「中学校理科 第1分野/化学変化とイオン」の版間の差分

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===原子の成り立ちとイオン===
原子は, '''陽子'''(ようし)と'''中性子'''(ちゅうせいし)からなる'''原子核'''(げんしかく)と、原子核のまわりを回る'''電子'''からできている。原子の直径は1億分の1cm程度である。電子は、原子核には、ふくめない。
 
陽子の質量と、中性子の質量は、同じである。厳密にいうと、ほんのわずかに質量が違うのだが、ほとんど同じなので、中学の段階では、陽子の質量と、中性子の質量は同じである、と考えてよい。
 
 
原子の中心には+の電気をもつ原子核が1つあり、−の電気をもついくつかの電子がそれを取り巻いている。
原子核がもつ+の電気の総量と、電子のもつ−の電気の総量が等しいので、原子全体は電気を帯びていない。
 
 
電子の質量は、陽子とくらべて、きわめて小さい。電子の質量は、陽子の質量の 約 <math>\frac{1}{1800}</math> 倍 でしかない。
 
 
したがって、原子にとって、電子は、ほとんど質量が無い。ある原子や分子の質量の大きさを決めているのは、その原子核の陽子や中性子の個数である、と考えても、中学高校では、あまり問題は無い。
 
 
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:水酸化物イオン(OH<sup>-</sup>)のように、イオンには原子がいくつか集まったもので電気を帯びたものもある。
 
アンモニウムイオンも、このようOH、いくつかの原子があつまったイオンであるが、分子にはなっていないものを、原子の集まりという意味で、原子団(げんしだん)と言う
 
アンモニウムイオンも、このような、いくつかの原子があつまったイオンであり、アンモニウムイオンは原子団である。
 
 
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塩化ナトリウム NaCl では、塩化物イオンCl<sup>-</sup>のマイナス電荷1個と、ナトリウムイオンNa<sup>+</sup>とのプラス電荷1個がつりあっているので、塩化ナトリウム NaCl 全体では電気を持っていない。
 
: NaCl &rarr; Na<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
 
塩化銅 CuCl<sub>2</sub> も、塩化物イオン Cl<sup>-</sup> の2個と、銅イオン1個 Cu<sup>2+</sup> のプラス電荷の2個がつりあっているので(銅イオンの場合、銅原子1個につき電気が2個ある)、塩化銅 CuCl<sub>2</sub>全体では電気を持っていない。
 
: CuCl &rarr; Cu<sup>2+</sup> + 2Cl<sup>-</sup>
 
 
電解質が水にとけて陽イオンと陰イオンとに分かれることを'''電離'''(でんり、ionization)またはイオン化という。非電解質は電離しない。
塩化ナトリウムが水に溶けてイオンに分かれることも、電離である。塩化銅が水溶液中で塩化物イオンと銅イオンに分かれることも電離である。
 
砂糖が水に溶けても、電離はしていない。エタノールを水に溶かしても、電離してない。
 
 
塩化水素は、気体の状態では水素原子と塩素原子が結合したもので電気的に中性である。水にとけると、水素イオンH<sup>+</sup>と塩化物イオンCl<sup>-</sup>となる。1つの塩化水素からは1つの水素イオンと1つの塩化物イオンができる。
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: HCl &rarr; H<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
 
;=== 参考: 炎色反応 ===
:(※ 炎色反応は、2014年の現在では、中学校では、あつかわない。もし読者に時間に余裕があれば、読んでもらいたい。)
化学反応で発生したイオンを調べる方法には、様々な方法があるが、一つの方法として、次に説明する炎色反応が応用できる。
 
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===電池のしくみ===
化学変化や温度差、光などの作用によって電気エネルギーをつくり出す装置を'''電池'''(でんち、battery)という。
電池のうち、化学変化を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変える化学電池のこと一般に、<big>化学電池</big>(かがく でんち)とよぶ。
いっぽう、太陽光発電パネルなどのように、化学反応を用いなくても発電できる装置は、化学電池ではない。
 
本節では、化学電池を重点的に説明する。イオンの観点から、化学電池を説明する。
 
さて、化学電池では、どうやって、化学変化で電気を起こしているのだろうか。
導線の内部を、マイナスの電気をもつ電子が流れているのが電流の正体である。
 
*復習:電気回路とは
まず、電気回路について、復習の便宜のため、説明しておこう。
まず電流とは、導線の内部を、マイナスの電気をもつ電子が流れているのが電流の正体である。
 
金属線を電池などの電源に接続すると、金属線中の電子は-極から+極に向かっていっせいに移動する。回路を流れている電流とは、このように電源の-極から+極に流れる電子の移動である。
 
