの磁界とは関連しあっているが、その関係はそれ程簡単ではない。[[電磁気学]]などを参照。
)
-->
 
 
===== 電磁石 =====
電気回路に電流を流すと磁力が発生するのだった。この電流が作る磁界を、永久磁石の代わりに磁力の発生源として利用したものが'''電磁石'''(でんじしゃく、electromagnet)である。
 
実際の電磁石では、磁力を強めるために、コイルのソレノイド部分に鉄の棒を収める構造になっている。鉄芯が磁化させることで、磁力を強めている。
 
 
 
====電磁誘導と誘導電流====
[[File:Lorentzkraft-graphic-part2.PNG|thumb|磁界中で導線に働く力の向き。<br>電流の向きIから磁力線の向きBに右ねじを回した向きが、導線に働く力Fの向き。]]
 
[[File:Lorentzkraft-graphic-part1.PNG|thumb|磁界中でプラスの電気を帯びた粒子に働く向き。粒子で考えた場合。<br>速度vから磁力線の向きBに右ねじを回した向きが、粒子に働く力Fの向き。]]
 
ここでは、磁界の中に電流を流したときに起こる現象について述べる。磁石を使って生じる磁界の中に、導線を通し、その導線に電流を流してみる。このとき、電流を流す導線は、電流の向きと磁界の向きによって定まるある方向に力を受ける。この力の向きは、電流の向きを反対にすると導線に働く力の向きも反対になり、磁界の向きを反対にすると導線に働く力の向きも反対になる。
 
また、導線に働く力の向きは電流の向きと磁界の向きの両方に直交する。(詳しくは。[[w:フレミングの法則]]、[[高等学校理科 物理I]]などを参照。)
 
<!--
指導要領には、'レンツの法則、フレミングの法則は扱わないこと。'と明記されているので、ここでは扱わない。
-->
 
次に、コイルを置き、その回りで磁石を動かす実験を行なってみる。ただし、コイルの両端には電圧計を接続し、コイルに流れる電流の電圧を測定するものとする。この実験では、コイルの回りで磁石を動かしたときに、コイルの中に電流が流れるという結果が得られるはずである。流れる電流の大きさは、磁石を動かす速度に比例し、また、磁石の作りだす磁界の強さに比例する。例えコイルの中を磁石からの磁界が横切っていても、磁石が静止しているときには、コイルの中を電流が流れることはない。電流が生じるのは磁石を動かしたときだけである。
 
<!--
この現象は一見非常に不思議に見えるが、より進んだ理論ではこのことが正当化されることを付け加えておく。[[電磁気学]]などを参照。
-->
 
* 注意
実際には流れる電流の向きも定まっており、その電流によってコイルの回りに生じる磁界が磁石によって生じた磁界を打ち消すように電流が流れる。(詳しくは[[w:レンツの法則]]、[[高等学校理科 物理I]]を参照。)
 
導線のある場所の磁力が弱まると、その磁界の変化を妨げる方向に電流が流れる。たとえば、仮にソレノイドコイルに永久磁石を近づけた時に右回りに電流が流れたとしよう。すると、このソレノイドコイルから永久磁石を遠ざけると、今度は反対向きである左回りに電流が流れることになるのである。このような現象を[[w:電磁誘導]](でんじゆうどう、electromagnetic induction)と呼び、磁石の動きによって生じた電流を[[w:誘導電流]](ゆうどうでんりゅう、induced current)と呼ぶ。
 
電磁誘導で電流が流れるのは、磁力が変化している間のみである。永久磁石をコイルから遠いところからコイルに近づけたら、その磁石を動かしている間は電流が流れる。しかし、近づけおわった状態で磁石を固定していても誘導電流は流れない。
 
誘導電流の向きは、誘導電流の作る磁界が、磁石の場所の変化による磁界の変化を妨げる向きである。たとえば磁石を近づけた場合は、誘導電流の磁界の向きは、その磁石の磁力に反発する向きであり、実際に磁石は反発力を受け、回路から磁石の移動を妨害される力を受ける。
同様に、磁石を遠ざけている間の誘導電流の向きは、磁力を強める向きであり、実際に磁石は吸引力を受け、回路から磁石の移動を妨害される力を受ける。
 
このように、磁界が変化している間のみ、誘導電流が流れる。また、その誘導電流の向きは磁界の変化を妨げる向きである。
これを'''レンツの法則'''(Lenz's law)という。
 
現在の火力発電や水力発電の[[w:発電所]]でも同じ原理を用いて発電を行なっている。火力発電では磁界の中で蒸気を用いて[[w:タービン]]をまわし、それによって誘導電流を発生させるのである。
 
 
== 化学変化と原子、分子 ==
ここでは物質の性質が保たれる最小の単位が[[w:分子]]であることを説明し、それらは個々の分子の性質をうまく扱うことで他の分子に変化させられることを説明する。また、具体的に分子の組成や[[w:化学変化]]の過程を記述する方法として、[[w:化学式]](chemical formula)と[[w:化学反応式]](chemical equation)を導入する。
 
=== 物質の成り立ち ===
==== 物質の分解 ====
炭酸水素ナトリウムを加熱すると二酸化炭素と水が発生し、加熱後の物質は炭酸ナトリウムになる。また、酸化銀を加熱すると酸素が発生し、加熱後の物質は銀になる。
 
もとの物質とは異なる性質を持った物質ができる変化を'''化学変化'''(かがくへんか、chemical change)または'''化学反応'''(かがくはんのう、chemical reaction)といい、1種類の物質から2種類以上の物質に分かれる化学変化を'''分解'''という。
 
 
電気を通すことによって物質を分解することを'''電気分解'''(でんきぶんかい、electrolysis、エレクトロシス)という。
 
水を電気分解すると、+極には酸素、-極には水素が発生する。発生した水素の体積は酸素の2倍である。水は水素と酸素に分解できる。
 
塩化銅水溶液を電気分解すると、+極には塩素が発生し、-極には銅が付着する。塩化銅は塩素と銅に分解できる。
 
==== 原子と分子の記述 ====
各々の物質はそれぞれ異なる性質を持っている。後に実験で様々な気体を扱うが、これらはどれも性質が違う。例えば気体の重さや水に対する反応、気体の発生法などがこれらの例である。これらの性質の違いは物質を形作る構成物の性質の違いにさかのぼることができる。物質がその性質を持つ最小の単位を[[w:分子]](ぶんし)と呼ぶ。例えば、水の分子と酸素の分子は異なった性質を持っている。例えば、水の分子は水の分子同士でお互いに引き合う性質を持っており、このことが原因で水の融点や沸点は酸素と比べて高くなる。
 
<!--
このことについて詳しくは下の発展を参照。
*発展 水の分子内分極
水分子は電気的性質が大きく違う原子によって構成されているため、分子内で分極が起こっている。そのため水分子はお互いに電気的に引き合う。
-->
 
