「中学校理科 第1分野/化学変化とイオン」の版間の差分

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高等学校化学I/物質と原子 2013年11月7日 (木) 01:27‎ から、発展項目として電子殻について引用。
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=== 電解質 ===
水にとかしたとき、その水溶液に電流が流れるようになる物質を'''電解質'''(でんかいしつ、electrolyte)という。
:例) 塩化ナトリウム(食塩)、水酸化ナトリウム、塩化銅、硫酸、塩化水素(塩酸) など、水溶液が電気を流すので、電解質である。
 
水にとかしてもその水溶液に電流が流れない物質を'''非電解質'''(ひでんかいしつ)という。
:例) エタノール水溶液、砂糖水、メタノール水溶液 などは、電気を流さないので、非電解質である。
 
 
塩化ナトリウムであっても、水溶液に溶かしていない、固体の塩化ナトリウムでは、たとえ電気回路で電圧を加えても、電気を流さない。水酸化ナトリウムも同様に、水溶液に溶かしていない固体の水酸化ナトリウムは電気を流さない。
 
塩化銅も、固体の状態では、電圧を加えても、電気を流さない。
 
 
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ふつうの水素原子の原子核は、1個の陽子だけである。1個の陽子だけを持つ水素原子のまわりの電子の数は、1個の電子がある。
[[Image:Atom.svg|frame|right|ヘリウム原子のモデル。図での緑色で表された粒が、中性子。ヘリウムの原子核は2個の陽子と、2個の中性祖を持つ。ヘリウムの電子は2個である。]]
 
ふつうのヘリウム原子の原子核は、2個の陽子と、2個の中性子との、計4個の粒子である。ヘリウムの電子の数は、陽子と同じ2個である。
 
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*さまざまな電解質の電離の例
塩化水素
: HCl &rarr; H<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
 
塩化ナトリウム
: NaCl &rarr; Na<sup>+</sup> + Cl<sup>-</sup>
 
水酸化ナトリウム
: NaOH &rarr; Na<sup>+</sup> + OH<sup>-</sup>
 
塩化銅
: CuCl<sup>2+</sup> &rarr; Cu<sup>2+</sup> + 2Cl<sup>-</sup>
 
=== 発展:電子殻 ===
この節であつかう電子殻(でんしかく)について、くわしくは高校で習う。
 
[[Image:Electron shell 008 Oxygen (diatomic nonmetal) - no label.svg| thumb |200px| 酸素原子Oの電子は、K殻に2個の電子。L殻に6個の価電子を持つ。]]
[[File:Electron shell 001 Hydrogen (diatomic nonmetal) - no label.svg|thumb|200px| 水素原子Hの電子は、K殻に1個の価電子を持つ。]]
 
 
原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。
; 電子殻(でんしかく、electron shell) : 電子が飛び回っている部分全体を指す。階層構造になっている。
この電子殻は何重かにわかれており、内側から'''K殻'''(ケーかく、K shell)、'''L殻'''(エルかく、L shell)、'''M殻'''(エムかく、M shell)、……と呼ぶ。
 
それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、中学・高等学校の化学ではこれについては扱わない。
 
また、いちばん外側の電子殻にある電子を'''最外殻電子'''(さいがい でんしかく)と呼ぶ。最外殻電子は原子の性質に大きな影響を与える。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。原子の性質を決める最外殻電子を特別に'''価電子'''(かでんし、valence electron)と呼ぶ。
最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。
 
[[File:Electron shell 002 Helium - no label.svg|thumb|left|200px| ヘリウム原子Heの電子は、K殻に2個の電子を持つ。ヘリウムは閉殻構造である。閉殻なのでヘリウムの価電子は0と数える。]]
 
各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を'''電子配置''' (でんしはいち、electron configuration)という。K殻に2個の電子が全て収められた場合の電子配置は、希ガスであるヘリウムHeの電子配置と同じである。L殻まで電子が全て収められ、L殻に8個の電子とK殻に2個の電子の合計10個の電子が全て収められた場合の電子配置は、希ガスであるネオンNeの電子配置と同じである。
同様に、M殻の終わりまで全て電子が収められた状態は、希ガスであるアルゴンArの電子配置と同じである。
 
