「高校化学 天然高分子化合物」の版間の差分

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→‎アミノ酸の例: 表の「所在、特徴など」の項目を記述。
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=== アミノ酸 ===
[[File:Amino acid strucuture for highscool education.svg|thumb|300px|アミノ酸の一般的な構造。図中のRは、アミノ酸の種類によって、ことなる。]]
[[File:Glycine2.png|thumb|200px|グリシン]]
[[画像:Glycine-skeletal.png|thumb|グリシンの構造式。最も構造が単純なアミノ酸]]
[[Image:Amino Acid Zwitterion Structural Formulae V.1.svg|thumb||280px|アミノ酸の2つの異性体。右側が双性イオン。]]
分子中にアミノ基( -NH<sub>2</sub> )とカルボキシル基( -COOH )を1つの分子中にもつ化合物を'''アミノ酸'''(アミノさん、amino acid)という。アミノ酸2種の官能基がうち、同一の炭素C原子に、-NH<sub>2</sub>と-COOHが結合しているアミノ酸を'''αアミノ酸'''という。
 
アミノ酸の一般式は
:R-CH(NH<sub>2</sub>)-COOH
で表される。(Rは炭化水素基あるいは水素など。)
なお、R-の部分をアミノ酸の'''側鎖'''(そくさ)という。Rの違いによって、アミノ酸の種類が決まる
 
:※ なお、生体のタンパク質は、約20種類のαアミノ酸が成分となって縮合してできる物である。生体に必要なアミノ酸のうち、ヒトの体内で合成されない・合成されにくいアミノ酸を'''必須アミノ酸'''(ひっすアミノさん、essencial amino acid)という。
R-CH(NH<sub>2</sub>)-COOH
 
で表される。(Rは炭化水素基あるいは水素など。)
なお、R-の部分をアミノ酸の'''側鎖'''(そくさ)という。
 
* 光学異性体
アミノ酸のアミノ基( -NH<sub>3</sub> )は塩基性を示し、カルボキシル基( -COOH )は酸性を示すので、アミノ酸は両性化合物である。結晶中のアミノ酸分子中では、分子内で( -COOH )が水素Hを( -NH<sub>2</sub> )に渡して、アミノ酸内にイオンの( -COO<sup>-</sup> )と( -NH<sub>3</sub><sup>+</sup> )を生じる。その結果、アミノ酸の構造は、
:(※ ここに光学異性体の説明図を追加してください)
グリシン以外のすべてのアミノ酸には'''光学異性体'''(こうがくいせいたい、optical isomer)が存在する('''鏡像異性体''' enantiomer ともいう)。
天然のアミノ酸のほとんどは、L型の配置である。D型の配置のアミノ酸は、天然にはほとんどない。
 
* 双性イオン (そうせいイオン)
アミノ酸のアミノ基( -NH<sub>3</sub> )は塩基性を示し、いっぽうカルボキシル基( -COOH )は酸性を示すので、アミノ酸は両性化合物である。結晶中のアミノ酸分子中では、分子内で( -COOH )が水素Hを( -NH<sub>2</sub> )に渡して、アミノ酸内にイオンの( -COO<sup>-</sup> )と( -NH<sub>3</sub><sup>+</sup> )を生じる。その結果、アミノ酸の構造は、
 
R-CH(NH<sub>3</sub><sup>+</sup>)-COO<sup>-</sup>
 
の構造になる。このように分子内に酸性と塩基性の両方のイオンを生じるので、'''双性イオン'''(そうせいイオン、zwitterion)とよばれる。
このようにイオンがあるため、アミノ酸は水に溶けやすい。また、双性イオンの陽イオンと陰イオンどうしがクーロン力で引き合うためイオン結晶に近い結晶構造を取り、また、ほかの有機化合物と比べると比較的に融点や沸点が高い。
 
* 等電点(とうでんてん)
水溶液中では、アミノ酸は、平衡関係が変わり、水溶液のpHに応じて以下に示すような三種の状態をとる。
 
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塩基性が強い溶液では、アミノ酸は陰イオンになる。
 
アミノ酸分子中の正負の電荷が等しくなっているときのpHを'''等電点'''(とうでんてん、isoelectric point)という。側鎖がイオン化する場合は、その電荷も含む。
 