'''電流の向きは電源の+極から出て-極に入る向きに流れる'''と決められている。これは、電流の向きが決められた当時は電子がまだ発見されていなかったことによる。電流の正体が-の電気をもつ電子の流れであることがわかってからも、「電流は電源の+極から出て-、-極に入る向きに流れるもの」と定義されている。
 
 
;==== ボルタの電池 ====
うすい硫酸に亜鉛板と銅板をひたすと電池が作れる。銅板の側が電池の正極で、亜鉛板の側が負極である。このように、亜鉛板と銅板と酸溶液からなる電池を'''ボルタの電池'''(Voltaic pile)という。
 
亜鉛板が電池のマイナス極に相当し、銅板がプラス極に相当する。
ここで重要なのは、亜鉛板だけを硫酸にひたしても、電気は発生せず電池には、ならない。たとえ亜鉛板が酸と反応して溶けても、電池は出来ず、電気は流れず、単に亜鉛板が硫酸にとけていくだけである。
 
 
ここで重要なのは、けっして片方の亜鉛板だけを硫酸にひたしても、マイナス極しか出来ていないから、電気は発生しなくて、電池には ならない。たとえ亜鉛板が酸と反応して溶けても、電池は出来ず、電気も流れず、単に亜鉛板が硫酸にとけていくだけである。
 
マイナス極の亜鉛板だけでなく、亜鉛板にくわえて、プラス極になる銅板を薄い硫酸にひたして、こうしてプラス極とマイナス極とがそろって、化学電池になるのである。
 
亜鉛板だけでなく、亜鉛板と銅板を薄い硫酸にひたして、電池になるのである。
 
ボルタの電池が、電池であることを確認するには、回路に豆電球(ただし理科実験用の小型のもの)をつないだり、あるいはモータ(ただし理科実験用の小型のもの)をつなげば良い。回路に電球やモータをつないだとき、電極で起こる化学反応は以下の通りである。
 
* 亜鉛板
 
亜鉛原子が電子を2個失って亜鉛イオン(Zn<sup>2+</sup>)になり水溶液にとけ出す。
 
: Zn &rarr; Zn<sup>2+</sup> + 2e<sup>-</sup>
* 銅板
 
ここで、記号 e は電子である。電子は、当然、マイナスの電気を持っているので、e<sup>-</sup>という記号になる。
電子e<sup>-</sup>は、導線を伝わって、亜鉛板から銅板のほうへと流れていく。
 
 
* 銅板
亜鉛板にたまった電子が導線へ流れ出し、モーターを通ったあと銅板に流れこむ。この電子は、水溶液中の水素イオン(H<sup>+</sup>)と結びつき水素原子になる。できた水素原子2個が結びついて水素分子(<math>H_2</math>)になる。
 
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電圧や起電力の単位の「ボルト」の由来は、ボルタの電池を発見したボルタが由来である。
 
 
ボルタの電池は、時間がたつと、起電力が下がっていってしまう。これは反応中に銅板で発生する水素による泡が原因である。
 
このような電極に発生した泡による起電力の低下を、電池の'''分極'''(ぶんきょく、polarization)という。
なお、ボルタの電池は、時間がたつと、起電力が下がっていってしまう。これは反応中に銅板で発生する水素による泡が原因である。
このような電極に発生した泡による起電力の低下を、電池の分極(ぶんきょく、polarization)という。分極は高校レベルなので、中学生は、あまり気にしなくて良い。
 
 
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このように、起電力の電圧の発生要因に化学反応を用いている電池を化学電池(かがくでんち)という。
 
*マンガン乾電池
対して、太陽光発電パネルなどのように、化学反応を用いなくても発電できる装置は、化学電池ではない。
 
マンガン乾電池の起電力の電圧は約1.5ボルトである。
 
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*=== 発展 イオン化傾向 ===
:(※くわしくは高校でイオン化傾向を習うが、中学用の参考書などにも書かれているので、余裕があれば学んで頂きたい。)
金属元素の単体を水または水溶液に入れたときの、陽イオンのなりやすさを'''イオン化傾向'''(イオンか けいこう、ionization tendency、イオニゼイション・テンデンシー)という。
 