分子は物質の性質を持つ最小単位であるが、分子自身もいくつかの原子が組み合わさることで構成されている。同じ分子が常に同じ性質を持つのと違い、原子は他の原子との組み合わせで分子を作り、各々の分子はそれぞれ異なった性質を持つ。また、同じ原子からできていても、原子の配置によって異なった性質を示す分子ができる場合もある。そのため、ある分子がどの原子で構成されているかを知るだけでは、物質の性質を予測することはできない。また、反対にある分子がどのような原子でできているかを調べるには、物質ごとの特別な手段を用いる必要がある。ここでは既に性質がよく知られている分子だけを扱うが、分子の性質を調べる手法を知ることが重要である。
 
ここまでで、各々の分子がいくつかの原子からなっていることを説明した。このとき、ある分子がどの原子で構成されているかを述べるために、それぞれの原子にわかりやすい名前をつけておくことが望ましい。実際にはそれぞれの原子にはラテンアルファベット1文字か2文字で書ける記号がつけられており、分子の構成を記述するためにはその記号を用いる。この記号は[[w:元素記号]]と呼ばれる。ここで、よく知られている原子の元素記号を列記しておく。
 
;元素記号
* 水素 H
* 酸素 O
* 窒素(ちっそ) N
* 炭素 C
* 塩素 Cl
* 鉄 Fe
* マグネシウム Mg
* ナトリウム Na
* 銅 Cu
* 銀 Ag
* 銀 Au
など。
 
他にも様々な元素があり、それらは[[w:周期表]]などにまとめられている。周期表はそれぞれの元素をある順序に従って並べたものである。周期表の、その仕組みについて、今の段階では詳しくは述べない。(詳しくは[[高等学校化学]]を参照。)
 
;元素記号の由来
(中学では、語源までは暗記する必要はない。)
なお、元素記号の文字の由来は、おもにラテン語あるいはラテン語由来の英語やフランス語、ドイツ語などで表した場合の頭文字である。たとえば水素はラテン語で「hydrogenium」(ヒュドロゲニウム)と言い、英語では「hydrogen」(ハイドロジェン)と言い、それらの頭文字の h を大文字にして、Hという元素記号が水素に付けられた。
 
(水素「hydrogenium」などのラテン語の表記に関しては、中学では覚える必要はない。)
 
酸素の元素記号Oも、ラテン語の酸素 oxygenium(オキシゲニウム) などが語源である。英語では酸素は、
 
ラテン語由来の元素記号は、ナトリウムが分かりやすい例で、ラテン語ではnatrium(発音もナトリウム)といい、ラテン語の発音が、日本での発音とほとんど同じである。いっぽう英語ではナトリウムのことをsodium(ソウディウム)と言い、まったく違う発音である。なお、英語での表記は、ナトリウム化合物を日本語でソーダ(飲料水の「ソーダ水」とは別物。)と言うことなどに影響を残してる。
カリウムKも、英語ではpotassium(ポタシウム)と、まったく元素記号とは別の発音である。ラテン語ではカリウムはkalium(カリウム)と、元素名そのままである。
 
このように、必ずしも英語の発音に元素記号が近いとは限らない。原則的に、元素記号の表記と、元素名の発音は、ラテン語を語源としている。
 
銀のAgもラテン語の銀 argentum(アルゲントゥム) が語源である。英語の銀のsilverとは、まったくつづりも発音も異なる。
金のAuもラテン語の金 aurum(アウラム)が語源である。
 
 
ともかく、元素記号には、きちんとした根拠があるので、安心して元素記号を覚えてもらいたい。
 
また、化学の元素記号は世界共通である。たとえば水素だったら、どこの国でも水素の元素記号は H である。
 
;分子
分子は、原子の組み合わせでできている。実際には分子の構成を記述するためにもこれらの名称が用いられる。このような分子の記述法を[[w:化学式]]と呼ぶ。ある分子の化学式を書くためには、その分子がどのような原子から構成されているかを把握している必要がある。また、化学式から分子の構成を読み取ることもできる。ただし、化学式からは分子の構成以上の情報は読み取れない。
 
例えば、気体の実験で用いる水素(水素分子)は、2つの水素原子からなっている。この分子の化学式は、
:<math>\mathrm
H_2
</math>
上の例は水素分子である。
 
ここで、Hは水素原子の元素記号であり、Hの右下に書かれた添字の2はそれが2つあることを表す。また、水素分子の例にあるように、分子中の原子の数は対応する元素記号の右下に小さい文字でつけるのが書き方である。
 
次に、よく知られた代表的な物質の化学式を書き記す。
 
 
* 水(みず) H<sub>2</sub>O
* 氷(こおり) H<sub>2</sub>O
* 酸素(気体の場合) O<sub>2</sub>
* 窒素 (気体の場合) N<sub>2</sub>
* 炭素 C
* 二酸化炭素 CO<sub>2</sub>
* 鉄 Fe
* 塩化水素(= 塩酸の溶質のこと) HCl
* 食塩 NaCl
* 二酸化マンガン MnO<sub>2</sub>
* 水酸化ナトリウム NaOH
 
<gallery>
Image:Dioxygen-3D-vdW.png|酸素分子のモデル
ファイル:Water molecule 3D.svg|水のモデル
Image:Carbon-dioxide-3D-vdW.svg|二酸化炭素のモデル
File:Hydrogen-chloride-3D-vdW-labelled.png|塩化水素(塩酸の溶質)のモデル
</gallery>
 
ここで、他の気体についても化学式をまとめておく。
:# 酸素(酸素分子) <math>\rm O_2</math>
:# 窒素(窒素分子) <math>\rm N_2</math>
:# アンモニア <math>\rm NH_3</math>
:# 二酸化炭素 <math>\rm CO_2</math>
 
ここで、水素や酸素のように単一の原子でできている分子を[[w:単体]](たんたい)と呼ぶ。また、アンモニアや二酸化炭素のように複数の原子からできている分子を、[[w:化合物]](かごうぶつ)と呼ぶ。
 
 
(*発展 周期表の順序
各々の原子は実は物の最小単位では無く、原子はそれぞれ[[w:原子核]](げんしかく)と[[w:電子]](でんし)から構成されている。実際には原子核もいくつかの[[w:中性子]](ちゅうせいし)と[[w:陽子]](ようし)から構成されているのである。個々の原子の違いはその原子の原子核が含む陽子の数と中性子の数によって決まるが、このうち原子の電気的な性質は陽子の数で決まる。周期表はその原子の原子核中の陽子の数によって元素を並べている。例えば、水素原子は陽子を1つ含むので1番目であり、酸素は8個含むので8番目である。また、周期表には各行で原子の数がまちまちだが、これにも理由がある。(これについては[[高等学校化学]]、[[w:遷移元素]]などを参照。)
 
====周期表====
中学の範囲において、この表の''全て''を記憶する必要は'''ない'''が、原子番号1番から20番までの20個を最低限は覚えておくとよい。
また、カリウムK、カルシウムCa、マンガンMn、鉄Fe、銅Cu、銀Ag、ヨウ素I(大文字のアイ。)、金Au、などを覚えておくと良いだろう。
なお、原子番号113番以降の元素には正式名称がついておらず、現在の記号・名称は暫定的なものである。
 
