「高等学校世界史探究/南アジアの古代文明」の版間の差分

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ナーランダー僧院
サラスヴァティー
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== インダス文明 ==
青銅器をつくれるインダス文明が、紀元前2500〜紀元前2300年ごろに起きた。
[[File:Mohenjodaro Sindh.jpeg|thumb|280px|'''モンジョ=ダロ'''の遺跡(いせき)。 世界遺産になっている。]]
下水道や浴場などの公共施設もそなえ、レンガ造りの建物のある、'''モエンジョ=ダーロ'''という都市を作っている。遺跡には、モエンジョ=ダーロのほかにも、ハラッパーなどの遺跡がある。
遺跡には、穀物倉庫や沐浴場(もくよくじょう)などがあった。
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4世紀前半にマガダ地方でシャンドラグプタ1世が'''グプタ朝'''をたてた。第3代の'''チャンドラグプタ2世'''のときに北インドの大半を支配し、最盛期になった。
また、グプタ朝の公用語は、バラモンの言葉である'''サンスクリット語'''(Sanskrit)を公用語とした。
 
(サンスクリット文字は、日本や中国では梵語(ぼんご)、梵字(ぼんじ)と言われ、日本では墓の卒塔婆(そとば)などに書かれることが多い。なお、卒塔婆の語源も、インドの言葉の「ストゥーバ」である。)
 
[[File:Statuette of dancing Shiva, the Nataraja.jpg|thumb|踊るシヴァ神の像]]
このグプタ朝の時代に、ヒンドゥー教が広まった。ヒンドゥー教は、バラモン教に民間信仰が融合して、バラモン教が再興した宗教であると考えられている。
 
ヒンドゥー教は多神教である。ヒンドゥー教の神では、破壊と想像の神であるシヴァ神(Siva)や、s世界・宇宙を保持する神であるヴィシュヌ神(Visnu)などをまつっている。
 
ヒンドゥー教は特定の教義や聖典を持たない。
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また、ヴァルナの規範について『'''マヌ法典'''』がまとめられた。
 
自然科学では、数学では'''ゼロの概念'''や10進法が、この時代のインドで生み出された。この数字の表記法をもとにインド数字が生み出され、そのインド数字はのちにアラビアのイスラーム世界に伝わり、アラビア数字のもとになり、それがヨーロッパに伝わったのが、今日のアラビア数字のもとである。このような、この時代のインドの数学によって、のちの時代の世界の数学が大きく進歩した。
 
詩人カーリダーサ(Kalidasa)により戯曲『シャクンタラー』(Shakuntala)がつくられた。
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[[Image:Nalanda University India ruins.jpg|right|300px|thumb|ナーランダー僧院]]
この時代は、仏教もさかんであった。仏教も学べる'''ナーランダー僧院'''が、5世紀に建設された。ナーランダー僧院が、インドでの仏教研究の中心地になった。
のちの時代に、中国の唐の僧である'''玄奘'''(げんじょう)が留学して仏教を学んだ学校が、このナーランダー僧院である。
 
グプタ朝は、5世紀には地方勢力を抑えられなくなり始め、異民族エフタルによる西北インドへの侵入などもあり、6世紀にグプタ朝は滅亡した。
 
7世紀に、'''ハルシャ=ヴァルダナ'''王が北インドを一時的に統一して'''ヴァルダナ朝'''を築くが、王の死後、王朝は崩壊した。そして8世紀から13世紀まで、インドでは、いくつもの王朝が分立抗争する状態が続いた。
 
仏教については、仏教を保護していたグプタ朝が、6世紀からのグプタ朝の衰退と滅亡したことにより、仏教やジャイナ教を攻撃してヒンドゥー教への帰依を説く'''パクティ運動'''(bhakti)が6世紀半ばから激しくなった。
 
== ヒンドゥー教と日本の仏教 ==
ヒンドゥー教の神々は、日本の仏教にも、名前を変えて、伝わっている。
たとえば七福神の一人である大黒天(だいこくてん)は、ヒンドゥー教の破壊神であるシヴァ神が、黒い姿を取ることからマハー・カーラ(大黒、だいこく)と呼ばれ、それが由来になり、日本では大黒天と呼ばれた。さらに、神道の国津神(くにつかみ)の大国主(おおくにぬし)と、シヴァ神が一体視され、それがこんにちの大黒様(だいこくさま)として、まつられているのである。
 
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File:6-armiger Mahakala.jpg|thumb|チベット密教でのマハー・カーラ
File:Daikoku8727.jpg|thumb|神田明神(東京都)の大黒天像
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他にも、帝釈天(たいしゃくてん)は、ヒンドゥー教の雷神インドラである。
また、七福神の一人である弁財天(べんざいてん)は、日本では芸術と学問の神であるが、これは、ヒンドゥー教の川の神である女神サラスヴァティーである。