「高校化学 銅」の版間の差分

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=== 銅 ===
[[File:Cu,29.jpg|right|200px|銅]]
'''銅'''(Cu)は赤色の金属光沢をもつ金属である。展性・延性に富み、電気伝導性・熱伝導性が大きいことから、電線、調理器具、装飾品等、幅広く用いられている。

また、銅は、さまざまな合金の原料であり、亜鉛との合金は黄銅(ブラス)、亜鉛とスズとの合金は青銅(ブロンズ)、ニッケルとの合金は白銅として知られる。
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|[[File:Trombone CG Bach42AG.jpg|200px|黄銅]]||[[File:Baltesspannarna Gbg - J P Molin.jpg|200px|青銅]]||[[File:100JPY.JPG|300px|白銅]]
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[[File:StatueOfLiberty01.jpg|right|100px|緑青に覆われた自由の女神]]
銅は空気中で風雨にさらされると'''緑青'''(ろくしょう)と呼ばれる青緑色のさびを生じる。たとえば名古屋城の屋根や、アメリカの自由の女神などは緑色をしているが、これは緑青によるものである。
: 2Cu + CO{{sub|2}} + H{{sub|2}}O + O{{sub|2}} → CuCO{{sub|3}}・Cu(OH){{sub|2}}
 
== 製法 ==
銅は天然に多く存在し、ほとんどは黄銅鉱(CuFeS{{sub|2}})として存在している。これを加熱してニッケルや金などの不純物を含む粗銅板を作り、これを電解精錬することにより純度の高い銅が得られる。硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電解液、陽極を粗銅板、陰極を純銅版として電気分解をすると、陽極の粗銅は溶解して銅(Ⅱ)イオンを生じ、陰極に銅が析出する。
銅の鉱産資源は、化合してない単体が産出することもあるが、ほとんどは黄銅鉱(CuFeS{{sub|2}})などの鉱石として産出する。
 
は天然に多く存在し、ほとんどは黄銅(CuFeS{{sub|2}})として存在している。これを加熱してニッケルや金などの不純物を含む粗銅(そどう)を作り、これを電解精錬することにより純度の高い銅が得られる。電気精錬では、硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電解液として、陽極には粗銅板、陰極純銅版として電気分解をすると、陽極の粗銅溶解して銅(Ⅱ)イオンを生じ、陰極に銅が析出する。
:'''陽極''': Cu → Cu{{sup|2+}} + 2e{{sup|-}}
:'''陰極''': Cu{{sup|2+}} + 2e{{sup|-}} → Cu↓
陽極の下には溶液に解けなかった不純物がたまる。これを陽極泥といい、金や銀などを回収することができる。
 
 
== 化学的な性質 ==
銅は塩素と激しく反応して、塩化銅(Ⅱ)を生じる。
: Cu + Cl{{sub|2}} → CuCl{{sub|2}}
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: '''熱濃硫酸''': Cu + 2H{{sub|2}}SO{{sub|4}} → CuSO{{sub|4}} + 2H{{sub|2}}O + SO{{sub|2}}↑
 
== 水溶液の性質 ==
[[File:CopperSulphate.JPG|right|150px|銅(Ⅱ)イオン水溶液]]
銅(Ⅱ)イオン(Cu{{sup|2+}})水溶液は青色をしている。これに水酸化ナトリウム水溶液、またはアンモニア水を少量加えると、水酸化銅(Ⅱ)(Cu(OH){{sub|2}})の青白色沈殿を生じる。
: Cu{{sup|2+}} + 2OH{{sup|-}} → Cu(OH){{sub|2}}↓
これに、さらにアンモニア水を過剰加えると、テトラアンミン銅(Ⅱ)イオン [Cu(NH{{sub|3}}){{sub|4}}]{{sup|2+}} を生じて溶け、深青色水溶液となる。
: Cu(OH){{sub|2}} + 4NH{{sub|3}} → [Cu(NH{{sub|3}}){{sub|4}}]{{sup|2+}} + 2OH{{sup|-}}
一方、水酸化ナトリウム水溶液を加えると水酸化銅(Ⅱ)の青白色沈殿を生じるが、過剰に加えても溶解しない。
 
== 化合物 ==
水酸化銅(Ⅱ)を加熱すると、酸化銅(Ⅱ)(CuO)を生じる。
=== 酸化物 ===
水酸化銅(Ⅱ)を加熱すると、黒色の酸化銅(Ⅱ)(CuO)を生じる。
: Cu(OH){{sub|2}} → CuO + H{{sub|2}}O
酸化銅(Ⅱ)は黒色であるが、高温で加熱すると赤色の酸化銅(Ⅰ)(Cu{{sub|2}}O)となる。
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|}
 
=== 硫化物 ===
銅(Ⅱ)イオン水溶液に硫化水素 H{{sub|2}}S を通じると、硫化銅(Ⅱ) Cu{{sup|2+}} の黒色沈殿を生じる。
: Cu{{sup|2+}} + H{{sub|2}}S → 2H{{sup|+}} + CuS↓
 
[[File:Copper sulfate.jpg|right|100px|硫酸銅(Ⅱ)五水和物]]
銅と硫酸の化合物である硫酸銅(Ⅱ)五水和物(CuSO{{sub|4}}・5H{{sub|2}}O)は青色の結晶である。水に溶かすと青色の水溶液となる。これを加熱すると白色の硫酸銅(Ⅱ)無水物 CuSO<sub>4</sub> の粉末となるが、水を加えると再び青色となる。この反応は水の検出に用いられる。
[[File:Hydrating-copper(II)-sulfate.jpg|center|250px|水の検出]]