「高等学校物理/物理I/波」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎正弦波: 正弦波と円の関係図を追加。
編集の要約なし
50 行
一般に波は様々な形を取るが、高校物理では議論の簡単化のため、波の形をある程度、簡単な形状に限定する。
 
さて、もっとも基本的な形の波として、まず、正弦波(せいげんは、sinusoidal wave)が、高校物理で扱われるので、この正弦波の形の波の物理を考えていこう。正弦波(せいげんは)とは、波形が正弦曲線となる波である。また、右図の手の振動のように、波形が正弦波になるような波源の振動を、単振動(たんしんどう)という
[[File:Simple harmonic oscillator.gif|frame|left|バネによって吊り下げられた重りの振動は、平衡点まわりでは正弦波として近似できる。]]
[[File:AC wave Positive direction.gif|frame|center|]]
{{-}}
:(※ ここに波のy-t図)
波の波形は移動するが、1つの yーxグラフ だけでは、その移動の速度などを図示できない。
このとき正弦波について成り立つ事柄について述べる。実際にはここで扱う事柄は周期的な波には常に当てはまるが、ここでは正弦波しか扱わない。周期的な波を考えるときには、波が媒介されて来るいずれかの点で振動の様子を観察すると、その点での振動はある時間が経過するごとに、同じ値に至ることがわかるはずである。ここで、同じ値が現れるまでの時間を'''周期'''(しゅうき、period)と呼ぶ。周期は時間経過であるので、単位は [sec] である。また、周期は、しばしば記号にTを用いて書かれる。
 
波形と時間に関する関係を図示するため、yーtグラフが描かれることも多い。
"T秒ごとに正弦波中の1点が現れる"が周期の定義であった。ここで、"1秒間にf回正弦波中の1点が現れる"によって'''振動数'''(しんどうすう、frequency)を定義する。振動数は、しばしば記号に f を用いて書かれる。上の例では、T秒間に点が1度現れるのだから、1秒間には 1/T回の点が現れる。このことから、一般に正弦波については、
 
波形は形が繰り返してるので、ある位置を1つの山が通過しても、しばらく時間が経過すれば、次の山が到来してきて、同じ形を繰り返す。ここで、同じ波形が現れるまでの時間を'''周期'''(しゅうき、period)と呼ぶ。周期は時間経過であるので、単位は秒 [sec] である。また、周期の記号は、しばしば T を用いて書かれる。
 
" T秒ごとに正弦波中の1点が現れる"が周期の定義であった。ここで、"1秒間にf回正弦波中の1点が現れる"によって'''振動数'''(しんどうすう、frequency)を定義する。振動数は、しばしば記号に f を用いて書かれる。上の例では、T秒間に点が1度現れるのだから、1秒間には 1/T回の点が現れる。このことから、一般に正弦波については、
:<math>
f = \frac 1 T
63 ⟶ 67行目:
が成り立つ。振動数の単位はHz(ヘルツ)が用いられるが、この単位は1/secと等しい。
 
ここで、物質中を振動が伝わる速度を v と置く。物質の性質によって異なる定数であり、振動の性質にはよらない。例えば、音が空気中を伝わる速度は音の高低に関わらず一定である。波が伝わる速度と波の周期が与えられたとき、波が1周期のうちに進む距離を計算することができる。これは、例えば正弦波では波のある1点(例えば最も振動が正の向きに大きいとき)間の距離に対応する。この距離を波の'''波長'''(はちょう、wavelength)と呼ぶ。
:波長の図
 
[[File:wave.png|thumb|right|300px|変位量の最大値 ''y'' が波の振幅である(λは波長)。]]
波長は通常<math>\lambda</math>で表される。波長<math>\lambda</math>は振動が1周期内に進む距離なので、波の速度vと周期Tを用いて計算できる。一般に
:<math>v = \frac \lambda T</math>
v = \frac \lambda T
</math>
が成り立つ。
 
