「法学入門」の版間の差分

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「法学入門」とは、講義科目としての『法学』又は『法律学』(学説により法学と法律学は区別される)の初学者に対して、「『法』とは何か」「『法律』とは何か」を示し、いろいろな事がらについて、どのような法的観点があるのかを説くものである。法と法律は、人の社会生活のあらゆる局面を、さまざまな目的から調整をおこなうものである。それは単純な筋書きのドラマのような架空の事柄ではなく、現実に起こっている微妙かつ複雑なことである。したがって、法と法律を学ぶ観点は、先ずは、法が対象とする社会について知り、次いで、法律に対する人々の理解の現実を知る努力がなされなければならない。その上で、現実の事件がどのように取り扱われたかを丹念に考察し、かつ、その当否について価値判断し、そして、それがどのように調整されるべきかを、社会に向け発し、かつ、説得できるかを自ら考えることができるようになることといえる。現実の事件の広範性・多様性を考慮すると、断片的な情報による世間話のようなものでは法的観点を定立することは不可能である。その多くは、日常会話において、報道で聞くことの多い法律用語を意味を十分に確かめることもせずに使ってみたり、さらに、単に「やり方」と言えば済むことを「方法論」と言ったり、また、部分的で「特徴」というべきものを「本質」と言ったり、「解釈」という語を不必要にまでに使うなど、表面的かつ無内容なものとなってしまう。この場合に、納得のいか自分に有利でないことに対して突発的に「屁理屈」という語が繰り返されることもある。こが、れはある種の恫喝的行為法的話し合いを遮るものであり、ここには何が重要な問題であるかについての洞察は無い。自分に関する物ごとや権利と他人に関する物ごとや権利の違いを感覚的に理解し、それぞれが別なものとして円滑に行動する実践力を身につけることが法学を学ぶ最も大きな意義である。例えば、職場等でメールの盗み読みや私用電話等を平然としているような状況には、法的感覚は一切みられないといってよい。これについては、衆愚的なたかり感覚によるものとの指摘もあり<ref>星野 英一・樋口 陽一「社会の基本法と国家の基 本法(特別対談)」【特集】世紀の転換点に憲法を考える(ジュリスト2001年1月1-15日号(No.1192)) 有斐閣</ref>、実際、[[権利]]と自分[[勝手]]の違いを理解できない法現象のひとつとして、いわゆる[[w:モンスターペアレント|モンスターペアレント]]の社会問題は広く知られている。このような状態で法について語ることは、学問に対して不遜な態度であり、かつ、情動を誘発するものとして戒めるべきものとすら言える。
 
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