独学ガイド/理工学一般/高校の復習をどうやるか?

知ったかぶり教育に騙されないように 編集

小学校・中学校の復習をせず、いきなり高校の復習をしよう 編集

ある程度の学力があるなら、高校の理科基礎科目から入っても問題ないでしょう。高校の理科基礎がよく分からなかったら中学程度の教科書から学習しても良いかもしれません。小学校の復習をするメリットはあまり無いので無視しても問題ないでしょう。

一部の間違った教育評論家の教育評論に騙されないように 編集

高校の復習のさいは、「脳をきたえるトレーニング」とか「読解力をきたえる訓練」とか「インド式 かけざんトレーニング」とかは不要です。普通に高校入試レベル(私立を含む)の平均的な受験国語や受験算数の受験勉強をして合格点をとれる能力があれば、当面の読解力や計算力などは十分でしょう。読解力はたしかに必要ですが、市販の「○○力をきたえる!」といった類の教材では、残念ながら読解力などは身に付かないでしょう。

大学の化学・生物 編集

大学の化学・生物の知識ぎ高校の化学・生物の学習に役に立つことはあまりありません。まずは高校の学習をしましょう。

高校の復習 編集

高校3年レベル以上の学力が無い場合、まずは高校の学問から勉強してください。

対策

また、このような状況への対策として、社会人で高校大学レベルの学問を独学しようとする学生は、けっして「5教科の受験勉強が終わってから、工学や商学を勉強しよう」と思うのではなく、なるべく高校レベルの5教科の勉強をしているうちに、工業高校の機械工学・電気電子工学や商業高校の簿記・民法などを勉強するように心がけたほうがよいでしょう。

共通テスト 編集

共通テストやセンター試験の過去問は、学習の理解度を問う演習問題として有用です。ただし、大学に入り直したり、将来的に大学受験を考えているのでないならば、共通テスト対策にのめり込む必要はないでしょう。

旧課程は不要 編集

高校のカリキュラムはおおよそ十年単位で更新されている。過去のカリキュラムに沿った参考書ではなくなるべく最新のものを購入したほうがいいでしょう。

文系科目 編集

自然科学や応用科学を学ぶだけなら、歴史や地理、公民などのいわゆる文系と言われる学問は直接的には必要ない。

復習に必要な教材 編集

検定教科書をわざわざ購入する必要はない。復習は通常の参考書でも十分である。学力に不安があるなら、「学び直し」や「分かりやすい」などと謳っている参考書を購入してもいいだろう。

大学受験の受験参考書を用いた、高校復習の方法 編集

さて、高校生向けの参考書を用いた復習の説明に入ります。

問題集は入試平均レベルまでを 編集

数学と理科は、参考書のみでは、演習が不足する場合があるので、問題集を買って一通り演習をすると良いかもしれません。

数学の問題集のなかには、とても難問の多い問題集もあります。難問を解くのもいいですが、標準レベルに不安が少しでも残っているなら、手を出す必要はないでしょう。

なお、高校3年生の範囲のカリキュラムに対応してる参考書を、もちろん買ってください。参考書の中には、センター試験対策などの目的で、高校2年生レベルまでしか対応してない参考書もあります。

では、上述の高校レベルの内容を勉強してある事を前提に、以下の文に、大学レベルの理工学の勉強法を説明します。

暗記しなくていい分野 編集

平均的な受験問題にある知識は、1年後にこれから大学進学して、それらの専門の学科に進学する人には必要かもしれませんが、しかし受験問題のなかには、一般人には技術者ですら暗記の必要のない問題もあり、じつは当面のあいだ進学する気にない人にとっては、不要な(暗記問題の)知識も、受験問題集などには多くあります。

たとえば、化学のマニアックな反応や、生物のたとえばクエン酸回路とかの細かい物質名(イソクエン酸とかオキサロ酢酸とかの順序)は、機械工学や電気工学などの技術者には、暗記の必要は無いのです。実社会では、専門外の細かい知識は、仕事で必要になったときに、文献を調べて確認すればいいのです。