例として、亜鉛Znを希塩酸HClの水溶液に入れると、亜鉛Znは溶け、また亜鉛は電子を失ってZn<sup>2+</sup>になる。
金属元素の単体を水または水溶液に入れたときの、陽イオンのなりやすさを'''イオン化傾向'''(イオンか けいこう、ionization tendency、イオニゼイション・テンデンシー)という。
例として、亜鉛Znを希塩酸(きえんさん)HClの水溶液に入れると、亜鉛Znは溶け、また、亜鉛は電子を失ってZn<sup>2+</sup>になる。
:Zn + 2H<sup>+</sup> → Zn<sup>2+</sup> + H<sub>2</sub>
いっぽう、銀Agを希塩酸(薄い塩酸のこと)に入れても反応は起こらない。
このように金属のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさ)の大きさは、物質ごとにイオン化傾向の大きさが異なる。
今度は、銅を希塩酸の溶液に入れてみた場合を考える。この場合は、なにも反応しない。
このように金属のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさ)の大きさは、物質ごとにイオン化傾向の大きさが異なる。
以上の例だけでは、まだ、銅と銀のイオン化傾向の大きさの大小関係は不明である。
 
今度は、銅を希塩酸の溶液に入れてみた場合を考える。この場合は、なにも反応しない。
以上の例では、* 銅と銀のイオン化傾向の大きさの大小は不明である。
;硝酸銀溶液と銅の場合
* そこで、銅と銀のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさのこと)を比べるための実験例として、
 
;硝酸銀溶液と銅の場合
硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に、銅線や銅板などの銅の固体を添加する。
そこで、銅と銀のイオン化傾向(陽イオンのなりやすさのこと)を比べるための実験例として、
 
硝酸銀AgNO<sub>3</sub>の溶液に、銅線や銅板などの銅の固体を添加する。
ここでは、銅板を添加したとしよう。すると、銅板の表面に銀が付着し、銀が析出する。
いっぽう、この硝酸銀の溶液中では銅板は陽イオンとなり溶ける。
溶液は、しだいに青くなるが、この青色は銅イオン溶液の色である。以上の変化を反応式で書くと、
:Cu + 2Ag+ → Cu <sup>2+</sup> + 2Ag
なお、この反応で生じた銀を、生じ方が樹木が伸びるように析出した銀が伸びることから'''銀樹'''(ぎんじゅ)という。
;硫酸銅溶液と銀の場合
いっぽう、今度は溶液を変え、硫酸銅 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> の溶液に銀板Agをいれても、
なにも析出せず、なにも変化は起きない。
これらのことから、銅は銀よりもイオン化傾向(陽イオンのなりやすさのこと)が大きいであろうことが予測できる。
;亜鉛と銅のイオン化傾向
また溶液を変え、硫酸銅の水溶液に亜鉛板Znを添加すると、亜鉛の表面に銅が析出する。
このことから、亜鉛Znは銅Cuよりもイオン化傾向が大きいことが予想できる。
* イオン化列
さまざまな溶液や金属の組み合わせで、イオン化傾向の比較の実験を行った結果、
イオン化傾向の大きさが決定された。
左から順に、イオン化傾向の大きい金属を並べると、以下のようになる。
: K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H<sub>2</sub>) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
:左側ほど、陽イオンになりやすい。                     右側ほど、イオン化しづらい。
(中学の段階では、覚える必要はない。)
金属を、イオン化傾向の大きさの順に並べたものを金属の'''イオン化列'''(イオンかれつ、ionization series)という。
水素や水は金属では無いが、比較のため、イオン化列に加えられる。
金属原子は、上記の他にもあるが、高校化学では上記の金属のみのイオン化列を用いることが多い。
なお、イオン化列の記憶のための語呂合わせとして、
「貸そうかな、まあ、あてにすな、ひどすぎる借金。」(かそうかな、まあ、あてにすな、ひどすぎる しゃっきん。)
などのような語呂合わせがある。ちなみにこの語呂合わせの場合、
:「Kか そう かCa なNa、まMg あAl、あZn てFe にNi す なPb、ひH2 どCu すHg ぎAg る 借金Pt,Au。」
と対応している。中学では無理に覚える必要はない。
(以上、発展内容:イオン化傾向)
 
=== 電気分解 ===
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[[ファイル:1-Blue and red litmus paper.jpg|thumb|left|リトマス紙]]
 
中学2年までは、(えんさん)や酢酸(さくさん)や硫酸(りゅうさん)などの薄い水溶液は、つぎのような性質を示すであった
 
塩酸(えんさん)や酢酸(さくさん)や硫酸(りゅうさん)などの薄い水溶液は、つぎのような性質を示す。
* 青色リトマス紙を赤色に変える。
* BTB液を加えると赤色になる。
 
