「学習方法/高校地学」の版間の差分

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:※ この勉強法を書いた編集者は、地学は専攻外です。また、高校で地学を履修した経験がありません。そのため、内容が間違っている可能性もあります。 ( 地学専攻の人が査読して訂正などを終えたら、この断り書きを除去してください。)
 
== 履修するべきか? ==
大学入試で地学を要求しない理系大学も多いので、はたして地学を入試対策として学ぶ必要があるのか、各人、検討してから学習してください。現状の高校での傾向は、地学は物理か地学かの選択科目で、物理と時間割が重なっている場合も多いです。その場合、理系を目指す場合は、なるべく物理を優先的に履修することを、すすめます。高校の地学は、文科系の学生に、あわせています。
 
 
地学の場合、高校で習わない場合もあり、独学で地学をやる場合には、教科書の購入そのものが大変です。
 
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そのため、教科書の購入方法について、このページでも記述します。
 
入試で地学を要求しない理系の大学も多いので、はたして地学を入試対策として学ぶ必要があるのか、各人、検討してから学習してください。
 
 
地学の検定教科書の入手方法などについては、自分で取扱い店で購入するほかに、読者が現役の高校生ならば、高校の教員に入手法を相談するという方法もあるでしょう。
地学の検定教科書の入手方法などについては、自分で取扱い店で購入するほかに、読者が現役の高校生ならば、高校の教員に入手法を相談するという方法もあるでしょうが、教員に相談した場合でも、おそらく最終的には取扱店で教科書を自費で購入することになるだろうと思います。
 
== 地学では使わない知識 ==
星の名前を覚えたりとか、鉱物の名前を覚えたりとかは、高校地学でも大学での専攻地学でも、あまり使いません。
 
せいぜい、小中高の、どの検定教科書にも書いてあるような、有名な星の名前とか有名な鉱物の名前とかを覚えておれば、とくに問題は無いでしょう。
 
 
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*[http://www.daiichikyokasho.co.jp/ 第一教科書]教科書直売店
*[http://www.text-kyoukyuu.or.jp/ 社団法人 全国教科書供給協会]教科書の価格、教科書発行者一覧を載せる
 
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== 高校地学でも、大学地学(専攻の場合)でも、地学マニアは不要 ==
=== 高校の場合 ===
どんなに星の名前とかを多く覚えていても、あるいはどんなに鉱物の名前を覚えていても、そういうのは、地学では低い評価です。たとえば高校の生物学でも、たとえ図鑑に出るような昆虫とかの名前を多く覚えていも、理系大学入試の筆記試験には、まず出題されないのと同様です。いわゆる(アマチュアの)「地学マニア」とでも言うのは、理系の大学では、低い評価です。はたして「マニア」という表現が適切かどうかは知りませんし、多い(メジャー)のか少ない(マイナー)のかも分かりませんが、こう「マニア」と呼ばせてもらいます。
 
 
そもそも地学の研究者の社会には、そのような地学マニア的な知識の需要が無いからです。社会にとっての地学マニアの需要の有無は判りませんが、すくなくとも大学などの地学研究者には、そういう地学マニアの知識の需要がありません。
 
なぜなら、星の名前なんて、なにかの書籍にでも記載しておけば、いちいち覚える必要がありません。鉱物も同様です。
 
 
まあ、高校では、教育時間の限りもあるから、地学マニア的な趣向を排して教育する意義も分かる。大学での地学マニア趣向を排する意義は、どうだか知らないが。
 
== 高校卒業までの地学と、理系大学の専門の地学は、内容が大きく異なる。 ==
=== 大学の場合 ===
大学での専攻の場合の地学では、応用物理学みたいなことを行います。高校の理科・数学で習った解析方法を除けば、地学に使える解析方法が、応用物理意外に、他に、あまり、無いのです。
 
なぜなら化学などと違い、「実用的な新素材を作り出す」(計算はともかく)、という事が、地学では、できません。よって地学の多くの分野では、計算などによって、解析をして理論的に計算していかざるを得ないのです。
 
研究者が天体観測をするにしても、高価な観測装置が無いと、観測できません。その観測装置の原理を理解するにも、応用物理があると、好都合です。(しかし、観測装置を作るまでの知識は不要。そういうのは製造業の仕事である。)
 
結局、大学も、税金をもらって研究してるわけですから(公立私立を問わず)、国政選挙の有権者である、親とか先祖の世代が、こういう、地学マニアを排する教育方針に納得してるのでしょう。
 
 
もっとも外部の社会から見れば、たとえば「じゃあ、大学での地学の公式の暗記にも、地学研究者以外になる人には、社会からすれば、たいして需要が無いんじゃないか? そんなに実用性を重視するなら、機械工学や電子工学でも教育すればよいだろ。そんなに観測装置の原理を重視するなら、その機器に用いられる機械工学や電子工学を教育すれば良いだろう。なのに、工学をあまり修めない。結局、地学の学会の趣味の、偏った知識だ。地学の学者が批判してる地学マニアと、五十歩百歩じゃないか?」とも思いが脳裏をよぎりますが、われわれウィキブックスの知ったことでは、ありません。だいたい、地学の学科なんて、日本の大学には、ほとんど、ありません。
 
