「高等学校国語総合/伊勢物語」の版間の差分
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145 行
:乾飯 - 携帯用の干した飯。水や湯で戻してから食べる。
:かきつばた - アヤメ科の植物。
:武蔵(むさし)の国 - 現在の東京都・埼玉県と神奈川県の一部。▼
:下総(しもつふさ)の国 - 現在の千葉県北部と茨城県の南部。▼
:すみだ河 - 現在の東京都の東部を流れる隅田川。▼
=== 二 ===
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なほ行き行きて、武蔵(むさし)の国と下総(しもつふさ)の国との中に、いと大きなる川あり。それをすみだ河といふ。その河のほとりに群れゐて
みな人もの侘しくて、京に思ふ人なきにしもあらず。さる折りしも、白き鳥の、嘴(はし)と脚と赤き、鴫(しぎ)の大きさなる、水の上に'''遊びつつ'''魚(いお)を喰ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡守に問ひければ、「これなむ都鳥。」と言ふを聞きて、
:'''名にし負はば''' いざこととはなむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
と
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さらにどんどんと行って、武蔵の国と下総の国との中に、大きな川がある。その川を隅田川(すみだがわ)という。その川のほとりに一行が集まって座って、「(都のことを)思えば、とても遠くに来たものだなあ。」と互いに嘆きあっていると、渡し守が「早く舟に乗れ。日も暮れてしまう。」というので、(舟に)乗って(川を)渡ろうとするが、(一行の者は)みな何となくさびしくて、(というのも)都に(恋しく)思う人がいないわけでもない。(=都に恋しい人がいる。)
ちょうどその時、(都鳥があらわれ、)白い鳥でくちばしと脚とが赤い、鴫ほどの大きさである鳥が、水の上で'''気ままに動きながら'''魚を(捕って)食べている。京では見かけない鳥なので、(渡し守を除いて)一行の人は誰も知らない。渡し守に(この鳥のことを)尋ねると、「これこそが(有名な)都鳥(だよ)。」と言うのを(一行は)聞いて、
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:都という語を'''名前に持っているならば'''、さあ訪ねるぞ都鳥よ、私が(恋しく)思っている(あの)人は(都で無事で)いるかどうかと。
*語句▼
と詠んだので、舟の上の一行は皆(感極まり)泣いてしまった。
[[File:Lachmöwe (Larus ridibundus) 4.jpg|thumb|ユリカモメ。]]▼
:都鳥- ユリカモメの別名と思われている。▼
▲|}
(第九段)
▲*語句
:わびあへる - 「わぶ」の意味は、ここでは「嘆く」(なげく)。「わびあへる」の意味は、「嘆きあっている」。「わぶ」には他にも多くの意味があり、「悩む」「わびさびを感じる」「謝る・わびる」などの意味もある。
:遊びつつ - 自由に動き回る、気ままに動き回る、などの意味。
:'''名にし負はば''' - 未然形+助詞「ば」で仮定を表す。名前に持っているならば。
*語句(地名など)
▲:武蔵(むさし)の国 - 現在の東京都・埼玉県と神奈川県の一部。
▲:下総(しもつふさ)の国 - 現在の千葉県北部と茨城県の南部。
▲:すみだ河 - 現在の東京都の東部を流れる隅田川(すみだがわ)。
▲[[File:Lachmöwe (Larus ridibundus) 4.jpg|thumb|ユリカモメ。]]
▲:都鳥- カモメ科のユリカモメの別名と思われている。
=== 品詞分解 ===
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