「中学校理科 第1分野/化学変化とイオン」の版間の差分

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このような性質を'''酸性'''(さんせい)と言った。また、酸性を示す物質を'''酸'''(さん、acid)と言った。
われわれ私たち中3以上の読者は、この酸(さん)の定義を、イオンの観点から、定義しなおそう。
 
われわれ中3以上の読者は、この酸(さん)の定義を、イオンの観点から、定義しなおそう。
 
結論から言うと、酸とは、水溶液に溶けたときに、水素イオン H<sup>+</sup> を出す物質である。いっぽう、アルカリとは、水溶液に溶けたときに、水酸化物イオン OH<sup>-</sup> を出す物質か、あるいは他の物質の作った水素イオン H<sup>+</sup> を受け取る物質である。
 
考えてみれば、酸である塩酸 HCl や、硫酸(りゅうさん) H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> など、化学式に水素原子 H をふくんでいる。
 
しかし、水 H<sub>2</sub>O のように、かならずしも水素原子Hをふくんでいるからと言って、酸性になるとは限らない。
 
水の一部は、次の式のように電離している。
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純水中で、電離している水分子は、ごく一部なので、純水は電気を流さない。
 
水の場合、 H<sub>2</sub>O 分子中に、HとOHという、酸になるHと、アルカリになるOHという、両方のイオンをふくんでいるので、全体的には水は中性である。
 
 
また、アンモニウムイオン NH<sub>4</sub> のように、水素原子をふくんでいても、アルカリ性である。
アンモニアNH<sub>3</sub>が、他の物質から水素イオンを受け取って NH<sub>4</sub> になっているので、アンモニアおよびアンモニウムイオンは、アルカリ性というわけである。
 
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:NH<sub>3</sub> + H<sup>+</sup> → NH<sub>4</sub><sup>+</sup>
 
以上のアンモニアの電離の式のように、酸やアルカリの化学式を覚えるときは、反応式も、いっしょにおぼえること。
 
分子の式だけだと、物質によっては、酸かアルカリかは、分かりづらい。
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* 食用に用いられる酢酸やクエン酸などの薄い水溶液を舐めてみると、すっぱい味がするように、食用の酸はすっぱいことが多い。
:'''(※ 注意:誤って、塩酸や硫酸などの水溶液を舐めてはいけない。)'''
:'''(※ 注意:理科室の物は、学校の先生の許可無く、味見しないこと。理科実験では危険な物質も扱うことがあるので、けっして、許可無く口にいれてはならない。)'''
 
* 塩酸の水溶液は、鉄や亜鉛、マグネシウムなどの金属を溶かす。硫酸の水溶液は、金属と反応しやすい。
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においは、刺激臭が有る。この刺激臭は塩化水素の蒸気のにおいである。
 
(※ 注意:塩酸のにおいをかぐ時は、けっして直接、かいではいけない。塩酸の蒸気を手であおいだり鼻に風を送ったりして、間接的に、においをかぐ。)
 
:塩酸は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄を溶かす。これらの金属を溶かすときに水素が発生する。この水素は塩化水素中に含まれていた水素原子が化学反応によって水素分子として生じたものである。
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塩酸や硫酸などの強い酸のことを、まとめて、強酸(きょうさん)という。
 
いっぽう一方、炭酸や酢酸などの、弱い酸を、弱酸(じゃくさん)と言う。
 
 
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詳しい定義で、たとえばNaClを説明すると、
:「酸(HCl)の陰イオン(Cl<sup>−</sup>)と、アルカリ(NaOH)の陽イオン(Na<sup>+</sup>)とが結びついた化合物を、塩(NaCl)という。」
というふうに、たしかに、塩(えん)に なっている。
 
塩酸の水溶液に、水酸化ナトリウムを加えていくと、中和によって、だんだん中性に水溶液は近づいていく。そのまま、さらに水酸化ナトリウムを加えると、完全に塩酸の水素イオンを打ち消した時点では、水溶液は中性になる。さらに水溶液に水酸化ナトリウムを加えていくと、アルカリ性になる。