「高等学校生物/生物II/タンパク質と生物体の機能」の版間の差分

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高等学校化学Ⅱ/糖類とタンパク質 2015年1月6日 (火) 17:18‎ より、引用。とりあえずの引用。
1 行
{{substub}}
== タンパク質 ==
=== アミノ酸 ===
[[File:Amino acid strucuture for highscool education.svg|thumb|300px|アミノ酸の一般的な構造。図中のRは、アミノ酸の種類によって、ことなる。]]
[[File:Glycine2.png|thumb|200px|グリシン]]
[[画像:Glycine-skeletal.png|thumb|グリシンの構造式。最も構造が単純なアミノ酸]]
[[Image:Amino Acid Zwitterion Structural Formulae V.1.svg|thumb||280px|アミノ酸の2つの異性体。右側が双性イオン。]]
アミノ基( -NH<sub>2</sub> )とカルボキシル基( -COOH )を1つの分子中にもつ化合物を'''アミノ酸'''という。この2種の官能基が同一の炭素C原子に結合しているアミノ酸を'''αアミノ酸'''という。
 
アミノ酸の一般式は
 
R-CH(NH<sub>2</sub>)-COOH
 
で表される。(Rは炭化水素基あるいは水素など。)
なお、R-の部分をアミノ酸の'''側鎖'''(そくさ)という。
 
アミノ酸のアミノ基( -NH<sub>3</sub> )は塩基性を示し、カルボキシル基( -COOH )は酸性を示すので、アミノ酸は両性化合物である。結晶中のアミノ酸分子中では、分子内で( -COOH )が水素Hを( -NH<sub>2</sub> )に渡して、アミノ酸内にイオンの( -COO<sup>-</sup> )と( -NH<sub>3</sub><sup>+</sup> )を生じる。その結果、アミノ酸の構造は、
 
R-CH(NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COO<sup>-</sup>
 
の構造になる。このように分子内に酸性と塩基性の両方のイオンを生じるので、'''双性イオン'''(そうせいイオン)とよばれる。
このようにイオンがあるため、アミノ酸は水に溶けやすい。
 
* 等電点
水溶液中では、アミノ酸は、平衡関係が変わり、水溶液のpHに応じて以下に示すような三種の状態をとる。
 
 
R-CH(NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COOH 陽イオン <math>\rightleftarrows </math> R-CH(NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COO<sup>-</sup> 双対イオン <math>\rightleftarrows </math> R-CH(NH<sub>2</sub>)-COO<sup>-</sup> 陰イオン
 
 
酸性が強い溶液では、アミノ酸は陽イオンになる。
塩基性が強い溶液では、アミノ酸は陰イオンになる。
 
アミノ酸分子中の正負の電荷が等しくなっているときのpHを'''等電点'''(とうでんてん)という。側鎖がイオン化する場合は、その電荷も含む。
 
等電点は、たとえばグリシンでは pH=6.0 であり、グルタミン酸ではpH=3.2というように、アミノ酸の種類ごとに等電点は異なる。
 
水溶液が中性付近では、ふつうは双対イオン状態のアミノ酸が最も多く、陰イオン状態のアミノ酸や陽イオン状態のアミノ酸は少ししか存在しない。
 
アミノ酸水溶液に電極を加えて電圧を加えると、酸性溶液ではアミノ酸は陰極に移動する。塩基性溶液ではアミノ酸は陽極に移動する。これらのことから、実際に水溶液中では、pHに応じてアミノ酸の構造が変わっていることがわかる。
 
 
アミノ酸を染み込ませた濾紙(ろし)などに、2本の電極で直流電圧を加える電気泳動をおこなうと、等電点の異なるアミノ酸は移動の仕方が異なるので分離をする。
 
* 光学異性体
グリシン以外のアミノ酸には光学異性体が存在する。
天然のアミノ酸のほとんどは、L型の配置である。D型の配置のアミノ酸は、天然にはほとんどない。
 
 
* ニンヒドリン反応
アミノ酸水溶液にニンヒドリン水溶液を加え、温めると、色が青紫~赤紫に呈色する。この反応はニンヒドリン溶液という。この反応は、アミノ酸の検出やタンパク質の検出に利用される。タンパク質も、構造の端部などにアミノ酸をふくむため、少しながら呈色をする。
 
