「高等学校物理/物理I/波」の版間の差分
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縦波の図の代わりに、地震のP波の図で、しばらく代用。 |
間違ってる場所を削除。正しくは、津波は波ではない。水面に石を投げ込んでも、振動は1回しかできない。その他、加筆。 |
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==波==
湖などの静かな水面に小石を投げ込むと、石の着水した箇所を中心にして、波紋(はもん)が広がっていく。
学校のプールに、ボールを投げ込む実験でも、同じように、着水いた箇所を中心にして、波紋の広がりがみられる。(もし実験する場合には、学校の理科教員の許可を得ること。)
湖に小石を投げ込む例の場合、このとき水面に浮かんだ木の葉は、波の上下につられて、木の葉の位置も上下に振動はするが、しかし木の葉は波紋の広がる方向には流れていかない。木の葉は、前後左右方向には移動しない。
なお、このように水面にできる波のことを、水面波(すいめんは)という。
===いろいろな波===▼
このように、波(なみ、wave)というのは、振動の方向(水面波の場合は上下方向)と、波の伝わる方向(水面波の場合は前後左右方向)との2種類の方向を持っている。
*実験▼
金属の棒を持って来て片方を軽く叩いてみる。このとき、反対側に振動が伝わってくることを確かめる。▼
この水面波のような、振動の方向と、波の伝わる方向とが、別方向の波を、横波(よこなみ)という。
[[File:Wanderwelle-Animation.gif|thumb|right|横波の伝わり方。]] ▼
[[File:P-wave longitudinal-wave jp.svg|thumb|right|300px|縦波のイメージ。地震のP波は縦波である。]]▼
実際には、この振動には2種類が存在する。まず一方は、振動が伝搬する方向と各点の変移が垂直である場合である。もう一方は、振動が伝搬する方向と各点の粒子の変移の方向が一致している場合である。▼
:※ なお、海岸の津波(つなみ)で物体が流される場合があるが、実は「津波」は波でない。「津波」は、「波」というよりも、むしろ「流れ」に近い。流体の物理については、高校物理の範囲外なので説明を省略する。
:※ なお、海の通常の波は、横波とは違い、もっと複雑である。説明が複雑になるので、海の波については省略する。
これらの波は、変移の波の伝搬方向に対する向きから区別され、伝搬方向と振動方向とが垂直の波を'''横波'''(よこなみ、transverse wave)と呼び、もういっぽうの伝搬方向と振動方向とが同じ波を'''縦波'''(たてなみ、longitudinal wave)と呼ぶ。一般には固体中を伝搬する縦波と横波の速度は、互いに異なっている。▼
固体を伝搬する波の例として地震]より生じる振動伝搬があげられる。地震の波は地震波(じしんは)と呼ばれ、その伝搬は固体としての地面そのものだけではなく、地面の上にある建造物などにも激しいゆれを与える。地震波にも縦波と横波があり、それらはそれぞれ'''P波'''と'''S波'''と呼ばれる。一般に、P波はS波よりも速度が大きいが、地面の上に大して大きな振動を与えるのはS波の方であるので、P波と思われる波を感じたら後に来る振動に備えて対処するのがよい。▼
実際には固体中の振動伝搬以外にも、波が関わる現象はいくつかある。例えば水の中で振動を起こしても、その振動はある程度水中を伝わっていく。これは、水や一般的な液体を構成する分子も、固体の場合程ではないにせよ、お互いに相互作用を持っているからである。実際には気体のように固体や液体と比べて密度が非常に低い物体でも、それを構成する各分子はお互いに相互作用を持っており、その振動は気体分子間の相互作用を通じて伝搬していく。この振動は音]]となって我々の耳に届く。実際には我々が耳にする音は、気体の振動を通して伝搬して来た波として解釈できる。気体中を伝搬する音は縦波であることが知られている。これは相互作用の性質上、音は気体中の各点に生じる密度の揺らぎの伝搬として解釈されるからである。また、このような密度のゆらぎが縦波として伝わっていく波を疎密波(そみつは、compression wave)という。▼
音が気体の振動として我々の耳に届いているなら、固体を介して振動が伝搬して来たときには、その振動は気体の振動を介して伝搬してきた振動よりも明瞭であると考えられる。糸電話はその例であり、話者の声は糸を通して伝搬するため、遠距離でも割合よく音を聞き取ることができる。また、音を媒介する気体が少ない宇宙空間では通常の方法で会話を行うことはできず、ヘルメットとヘルメットの振動を介して会話を行う必要がある。(実際の例 )▼
水面波における水のように、波を伝える物質のことを'''媒質'''(ばいしつ、medium)という。
また、小石の着水した場所のように、波において最初に振動が起きる場所を、'''波源'''(はげん)という。
身近な波の例として、最後にあげるのが光である。すでに[[中学校理科]]で光と音については似た性質があることが説明された。音と同様、光もまた波としての性質を持つ。これは、例えば後で述べる回折や、干渉などの現象が、光に対しても観察されることから明らかである。▼
:光の干渉の図▼
一方、光はここまでにあげた波と異なった性質を持つことが知られている。実は、いままでの波と違って、光はこれを媒介する物質を持たない。例えば、音は気体を媒介として伝搬されるので、真空の宇宙を通過することはできない。一方、光は真空の宇宙ですら自由に通過することができる。これは、例えば太陽からの光が地球に届いて来ることから、確かである。光の性質についてより詳しくは、下の発展の項を参照。▼
*発展 光の性質:波と粒子の二重性▼