もちろん、「その知識は、どういう内容か?」「どの単元を調べれば、それらの知識が書いてあるか?という事を知るためには、それらの反応や回路などの知識の書かれた教科書に目を通しておく必要があります。


多くの大卒理系の技術者は、暗記できている知識なんて、中学校レベルや一般の高校の定期試験レベルあたりに、毛の生えた程度です。仮に、せっかく細かい知識をたとえ大学入試のために一時的に覚えても、年月がたてば、たいてい忘れてしまいます。


化学・生物などの細かいことを暗記する暇があったら、まず先に、その教材を最後まで通読してください。そして、まず入門的な問題集にある、入門的~標準的な問題から、解く練習をしてください。1科目を通読し終わったら、つづけて2科目め、3科目め・・・、を学習していってください。

理科だけでなく、受験数学の難問とかも、技術者には、習得する必要のない知識です。受験数学などの難問対策の暇があるくらいな、まず先に、物理や化学・生物などの基本的な問題の計算練習をしましょう。

数学のカリキュラム変更への対応 編集

優先して対応すべき分野 編集

高校の数学カリキュラムでは、しばし現実を知らなかったりあまり学習しない人達リキュラム変更で、分野「複素数と複素数平面」が高校範囲外(つまり大学範囲)になったり、または逆に高校範囲になったりします。

ほかにも、分野「行列と行列式」が大学範囲になったり高校範囲になったりします。

この2分野(「複素数と複素数平面」および「行列と行列式」)は、大学の教科書では、あまり初歩的な説明はしてくれません。なので、もし読者のみなさんが高校時代に習っていない場合、高校レベルの参考書でこの2分野を扱っているものを探す必要があります。

書店の参考書コーナーにある『モノグラフ』シリーズ、または駿台文庫(すんだい ぶんこ)の分野別数学(数学者の清 史弘 (せい ふみひろ)が著作している)が、このような分野別の数学の参考書で、しかもカリキュラム変更などで入試範囲外になった分野も含めて説明していますので、うまく活用してください。分野別数学シリーズが絶版になった今では、「数学の受験教科書シリーズ」全冊がその代用として機能します。

優先しなくてもよい分野 編集

さて、分野「微分方程式」も、しばしば大学の範囲になったり高校範囲になったりもします。しかし分野「微分方程式」は、わざわざ高校参考書で買わなくても、大学の教科書でも、微分方程式の初歩的な計算練習が多いのが探せるので、当面は無理をして買う必要はありません。(もちろん、買っても特に問題ありません。

このほか、統計の分野が、もしかしたら、統計分布のガウス分布(正規分布)の性質などが大学の範囲になったり高校範囲になったりするかもしれませんが、しかし大学入学後に、あまり統計の公式を使いませんので、分野「統計」では範囲外の分野は後回しでも良いです。また、どっちみち、理系の大学で習う物理などで用いる確率・統計には、高校レベルの丸暗記は通用しませんので、なので、範囲外になった「統計」の一部分野の学習は、後回しにしましょう。

昔から高校範囲外の数学 編集

ベクトルの外積が高校の範囲外ですが、駿台文庫の数学の「ベクトル」の分野別参考書に書いてあり、しかも大学物理で頻繁に用いるので、余裕があれば、ベクトル外積も、勉強しておくと良いでしょう。

もっとも、大学側の物理数学などの教科書でもベクトル外積の計算練習をしますので、あまり慌てる必要がありません。

ついでに、この参考書(駿台文庫の数学の「ベクトル」)で「四平方の定理」と呼ばれてる定理が、大学での材料力学(ざいりょう りきがく)の公式の導出で活躍しますので、興味があるなら、買うのも良いでしょう。(まあ、多くの大学では、残念ながら材料力学の授業では公式を暗記させるので、この「四平方の定理」は証明しないのですが・・・)

あと、整数論が、いちぶの公式が高校範囲外ですが、高校生でも理解しやすい公式があり、モノグラフや駿台文庫で、高校範囲外の整数論の公式をあつかった参考書があるので、興味があるなら、買うのも良いでしょう。

