「中学校理科 第2分野/大地の変化」の版間の差分

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地震計の説明を震度階級のうしろに
加筆。大陸移動説の節を、地震の節のうしろに移動した。理由は、プレートがらみをマトメて説明したいから。
10 行
固まった状態の溶岩の表面には、無数の小さな穴が見られる。
 
火山の溶岩は、地下100kmくらいの地中深くから上がってきて、いったん、地下10km~数kmくらいの<big>マグマだまり</big>に たまる。マグマは大陸プレートの中を上昇してきている。プレートとは、地球の表面をおおう、厚さ数百kmの岩板の層である。プレートは、1年間に数cmほどだが動いている。
 
 
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==== 火山の活動 ====
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[[ファイル:Oceanic-continental convergence Fig21oceancont.gif|thumb|プレート。大陸プレートと海洋プレート。]]
地震とはプレートや地盤、岩盤にずれが生じることで起こる現象。(なお月で起こる地震を、月震「げっしん」という)
プレートとは、地球の表面をおおう、厚さ数百kmの岩板の層である。地球上には、いくつものプレートがある。それぞれのプレートは、それぞれの方向に1年間に数cmほどだが動いており、そのため他のプレートなどに力をおよぼしあっている。
 
地面がゆれる、地震(じしん)の原因は、じつはプレートの力です。プレートが、地球の中にもどる場所の近くで、プレートは、反対側の地中には戻らないほうの岩盤(がんばん)にも、引きずりこむような力を加えるので、プレートは岩盤をひずませます。岩盤に力が、かかり続けると、ある時期に、岩盤の一部が、こわれます。このときの揺れ(ゆれ)が、地震です。
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* 震央(しんおう)
震源の真上にある、地上の、地表での位置。
 
 
* マグニチュード
地震のエネルギーの大きさは、<big>マグニチュード</big>という単位で、あらわします。記号は、「M」です。
マグニチュードが1大きくなると、エネルギーの大きさは、約31倍から約32倍になります。なので、マグニチュードが2大きくなると、エネルギーの大きさは、約1000倍になります。(かけ算で31×31と、32×32とを計算して、確認してみよう。)
 
* 震度(しんど)
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震度とは地震の観測場所での地震の影響なので、同じ震源で起きた地震でも、震度の観測場所によって、震度の大きさは違ってくる。
 
一般に、震源に近い場所ほど、震度は大きくなる。震源から遠くなると、震度は小さくなる。
 
 
{| class="wikitable"
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地震計では、地震が来ても、うごかない部分をつくる必要があります。
それには ふりこ のしくみを利用します。ふりこの支点を手で持って、支点をはやく動かしても、ふりこのおもりは、ゆっくりとしか動きません。この現象を利用すれば、地震計で、地震が来てもうごかない部分をつくれます。このような地震でも動かない点のことを<big>不動点</big>(ふどうてん)という。不動点としての おもり に、ペンを取り付けて、自動回転している円筒状の記録用紙に記録している
 
一つの振り子だと、一方向のゆれしか記録できないので、3つの振り子と3つの記録用紙を使って、(一つの振り子に、1つの記録用紙を使ってる。)東西方向・南北方向・上下方向の3方向を、地震計は記録している。
 
日本各地にある、地震計を設置している場所を地震観測点(じしん かんそくてん)と、いいます。
 
 
* マグニチュード
地震のエネルギーの大きさは、<big>マグニチュード</big>という単位で、あらわします。記号は、「M」です。
マグニチュードが1大きくなると、エネルギーの大きさは、約31倍から約32倍になります。なので、マグニチュードが2大きくなると、エネルギーの大きさは、約1000倍になります。(かけ算で31×31と、32×32とを計算して、確認してみよう。)
 
マグニチュードと、震度との関係は、よく 例え として、電球の明るさ( 光度(こうど) )と、照らされた場所の明るさ( 照度(しょうど) )に、たとえられる。電球の明るさが同じでも、照らされた場所の距離が遠ければ、照らされた場所の明るさは減ってくる。
 
 
* 地震の波
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このようなことが起きる理由は、じつは地震のつたわり方には2種類あるからである。
 
まず、最初の小さなゆれのことを <big>初期微動</big>(しょきびどう)という。
地震がおきると、先に、P波(ピーは)という波が伝わってきてから、あとでS波(エスは)が、つたわってくる。
つづけて、やって来る、大きなゆれのことを <big>主要動</big>(しゅようどう)という。
Pは英語で、「最初の」とか「始めの」とかを意味する プライマリー primary という語句の頭文字です。S波のSは、英語で「2番目」とかを意味する セカンド second です。野球の守備のポジションで 一塁手をファースト first 、 二塁手をセカンド second 、三塁手をサード third などと言いますよね。そのセカンドと同じです。
 
