「高校化学 酸素を含む脂肪族化合物」の版間の差分

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== アルコールの構造と分類 ==
炭化水素基の水素基を'''ヒドロキシ基'''(-OH)で置換した構造 R-OHのものを'''アルコール'''(alcohol)という。メタノールやエタノールなどは、ヒドロキシ基 -OH をもっているので、アルコールである。
 
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|第一級<br />アルコール||[[File:第一級アルコール.svg|150px|第一級アルコール]]||1-ブタノール<br />2-メチル-1-プロパノール||117℃<br />118℃
|-
|第二級<br />アルコール||[[File:第二級アルコール.svg|150px|第級アルコール]]||[[File:2ブタノール.svg|200px|2-ブタノール]]<br />2-ブタノール||99℃
|-
|第三級<br />アルコール||[[File:第三級アルコール.svg|150px|第級アルコール]]||[[File:Tert bütil alkol ücüncül bir alkol-Seite001.svg|150px|2-メチル-2-プロパノール]]<br />2-メチル-2-プロパノール||83℃
|}
 
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=== 一般的な性質 ===
==== 水溶性について ====
アルコールはヒドロキシ基をもつが、このヒドロキシ基は親水性のためすなわち水になじみやすい性質がある。メタノールやエタノールなどの低級アルコールはそや、グリセリンヒドロキシような-OHをもつための多いアルコールは比較的水に溶けやすい。しかし、アルコールでも、炭素数の割合が多くなると炭化水素としての性質が強くなり、水に溶けにくくなる。たとえば、炭素数が4の1-ブタノールや炭素数が5の1-ペンタノールは水に不溶である。
 
==== 融点や沸点 ====
また、アルコールは中性であるが、ナトリウムと反応して水素を発生する。
アルコールは、分子量が同程度の炭化水素と比べて、沸点や融点が高い。この理由は、アルコールのヒドロキシ基が分子どうしで水素結合をしているため、というのが定説である。
 
==== ナトリウムとの反応 ====
また、アルコールの水溶液は中性であり、したがって、これから説明する反応は、けっして酸・塩基反応ではない。
 
アルコールに単体のナトリウムNaを加えると、反応して水素が発生し、ナトリウムアルコキシド R-ONa になる。
: 2R-OH + 2Na &rarr; 2R-ONa + H{{sub|2}}↑
例えばタノールにナトリウムを反応させると、水素を発生しながらナトリウムトキシド(CH(C{{sub|32}}H{{sub|5}}ONa)を生じる。
: 2CH2C{{sub|32}}H{{sub|5}}OH + 2Na &rarr; 2CH2C{{sub|2}}H{{sub|35}}ONa + H{{sub|2}}↑
炭素数が多いほどアルコールとしての性質が弱くなり、ナトリウムとは穏やかに反応するようになる。この反応は有機化合物中のヒドロキシ基の有無を調べる一つの方法である。
 
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: R-ONa + H{{sub|2}}O &rarr; R-OH + NaOH
 
==== 水溶液は中性 ====
アルコールの水溶液は中性である。つまり、アルコールのヒドロキシ基は、水溶液中では電離していない。
 
==== 酸化反応 ====
*アルコールに適切な酸化剤をもちいて酸化させた場合
:第一級アルコールを酸化させると、まずアルデヒドになり、アルデヒドがさらに酸化すると、カルボン酸になる。
:第二級アルコールは、酸化されるとケトンになる。
:第三級アルコールは、酸化されにくい。
 
第一級アルコール[[File:第一級アルコール.svg|100px|第一級アルコール]] → アルデヒド[[File:Aldehyd - Aldehyde.svg|100px|]] → カルボン酸[[File:Carboxylic-acid.svg|100px|]]
=== メタノール ===
 
'''メタノール'''(CH{{sub|3}}OH)は無色透明の液体であり、もっとも単純なアルコールである。メチルアルコールとも呼ばれる。人体には猛毒で、飲むと失明の恐れがある。二クロム酸カリウム水溶液などにより酸化され、ホルムアルデヒドとなる。
第二級アルコール[[File:第二級アルコール.svg|100px|第二級アルコール]] → ケトン[[File:Keton - Ketone.svg|100px|]]
 