既に述べたが、光は波の性質を持ちながら、それを媒介する物質を持たないという性質を持つ。これは一見矛盾して見える。実際にはこのことは光だけでなく、粒子の一般的な性質を知る上で、重要な事柄である。この矛盾の現代的な解釈は、光は波であると同時に一つの粒子としての性質を持っている(粒子としての性質を強調するとき、特に[[w:光子]]と呼ばれることがある)という事である。つまり、波であるから光が波の性質を持つのは当然であり、同時に粒子でもあるので媒介する物質を持たないことも当然であるというのが矛盾に対する答えである。この性質は波と粒子の[[w:二重性]]と呼ばれ、光子だけでなくあらゆる粒子に関して成立する事柄である。ここではこの性質について詳しく述べることはできない。詳細は、[[高等学校理科 物理II]]、[[量子力学]]などを参照。▼
▲====波の性質====
▲=====正弦波=====
[[ファイル:Sine_Cosine_Graph.png|thumb|right|300px|正弦波(赤色)と余弦波(青色)の関数グラフ]]
一般に波は様々な形を取る。これは、波がある時刻にある地点で起こった振動を伝搬する現象であり、その地点で起こる現象の複雑さ次第で、波は様々な形となり得るからである。しかし、波の性質を議論する上では、波の形をある程度限った方が都合がいい。ここでは、波の形として正弦波(せいげんは、sinusoidal wave)を考える。
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</math>
となる。
▲===いろいろな波===
▲*実験
▲金属の棒を持って来て片方を軽く叩いてみる。このとき、反対側に振動が伝わってくることを確かめる。
▲[[File:Wanderwelle-Animation.gif|thumb|right|横波の伝わり方。]]
▲[[File:P-wave longitudinal-wave jp.svg|thumb|right|300px|縦波のイメージ。地震のP波は縦波である。]]
▲実際には、この振動には2種類が存在する。まず一方は、振動が伝搬する方向と各点の変移が垂直である場合である。もう一方は、振動が伝搬する方向と各点の粒子の変移の方向が一致している場合である。
▲これらの波は、変移の波の伝搬方向に対する向きから区別され、伝搬方向と振動方向とが垂直の波を'''横波'''(よこなみ、transverse wave)と呼び、もういっぽうの伝搬方向と振動方向とが同じ波を'''縦波'''(たてなみ、longitudinal wave)と呼ぶ。一般には固体中を伝搬する縦波と横波の速度は、互いに異なっている。
▲固体を伝搬する波の例として地震]より生じる振動伝搬があげられる。地震の波は地震波(じしんは)と呼ばれ、その伝搬は固体としての地面そのものだけではなく、地面の上にある建造物などにも激しいゆれを与える。地震波にも縦波と横波があり、それらはそれぞれ'''P波'''と'''S波'''と呼ばれる。一般に、P波はS波よりも速度が大きいが、地面の上に大して大きな振動を与えるのはS波の方であるので、P波と思われる波を感じたら後に来る振動に備えて対処するのがよい。
▲実際には固体中の振動伝搬以外にも、波が関わる現象はいくつかある。例えば水の中で振動を起こしても、その振動はある程度水中を伝わっていく。これは、水や一般的な液体を構成する分子も、固体の場合程ではないにせよ、お互いに相互作用を持っているからである。実際には気体のように固体や液体と比べて密度が非常に低い物体でも、それを構成する各分子はお互いに相互作用を持っており、その振動は気体分子間の相互作用を通じて伝搬していく。この振動は音]]となって我々の耳に届く。実際には我々が耳にする音は、気体の振動を通して伝搬して来た波として解釈できる。気体中を伝搬する音は縦波であることが知られている。これは相互作用の性質上、音は気体中の各点に生じる密度の揺らぎの伝搬として解釈されるからである
また、このような密度のゆらぎが縦波として伝わっていく波を疎密波(そみつは、compression wave)という。
▲音が気体の振動として我々の耳に届いているなら、固体を介して振動が伝搬して来たときには、その振動は気体の振動を介して伝搬してきた振動よりも明瞭であると考えられる。糸電話はその例であり、話者の声は糸を通して伝搬するため、遠距離でも割合よく音を聞き取ることができる。また、音を媒介する気体が少ない宇宙空間では通常の方法で会話を行うことはできず、ヘルメットとヘルメットの振動を介して会話を行う必要がある。(※編集者へ 実際の例
▲身近な波の例として、最後にあげるのが光である。すでに[[中学校理科]]で光と音については似た性質があることが説明された。音と同様、光もまた波としての性質を持つ。これは、例えば後で述べる 回折(かいせつ) や
▲:(※編集者へ 光の干渉の図)
▲一方、光はここまでにあげた波とは異なった性質
▲*発展 光の性質:波と粒子の二重性
▲既に述べたが、光は波の性質を持ちながら、それを媒介する物質を持たないという性質を持つ。これは一見矛盾して見える。実際にはこのことは光だけでなく、粒子の一般的な性質を知る上で、重要な事柄である。この矛盾の現代的な解釈は、光は波であると同時に一つの粒子としての性質を持っている(粒子としての性質を強調するとき、特に[[w:光子]]と呼ばれることがある)という事である。つまり、波であるから光が波の性質を持つのは当然であり、同時に粒子でもあるので媒介する物質を持たないことも当然であるというのが矛盾に対する答えである。この性質は「波と粒子の
この記事では、この性質について詳しく述べることはできない。詳細は[[高等学校理科 物理II]]などを参照。
===== 干渉 =====
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