* 第1周期…H:水素 He:ヘリウム
* 第2周期…Li:リチウム Be:ベリリウム B:ホウ素 C:炭素 N:窒素 O:酸素 F:フッ素 Ne:ネオン
* 第3周期…Na:ナトリウム Mg:マグネシウム Al:アルミニウム Si:ケイ素 P:リン S:硫黄 Cl:塩素 Ar:アルゴン
* 第4周期…K:カリウム Ca:カルシウム
 
;周期表
{| border="0" cellspacing="1" cellpadding="0"
|-align="center"
!valign="bottom" width="60"|1
|width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"|
|width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"|
|width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"|
|width="60"| ||width="60"| ||width="60"| ||width="60"|
!width="60"|18
|-align="center"
|style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|1<br/>[[w:水素|'''H''']]<br/>水素
!valign="bottom"|2
| || || || || || || || || ||
!valign="bottom"|13
!valign="bottom"|14
!valign="bottom"|15
!valign="bottom"|16
!valign="bottom"|17
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|2<br/>[[w:ヘリウム|'''He''']]<br/><small>ヘリウム</small>
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|3<br/>[[w:リチウム|'''Li''']]<br/><small>リチウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|4<br/>[[w:ベリリウム|'''Be''']]<br/><small>ベリリウム</small>
| || || || || || || || || ||
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|5<br/>[[w:ホウ素|'''B''']]<br/>ホウ素
|style="border:solid #999 2px"|6<br/>[[w:炭素|'''C''']]<br/>炭素
|style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|7<br/>[[w:窒素|'''N''']]<br/>窒素
|style="border:solid #999 2px;color:#3f3"|8<br/>[[w:酸素|'''O''']]<br/>酸素
|style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|9<br/>[[w:フッ素|'''F''']]<br/>フッ素
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|10<br/>[[w:ネオン|'''Ne''']]<br/>ネオン
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|11<br/>[[w:ナトリウム|'''Na''']]<br/><small>ナトリウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|12<br/>[[w:マグネシウム|'''Mg''']]<br/><small>マグネシウム</small>
!valign="bottom"|3
!valign="bottom"|4
!valign="bottom"|5
!valign="bottom"|6
!valign="bottom"|7
!valign="bottom"|8
!valign="bottom"|9
!valign="bottom"|10
!valign="bottom"|11
!valign="bottom"|12
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|13<br/>[[w:アルミニウム|'''Al''']]<br/><small>アルミニウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|14<br/>[[w:ケイ素|'''Si''']]<br/>ケイ素
|style="border:solid #999 2px"|15<br/>[[w:リン|'''P''']]<br/>リン
|style="border:solid #999 2px"|16<br/>[[w:硫黄|'''S''']]<br/>硫黄
|style="border:solid #09f 2px;color:#3f3"|17<br/>[[w:塩素|'''Cl''']]<br/>塩素
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|18<br/>[[w:アルゴン|'''Ar''']]<br/>アルゴン
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|19<br/>[[w:カリウム|'''K''']]<br/>カリウム<small></small>
|style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|20<br/>[[w:カルシウム|'''Ca''']]<br/><small>カルシウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|21<br/>[[w:スカンジウム|'''Sc''']]<br/><small>スカンジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|22<br/>[[w:チタン|'''Ti''']]<br/>チタン
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|23<br/>[[w:バナジウム|'''V''']]<br/><small>バナジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|24<br/>[[w:クロム|'''Cr''']]<br/>クロム
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|25<br/>[[w:マンガン|'''Mn''']]<br/><small>マンガン</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|26<br/>[[w:鉄|'''Fe''']]<br/>鉄
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|27<br/>[[w:コバルト|'''Co''']]<br/><small>コバルト</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|28<br/>[[w:ニッケル|'''Ni''']]<br/><small>ニッケル</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|29<br/>[[w:銅|'''Cu''']]<br/>銅
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|30<br/>[[w:亜鉛|'''Zn''']]<br/>亜鉛
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|31<br/>[[w:ガリウム|'''Ga''']]<br/><small>ガリウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|32<br/>[[w:ゲルマニウム|'''Ge''']]<br/><small>ゲルマニウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|33<br/>[[w:ヒ素|'''As''']]<br/>ヒ素
|style="border:solid #999 2px"|34<br/>[[w:セレン|'''Se''']]<br/>セレン
|style="border:solid #09f 2px;color:#f33"|35<br/>[[w:臭素|'''Br''']]<br/>臭素
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|36<br/>[[w:クリプトン|'''Kr''']]<br/><small>クリプトン</small>
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|37<br/>[[w:ルビジウム|'''Rb''']]<br/><small>ルビジウム</small>
|style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|38<br/>[[w:ストロンチウム|'''Sr''']]<br/><small>ストロンチウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|39<br/>[[w:イットリウム|'''Y''']]<br/><small>イットリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|40<br/>[[w:ジルコニウム|'''Zr''']]<br/><small>ジルコニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|41<br/>[[w:ニオブ|'''Nb''']]<br/><small>ニオブ</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|42<br/>[[w:モリブデン|'''Mo''']]<br/><small>モリブデン</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|43<br/>[[w:テクネチウム|'''Tc''']]<br/><small>テクネチウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|44<br/>[[w:ルテニウム|'''Ru''']]<br/><small>ルテニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|45<br/>[[w:ロジウム|'''Rh''']]<br/><small>ロジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|46<br/>[[w:パラジウム|'''Pd''']]<br/><small>パラジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|47<br/>[[w:銀|'''Ag''']]<br/>銀
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|48<br/>[[w:カドミウム|'''Cd''']]<br/><small>カドミウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|49<br/>[[w:インジウム|'''In''']]<br/><small>インジウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|50<br/>[[w:スズ|'''Sn''']]<br/>スズ
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|51<br/>[[w:アンチモン|'''Sb''']]<br/><small>アンチモン</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|52<br/>[[w:テルル|'''Te''']]<br/>テルル
|style="border:solid #09f 2px"|53<br/>[[w:ヨウ素|'''I''']]<br/>ヨウ素
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|54<br/>[[w:キセノン|'''Xe''']]<br/><small>キセノン</small>
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|55<br/>[[w:セシウム|'''Cs''']]<br/><small>セシウム</small>
|style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|56<br/>[[w:バリウム|'''Ba''']]<br/><small>バリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*1</small><br/><small>ランタノイド</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|72<br/>[[w:ハフニウム|'''Hf''']]<br/><small>ハフニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|73<br/>[[w:タンタル|'''Ta''']]<br/><small>タンタル</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|74<br/>[[w:タングステン|'''W''']]<br/><small>タングステン</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|75<br/>[[w:レニウム|'''Re''']]<br/><small>レニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|76<br/>[[w:オスミウム|'''Os''']]<br/><small>オスミウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|77<br/>[[w:イリジウム|'''Ir''']]<br/><small>イリジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|78<br/>[[w:白金|'''Pt''']]<br/>白金