このような性質を'''酸性'''(さんせい)という言った。また、酸性を示す物質を'''酸'''(さん、acid)という言った
 
われわれ中3以上の読者は、この酸(さん)の定義を、イオンの観点から、定義しなおそう。
 
結論から言うと、酸とは、水溶液に溶けたときに、水素イオン H<sup>+</sup> を出す物質である。いっぽう、アルカリとは、水溶液に溶けたときに、水酸化物イオン OH<sup>-</sup> を出す物質か、あるいは他の物質の作った水素イオン H<sup>+</sup> を受け取る物質である。
 
考えてみれば、酸である塩酸 HCl や、硫酸(りゅうさん) H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> など、化学式に水素原子 H をふくんでいる。
 
しかし、水 H<sub>2</sub>O のように、かならずしも水素原子Hをふくんでいるからと言って、酸性になるとは限らない。
 
水の場合、 H<sub>2</sub>O 分子中に、HとOHという、酸になるHと、アルカリになるOHという、両方のイオンをふくんでいるので、全体的にはt中性である。
 
水の一部は、次の式のように電離している。
 
:H<sub>2</sub>O → H<sup>+</sup> + OH<sup>-</sup>
 
純水で、このように電離しているのは、水分子のうちの、ごく一部なので、ほとんど電気を純水は流さない。
 
 
 
また、アンモニウムイオン NH<sub>4</sub> のように、水素原子をふくんでいても、アルカリ性である。
アンモニアNH<sub>3</sub>が、他の物質から水素イオンを受け取って NH<sub>4</sub> になっているので、アンモニアおよびアンモニウムイオンは、アルカリ性というわけである。
 
水溶液中では、アンモニアは、つぎのように、水素イオンを受け取り、電離する。
 
:NH<sub>3</sub> + H<sup>+</sup> → NH<sub>4</sub><sup>+</sup>
 
以上のアンモニアの電離の式のように、酸やアルカリの化学式を覚えるときは、反応式も、いっしょにおぼえること。
 
分子の式だけだと、物質によっては、酸かアルカリかは、分かりづらい。
 
 
さて、つぎの節では小学校から中学2年までに習った、酸とアルカリの基本的な性質を復習しよう。
 
今までに習った酸やアルカリの基本的な性質や実験例も、高校入試には出てくる。
 
単に酸やアルカリの、イオンにもとづいた新しい定義をおぼえるだけでなく、実験例や、具体的な反応式なども、中学生は、おぼえる必要がある。
 
=== 酸とアルカリの復習 ===
==== 酸についての復習 ====
酸性の溶液には次のような性質が有る。
* 食用に用いられる酢酸やクエン酸などの薄い水溶液を舐めてみると、すっぱい味がするように、食用の酸はすっぱいことが多い。
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;主な酸
おもな酸には、塩酸HCl、酢酸CH<sub>3</sub>COOH、炭酸H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>、硫酸(りゅうさん)H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>、硝酸(しょうさん)HNO<sub>3</sub>などがある。ミカンなどの柑橘類(かんきつるい)に含まれるクエン酸や、食用油などに含まれるオレイン酸も酸である。
 
* 塩酸 HCl
塩酸 HCl とは、'''塩化水素'''(えんかすいそ、hydrogen chloride)という気体が溶けた水溶液である。
無色透明の水溶液である。強い酸性を示す。
:においは、刺激臭が有る。この刺激臭は塩化水素の蒸気のにおいである。
 
塩酸は、水溶液中で、次のようにイオンに電離している。
(※ 注意:塩酸のにおいをかぐ時は、けっして直接はかいではいけない。塩酸の蒸気を手であおいだり鼻に風を送ったりして、間接的に、においをかぐ。)
 
:HCl → H<sup>+</sup> + Cl<sup>−</sup>
 
 
においは、刺激臭が有る。この刺激臭は塩化水素の蒸気のにおいである。
 
(※ 注意:塩酸のにおいをかぐ時は、けっして直接、かいではいけない。塩酸の蒸気を手であおいだり鼻に風を送ったりして、間接的に、においをかぐ。)
 
:塩酸は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄を溶かす。これらの金属を溶かすときに水素が発生する。この水素は塩化水素中に含まれていた水素原子が化学反応によって水素分子として生じたものである。
 
* 酢酸 CH<sub>3</sub>COOH
食用の酢酸水(CH<sub>3</sub>COOH水溶液)である食酢(しょくさく)には、酢酸(CH<sub>3</sub>COOH)が3%〜5%ほど含まれている。
 