地震がおきると、先に、P波(ピーは)という速い波が伝わってきてから、あとでS波(エスは)という遅い波が、つたわってくる。
英語で、1つ、2つ、3つを ワンone 、 ツー two 、スリー three といいます。一番目・2番目・3番目は ファーストfirst、セカンド second、サード third と言います。中学一年になれば英語を習い始めるでしょうから、せっかくですから、ここで、英語も、おぼえてください。
Pは英語で、「最初の」とか「始めの」とかを意味する プライマリー primary という語句の頭文字です。S波のSは、英語で「2番目」とかを意味する セカンド second です。
 
 
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さて、P波は たて波 という伝わり方であり、S波は横波(よこなみ)という伝わり方である。
 
たて波のP波は、よこ波のS波よりも速度が大きいので、さきにP波がとどき、あとからS波がとどく。このことから、最初に、プライマリーに、たて波がとどくので、最初にとど たて波 がP波(primary wave、プライマリーウェイブ)と呼ばれるようになったわけである。
 
 
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なので、さきにP波がとどいて少しゆれたあとに、ちょっと時間がたってからS波が来て、S波の主要動で大きく、ゆれる。
 
最初に縦波のP波がきてから、よこなみのS波がくるまでのあいだを <big>初期微動</big>(しょきびどう) という。S波が来るまでは、初期微動がつづく。ある地点でのP波とS波との到着時刻の差のことを、初期微動続時間(しょきびどう けいぞくじかん)という。職微動継続時間とは、つまり、初期微動を感じる長さである
 
初期微動継続時間は、震源からの距離に比例することが分かっている。初期微動継続時間が長いほど、震源からの距離も大きい。もし、地震の伝わる速度が分かっていれば、初期微動継続時間によって、震源までの距離を求めることができる。
 
地震の伝わる速度が分かっていれば、複数の観測地点で初期微動継続時間を測れば、その測定結果から、震源の位置を数学の連立方程式で求めることが出来る。
 
初期微動の長さは、P波とS波がとどく時間の時間差である。そして、この時間差は、距離に比例することが分かっている。なので、初期微動のつづいた時間をはかると、それから震源までのきょりをもとめることができる。
 
* 大森公式
P波とS波の到着時刻から、震源までの距離を求めるための公式として、つぎのような公式が知られている。
震源までのきょり距離を <math>d</math> kmとして、P波の速度を <math>v_p</math> km/秒 として、S波の速度を <math>v_s</math> km/秒 として 、初期微動のつづく時間を <math>t</math>秒とすると、
 
: P波の到着(とうちゃく)にかかった <math>t_p</math>
:: <math>t_p = \frac{d}{v_p}</math>
: S波の到着にかかった <math>t_s</math>
:: <math>t_s = \frac{d}{v_s}</math>
: 初期微動のつづいた継続時間 <math>t</math>
:: <math>\begin{align}
t & = t_s - t_p \\
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\end{align}
</math>
: 震源までのきょり距離 <math>d</math> (km)
:: <math>d = \frac{v_p \cdot v_s}{v_p - v_s} \times t</math>
 
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:<math>d=7t</math>
 
として、d=震源までのきょり距離(km)で、tは初期微動のつづいた継続時間(秒)なので、
 
:震源までのきょり距離(km) = 7(km/秒) × 初期微動のつづいた継続時間(秒)
 
である。
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大森公式を利用すると、いくつもの観測地点で震源までのきょりをもとめると、そこから震源の位置を見いだすことができる。
3つの観測地点からの震源までの距離が求まれば、そこから、連立方程式で、震央および震源の位置を決定できる。
 
:(※ 大森公式による震源の位置の求め方法の図がウィキペディアに無いので、参考書などで確認してください。)
 
=== 大陸移動説(たいりくいどうせつ) ===
==== 断層としゅう曲 ====
[[Image:Pangaea continents.svg|thumb|left|250px|パンゲア大陸]]
[[Image:Alfred Wegener ca.1924-30.jpg|thumb|200px|アルフレート・ウェゲナー]]
[[Image:Alfred Wegener Die Entstehung der Kontinente und Ozeane 1929.jpg|thumb|250px|『大陸と海洋の起源』第4版(1929)より]]
[[Image:Pangea animation 03.gif|thumb|left|200px|パンゲア大陸の分裂]]
 