等電点を測定するには、水溶液に電圧を加ればよい。等電点よりPHが小さい(酸性)水溶液中では、アミノ酸は陽イオンになっているため、陰極側に移動する。いっぽう、等電点よりpHが大きい(塩基性)と、アミノ酸は陰イオンになってるため、陽極側に移動する。
等電点は、たとえばグリシンでは pH=6.0 であり、グルタミン酸ではpH=3.2というように、アミノ酸の種類ごとに等電点は異なる。
 
そして、pHが等電点と同じくらいの水溶液中だと、アミノ酸は陽極にも陰極にも移動しないので、よって、この状態の水溶液のpHを測定することにより、等電点を測定できる。
水溶液が中性付近では、ふつうは双対イオン状態のアミノ酸が最も多く、陰イオン状態のアミノ酸や陽イオン状態のアミノ酸は少ししか存在しない。
 
要するに、アミノ酸の等電点を測定する方法とは、アミノ酸混合物の水溶液のpHを変えながら、それぞれのpHごとに電気泳動をすればよい。
アミノ酸水溶液に電極を加えて電圧を加えると、酸性溶液ではアミノ酸は陰極に移動する。塩基性溶液ではアミノ酸は陽極に移動する。これらのことから、実際に水溶液中では、pHに応じてアミノ酸の構造が変わっていることがわかる。
また、この等電点の測定のさいの電気泳動を利用して、アミノ酸を分離することができる。
 
具体的な実験方法は、アミノ酸を染み込ませた濾紙(ろし)などに、2本の電極で直流電圧を加える電気泳動をおこなうと、等電点の異なるアミノ酸は移動の仕方が異なるので分離をする。このとき、アミノ酸を呈色をさせるため、後述するニンヒドリン反応を利用する必要があり、そのため、電気泳動後にニンヒドリン溶液をふきつける。
 
このような実験で、等電点より酸性では陰極側へアミノ酸が移動したのが観測でき、等電点より塩基性では陽極側へ移動することが観測でき、このように、じっさいに目視でアミノ酸のpHごとの移動結果を観測できる。
アミノ酸を染み込ませた濾紙(ろし)などに、2本の電極で直流電圧を加える電気泳動をおこなうと、等電点の異なるアミノ酸は移動の仕方が異なるので分離をする。
 
* 光学異性体
グリシン以外のアミノ酸には光学異性体が存在する。
天然のアミノ酸のほとんどは、L型の配置である。D型の配置のアミノ酸は、天然にはほとんどない。
 
アミノ酸の種類ごとの等電点は、たとえばグリシンでは pH=6.0 であり、酸性アミノ酸のグルタミン酸ではpH=3.2であり、塩基性アミノ酸のリシンでは9.7というように、アミノ酸の種類ごとに等電点は異なる。
 
 
水溶液が中性付近では、ふつうは双対イオン状態のアミノ酸が最も多く、陰イオン状態のアミノ酸や陽イオン状態のアミノ酸は少ししか存在しない。
 
* ニンヒドリン反応
[[File:Glycine2Ninhydrin.pngsvg|thumb|200px|グニンヒド分子]]
アミノ酸水溶液に薄いニンヒドリン水溶液を加え温めると、アミノ基 -NH<sub>2</sub> と反応して、色が青紫~赤紫に呈色する。この反応を'''ニンヒドリン溶液反応'''(ninhydrun reaction)といい、アミノ酸の検出などの目的に用いられる。この反応は、アミノ酸の検出やタンパク質の検出に利用される。なお。タンパク質も、構造の端部などにアミノ酸をふくむため、少しながら呈色ニンヒドリン反応をするので、色が青紫〜赤紫になる(※ タンパク質のニンヒドリン反応も、高校の範囲内。啓林館や第一学習社の検定教科書に、タンパク質のニンヒドリン反応の記述あり)
 
* アミノ酸の反応
アミノ酸は分子内にカルボキシル基-COOH が存在するため、無水酢酸(CH<sub>3</sub>OH など)と反応しエステル化をしてエステルをつくる。また、アミノ酸は分子内にアミノ基-NH<sub>3</sub>が存在するためアルコール( (CH<sub>3</sub>CO)<sub>2</sub>O )と反応させるとアセチル化してアミドをつくる。
 
 
 
==== アミノ酸の例 ====