==== 脱水反応 ====
濃硫酸を加熱して約130℃にしたものに、アルコールをくわえると、アルコール分子内での脱水反応が起きたり、もしくはアルコールの2分子間で脱水反応が起きて、エーテルやアルケンを生じる。
 
具体的には、エタノールと濃硫酸との脱水反応により、約170℃で加熱するとエタノールはエチレンになるので、エチレンを生じる。約130℃で加熱すると、エタノールからジエチルエーテルを生じる。
 
なお、このジエチルエーテルの生成のように、2つの分子間から水分子がとれて1つの分子になることを、縮合(しゅくごう、condensation)という。
 
=== メタノール ===
'''メタノール'''(CH{{sub|3}}OH)はメチルアルコールとも呼ばれ、無色透明の液体であり、もっとも単純なアルコールである。メチルアルコールとも呼ばれる。人体には毒で、飲むと失明の恐れがある。二クロム酸カリウムとは任意の割合で液などにより酸化され、ホルムアルデヒドとなるけ合う
 
メタノールの製法は、触媒に酸化亜鉛 ZnO などを用いて、一酸化炭素 CO と水素 H<sub>2</sub> から、つくられている。
 
:CO + 2H<sub>2</sub> → CH<sub>3</sub>OH
 
メタノールの用途は、溶媒や燃料のほか、薬品の原料や、化学製品の原料などとして、用いられている。
 
* 参考
二クロム酸カリウム水溶液などによりメタノールは酸化され、ホルムアルデヒドとなる。
: <math>\mathrm{CH_3OH} \xrightarrow{-2 \mathrm H (*)} \mathrm{HCHO}</math>
<br />
:(*)水素原子が分子から奪われる酸化反応である。
 
=== エタノール ===
'''エタノール'''(C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH)は無色透明の液体のアルコールである。エチルアルコールとも呼ばれる。アルコール飲料(に含まれており、いる。糖やデンプンなどの発酵により、エタノールが得られる。工業的にはエチレンに水分子を付加することにより合成される。
:発酵: C{{sub|6}}H{{sub|12}}O{{sub|6}} &rarr; 2C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH + 2CO{{sub|2}}
工業的にはエチレンに水分子を付加することにより合成される。
:合成: CH{{sub|2}}=CH{{sub|2}} + H{{sub|2}}O &rarr; CH{{sub|3}}CH{{sub|2}}OH
 
 
濃硫酸には脱水作用があるため、エタノールと濃硫酸とを混合して加熱すると脱水反応がおこる。しかし、温度により異なった脱水反応がおこり、異なる物質が生成する。130℃程度で反応させるとエタノール2分子から水が取り除かれてジエチルエーテルを生じる。このように2分子から簡単な分子が取り除かれて結合し1つの分子となることを'''縮合'''(しゅくごう、condensation)という。
: 2C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH &rarr; C{{sub|2}}H{{sub|5}}-O-C{{sub|2}}H{{sub|5}} + H{{sub|2}}O
一方、160℃程度で反応させるとエタノール1分子の中で水が取り除かれ、エチレンを生じる。
: C{{sub|2}}H{{sub|5}}OH &rarr; CH{{sub|2}}=CH{{sub|2}} + H{{sub|2}}O
 
== 参考: 多価アルコール ==
=== エチレングリコール ===
1,2エタンジオール(エチレングリコール)は、2価アルコールであり、無色で粘性が高い、不揮発性の液体である。水とは任意の割合で溶け合う。
 
自動車のラジエーターの不凍液として、エチレングリコールは用いられる。また、合成繊維や合成樹脂の原料として、エチレングリコールは用いられる。
 
=== グリセリン ===
1,2,3-プロパントリオール(グリセリン)は、3価アルコールであり、無色で粘性が高い、不揮発性の液体である。水とは任意の割合で溶け合う。無毒であり甘味があるので、化粧品や医薬品の原料などに用いられる。
 
動物の体内に存在する油脂は、グリセリンと脂肪酸のエステルである。
また、火薬(ニトログリセリン)の原料としても、グリセリンは用いられる。合成樹脂の原料としても、グリセリンは用いられる。
 
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