地学などの理学部の大学教育では、「物理学が根本の原理」だと重視するわりに、機器の原理の機械工学も電子工学も勉強しないことを疑問に感じない科学者が日本には多いと感じますが、まあ、国民がそれを納得してるんだから、大衆たちの好みに会わせたほうが、あなたたち読者は学問の商売をしやすいと思います。
 
=== 計算が苦手な高校生への場合の進路 ===
「計算問題が苦手だが、高校地学が好きで、大学でも似たようなことを勉強したい。地形がらみの仕事をしたい。」という人への、進路の提案では、地理学科か、または教育大の理科系を目指すのが、安全でしょう。
 
地理学科は、文学部などに、あります。
 
なお、工学部の土木工学科に進んでも、マントルとか宇宙とかは、まず勉強しません。土木工学とは、あくまでも、鉄筋コンクリートのビルだとかダムとか橋梁とかの、土木構造物のための計算問題を勉強するところです。よって、土木工学科では計算力が必要ですし、公式暗記も必要です。
 
土木工学で河川の流体計算をするにしても、それは橋梁の構造計算のために河川について勉強してるのであり、べつに地球の河川の成り立ちを調べようとしているわけでは、ありません。たとえば、河川の生態系については、土木工学では、あまり深くは勉強しないでしょう。
 
== 大学と地学、大学の地学 ==
=== 大学の地学専門では、物理学の難解な数式が出てくる ===
大学で地学を専門的にあつかう学科では、物理学の数式が多く出てきます。それも、たとえば気体の流体力学などの、高校物理では習わない分野の何回な公式が、多く出てきます。(なお、高校でも工業高校などで、液体の流体力学については、簡単な場合を扱う。)
 
ほかにも、地盤や岩盤の強度の計算なども、あるかもしれません。
このような大学の事情もあり、大学での地学の研究室の所属は、物理学科に地学の研究室が所属している場合もあります。
どちらかというと応用物理学や計算物理学などの手法を用いて、地球科学や惑星科学を研究している研究室が多いでしょう。このため、物理の計算問題の公式暗記に苦手意識を感じる人は、進路では、大学地学には進まないほうが良いでしょう。数学が好きだけど、計算問題を覚えるのは苦手、嫌い、好きじゃないという人は、応用物理学である地球科学には近づかないほうが良いでしょう。
 
もっとも、これ(流体力学の計算など)は、地学を専攻する場合の事情であって、専攻外の場合には、そこまでの計算力を要求されません。たとえば大学低学年あたりの選択理科で習う地学は、高校の地学の復習に、ちょっと、高校では習わない博物学的な話題を付け加えた程度でしょう。
なぜなら、仮に大学1年生にテストで流体力学やら岩盤力学とかを出題しても、まず学生が解けないからである。
 
 
=== 地学用の物理は暗記科目 ===
さて、もし大学で地学を専攻しようとするなら、難解な物理の公式が多いので、まずは大学受験の物理の計算問題をスラスラと解けるようにする必要があります。
その上で、大学入学後に、物理のさまざまな公式を暗記して計算問題を解けるようにする必要があります。
大学の物理学科も、公式の暗記が必要です。工学部などと比べると、物理学科では公式の理解も要求されるかもしれませんが、それは「工学部と比べたら」という条件つきです。所詮、大学でも学生レベルの理科は暗記科目です。
 
=== 地学の研究手法 ===
おそらく、地学のほとんどの研究手法は、高価な実験設備を用いた何かの自然現象の再現実験か、あるいは高価な測定器を用いた測定か、あるいは高性能のコンピューター計算機を用いた数値計算によるシミュレーション実験などに、頼る方法があります。核融合の理論だとか流体力学などの難解な数式も駆使して予想をされた理論を、最新の高価な簡素装置で実験して検証する、というのが地学の研究手法です。
 
=== 工学と違い、高卒には居場所が無い ===
工学と違い、「身近な部品パーツなどを組み合わせて、実際に制作してみる」という製造業的な研究方法が、地学などの自然科学では使えません。
 
その一方で、数学や理論物理とも違い、計算力や数学センスだけで、叩き上げていく、という事もできません。
 
はっきり言って、地学の研究職は、理学部の中でも、学歴主義が断トツでしょう。たとえば製造業の企業名を考えれば分かります。「化学メーカー」はあっても、「地学メーカー」という呼び方を聞きません。中小企業名でも、なんとか化学工業株式会社は聞いたことがあっても、なんとか地学工業株式会社を寡聞にして聞きません。せいぜい、土木工事関係の社名で、なんとか地質(ちしつ)工業株式会社を聞くくらいです。
 