<gallery widths=250px heights=250px>
File:Electron shell 011 Sodium.svg |ナトリウム原子Naの電子は、K殻に2個の電子。L殻に8個の電子。M殻に1個の価電子を持つ。イオン(Na<sup>+</sup>)になったときは、最外殻の電子1個が放出されている。<br />電解質の場合、ナトリウムの電子殻が放出した電子の行き先は、電解質の、もういっぽうの原子の電気殻である。たとえば塩化ナトリウムNaClの場合、ナトリウムNaの放出した電子の行き先は、塩素原子Clの電子殻である。
File:Electron shell 017 Chlorine.svg| 塩素原子Clの電子は、K殻に2個の電子。L殻に8個の電子。M殻に7個の価電子を持つ。イオン(Cl<sup>-</sup>)になったときは、最外殻に電子が1個入っている。<br />電解質の場合、塩素の電子殻に、やってきた電子の出所は、ほかの原子である。たとえば塩化ナトリウムNaClの場合、塩素原子Clの電子殻にやってきた電子の出所(でどころ)は、ナトリウムNaから放出されている。
</gallery>
 
<gallery widths=250px heights=250px>
File:Electron shell 010 Neon.svg|ネオンの電子配置。
File:Electron shell 018 Argon.svg|アルゴンの電子配置。
</gallery>
 
ナトリウムがイオン化すると、電子配置はネオンNeと同じになる。(原子核は、ナトリウムNaとネオンNeは、ちがっている。)
塩素がイオン化すると、電子配置は、アルゴンArと同じになる。(原子核は、塩素 Cl とアルゴン Ar は、ちがっている。)
 
 
ヘリウムや、ネオンやアルゴンは、周期表では、18族の最後の列になる。
これら18族のヘリウム、ネオン、アルゴンは、安定しており、化学反応しづらい。
 
 
18族以外の他の原子でも、電子配置が18族の配置と同じ配置になると、その原子や分子などは安定する。なので、水溶液中などでは、電子配置が、最外殻電子を埋めるように、もしくは最外殻電子をなくすように、反応をする。
 
この結果、周期表を見ることで、イオンになった場合の電荷の数や符号が、だいたい予想できる。
水素H、リチウムLi、ナトリウムNaなど、周期表の1族の原子がイオンになったとき、イオンはそれぞれ、H<sup>+</sup>、Li<sup>+</sup>、Na<sup>+</sup>、・・・というふうに、イオンの電気がプラス1である。
 
逆に、塩素は、周期表の17族にあるが、電子が1個だけ増えると、18族の電子配置と同じになるので、塩素イオンCl<sup>-</sup>というふうに、塩素イオンの電気はマイナス1ということが、周期表からも予想できる。
 
 
イオンに限らず、分子をつくる反応でも、最外殻電子の電子数を安定配置にする方向に、反応が進む。
 
たとえば水素Hの気体が、水素分子H<sub>2</sub>として存在する理由も、2個の水素原子が最外殻電子を1個ずつ共有すると、電子配置がヘリウムと同じになり、安定するからである。
 
酸素分子も同様であり、2個の酸素原子が、電子を2個ずつ共有すれば、16族の酸素原子は、ちょうどネオン(18族)の電子配置と同じになる。
 
固体の塩化ナトリウムでも、ナトリウムの電子1個が、塩素の電子殻に移動することで、それぞれ電子殻が安定する。
 
 
電子殻について、くわしくは高校で習う。
 
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=== 参考: 炎色反応 ===
:(※ 炎色反応は、2014年の現在では、中学校では、あつかわない。もし読者に時間に余裕があれば、読んでもらいたい。)
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=== PH ===
水溶液中での酸性やアルカリ性には強さがある。酸性やアルカリ性の強さを決める要因は、物質おもに、その酸の種類またはアルカリの種類と、水けている物質液中での酸またはアルカリ濃度で決まる。
 
水溶液の酸性やアルカリ性の強さを表す値を '''pH'''('''ピーエイチ'''、もしくはペーハー) と呼ぶ。pH が、 pH=7のとき、その溶液は中性である。