「政治学概論」の版間の差分

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==== 最小国家 ====
 
[[ファイル:Robert Nozick.jpg|thumb|right|150px|ロバート・ノージック(1938年-2002年)はアメリカの哲学者である。プリンストン大学で博士号を取得し、ハーヴァード大学の教授となった。ロールズにより発表された新自由主義の政治哲学研究に対して批判的な立場から国家の役割を制限する自由至上主義の哲学を展開した。彼の政治学の著作としては『アナーキー・国家・ユートピア』がある。]]
最小国家(minimal state)とは国家の自由主義的なあり方であり、個人が自由の領域が最大限に国家権力の影響から守られている状態を確保したものである。これは社会契約説に基づいた国家像でもあり、ある意味において国家を可能な限り消極的な役割に位置づけようとしている。この最小国家の立場に基づけば、国家が果たさなければならない中心的な役割とは平和を維持しながら個々人が自らの生活を営むことを可能とする社会秩序を維持すること、すなわち安全保障の領域に限定される。自由主義の立場にあったロックは、国家の活動を「夜警(nightwatchman)」と特徴付けており、社会に対する日常的な権力の行使を権利(right)侵害の観点から拒否していた。そして第一に国家は治安を安定化させ、第二に個々人の間で交わされる契約や合意の履行を確実なものとし、第三に外敵からの攻撃に対して防衛することを国家の役割として挙げた。したがって、最小国家では警察、司法、軍隊などの政府組織の役割は抑制されており、経済の運営、文化の保存、道徳的判断などの政治的な問題についての責任は市民社会が担うものとされている。つまり経済介入、文化統制、道徳の強制は最小国家の役割として完全に排除されている。しかし最小国家のモデルも時代に応じて変化しつつある。現代における新右翼の議論において最小国家の理念は古典的な最小国家の理念を修正したものである。新右翼は国家の原初的な状態に回帰する必要性を主張している。ノージックはロックが論じたような自由主義的な最小国家は個人の権利の中でも特に財産権を保障することを大前提とし、ミルトンなどは経済学的な観点から国家の介入によって効果的な自由競争が妨げられると考えていたことを指摘する。新右翼の立場に基づけば国家の役割が最小限であることは支持できるが、役割を及ぼすことができる領域について次のような修正が行われる。それは国家の経済的な機能について、インフレーションを可能な限り低い水準に留め、また完全競争となるように促進しなければならないというものである。国家が経済の安定化を保証することは安全保障と並ぶ最小限の役割の範疇に加えられる。事例としては現代におけるアジアの新興国である台湾、シンガポール、マレーシアなどは最小国家の代表的な事例と見なすことができる。
 
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