==== アミノ酸の一覧表 ====
{| class="wikitable" style="background-color:#fff"
! アミノ酸 !! 3文字略号 !! 1文字略号 !! 分子量!! 等電点 !! 構造式
|-
| アラニン || Ala || A || 89.09 || 6.00 || [[画像:L-alanine-skeletal.svg|100px]]
|-
| アルギニン|| Arg || R || 174.20 || 10.76 || [[画像:L-arginine-skeletal-(tall).png|100px]]
|-
| アスパラギン|| Asn || N || 132.12 || 5.41 || [[画像:L-asparagine-skeletal.png|100px]]
|-
| アスパラギン酸|| Asp || D || 133.10 || 2.77 || [[画像:L-aspartic-acid-skeletal.png|100px]]
|-
| システイン || Cys || C || 121.16 || 5.05 || [[画像:Cysteine.svg|100px]]
|-
| グルタミン || Gln || Q || 146.15 || 5.65 || [[画像:L-glutamine-skeletal.png|100px]]
|-
| グルタミン酸|| Glu || E || 147.13 || 3.22 || [[画像:Kwas glutaminowy.svg|100px]]
|-
| グリシン|| Gly || G || 75.07 || 5.97 || [[画像:Glycine-2D-skeletal.png|100px]]
|-
| ヒスチジン || His || H || 155.15 || 7.59 || [[画像:L-histidine-skeletal.png|100px]]
|-
| イソロイシン|| Ile || I || 131.17 || 6.05 || [[画像:L-isoleucine-skeletal.svg|100px]]
|-
| ロイシン|| Leu || L || 131.17 || 5.98 || [[画像:L-leucine-skeletal.png|100px]]
|-
| リシン|| Lys || K || 146.19 || 9.75 || [[画像:L-lysine-skeletal.png|100px]]
|-
| メチオニン|| Met || M || 149.21 || 5.74 || [[画像:L-methionine-skeletal.png|100px]]
|-
| フェニルアラニン|| Phe || F || 165.19 || 5.48 || [[画像:Fenyloalanina.svg|100px]]
|-
| プロリン || Pro || P || 115.13 || 6.30 || [[画像:L-proline-skeletal.png|100px]]
|-
| セリン || Ser || S || 105.09 || 5.68 || [[画像:L-serine-skeletal.png|100px]]
|-
| トレオニン|| Thr || T || 119.12 || 6.16 || [[画像:L-threonine-skeletal.png|100px]]
|-
| トリプトファン || Trp || W || 204.23 || 5.89 || [[画像:L-tryptophan-skeletal.png|100px]]
|-
| チロシン|| Tyr || Y || 181.19 || 5.66 || [[画像:L-tyrosine-skeletal.png|100px]]
|-
| バリン|| Val || V || 117.15 || 5.96 || [[画像:Valine 3.svg|100px]]
|}
 
=== タンパク質 ===
==== ペプチド結合 ====
[[Image:aspartame2.png|thumb|400px|ペプチド結合]]
2個のアミノ酸分子が結合し、いっぽうのアミノ酸のカルボキシル基と、もう一方のアミノ酸のアミノ基が縮合して、脱水縮合して結合を'''ペプチド結合'''という。それぞれのアミノ酸は同一種でなくても良い。また、ペプチド結合によって生成する化合物をペプチド(peptide)という。
 
2個のアミノ酸がペプチド結合した重合数が2個のアミノ酸化合物は、末端にアミノ基とカルボキシル基を持つので、このアミノ酸の化合物もまた同様に他のアミノ酸と化合が出来て、重合数を3個や4個・・・と、どんどんと増やしていける。数十個から数百個と重合数を増やしていける。
 
2分子のアミノ酸がペプチド結合したものをジペプチドという。3分子のアミノ酸がペプチド結合したものをトリペプチドという。多数のアミノ酸が縮合重合したものを'''ポリペプチド'''(polypeptide)という。
 
 
ペプチド化合物で縮合に使われなかったアミノ基が末端に残るが、このペプチド化合物の縮合に使われなかった末端のアミノ基を'''N末端'''という。同様に、カルボキシル基も末端に残るが、これを'''C末端'''という。
 
なおジペプチドなどペプチド化合物の構造式を書くときは、縮合に使われなかったN末端のアミノ基を左に配置して、C末端のカルボキシル基を右に配置して書く。
 
 
ジペプチドには、構造異性体が存在する。たとえば、グリシン(Gly)とアラニン(Ala)からなるジペプチドについて、グリシンのCOOH基とアラニンのNH2基が結合したものを、グリシルアラニン(Gly-Ala) という。また、グリシンのNH2基とアラニンのCOOH基が結合したものを、アラニルグリシン(Ala-Gly )という。
グリシルアラシンもアラニルグリシンも、原子数は同じであるが、構造は異なる。
 
なお、ペプチドの名称は、このグリシルアラニンの例のように、N末端を持つグリシンが名称の先に来て、C末端をもつアラニンがあとに来る。
 
トリペプチドやポリペプチドの表記でも同様に、N末端からC末端のアミノ酸の名称で表記する。
 
トリペプチドでも、ジペプチドと同様に構造異性体が存在する。
なお、グルタミン酸は、カルボキシル基を2箇所もつので、グルタミン酸を含むペプチドでは、構造異性体の数が2倍に増える。
 
 
例として、いくつかのトリペプチドで構造異性体の数を求める。
 
;例1:
GlyとGlyとAlaが結合したトリペプチドの場合。(Glyが2分子。)
 
構造順はGly-Gly-Ala と Gly-Ala-GlyとAla-Gly-Glyの3通りがある。光学異性体を考慮した場合は、グリシン以外のアミノ酸は光学異性体をもち、異性体数が2倍になるので、光学異性体を考慮したGlyとGlyとAlaが結合したトリペプチドの異性体は3×2=6で6通りになる。
 