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|79<br/>[[w:金|'''Au''']]<br/>金
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff;color:#f33"|80<br/>[[w:水銀|'''Hg''']]<br/>水銀
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|81<br/>[[w:タリウム|'''Tl''']]<br/>タリウム
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|82<br/>[[w:鉛|'''Pb''']]<br/>鉛
|style="border:solid #999 2px;background:#f0f0ff"|83<br/>[[w:ビスマス|'''Bi''']]<br/><small>ビスマス</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ccffff"|84<br/>[[w:ポロニウム|'''Po''']]<br/><small>ポロニウム</small>
|style="border:solid #09f 2px"|85<br/>[[w:アスタチン|'''At''']]<br/><small>アスタチン</small>
|style="border:solid #0f9 2px;color:#3f3"|86<br/>[[w:ラドン|'''Rn''']]<br/><small>ラドン</small>
|-align="center"
|style="border:solid #f90 2px;background:#f0f0ff"|87<br/>[[w:フランシウム|'''Fr''']]<br/><small>フランシウム</small>
|style="border:solid #9f0 2px;background:#f0f0ff"|88<br/>[[w:ラジウム|'''Ra''']]<br/><small>ラジウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff;color:red"|<small>*2</small><br/><small>アクチノイド</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|104<br/>[[w:ラザホージウム|'''Rf''']]<br/><small>ラザホージウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|105<br/>[[w:ドブニウム|'''Db''']]<br/><small>ドブニウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|106<br/>[[w:シーボーギウム|'''Sg''']]<br/><small>シーボーギウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|107<br/>[[w:ボーリウム|'''Bh''']]<br/><small>ボーリウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|108<br/>[[w:ハッシウム|'''Hs''']]<br/><small>ハッシウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|109<br/>[[w:マイトネリウム|'''Mt''']]<br/><small>マイトネリウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|110<br/>[[w:ダームスタチウム|'''Ds''']]<br/><small>ダームスタチウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|111<br/>[[w:レントゲニウム|'''Rg''']]<br/><small>レントゲニウム</small>
|style="border:solid #999 2px;background:#ffffcc"|112<br/>[[w:コペルニシウム|'''Cn''']]<br/><small>コペルニシウム</small>
|-
|&nbsp;
|-align="center"
|colspan="3" align="right"|<small><font color="red">*1</font> [[w:ランタノイド|ランタノイド]]: </small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|57<br/>[[w:ランタン|'''La''']]<br/><small>ランタン</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|58<br/>[[w:セリウム|'''Ce''']]<br/><small>セリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|59<br/>[[w:プラセオジム|'''Pr''']]<br/><small>プラセオジム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|60<br/>[[w:ネオジム|'''Nd''']]<br/><small>ネオジム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|61<br/>[[w:プロメチウム|'''Pm''']]<br/><small>プロメチウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|62<br/>[[w:サマリウム|'''Sm''']]<br/><small>サマリウム</small>
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|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|64<br/>[[w:ガドリニウム|'''Gd''']]<br/><small>ガドリニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|65<br/>[[w:テルビウム|'''Tb''']]<br/><small>テルビウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|66<br/>[[w:ジスプロシウム|'''Dy''']]<br/><small>ジスプロシウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|67<br/>[[w:ホルミウム|'''Ho''']]<br/><small>ホルミウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|68<br/>[[w:エルビウム|'''Er''']]<br/><small>エルビウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|69<br/>[[w:ツリウム|'''Tm''']]<br/><small>ツリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|70<br/>[[w:イッテルビウム|'''Yb''']]<br/><small>イッテルビウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|71<br/>[[w:ルテチウム|'''Lu''']]<br/><small>ルテチウム</small>
|-align="center"
|colspan="3" align="right"|<small><font color="red">*2</font> [[w:アクチノイド|アクチノイド]]: </small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|89<br/>[[w:アクチニウム|'''Ac''']]<br/><small>アクチニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|90<br/>[[w:トリウム|'''Th''']]<br/><small>トリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|91<br/>[[w:プロトアクチニウム|'''Pa''']]<br/><small>プロトアクチニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#f0f0ff"|92<br/>[[w:ウラン|'''U''']]<br/>ウラン
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|93<br/>[[w:ネプツニウム|'''Np''']]<br/><small>ネプツニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|94<br/>[[w:プルトニウム|'''Pu''']]<br/><small>プルトニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|95<br/>[[w:アメリシウム|'''Am''']]<br/><small>アメリシウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|96<br/>[[w:キュリウム|'''Cm''']]<br/><small>キュリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|97<br/>[[w:バークリウム|'''Bk''']]<br/><small>バークリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|98<br/>[[w:カリホルニウム|'''Cf''']]<br/><small>カリホルニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|99<br/>[[w:アインスタイニウム|'''Es''']]<br/><small>アインスタイニウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|100<br/>[[w:フェルミウム|'''Fm''']]<br/><small>フェルミウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|101<br/>[[w:メンデレビウム|'''Md''']]<br/><small>メンデレビウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|102<br/>[[w:ノーベリウム|'''No''']]<br/><small>ノーベリウム</small>
|style="border:solid #00f 2px;background:#ffffcc"|103<br/>[[w:ローレンシウム|'''Lr''']]<br/><small>ローレンシウム</small>
|&nbsp;
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|colspan="18" align="right"|
{| border="0" cellspacing="4" cellpadding="0" style="margin-left:auto;text-align:left"
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|style="border:solid #999 1px;"|&nbsp;1&nbsp;||常温で[[w:固体|固体]]
|width="32"|&nbsp;
|style="border:solid #999 1px;background:#f0f0ff"|&nbsp; &nbsp;||[[w:金属元素|金属元素]]
|width="32"|&nbsp;
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|&nbsp;
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|&nbsp;
|style="border:solid #9f0 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:アルカリ土類金属|アルカリ土類金属]]
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|&nbsp;
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|&nbsp;
|style="border:solid #09f 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:ハロゲン|ハロゲン]]
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|&nbsp;
|style="border:solid #999 1px;background:#ffffcc"|&nbsp; &nbsp;||[[w:人工元素|人工元素]]
|&nbsp;
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|style="border:solid #00f 2px"|&nbsp; &nbsp;||[[w:遷移元素|遷移元素]]
|}
|}
 
 
===化学変化と物質の質量===
====物質の化合====
鉄(てつ)と硫黄(いおう)の混合物を加熱すると硫化鉄(りゅうかてつ)ができる。また、銅と硫黄の混合物を加熱すると硫化銅ができる。
 
このように、2種類以上の物質が結びついてもとの物質と違う別の1種類の物質ができる化学変化を'''化合'''(かごう)という。化合した物質を 化合物(かごうぶつ、chemical compound) という。
 
