「高等学校生物/生物II/タンパク質と生物体の機能」の版間の差分
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→光合成の仕組み: C4植物について |
化学IIの話題を除去。生物分野の話題を追加。 |
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== タンパク質 ==
=== アミノ酸 ===
[[File:Amino acid strucuture for highscool education.svg|thumb|300px|アミノ酸の一般的な構造。図中のRは、アミノ酸の種類によって、ことなる。]]
[[File:Glycine2.png|thumb|200px|グリシン]]
[[画像:Glycine-skeletal.png|thumb|グリシンの構造式。最も構造が単純なアミノ酸]]
[[Image:Amino Acid Zwitterion Structural Formulae V.1.svg|thumb||280px|アミノ酸の2つの異性体。右側が双性イオン。]]
アミノ基( -NH<sub>2</sub> )とカルボキシル基( -COOH )を1つの分子中にもつ化合物を'''アミノ酸'''という。この2種の官能基が同一の炭素C原子に結合しているアミノ酸を'''αアミノ酸'''という。
アミノ酸の一般式は
:R-CH(NH<sub>2</sub>)-COOH
で表される。(Rは炭化水素基あるいは水素など。)
なお、R-の部分をアミノ酸の'''側鎖'''(そくさ)という。側鎖は20種類あるので、アミノ酸は20種類である。
アミノ酸で、側鎖を除く他の部分は、共通である。そのアミノ酸が、水に溶けやすい('''親水性''')か、または溶けにくい('''疎水性''')かは、側鎖の種類によって決まる。側鎖は水に溶けやすい基なら、そのアミノ酸は親水性になる。側鎖が水に溶けにくいなら、そのアミノ酸は疎水性である。
ヒトが体内では合成できないアミノ酸を'''必須アミノ酸'''という。
ヒトの必須アミノ酸は、
:トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、バリン、ヒスチジン、トレオニン、リシン、ロイシン、イソロイシン
である。
==== アミノ酸の一覧表 ====
{| class="wikitable" style="background-color:#fff"
! アミノ酸 !! 3文字略号 !! 1文字略号 !! 分子量!! 等電点 !! 構造式
|-
| アラニン || Ala || A || 89.09 || 6.00 || [[画像:L-alanine-skeletal.svg|100px]]
|-
| アルギニン|| Arg || R || 174.20 || 10.76 || [[画像:L-arginine-skeletal-(tall).png|100px]]
|-
| アスパラギン|| Asn || N || 132.12 || 5.41 || [[画像:L-asparagine-skeletal.png|100px]]
|-
| アスパラギン酸|| Asp || D || 133.10 || 2.77 || [[画像:L-aspartic-acid-skeletal.png|100px]]
|-
| システイン || Cys || C || 121.16 || 5.05 || [[画像:Cysteine.svg|100px]]
|-
| グルタミン || Gln || Q || 146.15 || 5.65 || [[画像:L-glutamine-skeletal.png|100px]]
|-
| グルタミン酸|| Glu || E || 147.13 || 3.22 || [[画像:Kwas glutaminowy.svg|100px]]
|-
| グリシン|| Gly || G || 75.07 || 5.97 || [[画像:Glycine-2D-skeletal.png|100px]]
|-
| ヒスチジン || His || H || 155.15 || 7.59 || [[画像:L-histidine-skeletal.png|100px]]
|-
| イソロイシン|| Ile || I || 131.17 || 6.05 || [[画像:L-isoleucine-skeletal.svg|100px]]
|-
| ロイシン|| Leu || L || 131.17 || 5.98 || [[画像:L-leucine-skeletal.png|100px]]
|-
| リシン|| Lys || K || 146.19 || 9.75 || [[画像:L-lysine-skeletal.png|100px]]
|-
| メチオニン|| Met || M || 149.21 || 5.74 || [[画像:L-methionine-skeletal.png|100px]]
|-
| フェニルアラニン|| Phe || F || 165.19 || 5.48 || [[画像:Fenyloalanina.svg|100px]]
|-
| プロリン || Pro || P || 115.13 || 6.30 || [[画像:L-proline-skeletal.png|100px]]
|-
| セリン || Ser || S || 105.09 || 5.68 || [[画像:L-serine-skeletal.png|100px]]
|-
| トレオニン|| Thr || T || 119.12 || 6.16 || [[画像:L-threonine-skeletal.png|100px]]
|-
| トリプトファン || Trp || W || 204.23 || 5.89 || [[画像:L-tryptophan-skeletal.png|100px]]
|-
| チロシン|| Tyr || Y || 181.19 || 5.66 || [[画像:L-tyrosine-skeletal.png|100px]]
