脳ヘルニア 編集

脳の頭蓋内の容積は一定なので、浮腫や血腫があると、頭蓋内の圧力が上昇する。 その結果、障害が起きる。

※ 医学書には、この後に詳細が色々と書いてあるが、出版社ごとに説明が多様で統一されていない。なので読者は医学書を確認のこと。

脳浮腫 編集

※ 未記述.

脳血管障害 編集

※ 医学用語では、「障碍」ではなく「障害」です。

脳梗塞 編集

※ 未記述.
※ 説明に解剖学の知識が必要で、難しい。

感染症 編集

梅毒 編集

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌の感染によって起きる。

梅毒の感染第4期(~10年後[1][2])で、中枢神経系に障害が目立つようになり、運動障害・知覚障害・認知症などの症状が出てくる[3]。このような症状を「神経梅毒」[4][5]という。

「脊髄癆」(せきずいろう)と言われる、脊髄に変性のある状態がみられる[6][7]。。また、進行性麻痺である[8][9]

結核 編集

他の臓器と同様、結核結節や乾酪壊死がみられる。

クリプトコッカス髄膜炎 編集

真菌のクリプトコッカスにより髄膜炎になる場合があり、エイズ患者など免疫力低下の状態で発症する。

トキソプラズマ症 編集

エイズ患者に、トキソプラズマ原虫による脳炎がよくみられる。

ウイルス 編集

単純ヘルペス脳炎 編集

※ 未記述.
※ 説明に解剖学の知識が必要で、難しい。

ポリオによる急性脊髄前角炎 編集

ポリオウイルスの感染者の少数で、ポリオが血液脳関門を通過し、脊髄前角を選択的に侵す。このため、永続的に麻痺が起きる。予防ワクチン[10][11]が既に開発されており、発症は激減した。

かつて小児麻痺の主な原因であった[12][13]

狂犬病 編集

狂犬病は、狂犬病ウイルスによる人畜共通感染症[14]である。

※ 獣医学だと「人獣共通感染症」などというが、ヒトの医学では、「人畜」でいい。

イヌのほか、キツネも媒介する[15][16]

海馬や小脳プルキンエ細胞に、ネグリ小体といわれるものを形成する。

潜伏期間は短く、短くて10日程度、長くて3ヶ月程度である[17]

発症すると死に至る[18]

※ 『標準病理学』と『スタンダード病理学』は狂犬病を扱っている。『シンプル病理学』他では扱わず。

その他の急性ウイルス性脳炎 編集

日本脳炎 編集

まずブタに、日本脳炎ウイルスが感染し、そのブタを蚊が刺した後、その蚊がヒトを刺すことにより、ヒトに感染する。感染すると、高熱と意識障害などが発症する[19][20][21]

かつて死亡率が高く、精神神経に後遺症を残すと言われてたが、ワクチンが開発されており[22]、現代の日本では死亡者は激減した。

なお、日本でも年間10万人程度の患者数である[23]

ウエストナイル熱 編集

このほか、ウイストナイルウイルスによるウエストナイル熱など、蚊によって媒介されるウイルス性の感染症である。 ナイル川流域だけでなく、北アメリカでも1990年以降は発症例が報告されている。

その他 編集

その他、マレーシアで日本脳炎に似た症状を起こす、ブタからのニパウイルスの感染例が発見されている[24]

神経変性疾患 編集

アルツハイマー病 編集

高齢者に発症しやすい[25]。認知症をきたす。

解剖的には、肉眼的に前頭葉と側頭葉の萎縮がみられる[26][27]

組織学的には、「老人斑」といわれる、アミロイドのコアと、それを取り囲む、変性した神経突起が、異常に多くみられる。

ただし、通常の老人にも、アミロイドはみられる[28]

遺伝性・家族性のものと、非遺伝性のものがある。

原因は不明[29]。アミロイドカスケード仮説が提唱されている[30][31]

臨床的な症状は、初期は記憶障害で、最近の出来事を忘れる事が多い。そのうち、時間が場所に対する見当識障害に進展する。このあたりから、介護が必要になる。さらに進展すると、記憶障害に加えて、失行・失語[32]・失禁[33]などの行動障害も発症してくる。

最終的には、感染症などで死亡する場合が多い[34][35]


神経原線維変化

タウというタンパク質が、異常に蓄積する。ただし、通常の老人にもタウはみられる[36][37]

タウそのものは、微小管を束ねるタンパク質の一種である[38][39]


老人斑もタウも、通常の老人でもみられるが、アルツハイマー病患者では、出現数が大きい。

ピック病 編集

アルツハイマー病と似ていて、前頭葉や側頭葉の萎縮を示し、認知症をきたす。ニューロンにピック小体というものが、みられる。

※ スタンダード病理学、シンプル病理学に記載あり。

レヴィ小体病 編集

※ 未記述.