 
銅の粉末を加熱すると、銅が空気中の酸素と化合して酸化銅(さんかどう)ができる。酸化銅は、銅と酸素の化合物である。また、炭素を加熱すると、炭素が空気中の酸素と化合して酸化銅ができる。
 
====化学反応式====
既にいくつかの場合に、複数の物質が反応し別の物質を作る過程を見てきた。ただし、一口に反応といってもその種類は様々であり、熱を発する物や、複数の物質を生じる物があることには注意が必要である。扱った過程の中には、いくつかの分子から別の分子を生じる過程もあった。例えば、過酸化水素水から水と酸素が生じる反応はこの例である。これらの反応は、どれも分子と分子の反応であり、反応の中で個々の原子が変化することはない。この理由については下の発展を参照。
 
* 発展 原子核が変化する反応
一般に、通常では原子核は変化しないが、とても大きなエネルギーを加えた場合には変化させることも可能である。このような原子が他の原子に変化する反応は[[w:核反応]](かくはんのう)と呼ばれ、一般にここで扱う反応より高いエネルギーが必要になる。ただし、元々不安定な元素は、勝手に原子核中の中性子が崩壊し、他の元素に変化する場合がある。(詳しくは、[[w:ベータ崩壊]]などを参照。)
次に述べる化学反応は、核反応とは異なるので混同しないように注意のこと。
 
それぞれの分子を化学式で記述する方法を既に学んだ。同じように反応の過程も化学式と似た記号で記述できると便利である。このような記述法を[[w:化学反応式]](かがくはんのうしき、chemical equation)と呼ぶ。化学反応式は化学反応を記述するための一般的な方法だが、反応の詳細(例えば、熱を発するかどうかや反応が進む速度)については記述できないことに注意が必要である。
 
化学反応式を書くときには真ん中に矢印を書き、左側に反応前の物質の化学式を書き、右側に反応前の物質の化学式を書く。また、複数の物質があるときにはその間に+記号を置く。例えば、上であげた過酸化水素水が水と酸素に分解する反応は次のようになる。
:<math>\rm 2H_2O_2 \rightarrow 2H_2O + O_2</math>
 
ここで、それぞれの分子の化学式の前の数字は、反応に関わる分子の数を表す。上の反応では2つの過酸化水素水分子に対して2つの水分子と1つの酸素分子が生じる。このとき全体に定数をかけても関係は変わらないが、それぞれの定数が公約数1を持つ整数に取る必要がある。
 
反応中で原子が変化しないことから、式の左辺と右辺で分子の数は変化しない。上の例では、左辺でも右辺でもHが4つと、Oが4つ存在する。
 
====化学変化と質量====
塩酸と石灰石を反応させると、二酸化炭素が発生される。密閉されていない容器の中で反応させると、発生した二酸化炭素は空気中に逃げていき、反応前後の質量を比べると、質量が減少する。
 
密閉された容器の中で反応させると、発生した二酸化炭素は空気中に逃げていかないため、反応前後の質量は変化しない。
 
化学変化の前後で、その変化に関係している物質全体の質量は変わらない。これを'''質量保存の法則'''(しつりょうほぞんのほうそく、law of conservation of mass)という。
 
 
金属を熱したとき、化合した酸素の分だけ質量が増える。しかし、たとえ酸素がじゅうぶんに存在しても、一定量の金属に化合する酸素の質量には限界がある。また、金属の質量と化合した酸素の量の質量の間には比例の関係がある。
 
化合する物質の質量の比は一定である。これを'''定比例の法則'''(ていひれいのほうそく、law of definite proportions)という。例えば、銅の質量と酸素の質量との比はつねに<math>4:1</math>であり、マグネシウムの質量と酸素の質量との比はつねに<math>3:2</math>である。
 
 
=== 酸化と還元 ===
 
==== 酸化 ====
燃焼(ねんしょう、combustion、コンバスチョン)とは、化学反応により発熱現象が激しく進行することである。発熱の際に発光を伴うことも多い。
 
可燃物は、酸素との反応で燃焼をする。
(燃焼とは、必ずしも酸素との反応だけでなく、フッ素と反応して燃焼することもある。中学レベルでの燃焼は、酸素との化合による燃焼を扱う。)
 
物質が酸素と化合することを'''酸化'''(さんか、oxidation、オキシデイション)という。
 
;鉄の燃焼
繊維上の鉄を スチールウール(steel wool) という。色は銀白色である。スチールウールは表面積が大きいので、火であぶると燃焼しやすい。
 
スチールウールを酸素中で熱すると、激しく反応し、酸素と化合し燃焼する。スチールウールを燃やすと、'''酸化鉄'''(さんかてつ、iron oxides)になる。この酸化鉄の重さは、スチールウールよりも重い。この重さの増加は、酸素が化合して質量が増加したためである。
 
質量を測るには、天びんを用いれば良い。反応前に、あらかじめスチールウールの質量を測定しておいて、反応後の酸化鉄の質量も同様に測定すれば良い。
 
 
酸化鉄にはいくつかの種類がありFe<sub>3</sub>O<sub>4</sub>やFe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>やFeOなどがある。スチールウールの燃焼実験ではこれらの物が混在する。
 
スチールウールの燃焼実験での、燃焼後のスチールウールの外側の表面成分はFe3O4が多い事が多いので、これをスチールウールの燃焼反応における酸化鉄の化学式として採用することが多い。
 
燃焼前のスチールウールは鉄なので磁石につくが、酸化鉄は磁石につかなくなる。
 
 
燃焼前のスチールウールは、薄い塩酸にいれると、泡が発生し、また、スチールウールが溶ける。このときの発生した泡は水素である。
 
鉄 + 塩酸 → 塩化鉄 + 水素
:Fe + 2HCl→FeCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>
 
いっぽう、燃焼後の酸化鉄を薄い塩酸に入れても、泡は発生せず、水素は発生しない。ただし、塩酸と反応しないわけではなく、塩化鉄が生成する。
 
酸化鉄 + 塩酸 → 塩化鉄 + 水
:FeO + 2HCl → FeCl<sub>2</sub> + H<sub>2</sub>O
 
 
木材などの炭素を含む有機物は、空気中で燃やすと、木材中の炭素と空気中の酸素とが反応して二酸化炭素ができる。
 
酸化は必ずしも燃焼反応とは限らず、ゆっくり進む場合もある。
金属のサビなどは、酸化がゆっくり進んだ現象である。
 
 
 
 
;マグネシウムの燃焼
 
マグネシウムをリボン状の形にしたものを マグネシウムリボン という。マグネシウムリボンに火をつけて空気中で燃焼させると、酸素と反応し、明るい炎をあげて燃え、酸化マグネシウムになる。酸化マグネシウムは、色は白色であり、光沢はない。
一般に酸化物は、光沢を持たない。
 