|-
| バリン|| Val || V || 117.15 || 5.96 || [[画像:Valine 3.svg|100px]]
|}
=== タンパク質 ===
==== ペプチド結合 ====
[[Image:aspartame2.png|thumb|400px|ペプチド結合]]
2個のアミノ酸分子が結合し、いっぽうのアミノ酸のカルボキシル基(-COOH)と、もう一方のアミノ酸のアミノ基(-NH<sub>2</sub>)が縮合して、水1分子が取れて脱水縮合して結合することを'''ペプチド結合'''という。それぞれのアミノ酸は、べつに同一種でなくても良い。また、ペプチド結合によって生成する化合物を'''ペプチド'''(peptide)という。
2個のアミノ酸がペプチド結合した重合数が2個のアミノ酸化合物は、末端にアミノ基とカルボキシル基を持つので、このアミノ酸の化合物もまた同様に他のアミノ酸と化合が出来て、重合数を3個や4個・・・と、どんどんと増やしていける。数十個から数百個と重合数を増やしていける。
2分子のアミノ酸がペプチド結合したものをジペプチドという。3分子のアミノ酸がペプチド結合したものをトリペプチドという。多数のアミノ酸が縮合重合したものを'''ポリペプチド'''(polypeptide)という。
ペプチド化合物で縮合に使われなかったアミノ基が末端に残るが、このペプチド化合物の縮合に使われなかった末端のアミノ基を'''N末端'''という。同様に、カルボキシル基も末端に残るが、これを'''C末端'''という。
なおジペプチドなどペプチド化合物の構造式を書くときは、縮合に使われなかったN末端のアミノ基を左に配置して、C末端のカルボキシル基を右に配置して書く。
==== 一次構造と高次構造 ====
* 一次構造
タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことを'''一次構造'''という。たとえば表記「Gly-Gly-Ala」などは一次構造の表記である。
* 二次構造
** αヘリックス
[[Image:AlphaHelixProtein fr.jpg|thumb|left|250px|αヘリックス。<br>図中の“Liaison H”が水素結合のこと。<br>(リエゾン エイチと書いてある。)]]
[[Image:Helice alpha spire 0.png|thumb|100px|right|αヘリックスはアミノ酸間の水素結合である.]]
タンパク質のポリペプチドの多くの構造は、時計回り(右回り、Z撚り「ゼットより」)のらせん構造をもつか、、またはジグザグ状に折れ曲がっていたりする。
このポリペプチドのらせん構造を'''αヘリックス'''(アルファヘリックス)という。
ポリペプチドのジグザグ状に折れ曲がっている構造を'''βシート'''という。これらの構造(αヘリックス、βシート)を'''二次構造'''という。
αヘリックスのらせん1巻あたり、平均3.6個のアミノ酸が含まれる。
このらせん化は、水素結合による現象であり、 アミノ酸の分子中の-C=Oと-N-Hの間のOとHが水素結合し、
:-C=O ・・・ H-N-
のように水素結合した結果、ペプチド全体ではらせん構造を取る。
* βシート
[[Image:Feuillet beta 2.jpg|300p|thumb|βシート]]
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* 三次構造
[[画像:Myoglobin.png||thumb|left|250px|三次構造の例。ミオグロビン立体構造]]
αヘリックスをとったポリペプチドや、βシートをとったポリペプチドなど、二次構造をとったポリペプチドが、さらに折りたたまれて'''三次構造'''になる。三次構造の形成には、側鎖どうしに働く引力や、システインどうしによるジスルフィド結合('''S-S結合''')によるものが関わっている。システインの側鎖は-SHであり、側鎖どうしで水素原子が取れてS-S結合することがある。
三次構造の生体組織の例として、'''ミオグロビン'''がある。
* 四次構造
[[画像:hemoglobin.jpg|thumb|240px|四次構造の例。ヘモグロビン]]
複数個ポリペプチド鎖が組み合わさって集合体をなした立体構造を'''四次構造'''という。
四次構造の生体組織の例として、赤血球にある'''ヘモグロビン'''がある。ヘモグロビンは、2種類のポリペプチド鎖が、2個ずつ集まった合計4本のポリペプチド鎖でできている。
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==== タンパク質の特徴 ====
* タンパク質の変性
タンパク質を加熱したり、酸や塩基を加えたりすると凝固する。タンパク質に重金属を加えたり、有機溶媒を加えたりしても凝固する。これをタンパク質の'''変性'''(へんせい)という。加熱によって変性することを熱変性という場合もある。
ゆで卵などのように、いったん熱変性したタンパク質は、元には戻らない。熱変性では一次構造の配列順序は変わっていないが、立体構造が壊れており、二次構造以上の構造が変わっている。
* シャペロン
:(未記述)
== ※ タイトル未定 ==
=== 呼吸(同化) ===
:(※ 2015年からの新課程では用語の言い換えがあり、「好気呼吸」→「呼吸」、「嫌気呼吸」→「発酵」「解糖」と言い換え。「好気呼吸」および「嫌気呼吸」の用語は教科書では用いられないことになっている。しかし、古い文献では残っている.。本記事は旧課程の生物Iの記事であり、また当分は習う必要があると判断し、当ページにて「嫌気呼吸」などの表記を記述する。)
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CAMとは、ベンケイソウ型酸代謝(crassulacean acid metabolism)という意味である。
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