「高校化学 ハロゲン」の版間の差分

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'''[[w:ハロゲン|ハロゲン]]'''は、17族に属する元素の総称であり、'''フッ素'''(F)、'''塩素'''(Cl)、'''臭素'''(Br)、'''ヨウ素'''(I)、アスタチン(At)の5つがある。
 
ハロゲンは最外殻に価電子を7つ持ち、容易に1価の陰イオンになる。そのため酸化力があり、その強さは原子番号が小さいほど大きくなる。たとえば、ヨウ化カリウム水溶液に塩素を加えると、ヨウ素は酸化されて単体となる。
 
== ハロゲンの酸化力 ==
ハロゲンの単体は電子をうばう力が大きいため、酸化力が強い。ハロゲンの酸化力の強さは原子番号が小さいほど大きくなる。つまり酸化力の強さは、
:F<sub>2</sub> > Cl<sub>2</sub> > Br<sub>2</sub> > I<sub>2</sub>
である。
たとえば、ヨウ化カリウム水溶液に塩素を加えると、ヨウ素は酸化されて単体となる。
: 2KI + Cl<sub>2</sub> &rarr; 2KCl + I<sub>2</sub>
逆に、塩化カリウム水溶液にヨウ素を加えても、反応は起こらない。
 
このことから、ヨウ素よりも塩素のほうが酸化力が強いことが分かる。
 
 
また、ハロゲンの各元素ごとの酸化力の違いは、水や水素との反応にも関わる。
もっとも酸化力のつよいフッ素は、水と激しく反応し、酸素を発生する。
:2F + 2H<sub>2</sub>O → 4HF + O<sub>2</sub>
 
塩素は、水に少し溶けて、その一部が次亜塩素酸 HClO になる。
:Cl<sub>2</sub> + 2H<sub>2</sub>O → HCl + HClO
 
=== ハロゲン単体の性質 ===
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==== 塩素 ====
'''塩素'''(Cl<sub>2</sub>)は常温常圧で黄緑色の気体である。酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加え、加熱することで塩素の単体が得られる。
塩素の製法は、工業的には、塩化ナトリウム水溶液の電気分解でつくる。
 
製法は、実験室では、酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加え、加熱することで塩素の単体が得られる。
: MnO<sub>2</sub> + 4HCl &rarr; MnCl<sub>2</sub> + 2H<sub>2</sub>O + Cl<sub>2</sub>↑
 
単体の塩素は、黄緑色の有毒な気体である。また、塩素の気体は、空気よりも重い。
 
なお、この反応では塩素と同時に水も生成する。さらに、濃塩酸には[[#ハロゲンの化合物|次節]]に見るように揮発性がある。したがって、この反応により得られる気体は純粋な塩素ではなく、水や塩化水素を少量含んでいる。それらを取り除くため、この気体を水と濃硫酸に順番に通す。まず水に通すことで、揮発した塩化水素が吸収される。次いで濃硫酸に通すことで、濃硫酸の吸湿作用により気体中の水が吸収され、純粋な塩素を得ることができる。なお、この水・濃硫酸に通す順番を逆にしてはならない。先に濃硫酸に通した後水に通しても、得られる気体の中には最後に通した水から蒸発した水蒸気が含まれているためである。
 
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このヨウ素がデンプンに作用して紫色から青紫色に変化する。
 
=== ハロゲンの化合物 ===
==== ハロゲン化水素 ====
ハロゲンは水素と化合してハロゲン化水素となる。いずれも無色刺激臭の気体である。
 
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|}
 
;==== フッ化水素(HF) ====
<!--沸点の高さ・弱酸となる理由については触れない; 極性・水素結合は化学IIで扱うため-->
フッ化水素は水によく溶け、弱酸の'''フッ化水素酸'''となる。フッ化水素酸はガラス(SiO<sub>2</sub>)を腐食するため、ポリエチレン容器に保存する。
: SiO<sub>2</sub> + 6HF &rarr; H<sub>2</sub>SiF<sub>6</sub> + 2H<sub>2</sub>O
 
;==== 塩化水素(HCl) ====
塩化水素は、塩化ナトリウムに濃硫酸を加え加熱することで得られる。
: NaCl + H<sub>2</sub>SO<sub>4</sub> &rarr; NaHSO<sub>4</sub> + HCl↑
 
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==== ハロゲン化銀・ハロゲン化鉛 ====
ハロゲン化銀は、フッ化銀を除いて、一般に水に溶けにくい。このため、ハロゲンの化合物の水溶液に、硝酸銀をくわえると、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀などのハロゲン化銀が沈殿する。
ハロゲンの化合物は一般に水によく溶ける。しかし、Cl<sup>-</sup>、Br<sup>-</sup>、I<sup>-</sup>はAg<sup>+</sup>やPb<sup>2+</sup>を含む水溶液中で化合物となって沈澱する。この反応を利用して、これらの陽イオンの検出をすることができる。
 
{|border=1 cellspacing=0 align=center text-align=center style="text-align:center"
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|-
|熱水への溶けやすさ||溶けやすい||溶けにくい||溶けにくい||溶けにくい||||溶ける||溶ける||溶ける
|}塩化水素(HCl)
|}
 
塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀には感光性があり、生じた沈澱に光を当てると銀が遊離する。また、これらはいずれもチオ硫酸ナトリウム水溶液によく溶ける。アンモニア水への溶けやすさは異なり、塩化銀はよく溶け、臭化銀も一部溶けるが、ヨウ化銀は溶けない。