パーキンソン病 編集

パーキンソン病の患者は、中高年(主に45歳以降[40])で発症する。根本的な原因は不明。家族性のものは、全体の5%にすぎない[41]

健常者では、ドーパミン作動性ニューロンに黒褐色の神経メラミンが含有されているため、中脳黒質と青斑核は肉眼的には黒褐色を呈する。 しかし、パーキンソン病患者では、ドーパミン作動性ニューロンの減少が起きているため、色が淡い。

また、残存する神経細胞にレヴィ小体がみられる。レヴィ小体は好酸性である。 レヴィ小体はヘマトキシリン・エオジン染色でピンク色に染まる[42]

ハンチントン病 編集

常染色体優性遺伝を示す遺伝疾患であり、原因遺伝子は第4染色体の短腕[43]にあり、その原因遺伝子はハンチンチン遺伝子と呼ばれる。

「舞踏病」ともいわれる不随意運動を症状とする。また、認知症[44]や知能低下[45]を症状とする。

ハンチントン病患者では、ハンチンチン遺伝子における塩基配列 CAG の3塩基の繰り返しが異常に増加している。

なお、健常者でも、ハンチンチン遺伝子は6〜34回[46]程度、繰り返している。

発症は、30〜40歳からと、中年になってからの場合が多い。

なお、CAGはグルタミン酸をコードする[47][48]

運動ニューロン病 編集

原因不明。運動ニューロンがおかされる。

初老期以降[49](40~60歳[50])に発症する。臨床的には、筋萎縮と、痙性麻痺の症状。最終的には、呼吸筋なども麻痺し、死亡する。

※ 『標準病理学』では紹介せず。

代謝性疾患 編集

テイ・サックス病 編集

ガングリオシドがニューロンに蓄積する[51][52][53]

ゴーシェ病気 編集

グルコセレブロシドが蓄積する[54][55]

ウィルソン病 編集

遺伝疾患(常染色体劣性遺伝[56])による、銅の先天的な代謝障害であり、肝硬変や肝レンズ核変性をきたす[57][58]。神経系にも障害が出る。

※ 単元『病理学/消化器#銅代謝障害』でもウィルソン病について説明あり。

中毒性疾患 編集

アルコール関係 編集

ウェルニッケ脳症 編集

ビタミンB1(チアミン)不足により脳障害が起き、これをウェルニッケ脳症という。 慢性アルコール中毒者に多い。

臨床的には、眼球運動障害、意識障害がある。視床下部、乳頭体、中脳水道周囲灰白質[59]の壊死を起こす。

水銀中毒 編集

歴史的に「水俣病」として知られる、熊本県水俣湾および、新潟県阿賀野川(第二水俣病)の水銀中毒は、両地域とも有機水銀による中毒である。

だが医学的には、無機水銀でも中毒を起こす[60]

脳腫瘍 編集

星細胞腫 編集

「アストロサイトーマ」ともいう。

※ 記述中だが、調査が難航。文献ごとに、説明の食い違いが多い。


膠芽腫 編集

「グリオブラストーマ」ともいう。

※ 記述中だが、調査が難航。文献ごとに、説明の食い違いが多い。

乏突起細胞腫 編集

「オリゴデンドログリオーマ」oligodendorogliomaともいう。

顕微鏡的には、核周囲が明るくみえるため「目玉焼き様」と称される[61][62]。。

※ 好発年齢とか発生率が、文献ごとに食い違ってるので、wikiでは省略。

石灰沈着がみられる[63][64]

大脳白質に発生する事が多い[65][66]

上衣腫瘍 編集

上衣細胞由来の腫瘍。

※ 「上衣細胞」とは何か、南山堂『解剖学講義』を読んでも、書いてない。
文光堂『生理学テキスト』などにも無い。
より専門的な、脳解剖学の文献が必要になってしまうのだろうか・・・


「上衣細胞」とは、脳室を覆う細胞である[67]

※ 「脳室」とは何か、南山堂『解剖学講義』などを読んでも、書いてない。
南山堂『解剖学講義』は、「脳室」が無いのに「側脳室」とか「第三脳室」とかが書いてある。
『標準生理学』に「脳室表面」があるが、しかし「脳室」そのものの説明は無い。

髄芽腫 編集

※ 「髄膜腫」とは異なる。

髄芽腫は、小脳の腫瘍。主に小児に発生するが、成人でも発生する[68]

発生部位は、小脳虫部が多い。

※ 南山堂『解剖学講義』などの入門的な解剖学書を読んでも「小脳虫部」とは何処か、書いてない。

しばしば腫瘍細胞の配列がロゼット(※ 花の咲き方のアレ)を形成し、ホーマーライト・ロゼットという[69][70]

