「高等学校生物/生物II/生物の進化」の版間の差分

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工業暗化など
用語のいくつかの英訳
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このような実験結果から、原始大気で放電などによってアミノ酸などが発生し、それをもとに生命が誕生したという可能性が、生命の発生の一説として考えられている。
 
また、このように、単純な化学反応によって最初の生命ができたという説を'''化学進化'''(かがく しんか、chemical evolution)という。
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*熱水噴出孔
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結果で、たまたま白7個で黒3個の場合もあれば、たまたま白6個で黒4個と先ほどと同じ場合もあれば、たまたま白5個で黒5個という場合もある。
 
このように、自然選択や突然変異などの生物的な過程が起きて無くても、偶然という確率的な過程によって遺伝子頻度は変動していく。このような遺伝子頻度の偶然による変化の現象を'''遺伝子浮動'''(いでんし ふどう、genetic drift)という。
 
==== ハーディ・ワインベルグの法則 ====
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このような場合、そのDNAの変化は、生存に有利でも不利でもないのが普通である。
 
このような、生存に有利でも不利でもない形質も、遺伝によって受け継がれていく。このような有利でも不利でも形質は、自然選択(いわゆる「自然淘汰」のこと)を受けない。進化では、このような場合が大多数であるという説を'''中立説'''といい、木村資生(もとお)などが分子的な解析にもとづいて提唱した。また、このような、自然選択に掛からないで起こる進化を'''中立進化'''(ちゅうりつしんか、neutral evolution)という。
 
塩基配列などの分子レベルの変化(つまり分子進化)で中立進化が多く見られるが、表現型でも中立進化は起こる場合もある。
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*種の起源
[[画像:Charles_Darwin_by_G._Richmond.jpg|thumb|若き日のダーウィン。航海から帰国後、30歳前後と見られる。]]
ダーウィン(Darwin)は若手のころ、イギリスの軍艦ビーグル号に同乗して、世界一周の航海をしており、南米に立ち寄ったとき、ガラパゴス諸島で生物の研究をした。このガラパゴス諸島で、ダーウィンはトリの形質が、島ごとに形質が違うのに注目した。また、トリ以外も調査した。
同じころ、イギリス人のウォレスもマレー諸島で同じような研究をしており、そこでダーウィンの帰国後、二人は共同研究をして、その結果をもとに『種の起源』を1859年に出版した。進化の原因として、彼らは'''自然選択'''(自然淘汰)説などを考えた。
 
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地理的隔離をしていなくても、同じ場所に住んでいても生殖隔離をする場合もある。ある種の一部に繁殖時期が変化する突然変化がおきれば、その二種は生殖する機会が無くなり、種分化をしていく。
 
種分化に至らない小規模な進化を'''小進化'''(しょうしんか、micro evolution)という。一方、種分化にいたるほどの大きな進化を'''大進化'''(だいしんか、macro evolution)という。
 
=== 適応放散と収束進化 ===
ある1つの生物種が、さまざまな環境に適応した結果、いくつもの生物種に分かれて進化する現象を'''適応放散'''(てきおう ほうさん)という。恐竜が滅んだあとに、哺乳類が各地に広がったり、多様な進化をしたことなどが、適応放散の例である
 
オーストラリアにいるカンガルーやコアラなど、おなかに袋を持って子育てする生物を有袋類(ゆうたいるい、marsupoalia)という。一方、ウシやウマなどのような他の大陸の一般の動物を真獣類(しんじゅうるい、eutheria)という。ヒトも真獣類である。真獣類は胎盤が発達している
 
オーストラリアには、フクロモモンガという生物がいる。これは他の大陸のモモンガと形態が似ている。他にも、フクロオオカミがおり、これは他の大陸のオオカミと形態が似ている。オーストラリアにはフクロモグラがおり、他の大陸のモグラと行動が似ている。
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このように、オーストラリアの動物では、他の大陸と似ている別種の生物がいる。そして、ある真獣類と似た環境で生活する有袋類は、その真獣類と似た形態を持つ。
 
この、オーストラリアの現象の原因は、まずオーストラリア固有の動物が共通の祖先を持つことと考えられている。そのオーストラリアの有袋類が、環境に応じて変化した結果だと考えれる。このオーストラリアの現象も、適応放散の例である。
 
また、フクロモモンガとモモンガのように、遺伝的には異なる生物が、似た自然選択を受けた結果、似たような形態に進化することを'''収束進化'''(しゅうそく しんか)という。