刺激臭が有る。
酢酸は、水溶液中で、次のようにイオンに電離している。
 
:CH<sub>3</sub>COOH → CH<sub>3</sub>COO<sup>−</sup> + H<sup>+</sup>
 
においは、すっぱい刺激臭が有る。
 
濃い酢酸は、寒くなると凍る。凍った酢酸を氷酢酸(ひょうさくさん)という。
 
* 炭酸 H<sub>2</sub>CO<sub>3</sub>
二酸化炭素CO2溶けた水溶液である。
 
 
*硫酸 H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>
水溶液中では、つぎのように電離している。
:H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> → 2H<sup>+</sup> + SO<sub>4</sub><sup>2−</sup>
 
強い酸である。
 
 
*強酸(きょうさん)と弱酸(じゃくさん)
塩酸や硫酸などの強い酸のことを、まとめて、強酸(きょうさん)という。
 
いっぽう、炭酸や酢酸などの、弱い酸を、弱酸(じゃyくさん)と言う。
 
 
*実験の際の注意
塩酸や硫酸、硝酸などの強い酸は、危険であり、取り扱いには注意を要する。皮膚などにつかないように注意する。
もし、実験の失敗などで、これらの酸の濃い酸が体にかかったり、大量の酸がかかったら、実験を中断し、すぐに大量の純水で洗い、先生や大人に相談すること。
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注意するのは、酸の液体だけでなく、酸の液体から発する蒸気なども、注意すること。蒸気を、かぎすぎないようにすること。また、目に入らないようにすること。
 
 
=== アルカリ ===
==== アルカリ ====
水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カルシウム水溶液やアンモニア水溶液は、つぎのような性質を示す。
 
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* 水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えると、赤色に変わる。
 
このような性質を'''アルカリ性'''と言う。(または塩基性(えんきせい)と言う。中学の段階では、アルカリ性で呼び方を統一してまた、水溶液がアルカリ性を示す物質のことを'''アルカリ'''(alkali、発音:アルカライ)という。
 
アルカリの中にはタンパク質や脂肪などを溶かすものもあり、皮膚などを溶かし、強いアルカリや濃いアルカリの中には危険な物もある。取り扱いには注意すること。皮膚などにアルカリをつけないようにする。もしアルカリが目に入った場合は、即座に大量の純水で洗い流し、先生や大人に相談および連絡をして、必要に応じて保険医などに診察してもらうこと。
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;主なアルカリ
* 水酸化ナトリウム NaOH
水酸化ナトリウム(すいさんかナトリウム、sodium hydroxide、ソウディアム・ハイドロオキサイド)は、強いアルカリ性を示す。なので取り扱いには気をつけること。
:白色で半透明の固体である。
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:石灰水に二酸化炭素を吹き込むと、白い沈殿物が生じる。この現象はよく、気体の種類が二酸化炭素であるかどうかを調べる手法に利用される。
 
* アンモニア NH<sub>3</sub>
アンモニアの水溶液を'''アンモニア水'''(アンモニアすい)という。
:刺激臭が有る。
 
==== 中性 ====
酸性でもなく、アルカリ性でもない性質を中性(ちゅうせい)という。純水(じゅんすい)中性である。
水溶液が中性をしめす物質は多くあるが、例を上げると、食塩水や砂糖水は中性である。リトマス紙に中性の水溶液をつけても、色は変わらない。
 
====中和====
 
ある物質の水溶液を作ったとき、その水溶液が[[w:酸性]]、[[w:アルカリ性]]などの性質を持つことがある。これは各々の[[w:溶質]]の性質である。例えば、二酸化炭素の水溶液は酸性であり、アンモニアの水溶液はアルカリ性である。一方酸性でもアルカリ性でも無い水溶液を[[w:中性]]の水溶液と呼ぶ。
 
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* 発展
厳密には、中和に際して水を作るのは酸の中の[[w:水素イオン]]<math>H^+</math>と、アルカリの中の[[w:水酸化物イオン]]<math>OH^-</math>である。現在の指導要領では[[w:イオン]]については詳しく述べない。[[高等学校化学]]などを参照。後の議論でも同様で、[[w:塩]](えん)を作るのは、酸の陰イオンと、アルカリの陽イオンである。
 
また、酸の中のHやアルカリの中のOHが取り去られた後、残った物質(イオン)が結合して新たな物質を作ることがある。ここでできる物質を[[w:塩]]("えん"と読む)と呼ぶ。反応に用いた酸とアルカリによって生じる塩が決まる。例えば、塩酸とアンモニア水が反応した時には水と[[w:塩化アンモニウム]](えんかアンモニウム、ammonium chloride)が生じる。この反応は次の化学反応式で書かれる。