*式
波の波形における位置xと時間tと、その地点での変位 y の関係を式で表せる。なお、式の角度の単位は度数法(°)とする。90°で直角の単位である。
 
:<math>y = A \sin (360 (\frac t T - \frac x \lambda))</math> (公式)
ここまでである1点で生じた周期的な振動が持つ性質を見て来た。ここまでを用いて、振動が始まってからt秒後の波源からの距離xでの振動について記述することができる。位置x=0のとき、その振動は
あるいは、
:<math>
:<math>A \sin (2\pi 360(\frac t T - \frac x \lambda) + \delta)</math> (公式)
のような式になる。
</math>
 
である。これは振動が周期Tの正弦振動であるので当然である。更に、この振動が速度vで広がることを考えると、点xでの式は
:(※ 2015年の検定教科書では式での表示が発展の単元となってるが、たしか90年代くらいの過去には物理Iで基礎として習っていたと思う。)
:<math>
 
A \sin (2\pi \frac 1 T(t - \frac x v))
なぜ、上記のような式になるかを考えよう。
</math>
 
となる。この式は地点xでは、振動が(x/v)だけ遅れて来ることを表している。この式は正弦波に関する一般的な式だが、<math>v = \frac \lambda T</math>の関係を用いると、この式は
証明の簡単化のため、
:<math>
:<math>y = A \sin (2\pi 360(\frac t T - \frac x \lambda))</math>
の場合を考えよう。
</math>
 
となる。また、上の式では時刻t=0で点x=0では振動が0だったと仮定しているが、実際にはその地点でちょうど正弦運動の最も高い部分や最も低い部分にいてもその波は正弦波となる。この分を取り入れるため、上の式に
まず、位置x=0のとき、周期と時間の定義から、その波形は、周期と同じ時間が経ったときに波形が1周するはずだから、
:<math>
:<math>y(x=0,t) = A \sin (2\pi(360 \frac t T - \frac x \lambda) + \delta)</math>
のような形になるはずである。
</math>
 
のように定数(ここでは<math>\delta</math>)を入れることもある。ここで<math>\delta</math>は位相(いそう、phase)と呼ばれる。<math>\delta = \frac \pi 2</math>では、振動は正弦運動の最も高い部分から始まり、<math>\delta = \frac {3\pi} 2</math>や、<math>\delta = - \frac \pi 2</math>では最も低い位置から始まる。
である。これは振動が周期Tの正弦振動であるので当然である。更つぎに、この振動が速度vで広がることを考えると、点 x での式は
:<math>A \sin (2\pi 360\frac 1 T(t - \frac x v))</math>
となる。なぜなら、地点 x では、振動が <math>\frac x v</math> だけ遅れて来るからである。
 
となる。この式は地点xでは、振動が <math>y=A \sin (360 \frac 1 T(t - \frac x/ v)だけ遅れて来ることを表している。この式は)</math> でも正弦波に関する一般的の公式だが、さらに <math>v = \frac \lambda T</math>の関係を用いると、この式は
:<math>y=A \sin (360 (\frac t T - \frac x \lambda))</math>
と変形できる。
 
となる。また、上の式の仮定では 時刻t=0 点x=0 では振動が 0 だったと仮定しているが、実際にはその地点でちょうど正弦運動の最も高い部分や最も低い部分にいてもその波は正弦波となる。この分を取り入れるため、上の式に
 
:<math>y=A \sin (360(\frac t T - \frac x \lambda) + \delta)</math>
 
のように定数(ここでは<math>\delta</math>)を入れることもある。ここで<math>\delta</math>は位相(いそう、phase)と呼ばれる。<math>\delta = \frac \pi 2</math>では、振動は正弦運動の最も高い部分から始まり、<math>\delta = \frac {3\pi} 2</math>や、<math>\delta = - \frac \pi 2</math>では最も低い位置から始まる。
 
 
97 ⟶ 114行目:
**解答
:<math>
A \sin (2\pi 360(\frac t T - \frac x \lambda))
</math>
を使えばよい。答えは
:<math>
2 \sin (2\pi360 (\frac t 2 - \frac x {0.5}))
</math>
となる。