「高等学校生物/生物I/細胞とエネルギー」の版間の差分

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窒素固定に関して、窒素の三重結合について記述。ついでに周期表を追加。
用語に英訳
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葉緑体の内部の構造には、'''チラコイド'''という膜状の構造と、'''ストロマ'''という無色の基質の構造がある。
 
チラコイドにある色素が光エネルギーを吸収する。この吸収のとき、特定の波長の光を吸収している。赤や青の光が葉緑体に吸収される。緑色の光は吸収しない。吸収しなかった波長の光は反射される。植物の緑色は、反射した光の色であり、光合成には使用していない光である。
 
吸収した光エネルギーで、ATPの合成やNADPHの合成を行っている。(「NAD」とは「ニコチン アデニン ジヌクレオチド」のことである。)
440 行
 
==== アルコール発酵 ====
酵母菌(こうぼきん)のアルコール発酵での化学反応式は、まずグルコースC<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>から'''ピルビン酸'''C<sub>3</sub>H<sub>4</sub>O<sub>3</sub>に分解される。この、グルコースからピルビン酸を得る過程を'''解糖系'''(かいとうけい、glycolysis)という。解糖系でATPが2分子つくられる。そしてピルビン酸が、無酸素の状態では酵素デカルボキシラーゼによってアセトアルデヒドCH<sub>3</sub>CHOによって分解され、そのアセトアルデヒドがNADHという物質によってエタノールC<sub>2</sub>H<sub>5</sub>OHへと変えられる。
 
:'''解糖系'''  <big>(C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>) → 2C<sub>3</sub>H<sub>4</sub>O<sub>3</sub> + 4H + 2ATP</big>
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コハク酸以外での脱水素反応では、NADが水素を受け取っている。(「NAD」とは「ニコチン アデニン ジヌクレオチド」のことである。)
 
*電子伝達系(Electron transport chain)
ミトコンドリアの内膜に'''シトクロム'''(cytochrome)というタンパク質がいくつもあり、このシトクロムは電子を受け渡しできる。解糖系やクエン酸回路で生じたNADHやFADH2から、電子e<sup>-</sup>と水素イオンH<sup>+</sup>が分離し、電子はシトクロムに渡される。そしてシトクロムどうしで電子を受け渡す。このとき、H<sup>+</sup>が、いったんマトリックスから膜間にくみ出され、それから水素イオンの濃度勾配に従ってATP合成酵素を通ってマトリックス側に戻る。このH<sup>+</sup>が'''ATP合成酵素'''を通る際のエネルギーを利用して、ADPからATPが生成される。最終的に生成するATPの数は、グルコース1分子あたりATPを最大で34分子を生じる(生物種によって生成数が異なる)。
これらの反応ではNADHなどが酸化される反応が元になってATPを生成しているので、一連の反応を'''酸化的リン酸化'''(oxidative phosphorylation)という。シトクロムのことをチトクロームともいう。
 
電子e<sup>-</sup>は、最終的に酸素原子に渡され、酸化酵素の働きで水素イオンと反応し水になる。この水の生成反応のときの反応エネルギーを用いて、マトリックスの水素が膜間へと運ばれており、さきほど述べたようにATPが合成されている。