反応後の物質が、反応前のマグネシウムとは別の物質であることは、次のようにして確かめられる。
 
燃焼前のマグネシウムは、薄い塩酸にいれると泡(水素)が発生するが、燃焼後の物質(酸化マグネシウム)を薄い塩酸に入れても泡は発生しない。
 
燃焼後の物質(実は酸化マグネシウム)の質量を測定すると、反応前のマグネシウムよりも質量が大きくなっている。
 
 
;水素の燃焼
水素(すいそ)は、酸素と反応すると、水になる。
したがって、もし、ある物質を燃やした時に水が生成すれば、その物質は水素を含んでいたことになる。
 
;炭素の酸化
炭素は、酸素と反応すると、二酸化炭素になる。
したがって、もし、ある物質を燃やした時に二酸化炭素が生成すれば、その物質は炭素を含んでいたことになる。
 
 
木材や紙などを燃やした時に、反応後の燃えカスの質量が、反応前よりも軽くなったりするのは、反応によって生じた二酸化炭素や水蒸気などが空気中に散っていったからである。
 
 
ロウソクを燃やした時にロウが減っていくのも、反応によって生じた二酸化炭素や水蒸気が空気中に散逸していくらである。
 
炭素を含む化合物には、木材の他にも、砂糖やエタノールやロウなどがある。
 
 
;銅の酸化
 
空気中で銅粉を熱すると、'''酸化銅'''(さんかどう、copper oxide、カッパーオキサイド)になる。酸化銅の質量は、酸素が化合したぶんだけ、反応前よりも質量が増えている。
 
なお、銅の酸化銅にはCuOとCu<sub>2</sub>Oとがある。色はCuOが黒色で、Cu<sub>2</sub>Oが赤色だが、どちらとも、元の銅の光沢を失っている。
 
 
==== 還元 ====
 
黒色の酸化銅である酸化銅CuOと炭素Cを混ぜたものを熱すると、赤褐色の粉末になる。
これは、酸化銅が銅に戻った反応である。
 
酸化銅と化合していた酸素は、炭素と反応して二酸化炭素となり、その二酸化炭素は散っていったからである。
炭素は銅から酸素を奪う反応をしたことになる。
 
このように酸化の逆である、酸素を奪う反応を反応を'''還元'''(かんげん、reduction)という。
酸化銅と炭素との反応で、酸化銅は還元されたことになる。また炭素は、酸化銅を還元したことになる。
 
いっぽう、炭素自身は酸素と化合して二酸化炭素になったのだから、炭素は酸化したことになる。
 
このように、ある物質が還元する時は、かならず、同時に別の物質が酸化をしていることになる。
 
 
 
;水素をもちいた酸化銅の還元
 
酸化銅の還元は炭素でも可能だが、水素を用いても酸化銅を還元することができる。
ガラス管につめた酸化銅に水素を通して熱すると、還元できる。還元をすると、水素と酸素が化合して水ができるので、ガラス管の内側が水蒸気でくもる。
 
:CuO + H<sub>2</sub> → Cu + H<sub>2</sub>O
 
酸化銅の還元で用いた水素や炭素のように、酸化物から酸素を奪う働きのある物質を還元剤(かんげんざい)という。
 
==運動の規則性==
ここでは物体の運動について述べる。既に物体の運動は物体に力をかけることによって引き起こされることを見た。ここでは運動の様子について詳しく見ていく。ある物体に力をかけると物体は動きだすことと、物体に力をかけないと物体は動きださないことは確かである。では、既に動いている物体に力をかけたり、逆に力をかけずに放置した場合の運動はどうなるだろうか。ここでは、それらの運動には規則性があることを見出す。
 
===運動の規則性===
 
====運動の観察====
ある非常に滑りやすい物体を取り出し、それを地面に滑らせその様子を観察する実験を行なう。このとき、物体の運動は変化することなく滑り続けることがわかる。物体の運動はその速度と、動く方向によって特徴づけられる。この様な運動を[[w:等速直線運動]](とうそく ちょくせん うんどう)と呼ぶ。
 
====力による運動の変化====
再び物体を用いて、既に動いている物体に更に力を加える実験も行なってみる。このとき、物体の運動は物体に力をかけたときだけ変化することがわかる。物体に力をかけないときには物体は常に等速直線運動をし続ける。<!-- 何かにぶつかれば別だが ... 。 -->
 
====エネルギーとは====
 
既に、物体の運動は物体に力が働いたときだけ変化することを見た。ここでは、物体を運動させたり変化させたりすることができる量を、その物体が持つ[[w:エネルギー]]と呼ぶ。運動している物体は、それが静止しているボールなどの物体に衝突することによってボールを動かせるので、運動する物体もエネルギーを持っている、運動している物体の、運動によるエネルギーを 運動エネルギー(うんどうエネルギー、kinetic energy) という。
運動エネルギーを考えるときには物体の速度の大きさだけに注目し、速度の方向は考えないことに注意が必要である。ここで、あるエネルギーを持った物体は他の物体に衝突することで、持っているエネルギーを衝突した物体に与えることが出来る。このように、ある物体が持つエネルギーは他の物体に与えることが出来る。
 
いっぽう、物体の衝突の際には、音が発生することがある。音は上で述べた通り空気の振動であるので、空気自身も振動を行なうために、速度を持たなければならず、エネルギーを持つことがわかる。この時には、もともと物体が持っていたエネルギーは、他の物体に移っただけでなく、音として放出されたということが出来る。
 
このように、ある物体が持っているエネルギーは、他の物体のエネルギーになることや全く違った種類のエネルギーとなることが知られている。エネルギーの種類としては、[[w:運動エネルギー]](うんどうエネルギー)、[[w:位置エネルギー]](いちエネルギー)、[[w:電気エネルギー]](でんきエネルギー)、[[w:熱エネルギー]](ねつエネネルギー)などがある。また、光や音もそれぞれエネルギーを持っている。
 
このようにエネルギーはお互いに移り変わることが出来る。しかし、エネルギーの形が変化しても、変化したエネルギーを足し合わせた総量は変化しないことが知られている。これを[[w:エネルギー保存則]](エネルギーほぞんそく)と呼ぶ。エネルギー保存則は音や光なども考えると検証することが難しい。しかし、理論的にエネルギー保存則はよく知られた結果であり、正しいと信じられている。
 
<!--
*注意
例えば、全く同じ大きさの物体をある一方にある速度Vを持たせ、もう一方を静止させて衝突させた場合、元々動いていた方が'静止'し、静止していた方が同じ速度Vで動きだす結果が知られている。これは、元々動いていた物体が持っていたエネルギーが全て他の物体に移ったものと見ることが出来、[[w:エネルギー保存則]]の例として示唆的である。
-->
 
====仕事と仕事の原理、仕事率====
理科では、物体に力を加えて、その力の向きに動かしたとき、'''仕事'''(しごと、work)をしたという。
 
仕事の大きさを数値で表すには、力の大きさと力の向きに動いた距離との積を用いる。
 
:仕事の大きさ(J)=力の大きさ(N) × 力の向きに動いた距離(m)
 
:仕事の大きさの単位は(J)(ジュール)である。
 
 
1秒間にする仕事の大きさを'''仕事率'''(しごとりつ、power)という。
 
:仕事率(W)=仕事の大きさ(J) ÷ かかった時間(秒)
 