いま、地球上にある、いくつかの大陸は、むかしは、ひとつの大きな大陸だったことがわかっています。そのひとつの大きな大陸のなまえを <big>'''パンゲア'''</big> といいます。
 
 
ドイツの気象学者のウェゲナーは大西洋をはさんだ両岸の大陸の形状(特にアフリカと南アメリカ)が、ほぼ一致することから、大昔は、このアフリカと南アメリカはおなじ大陸だったのが分裂したのではないか、と考えました。
 
また、アフリカと南アメリカは、地質や生物の分布も、にていることから、ますます、おなじ大陸と考えるようになりました。
 
ウェゲナーは、このようなアフリカと南アメリカは、昔はおなじ大陸だったという説を1912年に発表しました。
 
しかし、当時の人々の理解は得られませんでした。また、ウェゲナー本人も、どのような力で、大陸が動いているのかは、わかりませんでした。
 
ウェゲナーは大陸が動いていることの証拠を探す探検のためグリーンランドを探検している最中の1930年に、50才でウェゲナーは死んでしまいます。
 
ウェゲナーの唱えた大陸移動説は、彼の生存中は学会の多数からは、みとめられることはありませんでした。
 
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[[File:Mid-ocean ridge topography.gif|thumb|left|350px|海嶺(かいれい)]]
[[File:World Distribution of Mid-Oceanic Ridges.gif|right|300px|thumb|海れいの場所。]]
 
* 海嶺(かいれい)と海溝(かいこう)
それから、数十年がたってから、技術の進歩で、海底の研究が進みます。すると、どうやら、海底の奥ふかくから、溶岩が次々と、わき出している場所があることが見つかります。これは 海嶺(かいれい) の発見です。大西洋の中央や、太平洋のチリ沖のイースター島の付近など、地球上のいくつかの海底に、海れいは、あります。
 
[[ファイル:Izu-Ogasawara trench topographic.png|thumb|right|300px|伊豆・小笠原海溝の位置(赤線)]]
また、海底の奥深くで、地面が地中に引きこまれている場所も見つかります。これが 海溝(かいこう) です。
太平洋のマリアナ諸島の近くのマリアナ海溝や、伊豆・小笠原海溝など、いくつかの海溝が、あります。
 
海嶺や海溝の研究から、地中や海中のプレートとよばれる岩ばんが動いていることがわかります。
 
ウェゲナーの大陸移動説は、プレートにのっかった大陸が、プレートごと動くという考え方で説明できるようになりました。
 
溶岩(ようがん)が、かたまるとき、地磁気の方向で、溶岩がかたまり、溶岩にほんの少しだけ、磁気が、のこります。この、古い地質の磁気の方向をしらべることで、大陸移動説は、証明(しょうめい)されました。
 
[[ファイル:Oceanic-continental convergence Fig21oceancont.gif|thumb|left|プレート。大陸プレートと海洋プレート。]]
地震はプレートのひずみによって起きることが分かっています。大陸プレートと海洋プレートの押し合いでひずんだプレートが、ひずみに、たえきれなくなって、元にもどるときに、地震が発生します。
 
そしてプレートをひずませる力の原因は、プレートが地中に引き込まれることです。
 
プレートの運動によって、地震がおきるという考え方を <big>プレートテクトニクス</big> と、いいます。
 
*環太平洋造山帯
[[File:Pacific Ring of Fire.svg|thumb|350px|環太平洋造山帯。なお、青線は海溝(かいこう)。]]
日本列島は、太平洋をとりまく<span style="font-size: large;">環太平洋造山帯</span>(かんたいへいよう ぞうざんたい、英:circum-Pacific belt または Ring of Fire)という地帯に含まれています。「環太平洋造山帯」という名前のとおり、太平洋をとりまく位置にある造山帯です。
 
この環太平洋造山帯がある位置は、プレートの境界にあたることが多く、そのため地震や火山も多いです。そのため「環太平洋 ''火山'' 帯」という場合もあります。
 
 
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=== 地層と過去の様子 ===
==== 地層のできかた ====
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こうして、地面が、盛り上がる場合が、あります。
 
 
なお、地面がゆれる、地震(じしん)の原因も、じつはプレートの力です。プレートが、地球の中にもどる場所の近くで、プレートは、反対側の地中には戻らないほうの岩盤(がんばん)にも、引きずりこむような力を加えるので、プレートは岩盤をひずませます。岩盤に力が、かかり続けると、ある時期に、岩盤の一部が、こわれます。このときの揺れ(ゆれ)が、地震です。
 
