「高校化学 天然高分子化合物」の版間の差分

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タンパク質について、いろいろと加筆。
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==== 一次構造と高次構造 ====
* 一次構造
タンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことを'''一次構造'''(いちじこうぞう、primary structure)という。たとえば表記「Gly-Gly-Ala」などは一次構造の表記である。
 
* 二次構造
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* βシート
[[Image:Feuillet beta 2.jpg|300p|thumb|βシート]]
並行にならんだ2本のポリペプチドのあいだに水素結合が保たれ、ヒダ状に折れ曲る構造をとることがあり、これを'''βシート'''という。
 
これら、αヘリックスやβシートをまとめて、タンパク質の'''二次構造'''(secondary structure)という。
 
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* 三次構造
[[画像:Myoglobin.png||thumb|left|250px|三次構造の例。ミオグロビン立体構造]]
αヘリックスをとったポリペプチドや、βシートをとったポリペプチドなど、二次構造をとったポリペプチドが、さらに折りたたまれて'''三次構造'''(tertiary structure)になる。三次構造の形成には、側鎖どうしに働く引力や、システインによる'''ジスルフィド結合'''(disulfide bond) -S-S- によるものが関わっている。
 
三次構造は'''サブユニット'''と呼ばれる。
 
三次構造の生体組織の例として、'''ミオグロビン'''がある。ミオグロビンは、1本のポリペプチド鎖からなり、ヘム色素を持っている。ヘム色素は、酸素と化合する性質がある。
 
 
* 四次構造
[[画像:hemoglobin.jpg|thumb|240px|四次構造の例。ヘモグロビン]]
三次構造のポリペプチド鎖サブユニットという)が、複数個あつまって集合体をなした構造を'''四次構造'''(quaternary structure)という。
 
四次構造の生体組織の例として、'''ヘモグロビン'''がある。ヘモグロビンは、2種類のサブユニットが2個ずつ、合計4個のサブユニットが集まって、できている。ヘモグロビンは、2個のヘム色素をもつ
 
==== タンパク質の分類 ====
===== 単純タンパク質と複合タンパク質 =====
タンパク質を加水分解したとき、アミノ酸だけでなく色素、核酸、リン、脂質などアミノ酸以外の有機物を生じるものを'''複合タンパク質'''(conjugated protein)という。
たとえば、血液中にふくまれるヘモグロビンは色素をふくむ複合タンパク質であり、牛乳にふくまれるガゼインはリン酸をふくむ複合タンパク質であり、だ液にふくまれるムチンは糖をふくむ複合タンパク質である。
 
いっぽう、タンパク質を加水分解したとき、アミノ酸のみを生じるものを'''単純タンパク質'''(simple protein)という。
 
===== 球状タンパク質と繊維状タンパク質 =====
タンパク質の形状にもとづいて、'''球状タンパク質'''(globular protein)と'''繊維状タンパク質'''(fibrous protein)に分類される。一般に繊維状タンパク質は、水には溶けにくい。一方、球場タンパク質は、水に溶けやすい。球状タンパク質は、親水基を外側に、疎水基を内側にして、まとまっている事が多いため、である。
 
アルブミン、グロブリン、グルテリンなどが、繊維状タンパク質である。
 
ケラチン、コラーゲン、フィブロインなどが、繊維状タンパク質である。
 
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==== タンパク質の特徴 ====
* タンパク質の変性
タンパク質を加熱したり、酸や塩基を加えたりすると凝固する。タンパク質に重金属(Cu<sup>2+</sup>、Hg<sup>2+</sup>、Pb<sup>2+</sup> など)を加えたり、有機溶媒(アルコールなど)を加えたりしても凝固する。これをタンパク質の'''変性'''(へんせい、denaturation)という。加熱によって変性することを熱変性という場合もある。
 
タンパク質の変性は、二次構造〜4次構造が破壊されることによって、起きている。そのため、ゆで卵などのように、いったん変性したタンパク質は、元には戻らないのが普通であるタンパク質の変性では一次構造の配列順序は変わっていないが、二次構造以上の構造が変わっている。
 
* 溶液
タンパク質は水に溶けると、親水コロイド溶液になる。タンパク質のコロイド溶液は、多量の電解質によって、水和している水分子が覗かれるため、沈殿する(塩析)
 
 
==== 検出反応 ====
*===== ビウレット反応 =====
[[File:Biuret Test 2.jpg|thumb|100px|ビウレット反応]]
タンパク質水溶液に水酸化ナトリウム溶液NaOHを加え、少量の硫酸銅(II)水溶液CuSO<sub>4</sub>を加えると、赤紫になる。この反応を'''ビウレット反応'''(biulet reaction)という。これはCuとペプチド結合とが錯イオンを形成することに基づく。こき、トリペプチドやポリペプチドなど反応ようにペプチド結合'''2個以上もつ場合に起こる。よって、ペプチド結合が1個だけであるジペプチドでは、ビウレット反応'''とは起こらな
このビウレット反応ははトリペプチドやポリペプチドなどのようにペプチド結合を二個以上もつ場合に起こる。ペプチド結合が1個だけであるアミノ酸では、ビウレット反応は起こらない。
 
 
*===== キサントプロテイン反応 =====
タンパク質水溶液に濃硝酸をくわえて加熱すると、チロシンやトリプトファンなどのアミノ酸中にベンゼン環をもつ場合に、タンパク質水溶液が黄色になる。これは、ベンゼン環がニトロ化され、タンパク質が黄色になるためである。この溶液を冷却し、NaOHやアンモニアなどで溶液を塩基性にすると、橙色になる。
これらの反応を'''キサントプロテイン反応'''(Xanthoprotein reaction)という。
 
橙色になった水溶液は中和すると、タンパク質の色は黄色に戻る。
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*===== 硫黄の検出反応 =====
システインやメチオニンなどのようにタンパク質がイオウを含む場合は、タンパク質の水溶液に、固体の水酸化ナトリウムを加えて加熱して、それから酢酸などで中和し、さらにそれから酢酸鉛(II)水溶液 (CH<sub>3</sub>COO)<sub>2</sub>Pb を加えると、硫化鉛(II) PbS の沈殿を生じる。硫化鉛の沈殿の色は黒色である。
 
:Pb<sup>2+</sup> + S<sup>2-</sup> → PbS
 
==== 毛髪のパーマネントのしくみ ====
毛髪はケラチンという繊維状タンパク質からなるが、この分子はジスルフィド結合 -S-S- によって、ところどころ結ばれている。このジスルフィド結合のため、毛髪は一定の形を保っている。
 
毛髪のパーマ処理は、還元剤をもちいて、このジスルフィド結合を還元して -S-H にすることで、ジスルフィド結合を切断している。
 
つぎに、酸化剤で、ジスルフィド結合 -S-S- を再生させると、もととは違ったつながりかたで、部分的にジスルフィド結合が再生されるので、元の髪型とは違った髪型になる。
 
パーマの還元剤には、チオグリコール酸アンモニウムが用いられる。パーマの酸化剤には、臭素酸ナトリウム NaBrO<sub>3</sub> や過酸化水素などが用いられる。
Pb<sup>2+</sup> + S<sup>2-</sup> → PbS
 
== 天然繊維 ==