仕事率の単位は(W)(ワット)である。
 
 
動滑車やてこなどの道具を使った場合、物体を動かすのに必要な力は小さくなるが、力をはたらかせる距離は大きくなり、仕事の大きさは道具を使わない場合と変わらない。このことを'''仕事の原理'''という。
 
;位置エネルギー
仕事の概念を用いて、物体のもつ位置エネルギーが計算できる。
質量M[kg]の物体の重さは、重力加速度をg(=9.81m/s<sup>2</sup>)とすれば、重さはMg[N]なので、位置エネルギーの基準を地面を0[J]とすれば、地面から高さh[m]にある物体の位置エネルギーU[J]は、
:位置エネルギー[J] = 重さMg[N] × h[m] =Mgh[J]
となる。
よって、質量M[kg]の位置エネルギーはMgh[J]である。
 
==化学変化とその利用==
 
 
===水溶液とイオン===
 
====水溶液の電気伝導性====
水にとかしたときその水溶液に電流が流れる物質を'''電解質'''(でんかいしつ、electrolyte)という。
 
水にとかしてもその水溶液に電流が流れない物質を'''非電解質'''(ひでんかいしつ)という。
:例)エタノール・砂糖水
 
====原子の成り立ちとイオン====
原子は, '''陽子'''(ようし)と'''中性子'''(ちゅうせいし)からなる'''原子核'''(げんしかく)とそのまわりを回る'''電子'''からできている。原子の直径は1億分の1cm程度である。
 
原子の中心には+の電気をもつ原子核が1つあり、−の電気をもついくつかの電子がそれを取り巻いている。
 
原子核がもつ+の電気の総量と、電子のもつ−の電気の総量が等しいので、原子全体は電気を帯びていない。
 
 
電気を帯びた原子を'''イオン'''という。イオンのうち+の電気を帯びたものを'''陽イオン'''、−の電気を帯びたものを'''陰イオン'''という。
 
イオンは原子が電子を失ったり受けとったりすることにより、安定な状態になったものである。陽イオンは、原子が電子を失って+の電気を帯びたものである。電子を2個失うと、1個の場合の2倍の+電気を帯びる。一方、塩素原子などは電子を受けとり-の電気を帯びる。
 
 
原子の記号の右肩に,帯びている電気の種類と量を書いた記号を'''イオン式'''という。
 
:水素イオン(H<sup>+</sup>)……水素原子が電子を1個失った陽イオン
 
:銅イオン(Cu<sup>2+</sup>)……銅原子が電子2個を失った陽イオン
 
:塩化物イオン(Cl<sup>-</sup>)……塩素原子が電子1個を取りこんだ陰イオン
 
:水酸化物イオン(OH<sup>-</sup>)のように、イオンには原子がいくつか集まったもので電気を帯びたものもある。
 
 
電解質が水にとけて陽イオンと陰イオンとに分かれることを'''電離'''(でんり、ionization)またはイオン化という。非電解質は電離しない。
 
塩化水素は、気体の状態では水素原子と塩素原子が結合したもので電気的に中性である。水にとけると、水素イオンH<sup>+</sup>と塩化物イオンCl<sup>-</sup>となる。1つの塩化水素からは1つの水素イオンと1つの塩化物イオンができる。
 
: HCl &rarr; H<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
 
;参考: 炎色反応
化学反応で発生したイオンを調べる方法には、様々な方法があるが、一つの方法として、次に説明する炎色反応が応用できる。
 
ナトリウムやカリウム、カルシウムなどのある種の元素は、炎の中に入れると、元素の種類ごとに特有の色の炎が上がる。
このような現象を'''炎色反応'''(えんしょくはんのう、flame test)という。
イオンの検出では、白金線にイオン水溶液をつけガスバーナーの炎に入れると、もし水溶液中のイオンがリチウムイオンなら赤色に、ナトリウムイオンでは黄色に、カリウムでは赤紫色にそれぞれ炎が色づく。
 
{|align="center" style="border:solid #aaffaa 1px; text-align:center;"
|[[File:FlammenfärbungLi.png|52px|リチウムの炎色反応]]||[[File:FlammenfärbungNa.png|50px|ナトリウムの炎色反応]]||[[File:FlammenfärbungK.png|50px|カリウムの炎色反応]]
|-
|Li||Na||K
|}
 
* 炎色反応の元素と色の一覧
:リチウム: 赤
:カリウム: 赤紫
:ナトリウム: 黄色
:カルシウム: 橙(オレンジ色っぽい色のこと)
:銅: 青緑
:バリウム: 緑
 
中学の段階では、元素と色の対応を、無理に覚える必要はない。
 
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Image:Flametest--.swn.jpg|試料を加えない場合のガスバーナーの色
Image:Flametest--Na.swn.jpg|ナトリウム
Image:Flametest-Co-Na.swn.jpg|ナトリウム(コバルトガラスを通した場合)
Image:FlammenfärbungK.png|カリウム
Image:FlammenfärbungCa.png|カルシウム
Image:FlammenfärbungLi.png|リチウム
Image:Flametest--Cu.swn.jpg|銅
Image:Boratflamme.jpg|ホウ素
Image:FlammenfärbungSb.png|アンチモン
</gallery>
 
花火の色は、炎色反応を利用しているのが、一般である。
 
 
====電池のしくみ====
化学変化や温度差、光などの作用によって電気エネルギーをつくり出す装置を'''電池'''(でんち、battery)という。化学変化を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変える化学電池を一般に電池とよぶ。
 
 
導線の内部を、マイナスの電気をもつ電子が流れているのが電流の正体である。
 
金属線を電池などの電源に接続すると、金属線中の電子は-極から+極に向かっていっせいに移動する。回路を流れている電流とは、このように電源の-極から+極に流れる電子の移動である。
 
'''電流の向きは電源の+極から出て-極に入る向きに流れる'''と決められている。これは、電流の向きが決められた当時は電子がまだ発見されていなかったことによる。電流の正体が-の電気をもつ電子の流れであることがわかってからも、「電流は電源の+極から出て-極に入る向きに流れるもの」と定義されている。
 
;ボルタの電池
うすい硫酸に亜鉛板と銅板をひたすと電池が作れる。銅板の側が電池の正極で、亜鉛板の側が負極である。このように、亜鉛板と銅板と酸溶液からなる電池を'''ボルタの電池'''(Voltaic pile)という。
 
ここで重要なのは、亜鉛板だけを硫酸にひたしても、電気は発生せず電池には、ならない。たとえ亜鉛板が酸と反応して溶けても、電池は出来ず、電気は流れず、単に亜鉛板が硫酸にとけていくだけである。
 
亜鉛板だけでなく、亜鉛板と銅板を薄い硫酸にひたして、電池になるのである。
 
ボルタの電池が、電池であることを確認するには、回路に豆電球(ただし理科実験用の小型のもの)をつないだり、あるいはモータ(ただし理科実験用の小型のもの)をつなげば良い。回路に電球やモータをつないだとき、電極で起こる化学反応は以下の通りである。
 