髄膜腫 編集

成人に多い。成人女性に多い。

脳腫瘍の25%[71]程度を占める[72][73]

※ 『スタンダード病理学』は21%。『標準病理学』は24.5%。

一般には良性腫瘍[74][75][76]とされる。

クモ膜に由来する腫瘍である場合が多いとされる[77][78]

硬膜に付着[79]・浸潤[80]する。

※ 『スタンダード病理学』が、硬膜などに「浸潤」するが、「必ずしも悪性を意味しない」と言っている。

感染症 編集

ギラン・バレー症候群 編集

先行して感染症にかかって、その自己抗体が神経をおかす、自己免疫疾患であると考えられている[81][82]

ハンセン病 編集

ハンセン病は、らい菌による。らい菌が、末梢神経、および皮膚を障害する。 症状として、感覚障害[83][84]、皮膚の病変が起きる。

※ 『標準微生物学』では、「らい菌」で検索すると見つかる。「ハンセン病」では巻末索引に無い。

脚注 編集

  1. ^ 『シンプル病理学』
  2. ^ 『標準微生物学』
  3. ^ 『標準微生物学』
  4. ^ 『シンプル病理学』
  5. ^ 『標準病理学』第5版、、P692、右段の中央付近に書いてある
  6. ^ 『標準病理学』
  7. ^ 『標準微生物学』
  8. ^ 『標準病理学』
  9. ^ 『標準微生物学』
  10. ^ 『スタンダード病理学』
  11. ^ 『シンプル病理学』
  12. ^ 『スタンダード病理学』
  13. ^ 『標準微生物学』
  14. ^ 『標準病理学』
  15. ^ 『標準病理学』
  16. ^ 『スタンダード病理学』
  17. ^ 『スタンダード病理学』
  18. ^ 『標準病理学』
  19. ^ 『標準微生物学』、第12版、460ページ、
  20. ^ 『シンプル病理学』
  21. ^ 『スタンダード病理学』
  22. ^ 『スタンダード病理学』
  23. ^ 『標準微生物学』、第12版、460ページ、
  24. ^ 『スタンダード病理学』
  25. ^ 『スタンダード病理学』
  26. ^ 『スタンダード病理学』
  27. ^ 『シンプル病理学』
  28. ^ 『スタンダード病理学』
  29. ^ 『標準精神医学』
  30. ^ 『標準病理学』
  31. ^ 『標準精神医学』
  32. ^ 『スタンダード病理学』
  33. ^ 『標準精神医学』
  34. ^ 『標準病理学』
  35. ^ 『スタンダード病理学』
  36. ^ 『スタンダード病理学』
  37. ^ 『標準病理学』
  38. ^ 『スタンダード病理学』
  39. ^ 『標準精神医学』
  40. ^ 『スタンダード病理学』
  41. ^ 『標準病理学』
  42. ^ 『シンプル病理学』
  43. ^ 『標準病理学』
  44. ^ 『標準病理学』
  45. ^ 『スタンダード病理学』
  46. ^ 『標準病理学』
  47. ^ 『標準病理学』
  48. ^ 『スタンダード病理学』
  49. ^ 『スタンダード病理学』
  50. ^ 『シンプル病理学』
  51. ^ 『スタンダード病理学』
  52. ^ 『標準病理学』
  53. ^ 『シンプル病理学』
  54. ^ 『スタンダード病理学』
  55. ^ 『シンプル病理学』
  56. ^ 『標準病理学』
  57. ^ 『標準病理学』
  58. ^ 『シンプル病理学』
  59. ^ 『標準病理学』
  60. ^ 『標準病理学』
  61. ^ 『標準病理学』
  62. ^ 『スタンダード病理学』
  63. ^ 『標準病理学』
  64. ^ 『スタンダード病理学』
  65. ^ 『スタンダード病理学』
  66. ^ 『シンプル病理学』
  67. ^ 『スタンダード病理学』
  68. ^ 『スタンダード病理学』
  69. ^ 『スタンダード病理学』
  70. ^ 『標準病理学』
  71. ^ 『シンプル病理学』
  72. ^ 『スタンダード病理学』
  73. ^ 『標準病理学』
  74. ^ 『スタンダード病理学』
  75. ^ 『シンプル病理学』
  76. ^ 『図解ワンポイントシリーズ3 病理学』
  77. ^ 『スタンダード病理学』
  78. ^ 『シンプル病理学』
  79. ^ 『標準病理学』
  80. ^ 『スタンダード病理学』
  81. ^ 『スタンダード病理学』
  82. ^ 『シンプル病理学』
  83. ^ 『スタンダード病理学』
  84. ^ 『標準微生物学』