 
;例2:
GlyとAlaとAlaが結合したトリペプチドの場合。(Alaが2分子。)
 
 
構造順はGly-Ala-Ala とAla-Gly-Alaと Ala-Ala-Gly の3通りがある。光学異性体を考慮した場合は、グリシン以外のアミノ酸は光学異性体をもち、異性体数が2倍になるのであった。そして、光学異性体を持つAlaが2個あるから、2×2=4で4倍になる。最終的に光学異性体を考慮した異性体数は3×4=12で12通りになる。
 
 
==== 一次構造と高次構造 ====
* 一次構造
タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことを'''一次構造'''という。たとえば表記「Gly-Gly-Ala」などは一次構造の表記である。
 
* 二次構造
** αヘリックス
[[Image:AlphaHelixProtein fr.jpg|thumb|left|250px|αヘリックス。<br>図中の“Liaison H”が水素結合のこと。<br>(リエゾン エイチと書いてある。)]]
[[Image:Helice alpha spire 0.png|thumb|100px|right|αヘリックスはアミノ酸間の水素結合である.]]
タンパク質のポリペプチドの多くの構造は、時計回り(右回り、Z撚り「ゼットより」)のらせん構造をもつ。
このポリペプチドのらせん構造を'''αヘリックス'''という。らせん1巻あたり、平均3.6個のアミノ酸が含まれる。
 
このらせん化は、水素結合による現象であり、 アミノ酸の分子中の-C=Oと-N-Hの間のOとHが水素結合し、
 
-C=O ・・・ H-N-
 
のように水素結合した結果、ペプチド全体ではらせん構造を取る。
 
 
* βシート
[[Image:Feuillet beta 2.jpg|300p|thumb|βシート]]
 
 
{{clear}}
* 三次構造
[[画像:Myoglobin.png||thumb|left|250px|三次構造の例。ミオグロビン立体構造]]
αヘリックスをとったポリペプチドや、βシートをとったポリペプチドなど、二次構造をとったポリペプチドが、さらに折りたたまれて'''三次構造'''になる。三次構造の形成には、側鎖どうしに働く引力や、システインによるジスルフィド結合-S-S-によるものが関わっている。
 
三次構造は'''サブユニット'''と呼ばれる。
 
三次構造の生体組織の例として、'''ミオグロビン'''がある。
 
 
* 四次構造
[[画像:hemoglobin.jpg|thumb|240px|四次構造の例。ヘモグロビン]]
ポリペプチド鎖のサブユニットが、複数個あつまって集合体をなした構造を'''四次構造'''という。
 
四次構造の生体組織の例として、'''ヘモグロビン'''がある。
 
{{clear}}
==== タンパク質の特徴 ====
* タンパク質の変性
タンパク質を加熱したり、酸や塩基を加えたりすると凝固する。タンパク質に重金属を加えたり、有機溶媒を加えたりしても凝固する。これをタンパク質の変性という。加熱によって変性することを熱変性という場合もある。
 
ゆで卵などのように、いったん熱変性したタンパク質は、元には戻らない。熱変性では一次構造の配列順序は変わっていないが、二次構造以上の構造が変わっている。
 
* 溶液
タンパク質は水に溶けると、親水コロイド溶液になる。タンパク質のコロイド溶液は、多量の電解質によって沈殿する。
 
 
==== 検出反応 ====
* ビウレット反応
[[File:Biuret Test 2.jpg|thumb|100px|ビウレット反応]]
タンパク質水溶液に水酸化ナトリウム溶液NaOHを加え、硫酸銅水溶液CuSO<sub>4</sub>を加えると、赤紫になる。これはCuとペプチド結合とが錯イオンを形成することに基づく。この反応を'''ビウレット反応'''という。
このビウレット反応ははトリペプチドやポリペプチドなどのようにペプチド結合を二個以上もつ場合に起こる。ペプチド結合が1個だけであるアミノ酸では、ビウレット反応は起こらない。
 
 
* キサントプロテイン反応
タンパク質を濃硝酸で加熱すると、チロシンやトリプトファンなどのアミノ酸中にベンゼン環をもつ場合に、ベンゼン環がニトロ化され、タンパク質が黄色になる。この溶液を冷却し、NaOHやアンモニアなどで溶液を塩基性にすると、橙色になる。
これらの反応を'''キサントプロテイン反応'''という。
 
橙色になった水溶液は中和すると、タンパク質の色は黄色に戻る。
フェニルアラニンはベンゼン環を持つが、あまり反応しない。
 
 
* 硫黄反応
システインやメチオニンなどのようにタンパク質がイオウを含む場合は、タンパク質の水溶液に、固体の水酸化ナトリウムを加えて加熱して、それから酢酸などで中和し、さらにそれから酢酸鉛を加えると、硫化鉛の沈殿を生じる。硫化鉛の沈殿の色は黒色である。
 
Pb<sup>2+</sup> + S<sup>2-</sup> → PbS
 
== 執筆予定の項目 ==
アミノ酸