* 亜鉛板
 
亜鉛原子が電子を2個失って亜鉛イオン(Zn<sup>2+</sup>)になり水溶液にとけ出す。
 
* 銅板
 
亜鉛板にたまった電子が導線へ流れ出し、モーターを通ったあと銅板に流れこむ。この電子は、水溶液中の水素イオン(H<sup>+</sup>)と結びつき水素原子になる。できた水素原子2個が結びついて水素分子(<math>H_2</math>)になる。
 
電子の流れは「亜鉛板 &rarr; 銅板」なので、電流の向きは、「銅板 &rarr; 亜鉛板」となり、亜鉛板が−極、銅板が+極となる。
 
ボルタの電池の電圧は、最初は常にほぼ一定である。この電池が作る電圧を'''起電力'''(きでんりょく、electromotive force, EMF)という。ボルタの電池の起電力は、1.1ボルトである。
電圧や起電力の単位の「ボルト」の由来は、ボルタの電池を発見したボルタが由来である。
 
ボルタの電池は、時間がたつと、起電力が下がっていってしまう。これは反応中に銅板で発生する水素による泡が原因である。
このような電極に発生した泡による起電力の低下を、電池の'''分極'''(ぶんきょく、polarization)という。
 
 
ボルタの電池の他にも、化学反応を用いた電池は多くある。たとえば、乾電池に用いられるアルカリ電池やマンガン乾電池も、化学反応を用いている。
このように、起電力の電圧の発生要因に化学反応を用いている電池を化学電池(かがくでんち)という。
 
対して、太陽光発電パネルなどのように、化学反応を用いなくても発電できる装置は、化学電池ではない。
 
マンガン乾電池の起電力の電圧は約1.5ボルトである。
 
ボルタ電池のような反応がなぜ起こるかは、以下に説明する亜鉛板と銅板とのイオン化傾向の差による。
 
 
* 発展 イオン化傾向
金属元素の単体を水または水溶液に入れたときの、陽イオンのなりやすさを'''イオン化傾向'''(イオンか けいこう、ionization tendency、イオニゼイション・テンデンシー)という。
例として、亜鉛Znを希塩酸HClの水溶液に入れると、亜鉛Znは溶け、また亜鉛は電子を失ってZn<sup>2+</sup>になる。
:Zn + 2H<sup>+</sup> → Zn<sup>2+</sup> + H<sub>2</sub>
いっぽう、銀Agを希塩酸(薄い塩酸のこと)に入れても反応は起こらない。
このように金属のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさ)の大きさは、物質ごとにイオン化傾向の大きさが異なる。
今度は、銅を希塩酸の溶液に入れてみた場合を考える。この場合は、なにも反応しない。
以上の例では、銅と銀のイオン化傾向の大きさの大小は不明である。
* 銅と銀のイオン化傾向
;硝酸銀溶液と銅の場合
そこで、銅と銀のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさのこと)を比べるための実験例として、
硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に、銅線や銅板などの銅の固体を添加する。
ここでは、銅板を添加したとしよう。すると、銅板の表面に銀が付着し、銀が析出する。
いっぽう、この硝酸銀の溶液中では銅板は陽イオンとなり溶ける。
溶液は、しだいに青くなるが、この青色は銅イオン溶液の色である。以上の変化を反応式で書くと、
:Cu + 2Ag+ → Cu <sup>2+</sup> + 2Ag
なお、この反応で生じた銀を、生じ方が樹木が伸びるように析出した銀が伸びることから'''銀樹'''(ぎんじゅ)という。
;硫酸銅溶液と銀の場合
いっぽう、今度は溶液を変え、硫酸銅 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> の溶液に銀板Agをいれても、
なにも析出せず、なにも変化は起きない。
これらのことから、銅は銀よりもイオン化傾向(陽イオンのなりやすさのこと)が大きいであろうことが予測できる。
;亜鉛と銅のイオン化傾向
また溶液を変え、硫酸銅の水溶液に亜鉛板Znを添加すると、亜鉛の表面に銅が析出する。
このことから、亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が大きいことが予想できる。
* イオン化列
さまざまな溶液や金属の組み合わせで、イオン化傾向の比較の実験を行った結果、
イオン化傾向の大きさが決定された。
左から順に、イオン化傾向の大きい金属を並べると、以下のようになる。
: K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
:左側ほど、陽イオンになりやすい。                     右側ほど、イオン化しづらい。
(中学の段階では、覚える必要はない。)
金属を、イオン化傾向の大きさの順に並べたものを金属の'''イオン化列'''(イオンかれつ、ionization series)という。
水素や水は金属では無いが、比較のため、イオン化列に加えられる。
金属原子は、上記の他にもあるが、高校化学では上記の金属のみのイオン化列を用いることが多い。
なお、イオン化列の記憶のための語呂合わせとして、
「貸そうかな、まあ、あてにすな、ひどすぎる借金。」
などのような語呂合わせがある。ちなみにこの語呂合わせの場合、
「Kか そう かCa なNa、まMg あAl、あZn てFe にNi す なPb、ひH2 どCu すHg ぎAg る 借金Pt,Au。」
と対応している。中学では無理に覚える必要はない。
(以上、発展内容:イオン化傾向)
 
==== 電気分解 ====
電解質の水溶液に、電極を2本入れて、それぞれの電極に、外部の直流電源から電気を通じると、電極で水溶液中の物質に化学反応を起こせる。これを'''電気分解'''(でんきぶんかい、electrolysis、イレクトロシス)という。あるいは略して'''電解'''(でんかい)という。
 
電気分解で、直流電源の負極につないだ側の電極を'''陰極'''(いんきょく、cathode、カソード)という。
電気分解で、直流電源の性極につないだ側の電極を'''陽極'''(ようきょく、anode、アノード)という。
 
陰極の電荷は、電源の負極から電子が送られてくるので、陰極は負電荷に帯電する。いっぽう、陽極の電荷は、正電荷に帯電する。
 
なお、電極には、白金や炭素などを用いる。
 
一般に電気分解で反応を起こしたい対象は「水溶液」であり、電極そのものは反応を起こしたい対象ではないので、混同しないように注意のこと。外部の文献などでは、説明の簡略化のため、電気分解では「電極での反応」などという事が多いが、電極そのものが析出をするのでは無いので、間違えないように。
 
この電気分解の実用例として、金属の精錬に利用されている。
 
;水の電気分解
純水な水は電気を通さないので、導電性を高めるために硫酸か、あるいは水酸化ナトリウムを加える。
 
陰極で水素 H<sub>2</sub> が発生する。
 
:陰極: 2H<sup>+</sup> + 2e<sup>-</sup> → H<sub>2</sub>↑
 
陽極では、酸素 O<sub>2</sub> が発生。
 
:陽極: O<sub>2</sub>が発生。
 
水の電気分解で発生する気体の体積の比率は、一定で、
:(陽極の酸素):(陰極の水素)= 2:1
である。
 
== 科学技術と人間 ==