「高等学校化学I/物質と原子」の版間の差分
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分子やイオンの概略的な定義については、中学理科であつかってるため、削除。 |
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==== 同位体 ====
===== 同位体 =====
天然の存在する水素原子の大部分は、原子核が陽子1個だけからなる <math>_{1}^{1} \mathrm{H}</math> であるが、水素には、この他にも陽子1個と中性子1個からなる <math>_{1}^{2} \mathrm{H}</math> も少量ながら存在する。
このような、同じ元素でも質量数のことなる原子を互いに'''同位体'''(どういたい、isotope)と呼ぶ。あるいは'''アイソトープ'''(isotope)と呼ぶ。▼
▲このよう
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 同位体と存在比
! 元素 !! !! 同位体 !! 存在比(%)
|-
! rowspan="2"| 水素
| rowspan="2"| <math>_{1}^{} \mathrm{H}</math> || <math>_{}^{1} \mathrm{H}</math> || 99.9885
|-
| <math>_{}^{2} \mathrm{H}</math> || 0.0115
|-
! rowspan="2"| 炭素
| rowspan="2"| <math>_{6}^{} \mathrm{C}</math> || <math>_{}^{12} \mathrm{C}</math> || 98.93
|-
| <math>_{}^{13} \mathrm{C}</math> || 1.07
|-
! rowspan="3"| 酸素
| rowspan="3"| <math>_{8}^{} \mathrm{O}</math> || <math>_{}^{16} \mathrm{O}</math> || 99.757
|-
| <math>_{}^{17} \mathrm{O}</math> || 0.038
|-
| <math>_{}^{18} \mathrm{O}</math> || 0.205
|-
|}
水素の同位体には、さらに <math>_{1}^{3} \mathrm{H}</math> も、ごくわずかにある。
なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので、混同しないように読者は注意のこと。
<math>_{1}^{2} \mathrm{H}</math> のことを重水素(じゅうすいそ)といい、のことを <math>_{1}^{3} \mathrm{H}</math> 三重水素という。
炭素Cの代表的な同位体には、<sup>12</sup>C と<sup>13</sup>C がある。
炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。▼
===== 放射性同位体 =====
▲炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊(ほうかい)して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。
<sup>14</sup>Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を'''放射性同位体'''(ほうしゃせいどういたい、ラジオアイソトープ,radioisotope)という。
これに対して安定して存在できる同位体を'''安定同位体'''(stable Isotope)という。
原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''
▲同位体であっても、安定な同位体の化学的な性質は、ほとんど等しい。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。
▲原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''トリチウム'''(tritium)という。<sup>3</sup>Hは放射性同位体である。
なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。
Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。
放射性同位体の活用としては、化学反応のしくみを追跡するときに利用される。ほかにも、年代測定などにも利用される。
なお、放射性に関する用語として、放射線を出す性質のことを「放射能」(radioactivity)という。放射線を出すなどして、原子が他の原子に変わることを「崩壊」という。
原子ごとに、原子核が変わるまでの、だいたいの時間が異なる。半分の量の原子核が変わるまでの時間を'''半減期'''(はんげんき、half life)という。
<sup>14</sup>Cの半減期は5830年である。
=== 電子殻と価電子 ===
[[File:Electron-shell jp.svg|thumb|300px|電子殻の配置]]
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 希ガス原子の電子配置
! !! K !! L !! M !! O !! P
|-
! He
| 2 || || || ||
|-
! Ne
| 2 || 8 || || ||
|-
! Ar
| 2 || 8 || 8 || ||
|-
! Kr
| 2 || 8 || 18 || 8 ||
|-
|}
[[Image:Electron shell 008 Oxygen (diatomic nonmetal) - no label.svg| thumb |200px| 酸素原子Oの電子は、K殻に2個の電子。L殻に6個の価電子を持つ。]]
[[File:Electron shell 001 Hydrogen (diatomic nonmetal) - no label.svg|thumb|200px| 水素原子Hの電子は、K殻に1個の価電子を持つ。]]
原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。
; 電子殻(でんしかく、electron shell) : 電子が飛び回っている部分全体を指す。階層構造になっている。
この電子殻は何重かにわかれており、内側から'''K殻'''(ケーかく、K shell)、'''L殻'''(エルかく、L shell)、'''M殻'''(M shell)、……と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わな
また、いちばん外側の電子殻にある電子を'''最外殻電子'''(
最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。▼
各々の原子の電子の、電子殻への配列の仕方を'''電子配置''' (でんしはいち、electron configuration)という。
[[File:Electron shell 002 Helium - no label.svg|thumb|left|200px| ヘリウム原子Heの電子は、K殻に2個の電子を持つ。ヘリウムは閉殻構造である。閉殻なのでヘリウムの価電子は0と数える。]]▼
ヘリウムやネオンは、安定しており、化合物をつくりづらい。ヘリウムガスは、化合してないヘリウム原子が気体そのものの成分であり、分子化合物ではない。同様にネオンガスも原子の気体であり、分子ではない。
ヘリウムの電子配置は、K殻に2個ぜんぶの電子が配置されていて、安定しているので、このような化学的安定をしている。
同様に、ネオンの電子配置は、L殻に8個ぜんぶの電子が配置されてるので、安定している。
▲このように、最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''(へいかく)という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。
なお、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの原子のことを'''希ガス'''(きガス、rare gas)原子という。希ガス原子は、ほかの原子とは化合せず、希ガスどうしとも化合しておらす、希ガスそのものが分子と同様に安定してふるまうので、「単原子分子」(たんげんし ぶんし、monoatomic molecule)である。
▲[[File:Electron shell 002 Helium - no label.svg|thumb|left|200px| ヘリウム原子Heの電子は、K殻に2個の電子を持つ。ヘリウムは閉殻構造である。閉殻なのでヘリウムの価電子は0と数える。]]
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=== 電荷 ===
原子の構造を理解する助けとして、これから先になって必要になってくる概念である'''電荷'''という言葉については、ここで簡単な説明を加えておく。
; 電荷(electric charge) : 粒子にある電気的な性質のこと。プラスの量とマイナスの量があり、当然ながら0も存在する。
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:* 同じ符号の電荷を持った粒子同士は反発する力が働く。
:* 逆の符号の電荷を持った粒子同士は引き合う力が働く。
:* 電荷を持った粒子
ある原子核に陽子が3つ含まれているとき、原子核全体の電荷は
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== 原子に関する諸概念 ==
=== 原子の分類 ===
原子の化学反応的な性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。なぜなら、電子殻上の電子が、化学反応では媒介(ばいかい)になるのだが、電子殻上のその電子の数は、原子核中の陽子の数と、同じだからである。このため原子番号の定義を、陽子の数として定義することは、合理的である。
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|}
[[Category:化学|ふしつとけんし]]
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