『モノグラフ』をすべて集めるのはお金と時間の無駄なので、必要になりそうな科目だけ購入してください。

そのため、チャート式やシグマベストなどを、事前に購入して、問題練習しておく必要があります。

大学教科書を読むのは高校数学3が一通りマスターしてから 編集

タイトルのとおり、大学教科書を読むのは高校数学3が一通りマスターしてから のほうが合理的です。

もちろん、教科書レベルの計算問題は、あらかた解けるように練習してから、です。数学3をふくむ数学の大学入試問題を解けるようにしましょう。

高校の教科書は説明をハショってる部分もあるので、理科の独学では大学教科書を読む必要も生じる場合もあるかもしれませんが、しかしそういうのは、数学3の計算練習をした後から、です。

いったん大学レベルの生物と化学の教科書を読む 編集

高校の理科は、高校2年生を終えた現実を知らなかったりあまり学習しない人達りで高校3年生になった現実を知らなかったりあまり学習しない人達りの人に向けに作られており、そのため、高校の生物科目の教科書では、高校の化学式をまともに使えません。微分積分も、まともに理科の教科書では使えません。

でも、普通に数学3と理科4科目を勉強していれば、さすがに高校レベルの数学・生物・化学・物理は組み合わせできるようになります。

高校の生物と化学は、一通り教科書・参考書を通読したら、なるべく早めに1回は大学教科書の生物科目と化学科目の入門レベルの教科書を読んでしまうのがいいでしょう。


そこまでの学力があれば、意外と、高校生でも、大学教養の生物と化学は、読めます。その後、必要に応じてまた高校カリキュラムの復習に戻りましょう。

さすがに、大学レベルの物理は数式が習ってないので難しいですが。

プログラミングの勉強を始めよう 編集

高校の『情報』科目でも、ひょっとしたら Java Script とか紹介されると思いますので、そういうのを、かじっておいてください。

たとえプログラマーにならなくても、プログラミングで、どういう感じのことができるのか、知っておいてください。

さて、プログラム入門の段階では、画像出力の機能のあるプログラミング言語を使うと、分かりやすいのでオススメです。

それは、現代では、 Java Script か、(マイクロソフト社の)Visual Basic などになります。(Visual C ではない、無印のC言語は画像関係が弱い(というか、C言語だけでは画像出力が出来ない)。なお、マイクロソフト社のC言語系の製品の名前は正確には『Visual C++』および『Visual C #』である。)

補記 編集

今までの内容は、利用者:すじにくシチュー氏が単独で書かれたものです。すじにくシチュー氏の執筆に感謝いたします。ただし、大規模な高校数学の削減がコロナ禍で予想されるため、こちらの勉強法がよいのではないかということを補います。迷った末に、彼の記述を残すことに致しました。

どの本を読めばよいのか 編集

小学算数をやり直したい場合は受験研究社の「自由自在」、中学と高校の数学をやり直したい場合には数研出版の「チャート式」が優れています。自分に合った本を選んでください。

現行の学習指導要領または2025年以降の学習指導要領に慣れ切った人々にとっては、昭和期の有名な数学書は過去の指導要領に完全依存した設計になっているため、かなり読みにくく感じられるはずです。全く歯が立たないという方もいるようです。小学生ですら土曜日には全く授業がありませんから、それは当然というものです。

そうなることを防ぐために、高校の「チャート式」数学を終えた後「幾何の有名な定理 (共立出版)」→「行列と線型変換 (NextPublishing Authors Press)」→「現代数学序説 集合と代数 (ちくま学芸文庫)」→「微分積分学 (ちくま学芸文庫)」→「基礎解析学 改訂版 (裳華房)」の順で読んでみてください。これで大丈夫です。

今挙げた5冊の本は、昭和30年代の理系志望の高卒生なら「自明」だった内容でした。

日本の高校までの数学の学習指導要領は、点にならない科目を全く教えないために数学の本質からは逸れています。2025年以降の共通テストの数学IAおよび数学IIBCは、かつての昭和期の高校数学の密度とは大きく異なっているので注意してください。