特に地学の場合、化学のような「さまざまな素材や温度や圧力の組み合わせを試して、新素材を作る」的な開発が、あまりできません。
 
仮に、材料系の製造業などが鉱物などにさまざまな素材や圧力を加えて新素材を新発見したところで、たぶんその業績は「地学」というよりも「化学」などと見なされて高く評価されるでしょう。また、そのような材料を大学で研究開発するにしても、化学科のほうが開発しやすいでしょう。地学科だと、材料開発には、あまり役立たない事にも、多くの時間を取られます。たとえば台風のメカニズムやら気象のメカニズムやらを、どんなに解析しても、よほどの画期的な新発見でもしないかぎり、新素材の開発には、台風の研究は、まず役立たないでしょう。
 
 
よって、高卒レベルの計算力で、地学の研究職になるのは、まず無理です。実験予算も、町工場レベルの費用では、まったく足りません。地学の最新の研究の多くは、国家プロジェクトみたいに億円規模の税金を使って、高価な観測設備を買って、東京大学などの国立大学で研究する必要があります。また、「高卒叩き上げの地学研究者」なんてのも、まったく聞いたことがありません。高卒の社長は世間にいても、高卒の地学研究者は、いないでしょう。
 
工業高校には「地学科」なんてありませんし、高専にも「地学科」なんてありません。
工業高校に、たとえ「工業化学科」はあっても、「工業地学科」なんて無いのです。
 
 
どんなに頑張って野山を探検して化石を探して掘ったりとか(それは考古学だが)、どんなに市販の天体望遠鏡で天体観測をしたりとかをしても、大学では学業などとしては認められないでしょうし、学会でも「学問的な業績」とは認められないでしょう。
 
=== 学歴主義の業界ほど、英語が必要 ===
どうしても、仮に、日本では評価されないタイプの努力によって、仮に画期的な新発見したことがあって、それを学問的な業績として認められたければ、海外の大学に期待したほうが早いでしょう。そう推論すると、英語を勉強する必要があります。そうすれば、英語の大学受験レベルの勉強も必要ですから、大学入試でそこそこの成績を取れるはずですから、学費の点を無視すれば、平均的な理系大学の入試には合格するはずです。
 
「海外の大学に期待したほうが早い」というのは、実際に、日本国内の物理学や化学などの各分野の大学研究者の業績ですら、日本の学会よりも先に、海外の学会で業績を認められる、という場合すらも、実際に、あります。
 
化学産業のある化学科とは違い、地学には「地学産業」なんてありませんから、在野の地学研究者が市場競走で学者としての実力を認められるなんて、ありえません。なので研究者は、どこかの国の大学などの公共の研究機関を、頼らざるを得ません。
 
=== 地学用の物理には、理解するまでの時間が足りない ===
そして、地球科学や惑星科学でも、物理学と同様に、このような物理の公式の暗記や、計算問題の解法の暗記が必要になります。
たとえば流体力学が、気象や河川などの解析で必要になるので、公式の暗記が必要でしょう。あるいは恒星などの中心での核融合にしろ、暗記が必要です。とても学生時代のたったの数年間という短時間では、あまりこれらの分野の理解はできず、結局、これらの分野の公式を暗記する必要があります。
 
たとえば流体力学なら、工学部の機械工学科の学生での流体力学の学習は、配管内の水流の流れのような比較的簡単な場合の流体力学を学ぶだけでも2年間くらいを掛けます。それでも流体力学の初歩にすぎず、学業を深めるため、さらに専攻に応じて、空気などの気体の流体力学を自動車などへの応用の観点から学びます。その工学技術者の就職後の専門分野で流体力学が必要な場合は、卒業後にも流体力学を勉強しつづける事になります。
 
一方、大学地学では、流体の他にも、核融合だとか、鉱物の化学反応とか、色々と学ばないといけません。どう考えても、物理学や地球科学での流体力学の教育時間は、本来の流体力学の理解に必要な時間よりも、不足しています。よって、流体や核融合などの公式を理解するだけの時間が地学では不足しており、よって公式を暗記する必要があります。
 
べつに、地学の専攻だけに限らず、化学を専攻する学科でも、物理の教育時間は不足しています。たとえば化学では、古典物理すら、まだ身についていない学生に、量子力学にもとづく量子化学の理論を教えます、このように、理学系の学科では、必要な公式を理解させるまでの時間が、かなり不足しています。それらの分野の基礎になる物理の時間が、足りてません。
 
さらに、地学では、こういう公式の理解のための時間不足についての大学の対応が、ほとんど考えられておりません。そもそも大学に地学科のある大学自体が少ないです。また、高校側でも、航行地学では、物理的な数式を駆使した解析が乏しいなため、高校側の進路指導などでも、説明不足なのかも、しれません。