 
地層の層は、水平とは、かぎりません。地層が曲がっていて、一部分だけ、盛り上がっている場合もあります。このような地層の形を <big>しゅう曲</big>(しゅうきょく) と言います。しゅう曲の原因は、プレートの動きによって、両側から押し付けられる力が、くわわったからです。
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そして、カーブがきつくなりすぎると、そのカーブは、川の本流から外れて、湖になってしまいます。この外れた湖は、カーブをしているので三日月形なので <big>三日月湖</big>(みかづき こ) といいます。
 
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=== 大陸移動説(たいりくいどうせつ) ===
[[Image:Pangaea continents.svg|thumb|left|250px|パンゲア大陸]]
[[Image:Alfred Wegener ca.1924-30.jpg|thumb|200px|アルフレート・ウェゲナー]]
[[Image:Alfred Wegener Die Entstehung der Kontinente und Ozeane 1929.jpg|thumb|250px|『大陸と海洋の起源』第4版(1929)より]]
[[Image:Pangea animation 03.gif|thumb|left|200px|パンゲア大陸の分裂]]
 
いま、地球上にある、いくつかの大陸は、むかしは、ひとつの大きな大陸だったことがわかっています。そのひとつの大きな大陸のなまえを <big>'''パンゲア'''</big> といいます。
 
 
ドイツの気象学者のウェゲナーは大西洋をはさんだ両岸の大陸の形状(特にアフリカと南アメリカ)が、ほぼ一致することから、大昔は、このアフリカと南アメリカはおなじ大陸だったのが分裂したのではないか、と考えました。
 
また、アフリカと南アメリカは、地質や生物の分布も、にていることから、ますます、おなじ大陸と考えるようになりました。
 
ウェゲナーは、このようなアフリカと南アメリカは、昔はおなじ大陸だったという説を1912年に発表しました。
 
しかし、当時の人々の理解は得られませんでした。また、ウェゲナー本人も、どのような力で、大陸が動いているのかは、わかりませんでした。
 
ウェゲナーは大陸が動いていることの証拠を探す探検のためグリーンランドを探検している最中の1930年に、50才でウェゲナーは死んでしまいます。
 
ウェゲナーの唱えた大陸移動説は、彼の生存中は学会の多数からは、みとめられることはありませんでした。
 
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[[File:Mid-ocean ridge topography.gif|thumb|left|350px|海嶺(かいれい)]]
[[File:World Distribution of Mid-Oceanic Ridges.gif|right|300px|thumb|海れいの場所。]]
 
* 海嶺(かいれい)と海溝(かいこう)
それから、数十年がたってから、技術の進歩で、海底の研究が進みます。すると、どうやら、海底の奥ふかくから、溶岩が次々と、わき出している場所があることが見つかります。これは 海嶺(かいれい) の発見です。大西洋の中央や、太平洋のチリ沖のイースター島の付近など、地球上のいくつかの海底に、海れいは、あります。
 
[[ファイル:Izu-Ogasawara trench topographic.png|thumb|right|300px|伊豆・小笠原海溝の位置(赤線)]]
また、海底の奥深くで、地面が地中に引きこまれている場所も見つかります。これが 海溝(かいこう) です。
太平洋のマリアナ諸島の近くのマリアナ海溝や、伊豆・小笠原海溝など、いくつかの海溝が、あります。
 
海嶺や海溝の研究から、地中や海中のプレートとよばれる岩ばんが動いていることがわかります。
 
ウェゲナーの大陸移動説は、プレートにのっかった大陸が、プレートごと動くという考え方で説明できるようになりました。
 
溶岩(ようがん)が、かたまるとき、地磁気の方向で、溶岩がかたまり、溶岩にほんの少しだけ、磁気が、のこります。この、古い地質の磁気の方向をしらべることで、大陸移動説は、証明(しょうめい)されました。
 
[[ファイル:Oceanic-continental convergence Fig21oceancont.gif|thumb|left|プレート。大陸プレートと海洋プレート。]]
地震はプレートのひずみによって起きることが分かっています。大陸プレートと海洋プレートの押し合いでひずんだプレートが、ひずみに、たえきれなくなって、元にもどるときに、地震が発生します。
 
そしてプレートをひずませる力の原因は、プレートが地中に引き込まれることです。
 
プレートの運動によって、地震がおきるという考え方を <big>プレートテクトニクス</big> と、いいます。
 
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