「高等学校国語総合/伊勢物語」の版間の差分

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東下りの大意。
268 行
== 筒井筒 ==
*大意
 
=== 一 ===
*大意
 
*本文/現代語訳
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昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて(いでて)遊びけるを、大人(おとな)になりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。さて、この隣の男のもとより、かくなむ、
 
:筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに
  
女、返し、
 
:比べ来し(こし) 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして 誰(たれ)かあぐべき
  
など言ひ言ひて、つひに本意のごとくあひにけり。
とよめりければ、みな人、乾飯の上に涙落としてほとびにけり。
 
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昔、田舎で暮らしていた人の子供たちが、井戸の周りで遊んでいたが、大人になったので男も女も互いに恥かしがったが、男はこの女をぜひ妻にしようと思い、女はこの男をぜひ夫にしようと思いながら(暮らしていて)、親が(他の人と)結婚させようとするけれど聞き入れないでいた。
そして、この隣に住む男のところから、このように(歌を言ってきた)。
 
:私の背丈も、(もう)井戸の背丈を越してしまったことだよ。あなたと会わないでいるうちに。丸い井戸の、井戸の囲いと、幼いころに高さを比べた私の背丈は。
 
女の返歌は、
 
:私の髪も、(もう)肩をすぎるほど長くなりました。(幼いころに)あなたと長さを比べあってきた振り分け髪も。(この髪を)あなたでなく、誰が上げましょうか。(あなた以外にはいません。)
 
などと言い合って、(それから、しばらくして、)ついに(二人は)本来の望みどおりに結婚をした。
 
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*語句
 
=== 二 ===
*大意
 
*本文/現代語訳
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さて、年ごろ経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所いできにけり。さりけれど、このもとの女、悪し(あし)と思へるけしきもなくて、いだしやりければ、男、異心ありてかかるにやあらむと思ひ疑ひて、前栽の中に隠れゐて、河内へ往ぬる顔にて見れば、この女、いとよう化粧じて、うち眺めて(ながめて)、
 
:風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ
  
と詠み(よみ)けるを聞きて、限りなくかなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。
 
 
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*語句
 
=== 三 ===
*大意
 
*本文/現代語訳
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まれまれかの高安に来てみれば、初めこそ心にくくもつくりけれ、今はうちとけて、手づから飯匙(いいがい)取りて、笥子のうつはものに盛りけるを見て、心憂がりて(うがりて)行かずなりにけり。さりければ、かの女、大和の方を見やりて、
 
:君があたり 見つつを居らむ 生駒山 雲な隠しそ 雨は降るとも
  
と言ひて見出だす(みいだす)に、からうじて、大和人「来む」と言へり。喜びて待つに、たびたび過ぎぬれば、
  
:君来むと 言ひし夜ごとに 過ぎぬれば 頼まぬものの 恋ひつつぞ経る
  
と言ひけれど、男住まずなりにけり。
 
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*語句
 
=== 品詞分解 ===